流石に、バトルロワイヤルアクションデュエルは無謀だったか……
べ、別にヴァンガードGストライドゲート編が面白くてヴァンガード熱が再発した訳じゃ無いんだからねっ!?
「……うーん……妙な夢だったなー」
デュエルする夢を見た俺は、あの後夕食を食べて風呂に入ってベッドに入り込んだ。
「でも夢の中でもまたデュエルしたいなー……」
そんな都合の良い事を言いつつ、俺は再び夢へと落ちていった。
「マ――ター! 起きてく――さい!」
「おーい、起きてマスター。全く、これはマシュの役目じゃなかったの?」
意識がハッキリしだす。
「何処、此処……」
「あ、起きましたね!」
「寝過ぎだよ、マスター」
俺の前に、2人の女性が立っている。
「【幽気ウサギ】が俺の目の前に……」
「まだ寝惚けてるよー」
「困りましたわ……コレではデュエルができな――」
「デュエルだな! デュエルなんだな!」
起きて立ち上がった。デッキを入れて、ディスクを構えた。此処まで約2秒の出来事である。
そこで漸く誰か分かった。女海賊のサーヴァント、アン・ポニーとメアリー・リードだ。
背の高い、巨乳で赤い海賊服姿のアンと、小さく黒い服装に白い髪で顔に大きな傷があるメアリー。
名前の響きで何時も逆だと思ってしまう。
「……最初からこうすればよかったね」
「マスター、今回は特殊なルールです。少し説明してもよろしいですか?」
「ああ! 構わない!」
「今回は3人でのバトルロワイヤルルール。デュエルは、アクションデュエルです」
「アクションデュエル! えっとー、口上は……」
「マスター、君に勝てば何でもお願い聞いてもらえるんだよね?」
「おう! 構わない」
「その勢いは良いけど、それじゃあバトルロワイヤルにならないから、このデュエルの勝者の願いを聞くって事にしてよ」
「別に良いけど……」
「それと、アクションフィールドには各プレイヤーのターンにアクションカウンターが3つ配られる様になっています」
「身体能力の差を無くすためだね。アクションマジックカードはこのカウンターを消費して発動できる様になってるよ。効果が強力だと、カウンターを3つ使わないと発動できないから気を付けて」
「分かった! じゃあ早速……!」
俺は2人から離れ、アンとメアリーも左右に別れる。
「アクションフィールド、【悪夢の海賊船】!」
アンの宣言で俺達のいた広いだけの部屋は、海に浮かぶ幽霊船に早変わりした。
俺はグラつく幽霊船の甲板にいる様だ。
「すっご……中々の迫力……」
感心しているが、よく考えてみれば船は海賊のホームグラウンドだ。
断然あちらに有利じゃないかと思いつつ、彼女達の方を見れば、それぞれの船に乗っており、3つの幽霊船は船先で繋がっている。
「さあマスター、準備は良い?」
「おう!」
お決まりのあの口上が始まった。
「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が……!」
「モンスターと地を蹴り、宙を舞い、フィールド内を駆け巡る!」
「見よ! これぞデュエルの最強進化系! アクション……!」
「「「デュエル!!!」」」
ジュウヤのLP:8000
メアリーのLP:8000
アンのLP:8000
フィールドに空中からアクションカードがバラ撒かれる。
と言ってもこれは演出であり、恐らく船の中にもカードが現れる。
「さあ行こうか! 先ずは俺から!」
バトルロワイヤルでは最初のターンは誰も攻撃できない。相手の妨害の少ない1ターン目で準備をして、次のターンで攻撃に出る。
「俺のターン! スタンバイ、メインフェイズ! せっかくの海賊船だが、俺は海に出る! 【ダイナミスト・チャージ】を発動! 発動時の効果で【ダイナミスト・プレシオス】を手札に加えて、そのまま召喚!」
【ダイナミスト・プレシオス】
☆4 ATK1700 ペンデュラム・効果
俺がディスクに置いた【プレシオス】は海に現れて、俺を呼ぶように吠えた。
「よっと」
海賊船から跳躍し、機械竜の背中へ。
(さっすがデュエリスト、なんともないぜ!)
「スケール3の【ダイナミスト・ステゴザウラー】とスケール6の【ダイナミスト・ブラキオン】をペンデュラムスケールにセッティングして、カードを1枚伏せて、ターンエンド」
結構良いスタートを切ったんじゃないか?
【プレシオス】の効果で相手のモンスターの攻撃力と守備力は400ポイントダウンしてる。
手札が1枚だけなのは不味いが補給の手段も用意している。
問題はアクションカードだが、海に幾つか浮いている。
「よし、見つけた!」
「負けないよマスター、アン! 僕のターン、ドロー!」
「ふふ、どうかしらね?」
「全力で来い!」
ディスクには会話機能もある。これで離れていても相手のプレイを聞き逃さない。
俺の次はメアリーのターンだ。
「メインフェイズ、僕は【カットラスの下っ端】を召喚!」
【カットラスの下っ端】
☆4 ATK1700→1300 効果
「【下っ端】の効果発動! デッキから同名カードを墓地に送る事で更に【下っ端】をデッキから特殊召喚!」
【カットラスの下っ端】
☆4 ATK1700→1300 効果
「カードを2枚伏せて、ターンエンド! さあ、野郎ども! 行ってこい!」
「「アイアイサー!」」
メアリーの命令で【下っ端】共は船の中へと消えた。恐らく、狙いはアクションカード。
「エンドフェイズに永続トラップ発動! 【連成する振動】! 効果は使わない!」
此処で発動した理由は、2人に俺のカードを破壊させない為だ。分かっているカードより、裏側のカードの方が危険。処理順位はそちらに移るだろう。
スタンバイフェイズに発動しなかったのは、単に拾ったアクションカードの効果を読んでいたからだ。
「手札を増やすカード……抜け目ないですね、マスター。私のターン! ドロー!」
さあ、どう動く気だ、アン!
「私は手札から、【マスケット銃の下っ端】を召喚!」
【マスケット銃の下っ端】
☆4 ATK1500→1100 効果
「……間に合った!」
メアリーから、そんな声が聞こえた。
(間に合った? 一体何に……)
「【マスケット銃の下っ端】の効果発動! デッキから【マスケット銃の下っ端】を墓地に送って、同名カードをデッキから特殊召喚します!」
「【カットラスの下っ端】と同じ効果?」
【マスケット銃の下っ端】
☆4 ATK1500→1100 効果
「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
「ならエンドフェイズに【連成する振動】の効果発動! ペンデュラムゾーンの【ブラキオン】を破壊して、1枚ドロー! 更に【ダイナミスト・チャージ】の効果で【ブラキオン】は俺の手札に――」
「――今です! 撃ちなさい!」
「「了解しやした!」」
「何!? っぐ!?」
【マスケット銃の下っ端】2体が同時に発泡した。1発が俺に命中し、危うく【プレシオス】から落ちそうになる。
ジュウヤのLP:8000→7400
更に、手札にあった【ブラキオン】は墓地に送られている。
「あ、【ブラキオン】が!?」
「【マスケット銃の下っ端】が2体以上フィールドに存在する時にドロー以外でカードが相手の手札に加わった場合、1ターンに1度だけそのカードを墓地に送り、600ポイントのダメージを与えます。この効果は名称指定の1ターンに1度の制限が着いているわ」
アンの説明の間に、【銃の下っ端】共は俺を笑っている。
「っく、メアリーが間に合ったって言っていたのはこの事か……アクションカードをこの【下っ端】が揃う前に拾えたんだな」
【カットラスの下っ端】ATK1300→1400
【マスケット銃の下っ端】ATK1100→1200
同じレベルが2体いるのにエクシーズ召喚しなかったのは、この効果があったからか。
(となれば当然、メアリーの【下っ端】も似た効果を……)
「さあ、マスターのターンですわよ?」
俺の手札はこのターンのドローでアクションマジックを含めて4枚。フィールドではなく手札から墓地に送られた【ブラキオン】はエクストラデッキに行かず墓地に。
再利用は難しい。
「俺のターン、ドロー!」
対してメアリーは手札が4枚、伏せカードが2枚。アンは5枚の手札と伏せカードが1枚。
(【ダイナミスト・チャージ】の手札に戻す効果は強制効果……ならさっさと【マスケット銃の下っ端】を倒さないと不味いな……)
「アクションマジック、【スケルトンの砲撃】! 自分のターン、相手フィールドのモンスターを1体破壊し、そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを、全てのプレイヤーに与える! 【マスケット銃の下っ端】を1体破壊する!」
アクションカウンター消費:2
俺の前に大砲で狙いを構えたスケルトンが現れ、狙いを定める。
「アクションマジック、【ミラー・バリア】! 効果によるモンスターの破壊を無効にします!」
アクションカウンター消費:1
突然鏡が【下っ端】を囲むが、すぐに砕ける。
「っ!?」
「アクションマジック、【ノーアクション】! アンの【ミラー・バリア】は無効だよ!」
「ナイス!」
アクションカウンター消費:2
放たれた大砲の玉は【下っ端】に命中し破壊するが大砲が爆発し、その衝撃でアンとメアリーに玉が飛んでいく。
ジュウヤのLP:7400→6800
メアリーのLP:8000→7400
アンのLP:8000→7400
「これで行ける! 俺はスケール6の【ダイナミスト・プレシオス】をペンデュラムスケールにセッティング! 【連成する振動】の効果で【ステゴザウラー】を破壊して、1枚ドロー! 【チャージ】の効果で手札に! もう一度【ステゴザウラー】をセッティング!」
手札は損なく増える。更に水に浮かぶカードに手を伸ばす。
(おっと、アクションマジックゲット! バトルフェイズを終了できる【大脱出】か)
「自分フィールドに【ダイナミスト】がいて、【ダイナミスト・ケラトプス】がいないなら、手札の【ダイナミスト・ケラトプス】は特殊召喚出来る!」
【ダイナミスト・ケラトプス】
☆5 ATK2100 ペンデュラム・効果
どういう原理かは知らないが、ケラトプスは海上に現れ走っている。
「更に手札から、フィールド魔法【ダイナミック・P】を永続魔法として発動!」
アクションデュエルでは、フィールド魔法は永続魔法扱いとなる。
魔法発動と同時に、俺のモンスター達は更にエンジンを唸らせる。
「させない! 【カットラスの下っ端】の効果! 1ターンに1度だけ、魔法カードの発動を無効にして、相手プレイヤーに800ポイントのダメージを与える!」
「ダメージを俺に集中させる気か!? っく!」
【下っ端】2体に魔法カードを破壊され、更にカットラスの一撃を入れられた。
ジュウヤのLP:6800→6000
「【ダイナミック・P】は攻撃力を上げるだけじゃなく、ダイナミストモンスターの戦闘時、カードの効果と発動を無効にする効果があるからね」
「流石に通せませんね」
(……どうする? 手札はアクションマジック1枚、相手のモンスターは弱体化しているけど……)
【カットラスの下っ端】ATK1400→1200
【マスケット銃の下っ端】ATK1200→1000
(伏せカードもアクションマジックもある。下手に攻撃しても、不利になる可能性が……)
『……こう……して』
「……ん?」
「どうしたのマスター? ターンエンド?」
どうやら迷い過ぎて空耳が聞こえてきたようだ。らしくない。
「……いや、バトルフェイズだ!」
「トラップ発動、【海賊の脱出経路】!」
トラップが発動して、【下っ端】はメアリーと一緒に逃げ出した。
「自分フィールドに同名モンスターが2体以上いる時、相手プレイヤーは攻撃出来ないよ。この発動に対して相手はチェーン発動は出来ないよ」
攻撃対象もプレイヤーも見失った【プレシオス】は悔しそうに吠えた。
「躱された……ターンエンド」
「僕のターン、ドロー!」
「姉御、お納め下さい」
ドローフェイズに【下っ端】がメアリーにアクションカードを渡す。先の逃走で見つけたようだ。ちゃっかりしてやがる。
これでメアリーの手札は5枚だ。アクションカウンターも補充される。
「まずは速攻魔法【サイクロン】! メアリーの伏せカードを破壊する」
「なら発動するだけです! トラップ発動、【威嚇する砲撃】! 相手はこのターン、攻撃宣言を行う度に800ポイントのダメージを受けます!」
【威嚇する砲撃】は現実にある【威嚇する咆哮】と違って、攻撃宣言を止めないが攻撃にデメリットを与える効果か。アクションマジックで攻撃を回避出来るし、こっちの方がいいかもしれない。
(フリーチェーンばかりだな……アクションマジックもそうだし)
「僕は墓地の【カットラスの下っ端】を対象に、マジックカード【大嵐の前準備】を発動。デッキから通常魔法を墓地に送って、対象モンスターを手札に加える」
メアリーはデッキから通常魔法、【シャッフル・リボーン】を墓地に送って【カットラスの下っ端】を手札に加えた。
「そして、【カットラスの下っ端】を通常召喚! 【カットラスの下っ端】が3体フィールドに揃った事で【カットラスの下っ端】の更なる効果発動! 相手の手札のカードを1枚墓地へ! アンの手札を墓地へ!」
「仕方ないですね……」
アンの手札からランダムに1枚、墓地に送られる。
「3体の【下っ端】でオーバレイ!」
「来るか、エクシーズ!」
「3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!
“嵐を撃ち抜く、銃撃の名手! 七つの海を夢で超えろ!” エクシーズ召喚! ランク4、【パイレーツ・オブ・ガンナー】!」
【パイレーツ・オブ・ガンナー】
★4 ATK2300→1800 エクシーズ・効果
現れたのは赤い装束に身を包み、黄金の装飾が施されたライフル銃を手に狙いを定める女海賊。
「メアリーが、【ガンナー】!?」
意外だ。メアリーが【カットラスの下っ端】で【ガンナー】を呼び出すなんて……
「行くよ! 【ガンナー】の効果! このターン中に自分のデッキか、相手の手札からカードが墓地に送られていた場合、発動できる! ORUを1つ使い、相手プレイヤーに1500ポイントのダメージ! 狙いはマスターだ!」
「マジで潰しに来てやがる!? うお!?」
ジュウヤのLP:6000→4500
【ガンナー】の効果を受けて、【プレシオス】の背中から落ちそうになるが、プレシオスは俺の背中に首を動かし、受け止めてくれた。
「さ、サンキュー」
だが、安心するのは早い。
あちらの攻撃力は【プレシオス】を上回っている。
「バトルだ! 僕は【パイレーツ・オブ・ガンナー】で【プレシオス】を攻撃!」
「この瞬間、【威嚇する砲撃】の効果でメアリーに800ポイントのダメージ!」
アンから放たれた砲撃がメアリーを襲い、先程の砲撃のダメージも手伝ってか、メアリーの幽霊船は沈没を始めた。
メアリーのLP:7400→6600
「よっと! このくらいじゃあ止められないよ!」
メアリーは最初に俺が乗っていた幽霊船に乗り込み、【ガンナー】もメアリーと同じ船に乗ったと同時に恐ろしい程に精密な射撃で、【プレシオス】を狙う。
「【ステゴザウラー】を代わりに破壊して、【プレシオス】の破壊を無効にする!」
「だけど、ダメージは受ける!」
ジュウヤのLP:4500→4400
俺の目の前に【ステゴザウラー】が光の柱から飛び出し、代わりに攻撃を受け、俺に小さなダメージが飛んでくる。
「【ダイナミスト・チャージ】の効果で、エクストラデッキではなく手札に!」
「むぅ……流石に3人もいると思う様に動けない……ターンエンド」
「私のターン、ドロー!」
アンの手札は6枚、アクションカードが既に手札に握られている。
「では、私はマジックカード【海賊の意地】を発動! 手札1枚を墓地に送り、自分フィールドのモンスターと同名のモンスターを墓地から可能な限り特殊召喚します」
アクションカードをコストに現れるのは当然、2体の【マスケット銃の下っ端】。
【マスケット銃の下っ端】
☆4 ATK1500→1100 効果
【マスケット銃の下っ端】
☆4 ATK1500→1100 効果
「【マスケット銃の下っ端】の効果! 3体揃った時、自分のデッキからカードを2枚、墓地に送ります! 【超電磁タートル】と【命運のコイン】を墓地へ!」
【超電磁タートル】は墓地から除外すればバトルフェイズを終了できるカードだが、【命運のコイン】はオリカだ。効果がわからない。
「さあ、参ります! 私は、3体の【マスケット銃の下っ端】でオーバーレイ!
3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、“嵐を切り裂く、戦慄の斬撃! 七つの海を望みで制覇せよ!” エクシーズ召喚! ランク4、【パイレーツ・オブ・リッパー】!」
【パイレーツ・オブ・リッパー】
★4 ATK2800→2400 エクシーズ・効果
黒い装束に白い髪。剣身が紅いカットラスを片手に持っている。若干、メアリーが不機嫌そうなのは【ガンナー】と同じ位の身長だからだろう。
「【リッパー】の効果! このターン、私のデッキか、相手の手札からカードが墓地に送られていた場合、発動できます! 次のターンのエンドフェイズまでこのカードは他のカードの効果を受けず、相手プレイヤーにダイレクトアタック出来る!」
「何だって!?」
【パイレーツ・オブ・リッパー】
ATK2400→2800
最強クラスの耐性と直接攻撃の付加。条件は面倒だが、ランク4としては高い攻撃力もあって厄介なモンスターだ。
(て言うか先からアクションカードをメタり過ぎだろ!?)
対策はデュエリストとして当たり前と言われればそこまでだが、あちらが決めたデュエルなので文句も言いたくなる。
「さあ、行きますわよ! 【リッパー】でマスターに直接攻撃です! “テンペスト・スラッシュ!!”」
【大脱出】はバトルフェイズを終了できるが、アクションカウンターの要求数が3個。俺のターンが来るまでカウンターは2個、これじゃあ足りない。
「ライフで受ける! っうお!?」
ジュウヤのLP:4400→1600
斬りつけられ、今度こそ海に落ちるかと思ったが【ケラトプス】が横についてたアームで俺を掴んで、自分の背中に放り投げる様に乗せた。
「た、助かった……」
「カードを1枚伏せて、ターンエンドです」
「エンドフェイズ、【連成する振動】で【プレシオス】を破壊して1枚ドロー! 更に【チャージ】で手札に戻す!」
漸くターンが回って来た。しかし、状況はあまりよろしくない。
「どうした物か……俺のターン! ドロー!」
フィールドには、【プレシオス】と【ケラトプス】にセッティングされた【プレシオス】、【チャージ】と【振動】。
手札を見る。【ステゴザウラー】と【ブラキオン】、【大脱出】に【ダイナミスト・チャージ】、そして……
『呼んで……呼んで』
「……?」
また何か聞こえた気がする。だが、あまり時間は無い。なら、これでなんとかするしかない。
「2枚目の【ダイナミスト・チャージ】を発動! 発動時の効果で、デッキから最後の【ダイナミスト・プレシオス】を手札に
! 更に【ステゴザウラー】を再びペンデュラムスケールにセッティング! さあ、行くぞ!」
(アクションマジック、【エクストラソード】。攻撃力が1000ポイント上がる。これなら……)
(伏せたのは【波紋のバリア―ウェーブ・フォース】。アンか私に直接攻撃すれば、これでマスターのモンスターをデッキに戻します)
「“波の如く揺れろ、魂の咆哮!” ペンデュラム召喚! レベル4、【ダイナミスト・プレシオス】2体! レベル5、【ダイナミスト・ブラキオン】!」
【ダイナミスト・プレシオス】
☆4 ATK1700 ペンデュラム・効果
【ダイナミスト・プレシオス】
☆4 ATK1700 ペンデュラム・効果
【ダイナミスト・ブラキオン】
☆5 ATK2000 ペンデュラム・効果
「【プレシオス】とダイナミストカードが増えて、攻撃力と守備力が900×3下がる!」
【パイレーツ・オブ・ガンナー】
ATK1900→0
「【パイレーツ・オブ・リッパー】は効果を受けません!」
「だけどこれでアンに大ダメ――!?」
『――呼んで下さい』
また何かが、今度はハッキリ聞こえた。
「? マスター?」
手札のカードは【大脱出】と……
「……俺は、【ケラトプス】と、【ブラキオン】と【プレシオス】を、リリース!! この時、2枚の【チャージ】の効果で【ケラトプス】と【ブラキオン】は手札に!」
「な!?」
「何を!?」
【パイレーツ・オブ・ガンナー】
ATK0→1200
【ケラトプス】は消えたが、その上にいた俺は水には落ちずに、空中で浮いている。
「“古代の形の傀儡を贄として、神は降臨する。神を下す神よ! その姿なき姿を、此処に現せ!” アドバンス召喚、レベル10【邪神アバター】!!」
【邪神アバター】
☆10 ATK?→2900 効果
『……呼んでくれた』
俺の前に、黒い太陽の様な神々しい存在が降臨し、漆黒のまま【パイレーツ・オブ・リッパー】を形成した。
常にフィールド上のモンスターの最大攻撃力を100上回る事が出来る、最凶の神。
「神の前に人の英知は意味を失う! 【ロスト・ノウレッジ】! 相手ターンで数えて2ターンの間、相手の魔法・罠の発動を禁止する!」
「そんな!」
「アクションマジックが……」
アンの伏せカードも、メアリーの手に握られていたアクションマジックも色を失う。
「バトルフェイズ! 先ずは【ガンナー】だ! 【邪神アバター】で攻撃! “ダークネス・テンペスト・スラッシュ”!」
「っく……!」
【アバター】の放った斬撃が【ガンナー】を斬り付け、そのまま葬った。
メアリーのLP:6600→4900
「続いて、【プレシオス】で攻撃!」
メアリーのLP:4900→3200
ライフは依然として不利なままだけど、だいぶ巻き返した。
「【振動】でセッティングされた【ステゴザウラー】を破壊して1枚ドロー! 【ケラトプス】をセッティングして、1枚カードを伏せて、ターンエンド!」
「エンドフェイズ、【リッパー】は効果を失って、【プレシオス】の効果が適用されます」
【パイレーツ・オブ・リッパー】
ATK2800→1600
これで手札は【大脱出】のみ。
(さあ、どう来る?)
「参ったな、まさに窮鼠猫を噛むだね。僕のターン、ドロー!」
メアリーの手札は4枚。アクションマジックは使えないから実質3枚だ。
「ならこれだ! 手札の【タルワールの副船長】の効果! 墓地のカードを選択し、選択したカードと同名のカード3枚をゲームから除外して特殊召喚できる。【カットラスの下っ端】を除外! 現われろ、【タルワールの副船長】!」
【タルワールの副船長】
☆6 DEF2400→1200 効果
現れたのは曲刀を持った女海賊。副船長だからか、縞模様の服装だった【下っ端】と違い、黒マントに、派手なアクセサリーが見え隠れしている。
「【副船長】の効果! デッキの一番上のカードを墓地に送って相手の墓地のカードを1枚除外する! アンの墓地の【超電磁タートル】を除外するよ!」
「そんな!」
これでアンの防御カードは無くなった。
「カードを1枚伏せて、ターンエンド」
アンのターンだが、【リッパー】の効果には自分のデッキか相手の手札を墓地に送る必要がある。
魔法とトラップが封じられているので、容易な事では無い筈だ。
「私のターン! ドロー!」
手札は4枚。アクションカードは無いようだ。
「私は【大砲の下っ端】を召喚します! 効果発動! デッキから同名カードを墓地に送り、【大砲の下っ端】を特殊召喚します! 【大砲の下っ端】の効果発動! 1ターンに1度、同名カードが存在する場合、私の手札の数×300ポイントのダメージを与えます! 私の手札は3枚! 900ポイントのダメージをメアリーへ!」
【大砲の下っ端】
☆3 ATK1400→200 効果
【大砲の下っ端】
☆3 DEF1400→200 効果
俺のライフを【リッパー】で削りきれると踏んで、メアリーを狙ったか。
メアリーのLP:3200→2400
「【パイレーツ・オブ・リッパー】の効果発動! ORUを1つ使って、次のターンのエンドフェイズまで効果を受けず、ダイレクトアタックが可能になるわ!」
【パイレーツ・オブ・リッパー】
ATK1600→2800
「バトルフェイズ!」
「アクションマジック、【大脱出】! バトルフェイズを終了する!」
アクションカウンター消費:3
「っ! カードを1枚伏せて、ターンエンドです」
「【振動】を発動! 【ブラキオン】を破壊して1枚ドロー! 【チャージ】の効果で手札に!」
アンの手札は2枚、メアリーはアクションカードを含めて2枚。
「俺のターン、ドロー!」
対して俺の手札は4枚。だが、俺が動く前にアンが動いた。
「スタンバイフェイズに速攻魔法発動! 【ツインツイスター】! 手札を1枚コストに、2枚の魔法・罠カードを破壊します! 私はマスターの伏せカードと【チャージ】を選択し、破壊します!」
「ペンデュラムゾーンにセッティングされてないから守れない!」
破壊された伏せカードはブラフで伏せた2枚目の【連成する振動】。
「だけど、その程度じゃ止まらない! 俺はフィールド魔法、【ダイナミック・P】を発動!」
「させない! カウンタートラップ、【海賊の小細工】! デッキから私のフィールドの【タルワールの副船長】の同名カードを墓地に送って、魔法・罠の発動を無効にする!」
「っく……!」
どうやら2人も本格的に俺をターゲットにしているらしい。
「ならスケール6の【ブラキオン】をセッティング!
ペンデュラム召喚! 手札とエクストラデッキから現われろ、レベル4、【ダイナミスト・プレシオス】、レベル5【ダイナミスト・ケラトプス】!
【プレシオス】の効果が重複する!」
【ダイナミスト・プレシオス】
☆4 ATK1700 ペンデュラム・効果
【ダイナミスト・ケラトプス】
☆5 ATK2100 ペンデュラム・効果
【タルワールの副船長】DEF1200→0
【大砲の下っ端】ATK200→0
「バトルフェイズ! 【アバター】で【タルワールの副船長】に攻撃!」
【邪神アバター】ATK2900
再び放たれたダークネス・テンペスト・スラッシュに、【副船長】は無念の表情のまま散った。
(おかしい……先までマストの根本にあったアクションカードが無い!? どうして……)
「更に、【プレシオス】で【大砲の下っ端】に攻撃!
アクションマジック、【エクストラソード】! 【プレシオス】の攻撃力を1000ポイントアップ!」
アクションカウンター消費:1
【ダイナミスト・プレシオス】
ATK1700→2700
【プレシオス】の口から熱線が放たれ、【下っ端】を撃ち抜いた。
「っく……! 効果のためとはいえ攻撃表示は避けるべきでしたか……!」
(今のライフでバーンダメージは要注意だからな)
アンのLP:7400→4700
「【プレシオス】で、メアリーに直接攻撃!」
「このままじゃ……!」
メアリーのLP:2400→700
攻撃を受けつつもメアリーはアクションカードを求めてアンのいる幽霊船へ飛び乗った。
「【プレシオス】でメアリーにダイレクトアタック!」
「その直接攻撃時、【波紋のバリア―ウェーブフォース】を発動! マスターの攻撃表示モンスターは全てデッキへ!」
(不味い! これを喰らえば5体のモンスターがデッキへ消えてしまう!)
俺は目の前にあるカードに手を伸ばした。
「アクションマジック! 【簡易亜空間転送機】! フィールドのモンスターを1体除外して、エンドフェイズ終了時に戻す! 俺は【邪神アバター】を選択! 残りの4体のモンスターはデッキに!」
アクションカウンター消費:1
「あ、マスター!?」
そこで漸くメアリーが気づいた。
「アクションカードが、マスターの周りに集まってる!?」
俺の周りには船内に有るべきアクションカードが浮いている。【邪神アバター】が全て引き寄せてくれたのだ。【アバター】がフィールドを離れたので今は水上に落ちている。
なお、宙に浮いていた俺は除外された【アバター】のお陰で宙に浮いているままだが、一歩でも動けばたちまち海の中にダイブである。
「カードを1枚伏せて、ターンエンド! 【リッパー】の効果が終了する!」
エンド宣言と同時に落下したがすぐに戻ってきた【パイレーツ・オブ・リッパー】の姿の【アバター】に抱えられてまた浮かされる。同時に俺の周りにアクションカードが再び浮く。残りは8枚。
「……負けない! ドロー!」
メアリーのドロー。手札は2枚、もう彼女の元にはアクションカードは無い。
「魔法カード、【死者蘇生】! 墓地からモンスターを選択し、特殊召喚する! 対象は、アンの【マスケット銃の下っ端】! 特殊召喚時に効果発動! デッキから同名カードを墓地に送って、同名モンスターをデッキから特殊召喚!」
今度は2体の【マスケット銃の下っ端】がメアリーのフィールドに並んだ。
「2体のモンスターで、オーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚! ランク4! 【鳥銃士カステル】!」
【鳥銃士カステル】
★4 ATK2000 エクシーズ・効果
「っげ!?」
【カステル】。容易な召喚条件だが、効果は強力だ。
「ORUを2つ使い、効果発動! 【邪神アバター】をデッキへ!」
折角守った【アバター】も、デッキに戻ってしまった。
これで俺を守るのはセットカード1枚のみ。俺は泳ぎながらも急いで船のイカリを繋いだ鎖に向かった。
「バトルフェイズ! マスターに、【カステル】で直接攻撃!」
「アクションマジック、回避! 攻撃を無効にする! うわ!?」
攻撃の衝撃でアクションカードと共にイカリの近く。
「僕はこれで、ターンエンド」
「私のターン、ドロー! これで終わりです!」
手札は2枚。アンのフィールドには【パイレーツ・オブ・リッパー】と【大砲の下っ端】がいる。
「装備魔法、【守護神の矛】を【大砲の下っ端】に装備!」
「あれは、装備モンスターと同名の墓地のカードの数だけ攻撃力がアップするカード!」
【大砲の下っ端】ATK1400→3200
「攻撃力、3200……」
「終わりです! 【大砲の下っ端】で【鳥銃士カステル】に攻撃!」
「っく……! そんな……」
メアリーのLP:600→0
俺のアクションマジックを警戒して、先にメアリーに攻撃したか。
「覚悟はいいですか? 【パイレーツ・オブ・リッパー】で、マスターにダイレクトアタック!! “コンクエスト・セブンスシー!!”」
「終わるか! トラップカード、オープン! 【イタチの大暴発】! お前のモンスターの攻撃力の合計が俺のライフ、1600以下になる様にデッキに戻してもらう!」
「なら手札から速攻魔法、【海賊の我武者羅】を発動! モンスターをリリースして、リリースしたモンスターと同名の墓地のカード1枚につき800ポイントのダメージを与えます! 【大砲の下っ端】をリリース!」
「アクションマジック、【加速】! 効果ダメージを0にする!」
アクションカウンター消費:1
もうカウンターは残り1つ。もしまだ攻め手があれば俺の負けだ。
「……ターンエンドです」
よし!
「エンドフェイズ、【振動】で【ブラキオン】を破壊、ドロー! 【ブラキオン】は手札に戻す!」
「俺のターン! ドロー!」
俺は鎖を伝って甲板に着き、アンと対峙する。
「行くぞ、【振動】で【ステゴザウラー】を破壊、ドロー! 【チャージ】で手札に戻す!」
手札は6枚。ペンデュラムスケールは無いが、もうその必要も無い。
「【ダイナミスト・ブラキオン】を特殊召喚! 相手フィールドにのみモンスターがいるなら特殊召喚出来る! 更に【ダイナミスト・ケラトプス】は、フィールドにダイナミストモンスターが存在し、【ケラトプス】がいないのなら特殊召喚出来る! そして、通常召喚! 【ダイナミスト・プレシオス】!」
「デッキに戻った【プレシオス】を引きましたか!」
【ダイナミスト・ブラキオン】
☆5 ATK2000 ペンデュラム・効果
【ダイナミスト・ケラトプス】
☆5 ATK2100 ペンデュラム・効果
【ダイナミスト・プレシオス】
☆4 ATK1700 ペンデュラム・効果
(だけど、唯一気になるのは……【命運のコイン】。だが、バトルフェイズ中の効果と発動を無効にする【ダイナミック・P】はもうデッキに無い……)
「バトルフェイズ!」
「負けません!」
アンは船から飛び出し、海へ飛び込んだ。
狙いは、船の近くの水上に浮いているアクションカード!
「させない! 【ケラトプス】でダイレクトアタック!」
「あぁ!」
ケラトプスが電撃を放ち、アンの動きを止めた。
アンのLP:4700→2600
だが、アクションカードはアンの目の前だ。
「【ブラキオン】で攻撃!」
「うっく!」
アンのLP:2600→600
ブラキオンが砲撃を放つ。その威力でアンの体を吹き飛ばす。
「止めだ! 【プレシオス】で攻撃! “ブレイブ・フィニッシュ!”」
【プレシオス】の攻撃が放たれる瞬間、アンは必死でもがいてカードをディスクに置いた。
「アクションマジック、【回避】!」
最後に取ったか! これでは【プレシオス】の攻撃が通らない――
「アクションマジック、【ノーアクション】!」
――取っておいて正解だったな。
「そんな!?」
「終わりだぁ!」
だが、【プレシオス】の攻撃は1枚のトラップカードに止めたれた。
「墓地の【命運のコイン】の効果を発動! 戦闘ダメージで私のライフが尽きる前に発動出来ます! 3回コイントスをして、表の数だけライフを1000回復します! 裏が出た場合、デッキトップをゲームから除外します!」
コイントスによるライフ回復!
効果を見れば、フィールドではコイントスをして表で自分のライフを1000回復して、裏で相手のライフを500回復させるカードの様だ。
「来い!」
「行きます! 一度目!」
トラップカードからコインが舞う。裏、表、裏、表……回転しながら再びカードヘ降りた。
「……裏。デッキトップを除外します。続けてもう一度!」
思わず喉を鳴らす。アンが生き残るには表が2回出る必要がある。
緊張のままコインが上り降りる様を見届ける。
「……表!」
アンのLP:600→1600
「さあ、最後です!」
「……来い!」
運命の、コイントスだ。
【コインが表だったら……】
「マスター! 遅いですよ!」
「……むぅー」
駅前、走ってやって来た俺にアンとメアリー、2人の厳しい視線が向けられる。
「ごめんごめん、ちょっと次元領域デュエルに巻き込まれて――」
「ーーマスター? あまりおかしな言い訳をしますと私の銃が笑ってしまいますよ?」
笑ってない目で物騒な物を向けられた。
「あはは……ホントウニスイマセン、寝坊しました」
「はい、素直でよろしい」
アンはそう言うと銃を片付けて俺の頭を撫でる。
「むぅ………」
が、メアリーは不機嫌なままだ。
「どうした、メアリー?」
「この娘、マスターを独占したくて仕方なかったんですよ。で、私のこの3人デートが不満で……」
「知ってた……。アンは2人でマスターとデートしてくれるって知ってた。だから勝者1人の言う事だけ聞いてもらおうと思ったのに…」
「メアリー、拗ねないの」
「大体、2人で1騎のサーヴァント何だから、別けられないだろ?」
「むぅー……」
「……っふ、ふふ」
「……あっははは」
俺とアンは顔を見合わせると困った顔で笑った。
「ほら! 早く行こうか! メアリーも、遊園地でアイス奢るから、な?」
「……パフェが良い」
「マスター、私にも奢ってくださいな!」
「分かった、分かった! とにかく、早く電車乗ろうか!」
次回は真面目にFGO話が書きたいです。
何? 遊戯王で構わない?(幻聴)
所でどうやって鬼殺し級周回してるの? 自分はやらい級を必死に回してます。