遊戯王なカルデア 〜シャトー外伝〜   作:スラッシュ

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唐突に始まった募集企画、今回で最後です。

十矢の友達が登場。その対戦相手はあのゲーマークラスのサーヴァント……果たして彼はガチを乗り越える事が出来るのか……ってまたガチか!?


ガッチャ! 楽しいガチデュエルだったぜ! 【募集企画】

  俺、櫻井(サクライ)遊大(ユウタ)には十矢と言う友達がいる。

 

 今はクラスは違うけど俺と同じ位デュエルが好きで放課後カードショップで良く対戦する中だ。

 

 たまに面白いデッキを持ってくる事もあるけど、大体レシピを見た瞬間、なにこれぇ? って言いたくなるレベルで未完成だったり、調整の出来ていない物が多く、俺は良く試運転に付き合わされていた。

 

 しかし、最近になってからデッキの完成度が高くなった。

 どうしてだ、と聞いてみると夢の中でデュエルしているらしい。

 

 非ィ科学的だぁ! と否定してみるが、どうも本気でそう思っている様だ。

 

 ヤンデレ・シャトーと呼ばれるそれを試しにネットで調べてみたが、同じ名前の小説と「嘘乙」等の否定レスばかりの50件程度で終わっている都市伝説掲示板くらいしかなかった。

 

「で、その例の夢の世界に入る方法って?」

「それがさっぱり分からない。【シグナル・ウォリアー】で攻撃」

 

 役に立たないな。あとその攻撃は駄目だ。

 

「【オネスティネオス】を捨てて、攻撃力をアップ!」

「【ラッシュ・ウォリアー】と【リミッター解除】を手札から、捨ててしまったあああ!」

「それは捨ててない! 墓地に送ってんの!」

 

 とんでもないごり押しに俺は敗北した。

 今の奴の手札みたいに都合の良い悪夢があったら、是非見てみたいなとその時の俺は本当に思っていた。

 

「――だからジャックちゃんとデュエルする為にこのデッキの完成度を上げたいんだけど」

「お前……やっぱり、その趣味だけは合わないなぁ。年上が一番だろ? 俺はアーチャー・インフェルノが良いなぁ」

「えー、人妻だぞ?」

 

「だから、そう言う属性じゃなくてあのお淑やかなで落ち着ている感じが良いだって」

「……この話はやめておこう。俺達、この前はこの話で盛り上がり過ぎて、帰りが遅くなったからな」

 

「……そうだな」

 

 カードショップから出て、暫く歩いてから十矢と別れた。

 

「さて、買い物でもして――」

「――遊太さん!」

 

 と思ったら、背後から小さな誰かに抱き着かれた。周囲の目が痛いのでやめてくれと言ったんだけど……

 

「ちょっと、離れてくれって」

「こんな時間に買い食いですか!?」

 

 俺より一回り位小さい隣の家の中学生。

 

「違う違う、ちょっと買い物をしようとしてるだけだ」

「じゃあ、私達も一緒に行くわ」

 

 その彼女の友達。

 

 懐かれているのか舐められているかしらないが、この2人は何時も一緒に俺を振り回してくる。

 俺の年上好き、もしくは年下嫌いの原因かもしれない。

 

「ねぇ、帰りにあそこのアイス食べよう!」

「もう今月お金ないから駄目です」

「何をそんなに使うんですか?」

「なんでも良いだろう」

 

 俺の趣味については成るべく隠している。学校でバレるのは良いが、この2人は駄目だ。確実に面倒臭い事になる。

 

 ……きっと、この2人と出歩いているの十矢に見つかれば、暫くはガチデッキで先攻制圧や1ターンキルでしかデュエルしてくれないんだろうなぁ。

 

 

 

 その夜、俺は夢の中で目が覚めた。

 

「え、布団に、畳……?」

「マスター。目が覚めましたか」

 

 嘘だろ、と叫びそうになった。

 

「アーチャー・インフェルノ!?」

「は、はい。そうですよ?」

 

 どうやら、俺も噂のヤンデレ・シャトーに来れた様だ。

 しかも一番のお気に入りサーヴァントに出迎えられてしまっては、マスターとして冥利に尽きる。

 

「は、初めまして、俺は遊太って言います! えっと、その……!」

「ふふふ、何故改まって自己紹介なんてしているんですか? ええ、存じ上げています。私の大切なマスターですから」

 

 っくぅ……いやいや待て待て、これドッキリだな!? 俺の心臓が今直ぐにでも破裂してしまいそうな程に暴れているし、発作に殺す気だ!

 

「なので、マスターの好みも理解しております」

「お、俺の好み……!?」

 

 俺が期待に胸高鳴らせていると、彼女はこちらにある物を差し出して来た。

 

「……こ、これは……!」

「私と一戦、交えませんか?」

 

 気が付けば俺達は、互い腕にデュエルディスクを装着して外で向かえ合っていた。

 

「あ、因みに私が勝ったらマスターに望みを1つ叶えて抱きますが、構いませんか?」

「全然問題ないです!」

 

「それではいざ――」

 

『デュエル!』

 

 

ユウタのLP:8000

インフェルノのLP:8000

 

「くー! どんだけこの時を待っていたか! 言わせてもらう、俺のターン!」

「ふふふ、この私の贈り物、喜んで頂けた様で嬉しいです」

 

「よっし、先ずはこれだ!

 手札から【V(ヴィジョン)・HERO ヴァイロン】を通常召喚! こいつの効果で、デッキから【E(エレメンタル)・HERO シャドー・ミスト】を墓地に送る!」

 

【V・HERO ヴァイオン】

☆4 ATK1000 効果

 

 HEROデッキの初動と言えばこれだ。ソリッドビジョンで現れたスマートな映画泥棒みたいな戦士に俺のテンションは爆上がりだ。

 

 あ、映画泥棒じゃないですね! すいません! 眩しいからこっち睨まないで!

 

「っくう……目が……! 【シャドー・ミスト】の効果発動! デッキから【E・HERO リキッドマン】を手札に加え、更に【ヴァイオン】の効果を発動して、墓地の【シャドー・ミスト】を除外してデッキから【融合】として扱う【置換融合】を手札に加える!」

 

 此処で一気に最初のターンの牙城を作る!

 

「手札から魔法カード【フュージョン・デステニー】を発動!

 手札・デッキのモンスターを素材に【D(デステニー)—HERO】モンスターを融合召喚する! 但し、このカードを発動した後は、ターンが終わるまで闇属性の【HERO】しか特殊召喚出来ない!

 デッキの【D-HERO ディアボリックガイ】と【D-HERO ダイナマイトガイ】で融合! “悪魔の運命を背負いし英雄よ、宿命を打ち抜く英雄と一つとなりて血塗られた世界に君臨せよ! 融合召喚! カモン! 【D-HERO デッドリーガイ】!」

 

【D-HERO デッドリーガイ】

☆8 ATK2000 融合・効果

 

「墓地に存在する【D-HERO ディアボリックガイ】の効果を発動! 自身を除外してデッキより同名モンスターを特殊召喚出来る! カモン、アナザーワン!」

 

【D-HERO ディアボリックガイ】

☆6 DEF800 効果

 

「そして、“現れろ、未来を導くサーキット! アローヘッド確認、召喚条件は戦士族モンスター2体! 俺は【ヴァイオン】と【ディアボリックガイ】の2体を、リンクマーカーにセット! サーキットコンバイン!”

 リンク召喚、リンク2【X(エクストラ)-HERO クロスガイ】!」

 

【X-HERO クロスガイ】

Link-2 ATK1600 リンク・効果

 

「【クロスガイ】の効果発動! 墓地に存在する【D・HERO ディアボリックガイ】を特殊召喚! カモン、アナザーワン!」

 

【D-HERO ディアボリックガイ】

☆6 DEF800 効果

 

「“再び現れろ、未来を導くサーキット! 召喚条件は【HERO】モンスター2体以上! 【ディアボリックガイ】とリンク2【クロスガイ】を2体分として扱い、サーキットコンバイン!”

リンク召喚! 【X・HERO-ドレッドバスター】!」

 

【X・HERO ドレッドバスター】

Link-3 ATK2500 リンク・効果s

 

 現れた右手に巨大な武器を取り付けた紺の中に銀色のアーマーが輝くヒーロー。それと繋がる様に後ろに並ぶ、牙を持った恐ろしさと力強さを兼ね備えたマントの男。

 

「仕上げだ! 手札から速攻魔法【マスク・チェンジ】を発動! 【デッドリーガイ】を闇属性の【M(マスクド)・HERO ダークロウ】に変身させる!」

 

【M・HERO ダークロウ】

☆6 ATK2400 融合・効果

 

「【ドレッドバスター】の効果で、こいつとリンク先の【ダークロウ】の攻撃力は墓地の【HERO】の数×100ポイントアップする!」

 

【X-HERO ドレッドバスター】ATK2500→3100

【M-HERO ダークロウ】ATK2400→2800

 

 強い、早い、かっこいいの三拍子揃った最強ヒーローの登場である。

 取り敢えず2人纏めて1枚撮って良いですか? あ、写真NG……そうですか……

 

「……カードを1枚伏せて、ターン終了!」

「子供っぽいマスターが見れて嬉しいような、私に構ってくれなくて寂しいような……」

 

 何を言う! デュエル中は相手だけを見るのはデュエリストとして当たり前だ。

 まあ、それはそれとしてこの状況は楽しむけど。

 

「では、今度は私が参ります」

 

 俺の手札は3枚。

 

 十矢が言うには確か、サーヴァントは大体オリカを使ってくるらしいのでどんなカードが来るかさっぱり分からないが、【ダークロウ】には相手の墓地送りを除外して封じる効果と、ドロー以外で手札に加わった時に1枚除外する効果が備わっている。そう簡単には好き勝手出来ないだろう。

 

 

「私のターン、1枚引きます」

「スタンバイフェイズ! 先のターンに墓地に送られていた【ドローガイ】のモンスター効果発動! 墓地に存在するこのカードを特殊召喚し、もう一つの効果で互いに1枚ドロー!」

 

【D-HERO ドローガイ】

☆4 DEF800 効果

 

 恐らく、鬼の混血だからデュアルとか、もしくは融合デッキなんて可能性も――

 

「手札から【グローアップ・ブルーム】を通常召喚!

 

【グローアップ・ブルーム】

☆1 ATK0 効果

 

 え……? オリカじゃなくね?

 あ、いや待て妖怪って確かアンデットのカテゴリーだったし鬼要素の可能――

 

「手札を1枚捨てて【超融合】を発動します! 【ブルーム】とマスターの【ダークロウ】を融合させます! 来て下さい、【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】!」

 

【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】

☆8 ATK2800 融合・効果 

 

「待ってくれ、なんで普通に【スターヴ・ヴェノム】!?」

 

 あ、やべぇ! 【ダークロウ】がいなくなったから【ブルーム】が墓地に!

 

「墓地に送られた【グローアップ・ブルーム】を除外して効果発動! デッキからレベル5以上のアンデッド族モンスター、【黄金卿エルドリッチ】を手札に加えます!」

 

「ガチ!?」

 

 おい、十矢! 何処がオリカだ! この人妻普通のガチデッキ使ってる! まるで意味が分からんぞ!?

 

「例え遊戯であっても、マスターが私の望みを叶えて下さるなら全力で行かせて頂きますよ?」

 

 その姿勢は嫌いじゃないけど……さてはアーチャーじゃなくてゲーマークラスだな!

 

「永続魔法【呪われしエルドランド】を発動! ライフを800ポイント払って、デッキから【黄金卿】と名の付く【黄金卿のガーディアン】を手札に加えさせて頂きます!」

「駄目です!」

「頂きます!」

 

インフェルノのLP:8000→7200

 

 くそ、これがデュエルじゃなければ今すぐ令呪で止めてぇ……!

 

「フィールドの【ドレッドバスター】を対象に【エルドリッチ】の効果発動! フィールドの【エルドランド】を墓地に送り、更に【ドレッドバスター】は墓地に送られます!」

 

 どんどんカードが墓地に送られ、逆に俺の場は枯れている。これは非常に良くない。

 

「手札の【黄金卿のガーディアン】を墓地に送り、墓地の【エルドリッチ】の効果発動! このカードを手札に戻し、その後手札のアンデットモンスター【黄金卿エルドリッチ】を特殊召喚し、このターンの間攻撃力が1000ポイントアップし、効果で破壊されません!」

 

【黄金卿エルドリッチ】

☆10 ATK2500→3500 効果

 

「バトルです! 【スターヴ・ヴェノム】で【ドローガイ】を攻撃!」

 

 【スターヴ・ヴェノム】が伸ばした触手の様なツルに、【ドローガイ】はその体を何か所も同時に噛みつかれ、消滅した。

 

「続けて、【エルドリッチ】でダイレクトアタック!」

「ぐ、うぁぁぁ!?」

 

ユウタのLP:8000→4500

 

 その攻撃はリアルな衝撃を起こし、俺を吹き飛ばした。

 これがサイコデュエリストの力かっ……!?

 

「あっ……! っく!」

「だらしないですよマスター! ……っく……くくく、そんな顔をされたら鬼の血が騒いでしまうでは無いですか……!」

 

 先まで凛々しい顔だったのに、突然2本の角を生やしてこちらをあざ笑うかの様な笑みを浮かべている。

 それを見た俺の背中に悪寒が走った。

 

「私はカードを1枚伏せて、エンドフェイズに墓地に送った【白き宿命のエルドリクシル】の効果を発動! 墓地のこのカードを除外する事でデッキから【黄金郷のコンキスタドール】をセットします!

 更に【黄金郷のガーディアン】と【黄金郷のワッケーロ】もそれぞれの効果で【白き宿命のエルドリクシル】と【紅き血染めのエルドリクシル】の2枚を伏せて、手番を終わります!」

 

【黄金郷のエルドリッチ】ATK3500→2500

 

 手札は1枚残っていて、伏せられたカードは合計4枚。沢渡さん、大嵐っすよ! 状態ではあるが……

 

「ふふふ、まずは身動きを封じる為に手足を頂きましょうか?」

 

 ……ええい、ビビってたまるか!

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 そう都合よく制限カードの【羽根帚】なんて引けやしない。だが、此処から逆転するのが最高に楽しいデュエルだ。

 この5枚で、やってやるさ。

 

「手札を1枚捨てて装備魔法カード【D(ディファレント)D(ディメンション)R(リバイバル)】を発動! 除外されてる【E・HERO シャドーミスト】を――」

 

「させませんよ? 永続罠【黄金郷のコンキスタドール】を発動! このカードを通常モンスターとして特殊召喚し、【エルドリッチ】が場にいるのでフィールドの【D・D・R】を墓地に送ります! 装備魔法は墓地に送られた時点で効果が消えるので【シャドーミスト】は場に出ません」

 

【黄金郷のコンキスタドール】

☆5 DEF1800 通常

 

「っく! だがこれで妨害札は1つ消えた! 今墓地に捨てた【置換融合】の効果発動! 融合モンスター【M・HERO ダークロウ】をエクストラデッキに戻して、カードを1枚ドローする!」

 

 これで取り敢えず損失を抑えた。あわよくば2枚目の【マスク・チェンジ】で【ダークロウ】をもう一度出せればと考えたが、流石に無理があるか。

 

「【E・HERO リキッドマン】を通常召喚! その効果で、墓地より甦れ【V・HERO ヴァイオン】!」

 

【E・HERO リキッドマン】

☆4 ATK1400 効果

 

【V・HERO ヴァイオン】

☆4 DEF1200 効果

 

「【ヴァイオン】の効果発動! デッキから【E(イービル)-HERO シニスター・ネクロム】を墓地に送る! 【シニスター・ネクロム】を除外して効果発動! デッキから【E-HERO】を特殊召喚――」

 

「それもさせません。カウンター罠【永久に輝けし黄金郷】! アンデット族である【コンキスタドール】をリリースして、その効果を無効に破壊します!」

 

「だが、これでいける! 魔法発動【ネオス・フュージョン】! デッキの【E・HERO ネオス】と【究極宝玉神レインボードラゴン】を融合!

“宇宙より来たりしヒーローよ、虹の輝きを受けて世界を照らせ!”

 融合召喚、【レインボー・ネオス】!」

 

【レインボー・ネオス】

☆10 ATK4500 融合・効果

 

 虹色の光を放ち降臨した最強のネオス。こいつにはモンスター、魔法&罠、墓地のいずれかを消し飛ばす力がある。

 

「れ【レインボー・ネオス】!?」

「これで一気に終わらせてやる! 【レインボー・ネオス】の効果発動! フィールドのモンスター【リキッドマン】を墓地に送り、相手のモンスターを全てデッキに戻す!」

 

 これで厄介な【スターヴ・ヴェノム】と【エルドリッチ】は居なくなった!

 

「ダイレクトアタックだ! 行け、【レインボー・ネオス】!」

「させません! 【紅き血染めのエルドリクシル】を発動! デッキから【エルドリッチ】を特殊召喚!」

 

【黄金卿エルドリッチ】

☆10 DEF2800 効果

 

 そのカードは分かっていたけど、使わせないとどの道使われていた。

 

「なら攻撃を中止して……」

 

 墓地に送れば【白き宿命のエルドリクシル】を使われてしまう。

 そうなればインフェルノはエンドフェイズに【黄金郷】カード2枚をセットしてターンを迎える。【コンキスタドール】や【ガーディアン】を使われれば、次のターンに敗北もあり得る。

 

「……ターン終了だ」

「少々焦りましたが、エンドフェイズに【紅き血染め】の効果を除外して発動し、【黄金郷のコンキスタドール】をセット。更に【コンキスタドール】を除外してその効果で【黒き覚醒のエルドリクシル】をセット!」

 

 こちらの手札は2枚と伏せカード1枚、そしてあちらは伏せカードが3枚。

 

 

「私のターン、ドロー! ……っ!」

 

 ――っ、笑った?

 

「【エルドリッチ】を攻撃表示に変更し、【ヴァイオン】を攻撃!」

 

【ヴァイオン】を攻撃され、僅かな衝撃が俺を襲う。

 

「っく!? いきなり攻撃って事は――」

「メインフェイズ2終了、そして魔法カード【命削りの宝札】を発動! このターンの特殊召喚を封じ、エンドフェイズに手札を全て墓地に送り、発動後一切のダメージは与えられなくなる。

 ですが、手札が3枚になる様に引ける」

 

 いきなり手札が3枚になった。しかも、【エルドリッチ】デッキなら墓地に送られてもアドバンテージになる!

 

「カードを1枚伏せてターン終了。そして、エンドフェイズに手札の【紅き血染めのエルドリクシル】と2枚目の【エルドリッチ】を墓地に送り、【紅き血染め】を除外してデッキから【黄金郷のワッケーロ】を伏せます!」

 

 伏せカード5枚。【白き宿命】、【黒き覚醒】、【コンキスタドール】、【ワッケーロ】、そして正体不明のカード。

 

「ヤバいな……! 地雷だらけって訳か」

「どうしますか? 降参しますか? 勿論、そうなればマスターの肉体は全て、私の物になりますが……」

 

 鬼の血に飲まれているのか、まるで苦しむ俺を愛でるかの様な彼女を見て、痛みが心を苛んだ。

 

 ここが十矢の言っていた夢の中なら、此処に現れるサーヴァントは全てヤンデレになってしまっている筈だ。

 

 本来の彼女はあの鬼の血の自制心で抑え込んでいるのに、そのせいで鬼と化してる。つまり、あんな振る舞いを本当はしたくはない筈だ。

 痛みに震えて逃げる訳にはいかない。

 

 

「それだけは無いな! 俺のターン、ドロー!」

「スタンバイフェイズ、【ワッケーロ】を発動し、特殊召喚してマスターの【ネオス・フュージョン】を除外し、更に【コンキスタドール】を発動! 特殊召喚して【レインボー・ネオス】を墓地へ!」

 

【黄金郷のワッケーロ】

☆5 DEF1500 通常

 

【黄金郷のコンキスタドール】

☆5 DEF1800 通常

 

 やはり、【レインボー・ネオス】を墓地に送って来るか。

 【ネオス・フュージョン】は【E・HERO ネオス】を融合素材に指定するモンスターを破壊から守れるけど、先に【ワッケーロ】で除外されてしまえば対処の仕様がない。

 

「なら魔法カード【ミラクル・フュージョン】を発動! フィールドと墓地のモンスターで――」

「永続罠【虚無空間(ヴァニティー・スペース)】を発動! このカードが存在する限り、互いのプレイヤーはモンスターを特殊召喚出来ません!」

 

 しまった、【ミラクル・フュージョン】が不発にされた。

 

「だけど、【虚無空間】はコントローラーのデッキかフィールドから墓地にカードが送られれば破壊される効果がある」

 

 つまり何でもいいからインフェルノの場のカードを破壊すればあのカードも消え去る!

 

「手札から【E・HERO ブレイズマン】を召喚し、効果でデッキの【E・HERO ネオス】を墓地に送り、攻撃力と属性を同じにする!」

 

【E・HERO ブレイズマン】

☆4 ATK1200→2500 効果

 

だが、【ブレイズマン】を残してしまうと次のターン、復活した【エルドリッチ】の的になってしまう。

 なら此処は相打ちだ。

 

「【E・HERO ブレイズマン】で【エルドリッチ】を攻撃!」

 

「可愛い攻撃ですね。マスターの必死さが伝わってきます」

 

「っく、魔法カード【死者蘇生】! 墓地から【ネオス】を守備表示で特殊召喚してターン終了!」 

 

【E・HERO ネオス】

☆7 DEF2000 通常

 

 手札1枚。手札誘発もない。

 

 

「では、私のターン、引きましょう」

 

 引いたカードに対して、彼女の反応は無かった。もしかしたらこの状態では使えないカードを引いたか?

 

(【超融合】……使うには手札が足りませんが、このターンで決めてしまえば問題ありません)

 

「カードをセットし、墓地の【黄金卿エルドリッチ】の効果発動! セットされている魔法カード【超融合】を墓地に送り、【黄金郷エルドリッチ】を手札に戻し、特殊召喚! これで効果で破壊されず、攻撃力を1000ポイントアップさせる!」

 

【黄金卿エルドリッチ】

☆10 ATK2500→3500 効果

 

「そして、伏せていた【黒き覚醒のエルドリクシル】を発動! デッキから最後の【黄金卿エルドリッチ】を特殊召喚! 更に【白き宿命のエルドリクシル】の効果で墓地の【黄金卿エルドリッチ】を特殊召喚!」

 

【黄金卿エルドリッチ】×2

☆10 ATK2500 効果

 

「これで終わりです! 攻撃力2500の【黄金卿エルドリッチ】で【ネオス】を攻撃!」

 

 俺の場の唯一のモンスターが破壊される。

 

「攻撃力の上がった【エルドリッチ】で、止めです!」

 

 これで、俺の4500しかないライフは……0に……

 

 

 

「……何故、ライフが減っていないんですか!」

「俺は攻撃の瞬間、速攻魔法【ジェネレーション・ネスクト】を発動させていたのさ」

 

 俺のライフの代わりに、墓地に【ハネクリボー】が送られていた。

 

「こいつは、俺のライフが相手より少ない時に発動出来る魔法カード、その差の数値以下のモンスターである【ハネクリボー】を特殊召喚したのさ。

 但し、この効果で召喚したモンスターの効果は発動できないので、【ハネクリボー】のダメージを0にする効果は無い」

 

「……まだ足掻きますか。では最後の【エルドリッチ】でダイレクトアタック!」

「うあぁぁぁっ!」

 

 ユウタのLP:4500→2000

 

「……エンドフェイズ。墓地の【白き宿命】と【黒き覚醒】を除外して【黄金郷のワッケーロ】と【コンキスタドール】をセットしてターン終了です」

 

【黄金卿エルドリッチ】ATK3500→2500

 

 衝撃で吹き飛ばされた俺の頬から、少量の血が滲み出た。

 

「ふふふ、マスターのお顔、切れてしまいましたね……なんだが、良き香りが私の鼻をくすぐります」

 

 インフェルノの鬼の気配が高まってきている。

 

「ああ、何故だか……腹が減ってしかたありません」

 

 これで敗北したら心臓を握り潰されるんじゃないかとすら思わせている。

 そんな事、彼女にさせて堪るか!

 

 

「頼むぜ、俺のデッキ! 俺のターン、ドロー!」

 

 今セットされた【ワッケーロ】と【コンキスタドール】は一見脅威だが、インフェルノの場は3体の【エルドリッチ】と守備表示の【コンキスタドール】と【ワッケーロ】で全部埋まっている。

 

 発動させなければ問題ない!

 

「今引いたこのカードに賭ける! 魔法カード【HEROの遺産】! 墓地の【HERO】モンスターを素材にしている融合モンスター【デッドリーガイ】と【レインボー・ネオス】の2体をエクストラデッキに戻して、カードを3枚ドローする!」

 

 同時に引いた3枚に、俺はとてつもない熱を感じた。

 っ――なんだ、このカード!?

 

「……おいおい、まさかインフェルノが使わないから俺が使うってのか?」

「? 何を言っているんですか?」

 

 一度だって見た事の無いカードに、俺は驚きを隠せない。

 だけど、俺の知っている主人公達なら、此処は――

 

「――使うに決まってるだろ!

 魔法カード【鬼抑の聖杯】!」

 

「な、【聖杯】のカード!?」

 

「こいつは除外されているカードを3種類まで対象にし、対象カードをデッキに戻す事で同じ種類のカードをデッキから手札に加え、更にこの効果で戻さなかったカードが1種類だけならその種類のカードを相手はこのターン発動できない!

 戻したカードに悪魔族、もしくはアンデット族モンスターが含まれていないなら俺はこのターン、炎属性以外のモンスターは特殊召喚出来ず、攻撃も出来ない!」

 

 このカードから、インフェルノがどんなデッキを本当は使っていたのかが伝わってくる。恐らく【不知火】の様なデッキだったんだろう。

 

 少なくとも、今の鬼の様に暴力的にこちらを押しつぶすようなデッキではない。

 

「俺が戻すのは除外されている悪魔族モンスターカード【E-HERO シニスター・ネクロム】と魔法カード【置換融合】!

 これによりモンスターカード【E・HERO オネスティ・ネオス】と魔法カード【賢者の石—サバティエル】を手札に加える!

 更に、罠カードを戻さなかったからこのターン、インフェルノは罠を使えない!」

 

 空中に輝く【聖杯】より2枚のカードが齎され、その輝きはインフェルノの伏せカードに降り注ぎ、石化した。

 

「【賢者の石—サバティエル】!? そのカードは――!?」

 

「【賢者の石—サバティエル】は、墓地に【ハネクリボー】がいる時、ライフを半分払って発動出来る!

 【融合】魔法カードか【フュージョン】魔法カードを手札に加える!

俺は【融合】を手札に加える!」

 

ユウタのLP:2000→1000

 

「2枚目の魔法カード【賢者の石—サバティエル】を発動! 同じくライフを払い、【決闘融合—バトル・フュージョン】を手札に加える!」

 

「な、まさか!?」

 

ユウタのLP:1000→500

 

「そして3度目の【賢者の石―サバティエル】を発動! ライフを払い、【融合徴兵】を手札に加える!」

 

「3枚の【賢者の石】!? そんな奇跡が――!?」

 

ユウタのLP;500→250

 

 何が起こるか分からない、それがデュエルだ!

 

「【融合徴兵】を発動! 【レインボー・ネオス】の融合素材に指定されいる【E・HERO ネオス】を手札に加える!

【融合】を発動! 俺は【E・HERO ネオス】と手札の【E・HERO リキッドマン】を融合!

“宇宙より来たりしヒーローよ、形無き水流の仲間と共に勇気の心で世界を救え!” 融合召喚、【E・HERO ブレイブ・ネオス】!」

 

【E・HERO ブレイブ・ネオス】

☆7 ATK2500 融合・効果

 

「【ブレイブ・ネオス】の攻撃力は墓地の【E・HERO】1体につき100ポイントアップする! その数、4体!」

 

【E・HERO ブレイブ・ネオス】ATK2500→2900

 

「行くぞ! 【オネスティ・ネオス】の効果発動! 手札から捨てて【ブレイブ・ネオス】の攻撃力を2500ポイントアップ!」

 

【E・HERO ブレイブ・ネオス】ATK2900→5400

 

「三度望みを叶えた【賢者の石—サバティエル】の真の効果を発動! 墓地の【サバティエル】3枚を除外して、【ブレイブ・ネオス】の攻撃力を、フィールドで最も攻撃力が高い【ブレイブ・ネオス】の攻撃力分、5400ポイントアップさせる!」

 

【E・HERO ブレイブ・ネオス】ATK5400→10800

 

「攻撃力、10800!?」

 

「これで止めだ! インフェルノ、元の貴方に戻ってくれ!

【E・HERO ブレイブ・ネオス】で【黄金卿エルドリッチ】を攻撃!」

 

 俺は駄目押しに最後の1枚を発動させた。

 

「速攻魔法【決闘融合―バトル・フュージョン】! 【ブレイブ・ネオス】の攻撃力を【エルドリッチ】の攻撃力分アップさせる!」

 

【E・HERO ブレイブ・ネオス】ATK10800→13300

 

「“ラス・オブ・ネオス・ブレイブ”!!」

 

インフェルノのLP:7200→0

 

 

 

 デュエルが終わり、ソリッド・ヴィジョンが消える中、俺は慌てて倒れたインフェルノの元に向かった。

 

「おい、大丈夫か!?」

「う、っう……マスター……!」

 

「しっかりしろ!」

 

 突然、彼女の体から光の粒子が溢れ出ていた。

 

「私、鬼となってしまっても……マスターと、デュエル出来て……幸せ、でした……」

 

「おい、待ってくれ!? なんで、ま、まさかこれって闇の――」

「――さようなら」

 

「インフェルノ、待て――待ってくれぇぇぇぇ!!」

 

 

 ……

 …………

 ………………え? あれ?

 

 光、収まったけど?

 

「……」

「あ、あの……マスター? まだ、続けますか?」

 

「え、インフェルノ、生きてる?」

「……えーっと、何か間違えましたか? マスターがこんな場面が好きだと聴いて居たので……」

 

 あれ、つまり?

 

「……え、演技?」

「はい……やり過ぎたでしょうか?」

 

 力が抜けて、次にその照れた顔を愛しいと思ってしまった。

 顔を合わせる事も出来そうにないので、思わず両手で顔を隠した。

 

「……」

 

 チラリと見るとあちらも恥ずかしそうに視線を逸らしていた。

 

「いや……好き過ぎる」

「そ、そうですか! 良かったぁ!」

 

 あ、これ俺の漏らした言葉の意味が理解できない年上お姉さんじゃん。もうストライク過ぎるから勘弁して。

 

「はぁ、ですが安心しました! 普段のマスターはその、随分小さい子に囲まれていましたので……」

「い、いやいや! 俺はどちらかと言うとインフェルノさんが好きですよ!」

 

 セカンド・チャンス!

 

「そ、そうですか?」

「はい、だからその、俺と――」

 

 

 

「――付き合って……」

 

 ……目覚めてしまった。

 

「…………」

 

 顔の横にはスマホがあった。FGOが付いていたが、メッセージが送られてきたので確認する。

 

『今日もデュエルするか?』

 

「……する……あ、いや待てよ。

 【エルドリッチ】デッキ、持ってるか、っと……」

 

 俺はインフェルノと再びデュエル出来る日を夢見て、“対エルドリッチ”と“熊を伏せる修行”を決行するのだった。

 

 

 

 




今回は主人公のデッキが余り細かく指定されませんでしたので現実では事故必須なニ郎系【HERO】。DVMで展開してEがパワーカードを出して暴れる感じです。

インフェルノの【エルドリッチ】は参考にしたデッキに【永久に輝けし黄金郷】が1枚のみの採用でしたのでこうなりましたが、正直都合よすぎる聖杯カードがなければ……と言った状況でした。


こんな感じで、外伝の投稿は一旦ストップ。思い出した時にまた書きます。
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