狼と変態な研究者 「休止中」   作:彗星さん

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第1.5話 研究所

 

「...第四ゲートを突破!」

「LFが到達するまで時間がありません!」

次々に悲鳴めいた報告が上がる

 

ーーここは日本第一特殊研究所

通称"本部"

LFとALFの日本一、いや世界一の研究所だ

 

そんな所が今、LFの大群の襲撃にあっている

この所長室兼緊急対策室に到達するのも時間の問題だろう

制御室も落とされてしまっている、

LF達の勢いが全く衰えていない所を見るに

警備員や防衛に当たらせた魔導師達は既に敗れたのだろう…

 

ーだが、諦めてはいけない

ここには人類の希望となる"箱"がある

この"箱"だけは何とでも死守しなければいけない

例えこの身がーー

 

男はある結論にたどり着く

 

「私が行こう」

慌ただしく、切り詰めた空気の中

はっきりと、重い声が流れる

一瞬の沈黙の後、

「…所長…?いったい何を」

「私が行こう、と言ったんだ」

男は金の装飾が施されたきらびやかな剣を片手に立ち上がった

そのまま、沈黙の空気の中をスタスタと歩き

出口へ向かおうとする

「所長!ちょっと待って下さい、あなたが居なくなったら誰が指示を」

「…逃げろ」

「え?」

「逃げろ、箱を持ってここから逃げろ

私が時間を稼ぐ」

部下達は驚いた顔でこちらを見る

…その驚きは、私が逃げろと言った事に対してか

それとも私自身の登場に対してか

 

「そんな…、そんな所長を見捨てて逃げる事なんて出来ません!

 それに、今第五ゲート前で三次魔導師隊を待機中ですし…」

「…今すぐ撤収させろ、

 あの軍勢には三次のような単発魔法のエキスパートの集まりはほぼ無勢に等しい」

「ですが…」

「…お前は更に犠牲を増やすつもりか?

 今は、"箱"を守る事だけを考えろ

 三次以下五隊は逃亡の際に残しておけ

…もう時間がない、早く準備しろ」

男は勝手に集まった部下達を一瞥した

「…私は必ず帰る

 人間として、かはわからないが」

「所長…」

分厚いドアを開け行く男を

誰も止めなかった

 

 

所々にある隔離シャッターを解除してはロックし

解除してはロックしを繰り返し、

ついに第5ゲートのある広場へと出た

 

「…………」

黒いコートに身を隠した集団がこちらに向かって来た

 

そして、すれ違う

 

「…………」

どちらも無言だった

 

- それでいい、逃げろ。

男はそう思う

ー 元を辿れば自分の責任だ

これ以上犠牲を増やすわけには -

 

ガンッバキッとゲートの方から轟音がする

と思ったのもつかの間

ゲートが盛大に音を出しながら倒れた

「「「ヴゥゥゥゥアアアアアア!」」」

そこから聞こえるのは化物達の咆哮

 

- いかない!

男は剣を前につき出す

「A.L.F.Aを起動!」

直後、体が蒼く眩い光に包まれる

「ヴァァァァ……!」

それに気付いたLFが一斉に向かって来た

 

男は剣を鞘から抜き、唱える

「オミット·アリア!ランク18、アース·クエイク!」

そして、銀色に光る刀身を地面に突き刺した

そこに現れたのは、亀裂

亀裂はLFの方へ伸びて行き

そのままLFの足元を通りすぎた所で ー

 

ー 大地が、割れた

 

突如、姿を現した巨大な"口"は上にいたLF達をまるごと飲み込んだ

「ギィェェェェェ…………」

LFの悲鳴が聞こえた

男は剣を地面から引き抜いた

その瞬間、開いた地面が元に戻る

LFの叫びが断末魔となり、消えた

 

これで半分ほど数が減った

「一気に…決める!」

男はまだ蒼く光っている

さっきの出来事でさすがに敵の存在に気付いたLF達の大群を見据え、

唱えた

「オミット·アリア!ランク20、エクス·カリ…」

だが、男は今から使おうとする"技"の弱点を知らなかった

構えの都合上、正面を見据え集中しなければいけないこの"技"は

ー 空中からの攻撃に弱かった

 

頭上に飛ぶ2つの影に気付き、

詠唱を中断し体制を整えようとするがもう遅い

急降下

2つの影は突進して来る

 

「はぁっ!」

1つ目の影の頭と胴体を切り離す

"それら"は勢い余って地面に叩きつけられた

だが、2つ目の影に反応仕切れず ー

左腕に

噛み付かれた

 

「がぁっ!?」

思わず仰け反るが、踏ん張る

そして、男は一瞬の判断で

「せぁっっっ!!」

左腕を肩から、斬った

そして、血も流れぬ内に影の頭を貫いた

 

赤い鮮血。

左腕をくわえて倒れる"それ"と共に男は肩を抑え踞る

「ぐぅ…!…ラン…ク9、ゼク…ティス·ヒール!」

肩が白い光に包まれる

光が収まった頃には血も止まり、傷も塞がっていた

男は別の強い不快感を感じたが、すぐ立ち上がった

そして、"それ"を見る

案の定"それ"はLFだった

肩甲骨の辺りから皮に包まれた翼のようなモノが生えている

「突然変異…?」

つい疑問が出てくるが直ぐに抑える

先に、あいつらだ。

男の見る先にはLFの大群がいる

さっきと同じ片手での構えを取ろうとして

頭にあるアイディアが浮かんだ

 

男はLFから左腕を抜き取り、

左腕を持ってさっきの構えを取る

ー 人体の一部という事はALFが豊富なはず

 A.L.F.Aもきれている、これなら…!

「……オミット·アリア、ランク23、フォース·エクスッ…」

右腕に力を込める

「…カリバー!!!」

左腕が瞬時にして姿を変える

現れたのは、長さ10mはあろうかという淡い、炎のような剣

「はぁっ!」

男はそれを左へと勢い良く1振り

 

刹那、男の前方3キロ内の全てが

斬られた

体も壁も機械も時も ー

 

全てが斬られ止まった世界を前に男は1人佇む

彼の左腕は光と共に消えた

「みんな…理耶…必ず…帰る…」

血に染まった白衣を翻し

彼は進む

 

ー 彼の片眼は紅く染まっていた ー

 




こんにちは
本文は…まぁあれです
この先入れられる所が少なそうだったので
ぶちこみました()

まだ不定期ですが
そのうち毎週更新とか決めたいなと思ってます()
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