紅き外套 オラリオへ行く   作:クグイ

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あっぶねエタりかけたわ。部活の引退試合とかでちょいとリアルが忙しかったりしてたんで遅れました。次回もテストあるんで遅れると思います。すみません。それではどうぞ!


第二のスキル

昔、私は虐められていた。故郷の辺境に生まれた私は、スラム街で生まれた私はすぐに親に捨てられた。というよりかは孤児院に置いて行かれたと言ったほうが近いかもしれない。幼少から捨てられた私は、今でもそうだが引っ込み思案と言うか、人見知りみたいな感じで、子供達の輪に入れず、そして弾かれた。

 

最初は悲しいとも思ったけど、次第に心の持ちようも変わってきて、物心がきちんとできる頃には1人でもいいやとか、半分開き直りかもしれないけどそんな気持ちになっていった。

 

そこからだったと思う。いや、一つ忘れていた。やはりどのところにも、子供達にもやはり人気の人はいて、その子供達の中で1番人気の人に告白をされたのだ。

 

でも性格と今までの行い、その人は関係なくてもやっぱりすぐには対応できないし、1人でいたいと思っていたから、すぐに断った。

 

それが一つの理由でもあるのであろうし、それ以外もきっとあったのだろう。そこから私は、少しずつ日をまたぐごとにエスカレートしていくイジメという子供の日常に、なんの文句も言えず1人で受け続けた。

 

それでもやっぱり開き直っても子供は子供で、ある日いじめられたあと、心の何かが壊れたかのように涙が止まらなかった。悔しくて、怖くて哀しくて。けれど誰もきっと助けてくれないとか頭の中では分かってたハズなのに、やっぱり子供じみた考えをしてその時は人知れずこう泣きながら呟いた。

 

「誰か助けて」と。

 

その次の日から、急に自分の周りからイジメが無くなった。急な変化に戸惑いつつも、心の中では安心半分、しどろもどろになっていた。

 

ふとお昼の時、昨夜泣いていた公園に行ってみた。

 

そこでは同じ孤児院同士で殴り合いの喧嘩をしていた。驚いてすぐに近くの木陰に身を潜めて見てみる。臆病でも子供なりの変な好奇心はあったのだ。

 

男と女の子二人組と、いつも私をいじめてくる5、6人の男女達。なぜ喧嘩しているのか全然わからなかったけど、それでも驚いたことが一つあった。圧倒的に、二人組が勝っていたから。

 

「お、覚えてろよ……!?」

 

そんなありきたりなセリフをその5、6人のメンバーのリーダーが言い捨てて去っていった。

 

 

 

「ありきたりなセリフですね桜花殿」

 

「全くだな。それに私たちを見ている目線が一つあるぞ」

 

その言葉を一つ言って、桜花と呼ばれた男の子は此方を見てくる。ドキッとして辺りを見渡しても誤魔化せることはできないと悟った私は、疑問をぶつけながら前へ出る。

 

「ど、どうして喧嘩なんかしてたんですか……?」

 

その言葉を聞いて2人は顔を見合わしたあと、クスリと笑ってこう言った。

 

「あなたの為ですよ、千草殿」

 

「イジメなんてムカつく行為、見てるだけで腹立たしいからな」

 

その言葉は、心から話していて、とても気持ちよかったのと、同時に確信した。ああ、イジメはこの人達がなくしてくれんだ、と。

 

そこから私たちの交流は始まっていった。時には遊んで、時には他愛もない喧嘩をして、喋ったりもした。友達ってこんなに楽しいものなんだなって嬉しかった。その時はそれだけで満足だったし、そしてなぜ、桜花と命が強かったかなんて分かりも、聞こうともしなかった。

 

ある日、安心して外に歩けるようになった私は、ゆったりと散歩していた。近くに道場があることを小耳に入った私は、ほんのちょっと興味本意で行ってみた。古めかしい感じは残ってはいたが、それでもきちんと管理はしているようで埃っぽさも何もなかった。想像してたより大きくて、子供ながらにすごい興奮して、カッコ良く思って中を覗いてみた。

 

すると、桜花と命が、2人で師範だろう道着を着た男の人に向かって戦っていた。いじめっ子達相手に圧勝していた2人があんなにあしらわれるなんて想像もしてなかった私は、思わず息を飲んだ。見惚れていた。なんて一生懸命なんだろうと。

 

休憩時間間際だったのか、その稽古風景を見たのは2.3分だった。それでも凄く心を揺さぶられた。何に、とはすぐに言葉で表せなかったけど。

 

ただ、今は邪魔してはいけない気がして、直ぐにその場を離れようとした。

 

「なんだ、千草じゃねえか」

 

ちょっと息を荒げていたが、先程の稽古からそう時間は掛かってない。そんな短時間で回復できるのは子供なりの回復能力、それとも幾度となくやり続けた稽古量、努力の量か。

 

「……お疲れ様って言えば良いのかな。こういう時」

 

「それで良いんだよ、ありがとな。それにしてもカッコ悪いところ見せちまったなあ。あんなにボコボコにされて」

 

笑いながらおちゃらける彼の目は、本当に愉快そうで、同時に悔しそうだった。ただ、一つだけ違うと思ったことがある。

 

「ううん。かっこ悪くないよ、全然」

 

その言葉に少し驚いた顔を見て、わたしのほうを見てくる。道場の敷地には小さな池があり、その池の金魚が静かに波の音を立てる。

 

「あんなに一生懸命な姿が、かっこ悪いはずないよ。それなのに私は……」

 

そう、わたしは諦めた。一生懸命に自由になってやろうと意気込まず、ただいじめられ続けた。一生懸命な2人を見て、急に恥ずかしくなったのだ。そして、こうも思った。こんな私が一緒にいて良いのだろうか、と。

 

「お前、そんなにひどかったかな」

 

「え?」

 

「イジメられても誰にも文句を言わず、やり返そうともしない。ただ波風を強くしないよう静かに流れに任せる。確かにひどかったかもしれないな」

 

「……」

 

「臆病ってのもあるかもしれないが、それと同じくらい、お前は優しいんだなって思うよ。あいつらとは絶対に違うし、あいつらより確実にかっこいいと思うよ」

 

……何も言えなかった。凄く、嬉しかったから。誰にも言ってくれなかった私を肯定する言葉を、彼が言ってくれた気がしたから。

 

「桜花殿ー!次がはじまりますよー!」

 

道場内の奥の方で、命の呼ぶ声が聞こえる。

 

「んじゃ、行ってくるわ」

 

少し真面目な話をして照れくさかったのか、早々に立って行こうとする。その後ろ姿を見て、私も一から頑張りたいと、そう思った。

 

「桜花、ありがとう。それとさ……」

 

「おう。んで、なんだ?」

 

「……私もさ、この道場に入れないかな?」

 

その言葉に驚いて、彼は私の方を再度見て、聞き返す。

 

「本気か?」

 

その言葉に、無言で桜花の目を見る。ちょっとその時胸の鼓動が速くなったのは、緊張したからなのか、それとも私が初めて桜花を意識し始めたからなのか。

 

数秒たって私が本気なのが分かると、彼はニカッと笑ってこう言った。

 

「ようこそ、タケミカヅチ道場へ、千草」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、だから私は、彼の言葉があったからここまで来れたんだ。

 

まだ劣勢は続く中、それでも彼女を中心としてタケミカヅチファミリア3人は諦めず奮闘する。桜花は毒で行動が遅くなり、瞬間的な判断が鈍っているものの、レベルの差、ランクの差で敵を倒し続ける。

 

その一方、千草はただ、スキルの恩恵により圧倒的な速さでインファイトドラゴンからの攻撃を避け続け、ヘイトを稼ぎ、来るべき時のための時間稼ぎをしている。

 

平地になんとかおびき出し、合図を、命に方に向ける。

 

「お願い命ちゃん!」

 

頷き返し、彼女の呪文が発動する。

 

【掛けまくも畏きーーいかなるものも打ち破る我が武神よ尊き天の導きよ。】

 

不意に、命を中心とした足元と、それに付随するかのようにドラゴンの足元にも魔法陣が浮かび上がる。

 

【卑小のこの身に巍然たる御身の神力を。】

 

命の足元にある魔法陣が浮かび上がり、ドラゴンの足元に浮かび上がる。

 

【救え浄化の光、破邪の刃。払え平定の太刀、征伐の霊剣。】

 

ドラゴンの頭上と足元にある魔法陣が共鳴し合い、薄い光の壁が現れ、ドラゴンを閉じ込める。

 

「ギャァァァァァァァ!!!!」

 

騒音たる声を出し、脱出を試みるが、もう遅い。

 

【今ここに、我が命(な)において招来する。天より降り、地を統べよ――神武闘征】

 

詠唱が終わると同時に、重力がドラゴンを襲う。圧倒的な力がドラゴンを押しつぶそうとするが、ドラゴンがそれを簡単に良しとしない。未だレベルが1の命では、この魔法では倒せない。

 

「千草殿!持って15秒だ!」

 

それを聞いた瞬間、千草は高く跳躍し、頭上にある実現化された魔法陣に飛び乗る。

 

抜いていた刀を納刀し、脇に構え直し、体制を抜刀の構えに直す。

 

チャンスは一度。失敗すれば死は免れない。

 

集中する。まだ誰にも、正確にはタケミカヅチ様と私しか知らない第二のスキル。

 

集中する。目を閉じ、いらない情報をすべてカットしていく。聞こえるのは己の鼓動一つのみ。普段聞こえない音が、今では騒音のように。

 

死ぬわけにはいかない。私はまだ、私たちはまだ、死ぬわけにはいかない。

 

桜花の言うとうり、タケミカヅチ様にはまだ恩を返しきれてないし、まだシロウさんともちゃんと仲良くなっていない。新作料理も桜花に食べてもらってないし、命ちゃんとの買い物に行く約束もまだなのだ。何よりも、まだ、2人にすら恩返しをしていない。成長しなければ、きっと後悔する。

 

体にある全魔力を体全体に注ぎ込む。

 

パリンっと魔法陣が割れ、同じ体勢のまま千草は落ちる。

 

「ギャァァァァァァァ!!!!」

 

鋭い雄叫びともにイラついたドラゴンが千草を食い殺そうと、口を、頭を、首を、千草に向けて行く。

 

落ち続ける彼女は目を開け、狙いを定め、呟いた。

 

「友愛抜刀」

 

瞬間、辺りの空気が切り裂かれ、空気が風邪となり、強風となり、豪風となる。

 

風邪止む頃に納刀するチャキンという金属音とともに、ドゴンと重みがするインファイトドラゴンの首が、地に着き、胴体と分断され、霧になっていった。

 

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