遊戯王なカルデア 〜シャトー外伝〜   作:スラッシュ

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遅くなって申し訳ありません。
分かっている方もいるでしょうが、自分の中ではこちらの小説の優先順位は低いです。楽しみにしている方には申し訳ありません。


遊戯王以外だと? 知らん、俺の管轄外だ。

 

「……夏バテかなぁ」

 

 俺は不藤十矢、現在進行形でベッドで寝込んでいる。

 原因は恐らく夏風邪とか夏バテとか。理由は今が夏だから。

 

「くっそー……ポケモンの巣に行きたかったのに……」

 

 

 残念ながら貴重な夏休みの1日が潰されそうだ。

 ぼやきながらも、俺は体をベッドに預け、やがて眠りにつくのだった。

 

 

 

「マスター、デュエルしましょう?」

 

 マタ・ハリに挑戦状を叩き付けられた。

 

「勿論、受けて立つ!」

 

 相変わらず夢の中らしき場所でデュエルする事になる訳も目的もはっきりしないが、デュエルするのであれば基本そんな事はどうでも良くなる。

 

 今回はダイナミストのデッキでは無く別のデッキだが、まあどうにかなるだろう。

 

 久方ぶりのデュエルディスクに興奮しつつも、俺はデッキを入れる。

 

「スタンダートルールのデュエルで、負けたら何でも言う事を聞く……では始めましょう?」

「よっしゃ、来い!」

 

「「デュエル!!」」

 

 

 

 ジュウヤのLP:8000

 マタ・ハリのLP:8000

 

 ディスクには先攻と表示される。

 

「行くぞ! 俺のターン、スタンバイ、メインフェイズ! 手札から永続マジック、【陽炎柱(ヘイズ・ピラー)】発動! このカードがフィールドにある限り、俺が陽炎獣(ヘイズビースト)を召喚する際のリリースが1体少なくなる!」

 

 早い話がレベル6までの陽炎獣がそのまま召喚できる様になったという事だ。

 

「この効果により俺は【陽炎獣 サーベラス】を通常召喚!」

 

【陽炎獣 サーベラス】

☆6 ATK2000 効果

 

 現れたのは炎で出来た体に3つの首を持つ伝説の番犬。

 このデッキにおけるエンジン役だ。

 

「カード1枚伏せて、ターンエンド!」

 

 手札は残り2枚。さて、どう動く?

 

 

「私のターン、ドロー! スタンバイ、メインフェイズ」

 

 マタ・ハリは落ち着いた様子でカードを引いて、ディスクに置いた。

 

「私は手札から、【魅惑の踊り手】を召喚します」

 

【魅惑の踊り手】

☆3 ATK1200 効果

 

 現れたのは赤色の水着の様な衣装を身に纏った、ポニーテールの女性。

 微笑みながら、舌で自分の唇をなぞる。

 

『ふふ……』

 

 マタ・ハリと似ていて、露出も凄い。

 

 生足、谷間、唇、肩、へそ……何処を見ても艶や張りが素晴らしく誘惑的である。

 

 が、俺は首を振って邪念を取り払った。

 

「いかんいかん……」

「ふふふ、マスター。私の体も、凝視してもらっても構いませんよ?」

 

 両腕を頭上へと掲げ、足を絡める妖艶な動きが男心を掻き立てる。

 胸が強調され、前へと押し出された足――

 

『浮気……だめ……』

 

「いや、デュエルだデュエル!!」

 

 しかしゲーム中である。浮気は許されない。

 

「あらあら、照れちゃって……マジックカード発動、【ラブアピール】! マスターのライフを300ポイント回復させて、私のモンスター1体のコントロールを、マスターに移します」

 

ジュウヤのLP:8000⇢8300

 

『きゃぁ!』

「うぉ、っと……」

 

 ハートマークが俺に当たるとライフが回復し、逃げる様にこちらのフィールドにやってきた【踊り手】が俺の前で転びそうになり、思わず両手で支えた。

 心無しか【踊り手】の顔が赤い気がする。

 

「カードを2枚伏せてターンエンドです」

 

 2枚のカードを握りながらも、マタ・ハリは笑う。

 

 支えていた【踊り手】を立たせた後に俺のフィールドにコントロールの移った【魅惑の踊り手】の効果に目を通す。

 

「えーっと……このカードのコントローラーは互いのエンドフェイズに500ポイントのダメージを受け、相手プレイヤーはライフを500ポイント回復する……へ?」

 

 顔を上げると、【魅惑の踊り手】がニッコリと笑いながら俺の頬へキスをした。

 

『ッ……!』

『ッチュ……』

 

ジュウヤのLP:8300⇢7800

マタ・ハリのLP:8000⇢8500

 

 キスをされるとライフが減り、あちらはライフが回復した。

 

「スパイかよ!?」

「さぁさぁ、マスターのターンですよ?」

 

 

「くっそ……俺のターン! ドロー!」

 

 面倒臭い事に、【踊り手】はシンクロ召喚とエクシーズ召喚の素材に出来ず、アドバイス召喚の為のリリースにも使用出来ない。

 

「抜け道は自爆させるかカード効果でフィールドから別の場所に送るだけか……」

 

「スタンバイフェイズ、私は永続トラップ、【誤情報】を発動するわ」

 

 更にマタ・ハリはロックカードを重ねて来た。

 

「元々のコントローラーが自分のモンスターが相手フィールドにいる限り、相手はバトルフェイズを行えなくなります」

 

 バトルを封じられた。ならば何としてでも【魅惑の踊り手】を除去しなければ……!

 

「更に永続トラップ、【安全地帯】を発動! 対象は【魅惑の踊り手】!」

 

 【安全地帯】は対象モンスターの直接攻撃を封じる代わりに戦闘、及び効果破壊を無効にした上に相手プレイヤーである俺は効果の対象に【踊り手】を選択出来なくなる。

 

「ちょっと待て!? どうすれば……!?」

 

 一番手っ取り早いのは、【安全地帯】を除去する方法だ。

 【踊り手】は【安全地帯】が無くなれば【安全地帯】の効果で破壊される。

 

 だが、生憎この手札ではそれが出来そうに無い。

 

 【安全地帯】の対象になった【踊り手】は俺の位置を安全と見たのか背中に抱き着いてきた。

 

「……カードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

 最初のターンに伏せたのは蘇生カードの【リビングデッドの呼び声】。

 今伏せたのはサポートカードの【陽炎光輪(ヘイズグローリー)】。

 この状況では役に立たないカードだ。手札の2枚も今のままでは使えない。

 

 そして、【踊り手】がギュッと抱き着いて首後ろにキスをした。

 

『ッチュ……』

 

『うっとしい……』

 

ジュウヤのLP:7800⇢7300

マタ・ハリのLP:8500⇢9000

 

 

「此処から詰めて行きますね? 私のターン、ドロー!」

 

 マタ・ハリは引いたカードを発動する。

 

「私はマジックカード【ハニーパーティー】を発動! デッキから相手フィールドのモンスターと同名のモンスターを2体まで相手のフィールドに特殊召喚します! 対象は取らないので、【安全地帯】も【サーベラス】の効果も妨げません。現れなさい、【魅惑の踊り手】!」

 

【魅惑の踊り手】

☆3 ATK1200 効果

 

【魅惑の踊り手】

☆3 ATK1200 効果

 

 俺のフィールドに特殊召喚された2体の【踊り手】。手を振ってフレンドリーにこちらにやって来た。

 不本意ながらハニートラップに完全に掛かってしまっている。

 

「私はこれでターンエンドです。【魅惑の踊り手】3体の効果が発動します!」

 

 手札は依然として2枚のままだが、エンドフェイズを迎える毎にこちらがひたすら不利になる一方だ。

 

 背中から耳辺りを舐められ、額に優しく、更に頬をキスされた。

 

『……ユルサナ――』

 

ジュウヤのLP:7300⇢5800

マタ・ハリのLP:9000⇢10500

 

 

 先から謎の幻聴が聞こえる。前のデュエルの時もそうだった気がする。

 

「俺のターン! ドロー!」

 

 手札に来たカードを見る。

 

「っ! これなら!」

 

 深く考えずネタで入れたカードだが、これなら行けるかもしれない。

 

「俺は、【サーベラス】をリリース! 【イグナイト・キャリバー】をアドバンス召喚!」

 

【イグナイト・キャリバー】

☆6 ATK2100 ペンデュラム・通常

 

 【サーベラス】が炎と化して、その中から鋼の戦士が現れた。

 陽炎獣と名のつくモンスターでは無いので【陽炎柱】の効果を受けないのでリリースが必要だが、今は助かる。

 

「……何が狙いですか? そのモンスターは効果の無い通常モンスターですよね?」

 

「さあな? カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

 

 手札は1枚に減りはしたが、後は一か八かだ。

 

 キスで再びライフが奪われる。

 

『はな、レロ……!!』

 

ジュウヤのLP:5800⇢4300

マタ・ハリのLP:10500⇢12000

 

 

「何か手がある様ですね……私のターン、ドロー!」

 

 マタ・ハリはモンスターゾーンにカードを置いた。

 

「通常召喚、【ビューティーハッカー】!」

 

【ビューティーハッカー】

☆4 ATK1000 効果

 

 召喚されたのはライダースーツの様なぴっちりしたスーツに包まれた女性。金髪にメガネを着用している。片手でノートパソコンらしき端末を抱えている。

 

「召喚成功時に効果発動! マスターのフィールドに存在する元々のコントローラーが私のモンスターの数だけ、カードをドローします! 3枚をドロー!」

 

 マタ・ハリの手札が一気に増えた。

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

『いっぱい気持ちよくなってね……?』

『チュー!』

『触りたく、ないかしら?』

 

ジュウヤのLP:4300⇢2800

マタ・ハリのLP:12000⇢13500

 

 ライフが大分削られている。次のターンでどうにかしなければ敗北は必至だ。

 

 だけど、それよりも手に握ってるカードから何か途方も無い悪寒を感じる。

 

『コロス……絶対ユルサナイ……!』

 

 

「……行くぜ! 俺のターン! ドロー!」

 

 不安を感じるが、これで行くしかないならやるしか無い。

 

「速攻魔法【サイクロン】を発動だ! 俺が選択するのは、そこの伏せカード!

 

 最初のターンにマタ・ハリが伏せたカードを破壊する。伏せられていたのは永続トラップを破壊から守る永続トラップ、【王宮のしきたり】だ。

 

「ドンピシャ!」

「ですが、まだ何も解決していませんよ?」

 

 【誤情報】と【安全地帯】に伏せカード。誤情報のせいで攻撃できないが、【安全地帯】でエンドフェイズに受けるダメージを減らさないと不味いかもしれない。

 

「まず俺は、永続トラップ【グラビティ・バインド】を発動だ! それにチェーンして【陽炎光輪】、更にチェーンして【リビングデッドの呼び声】を発動!」

 

 この瞬間、3枚のトラップを発動した。

 

「逆順処理だ。

 【リビングデッド】の効果で墓地の【サーベラス】を攻撃表示で特殊召喚!

 【陽炎光輪】が発動して、【グラビティ・バインド】の効果でレベル4以上のモンスターの攻撃を封じる!」

 

 【サーベラス】が復活するが、【踊り手】と【ハッカー】以外はその動きを封じられる。

 

「それになんの意味が!?」

 

「俺は【イグナイト・キャリバー】と【陽炎獣 サーベラス】で、オーバーレイ!

 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! 

 “太陽の幻想獣よ! 数多の敵を喰らって永久に燃え続けろ!” エクシーズ召喚! ランク6、【陽炎獣 バジリコック】!!」

 

【陽炎獣 バジリコック】

★6 ATK2500 エクシーズ・効果

 

 呼び出したのは炎が鳥を形取ったかの様な姿のモンスター。漫画やアニメではトカゲや蛇の姿でよく知られるバジリスクの別名で、鳥の姿もバジリスクの姿の一種である。

 

 だが、こいつの相手モンスターを除外する効果は今は役に立たない。

 

「俺は、表側になっている対象を失いフィールドに残っている【リビングデッドの呼び声】、【陽炎光輪】、【グラビティ・バインド】をリリース!」

 

「まさか!?」

 

「“燃え上がれ、滅びを示す紅蓮の炎! 神へと届く頂へ!” アドバンス召喚! レベル10、【神炎皇 ウリア】!!」

 

 ――辺りが炎に包まれた。

 

 地面が溶けて巨大な穴が空いた。

 全てを飲み込まんとする咆哮と共に、幻魔がその姿を顕わにした。

 

 竜の如く長く巨大な紅蓮の体が、俺の体の周りを囲むかの様に浮いている。

 

『コロス……マスターニ触レタ者、全テ!!』

 

 殺る気満々のご様子だ。

 

「す、凄い迫力……! 【ウリア】のモンスター効果! 墓地の永続トラップカードの数×1000の攻撃力になる! 墓地の永続トラップは3枚!」

 

【神炎皇 ウリア】

☆10 ATK0⇢3000 効果

 

「更に【ウリア】のモンスター効果発動! 1ターンに一度、相手の魔法かトラップカードを1枚、破壊する! この効果にチェーンで他のカードは発動できな――い!?」

 

 俺がそう宣言すると【ウリア】は巨大な口を開き、火球を【安全地帯】へと放った。

 

『ッキャー!』

 

「【安全地帯】がフィールドを離れたので、【魅惑の踊り手】は破壊される……」

 

 【ウリア】の予想外の行動に戸惑うが、俺は【バジリコック】に指示を出す。

 

「ば……【バジリコック】のモンスター効果! ORUを1つ取り除き、【ビューティーハッカー】をゲームから除外する! “バーン・フレア”!」

 

 【バジリコック】から放たれた炎が【ビューティーハッカー】を消し去った。

 

「俺はこれで、ターンエンド」

 

 【ウリア】の登場に驚いて俺に抱き着いてきた2体の【魅惑の踊り手】が冷や汗をかきながら頬をキスする。

 

『ハ ナ レ ロ ! !』

 

ジュウヤのLP:4300⇢3300

マタ・ハリのLP:13500⇢14500

 

 

「……私のターン、ドロー!」

 

 先の大量ドローも合わさり、マタ・ハリの手札には4枚のカード。

 

「行きます……」

 

 マタ・ハリはそっとカードを見ると、動き出した。

 

「儀式魔法、発動! 【禁断の陽光】! 相手フィールドの元々のコントローラーが自分のモンスターをリリースして、儀式召喚を行います! 私は、マスターのフィールドに存在する【魅惑の踊り手】を2体リリースします!」

 

 【魅惑の踊り手】が最後にこちらを見る。ニッコリと笑うと、2体とも消えていった。

 

「“……任務を脱ぎ、仮面を捨て、本当の姿を貴方だけに……” 儀式召喚! レベル6、【陽眼の花嫁 マルガレータ】!!」

 

【陽眼の花嫁 マルガレータ】

☆6 ATK2400 儀式・効果

 

 マタ・ハリ。

 2人目のマタ・ハリが現れたかの様な光景だった。

 唯一の違いは、一目で魅了する様な衣装ではなく、永久の愛を紡ぐウェディングドレスだと言う事だ。

 

「……」

 

「【花嫁】の効果発動。儀式召喚成功時にこのモンスターは相手プレイヤーへとコントロールを移します!」

 

 またしてもマタ・ハリのモンスターがこちらに移動する。

 

「【花嫁】のコントローラーは、エンドフェイズにライフを1000ポイント払っても構いません。ですが、払わなければデュエルに敗北します」

 

「なんだと!?」

 

 特殊勝利ならぬ特殊敗北効果に戦慄する。

 

「【デス・メテオ】を発動します! 1000ポイントのダメージをマスターへ!」

 

「っく!?」

 

ジュウヤのLP:3300⇢2300

 

 このままだと不味い! もうライフが無い。

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド! さあ、マスター? 払う? 払わない?」

 

「払うしかない!」

 

ジュウヤのLP:2300⇢1300

 

 【花嫁】は涙を浮かべながらもこちらに近づいてきた。

 

『マスターニ……近付クナ……!!』

 

 【ウリア】の炎も怒りと共に威力が上昇している様だ。

 

 

「俺のターン!」

 

 恐らくこれが最後のターン。

 

 【花嫁】は【魅惑の踊り手】同様、融合召喚以外の素材には出来ない。

 

 バトルフェイズが行えなくなる【誤情報】はあるが、【ウリア】で破壊できる。後は、俺のドローカードに全てかかっている。

 

「ドロー!!」

 

 引いたの……

 

「俺は【陽炎柱】の効果で【陽炎獣 スピンクス】を通常召喚!」

 

【陽炎獣 スピンクス】

☆6 ATK1900 効果

 

 炎の様な赤い髪に女性の顔の様な姿のスフィンクスが俺のフィールドに現れた。

 

「【ウリア】のモンスター効果発動! 【誤情報】を破壊だ! “トラップ・デストラクション”!!」

 

 【誤情報】が破壊され、マタ・ハリのフィールドにモンスターはいない。

 

 【スピンクス】にはカードの種類を宣言してデッキトップのカードを墓地に送って、正解すれば墓地か手札の炎属性のモンスターを特殊召喚できる効果がある。

 

 残念ながら墓地のモンスターはORUとして墓地に送られた【サーベラス】のみ。此処で勝つには墓地に送るカードはモンスターでなければならない。

 

(【ウリア】は3000、【バジリコック】2500、【花嫁】は2400、【スピンクス】は1900……9900。此処で何を引いても、14500のライフを削り切るのは不可能……いや、まだ……!)

 

「え……?」

 

 “このカードが相手プレイヤーに与えるダメージは2倍になる”

 

 【花嫁】にそう書かれていた。

 

(なら……! ダメージのトータルは12300! 攻撃力2200以上のモンスターが来れば……)

 

「行くぞ! 【スピンクス】のモンスター効果発動! 俺はモンスターカードを宣言! デッキトップのカードがモンスターカードなら墓地か手札から炎属性のモンスターを特殊召喚する! “ジャッジメント・サン”!!」

 

 デッキトップのカードを引く。

 

「……【炎王神獣 ガルドニクス】!! モンスターカードが墓地に送られたので効果が発動する! 墓地の炎属性モンスター、【炎王神獣 ガルドニクス】を特殊召喚!!」

 

【炎王神獣 ガルドニクス】

☆7 ATK2700 効果

 

「……っ!」

 

 マタ・ハリが一瞬苦い顔をする。演技では無い事を祈って俺は攻撃を開始した。

 

「バトルフェイズ! 【陽炎獣スピンクス】.マタ・ハリでダイレクトアタック!」

 

マタ・ハリのLP:14500⇢12600

 

「【陽炎獣 バジリコック】で攻撃! “陽炎翼”!!」

 

マタ・ハリのLP:12600⇢10100

 

「【炎王神獣 ガルドニクス】! “業火強襲”!!」

 

マタ・ハリのLP:10100⇢7400

 

「【神炎皇 ウリア】で攻撃! “ハイパー・ブレイズ”!!」

 

マタ・ハリのLP:7400⇢4400

 

「これでトドメだ! 【陽眼の花嫁 マルガレータ】で、マタ・ハリでダイレクトアタック!!」

 

 【花嫁】はマタ・ハリにブーケを投げた。

 

 マタ・ハリがそれを受け取ると同時に、ライフがゼロになった。

 

マタ・ハリのLP:4400⇢0

 

 

 

「負けちゃった……」

 

「マタ・ハリ!」

 

 俺はどうしても気になったのでマタ・ハリに問う事にした。

 

「どうして、伏せカードを使わなかったんだ?」

 

「……このデッキは【陽眼の花嫁 マルガレータ】でマスターに勝つデッキです。

 私の伏せていたカード、【破壊工作】は元々のコントローラーが私だったモンスター、【花嫁】以外のモンスター全て破壊する効果がありますが……【ガルドニクス】に破壊されてしまいますから」

 

 マタ・ハリはそう言って微笑んだ。

 

 【ガルドニクス】は効果で破壊されると次のスタンバイフェイズにフィールドのモンスターを全て破壊する効果を持っている。【花嫁】の効果で俺の敗北は決まらない。

 

 本人のしたいプレイングだから文句を言うのはお門違いだろう。手加減された感じがして嫌だというのは俺のワガママに過ぎないし……

 

「じゃあ、マスター? もう一戦、しませんか? 私、こう見えても負けず嫌いですので」

「あったり前だ! 今度こそ完勝してやる!」

 

 

 

【マタ・ハリが勝ったら……】

 

「マスター!」

「なにー?」

 

 マタ・ハリに負けた俺が要求されたのは、“甘えさせる”事だった。

 

 普段は甘やかし、相手から情報を奪っていたマタ・ハリだが、甘えたい事もあるという事だろう。

 

「私、アイスクリームが食べたいです」

「了解了解……」

 

 遊園地にやって来た俺はマタ・ハリに言われるがまま、アトラクションを楽しみ、飲食店に並ぶ。

 

「マスター! 次は……観覧車がいいです!」

「良し。行こう」

 

 2人で観覧車に入り、景色を見る。降りる頃には、マタ・ハリは俺の肩に頭を寝てしまった。

 

「思えば、一番英雄としては平凡なんだよな……」

 

 幾つもの男性を虜にしたマタ・ハリ。その潜入能力は確かに驚異的だが、言ってしまえばどれだけだ。

 

 国を率いた訳でも、大きな戦争で勝利した訳でも無い。強力な神秘が操れた訳でもなければ、何か未知を明らかにした訳でもない。

 

 経験と自身の持てる才能の全てを使用し、何かを成し遂げる事無く処刑された女。

 

 それがアサシン、マタ・ハリの英雄たる所以だ。

 

「もしかしたら、一番精神的に辛かったのかもな……」

 

 俺はマタ・ハリの頭を撫で、観覧車がそろそろ地上に近付いている事に気付いた。

 

 俺はゆっくりとマタ・ハリを抱えて、連れて帰った。

 




今回のデッキは自分がリアルで最初に大会用に作ったデッキです。
政竜をサモンリミッターでメタって倒したのはいい思い出です。(なおマッチ戦での勝率は……)
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