狼と変態な研究者 「休止中」   作:彗星さん

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第1話 出会い 下

小川を隔てた先の森から音が聞こえる

それはガサガサとこちらへ向かって来る

 

だんだんと音が大きくなる

「結構多いわね…、私を追って来たのかしら」

理耶はざっ、と狼の前に立った

「あなたは下がっておいて、私がやる…」

言いながら理耶は白衣のポケット中に手を入れ、固まった

「あれ…?」

もう一度手を入れる

「無い…」

理耶は頭を抱えた

「あの折り畳み式杖、結構高かったのに…」

「……」

狼はそんな彼女を尻目に、反対側の森をじっと見つめていた

"それ"を"LF"と呼ぶ…。

狼は腰にいつも吊ってある赤い布に包まれた"何か"を手に取った

 

森の奥から赤い光が10つほど見える

「五体……」

理耶は呟いた

「…いつまでも落ち込んでちゃダメね、とりあえず伝導できるもの探さないと…

って、あなたそれは…?」

「……」

狼は無言で赤い布を取った

その"何か"とは……

 

 

「ナイフ?」

赤い布から出てきたのは、赤く染まったナイフ

よく見ると柄の部分に何か字が入っているが

"赤"が盛り上がっていて読み取れない

「赤というより…この色は」

「少し、黙っていて下さい」

狼にキッ、と睨まれ思わず口を閉じる

この子…さっきと様子が違う…?

と理耶が思った時、

ついに音の原因が姿を表した

 

ー数は5、何故か一列で出てきた

どれも、もはや人間とはかけ離れた姿をしている

間違いない、"それ"こと"LF"だ

 

「ヴゥゥゥゥゥ …………」

LFの唸り声が聞こえて来る

5体目が森から完全に出てきたか否や

狼は、動いた

 

狼はナイフを逆手に持ち、小川を飛び越え、1番前のLFの懐へ潜る

そして、ナイフをLFの首目掛け右から振り落とす

血が、舞った

「………?」

LFは刺された事も気付かないようにそのまま静止した

狼は刺さったナイフを軸に後ろにいたLFの顔に飛び蹴りを喰らわせる

その反動で、狼はナイフを抜いた

血が、踊る

抜いたナイフをそのまま次のLFの首へ突き立てる…

同じことが二度三度と続く

5体目のLFにナイフを突き立てた途端、

それまで静止していたLF達が血を吹き出しながら倒れた

 

「………え?」

LFが出てきた次の瞬間、理耶の目に映った光景は

噴水のように血を吹き出しながら倒れるLF達

そして、5体目のLFの後ろで俯いている"彼"の姿だった

「あの子は…いったい…?」

一瞬で5体も倒したのだろうか…?

それとも時間操作の呪文を一瞬で唱えた…?

どちらにしろもはや人間ができることではない

「……」

思わず考え込む

だが、バシャバシャという水の音で思考が遮られた

見れば川上から近づいて来るLFの姿があった

そのLFは狼の方へ近づいているようだ

 

「まだいるわよーーー!」

と狼に呼びかけるが俯いたまま反応がない

理耶は急いで周囲を見渡す

「……伝導力が低いけど、まぁこれでいいわ……」

手に取ったのは1.5mほどの木の枝

理耶はその木の枝を川に突き刺し、言った

「A.L.F.Aを起動」

すると、理耶の体全体が蒼く発光し始めた

「ランク4、詠唱準備」

更に蒼く光る

理耶は木の枝の上に手を乗せる

「地を循環せし水よ、その生命を刃へと変え、-貫け!」

川が、畝る

竜のように浮き上がった水の先は鋭く尖っている

「ランク4マジック、スプラッシュ・ドラゴン・スピア!」

頭を槍と化した水竜はLFへ突進する

そして、貫いた

 

ゴオオオという水の音ではっ、と我に返る

見たのは自分のすぐ横を通り抜けた水流だった

「魔法…………?」

……魔法を゛使う゛という事のリスク、彼女は死にたいのだろうか?

気づけば理耶がすぐ隣にいた

「大丈夫?」

「あなたがLFになっても、慈悲はかけませんよ」

「え?」

 

理耶は一瞬戸惑ったがすぐに理由に気付く

「あぁ……魔法ね、大丈夫よ、抗体起動したし」

「抗体?」

「えぇ、ALF魔法を使ってLFになるのを防ぐための機械抗体」

「そんなものが……」

知らぬ間に時代は進んでいたらしい。

「というか、一瞬で5体も……どうやったの?」

「それは…………」

狼は少し考え、

「よくわからないんです」

「よく……わからな……い?」

「このナイフで゛それ゛……いや、LFを斬ろうとすると

意識が無くなるんです、体が勝手に動くみたいで」

狼はナイフを見せる

そのナイフは血が今も垂れている

「体が……勝手に……ねぇ」

体が勝手に動く、すなわち本能という事なのだろうか

 

-本人もわからないと言っているし、これ以上追求するのは止めておこうかしらね。

 

「……私、とりあえずヒラカタ村へ帰ろうと思うのだけれど、そういえばあなたの名前は?」

「……僕は上崎 狼と言います」

「ふぅん……狼、ねぇ……。

上崎くん、村に帰るの案内してくれない?」

「はぁ……」

案内しろときたか、

まぁちょうど村へ用事があった事だし別に嫌というわけではないが……

だが、もしも…………

「…………」

-いや、この人なら、大丈夫だろう。

「いいですよ。後、上崎で大丈夫です」

 

 

 

 

 

-こうして2人の小さな旅が始まった -




こんにちは
突然ですが、本編に入らなかったキャラ紹介を

上崎 狼
♂15歳
身長 155cm
誕生日 4月30日
備考 ナイフを握ると性格が豹変する

神坂 理耶
♀23歳
身長 178cm
誕生日 10月18日
備考 重度のショタコン、研究者の中では1位2位を争う魔法の達人



投稿は一週間に1回出来ればいいな、、、
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