遊戯王なカルデア 〜シャトー外伝〜   作:スラッシュ

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ティーチングデュエル回。
今回はオリカ無しです。

あ、あとロリコン注意。


デュエルとはどんな効果だ? いつ発動する?

 新しいデッキを組んだ。

 回るかギリギリなネタデッキだが、ガチカードで無理矢理勝つ事も可能な構成だ。と思う。

 

 実際に回す為にも1人デュエルでも良いが、ここはやはり……

 

「寝よう」

 

 サーヴァントに対戦相手をしてもらおう。

 

 

 

「お母さん!」

 

 夢の中らしき場所で気が付いて直ぐに幼女が抱き着いてきたので、直ぐに辺りを見渡しておまわりさんがいない事を確認した。

 

(いない様だな……(じゅるり))

 

「でゅえる、教えて!」

「おう! 任せろ!」

 

(デュエルに幼女とは……まるで好物の焼肉とケーキを前にしている気分だ。

 しかし、まさかジャックちゃんとデュエルする日が来ようとは……!)

 

「ジャックちゃんはデッキ持ってるの?」

「これ!」

 

 ほうほう、どれどれ…………オリカ無しの基本的なデッキ……スターターデッキっぽく組まれているな。難しいカードは無いしこれなら……

 

「じゃあ、実際にやってみようか!」

 

 

 ジュウヤのLP:8000

 ジャックのLP:8000

「これはライフポイント。8000ポイントからスタートして、デュエルでは基本的にこれを削って0にするのが勝利条件だ」

 

 俺はデッキを手動でシャッフルしてディスクにセットした。

 

「ゲームの前にデッキを良く混ぜて、ディスクにセットする。まあディスクがやってくれるから此処では入れるだけで良いけど」

「どうやって混ぜるの? あっ……」

 

 ジャックちゃんの手からカードが落ちる。

 

「あらら……まあ慣れないうちは机の上に8つの束に分けたりすれば良いよ。変に力を入れたりするとカードが曲がっちゃうから」

 

 拾ったカードを元に戻しディスクに入れた。

 

「さて、まずは先攻か後攻、最初にプレイするプレイヤーと後に動くプレイヤーを決めよう。遊戯王はプレイヤー同士が交互にターンを回して戦うゲームだからね」

 

「じゃあ、先が良い!」

「うーん……悪いけど、先攻か後攻かは……プレイヤーが選んで良いけど、どっちが選ぶかを決めないと駄目なんだ。ジャンケンやコイントス、サイコロを投げて決めようか」

 

「じゃあ、サイコロで決めたい!」

 

 っく……なんて純粋な笑顔なんだ……!? サイコロを振る事すら楽しんでいる!

 

 ジャックちゃんの要望に答えて俺はディスクのシステムで大きめのサイコロを出した。

 

「行っくよー! えい!」

 

 ジャックちゃんが野球ボールサイズのサイコロを投げた。

 

 出た目は、5だ。

 

(6出るな6出るな6出るな6出るな6出るな)

 

 俺は数字の6を呪い殺せるレベルの邪念を込めて、サイコロを投げた。

 

『えーい!』

 出た目は、6だ。

 

(ファック!? 今の幻聴、ぜってー許さねぇ!)

 

「あ……負けちゃった……」

「勝った人が決めるルールだからジャックちゃん先攻で良いよぉ!」

 

 実際そうなので先攻を譲るのは問題ない。寧ろ譲らないとか悪魔の所業だろ。

 

「やったぁ!」

「まずはカードを5枚ドロー……デッキのカードを引く事だね。これが手札になる」

 

 手札を引いたがジャックちゃんの喜ぶ姿が可愛すぎるので確認は後回しだ。

 

「じゃあ、デュエルを始めよう。先ずはジャックちゃんのターンだ」

「何をすればいいの?」

 

「先ずはドローフェイズ、デッキから必ず1枚カードを引くんだけど、先攻の最初のターン出来ない。

 次はスタンバイフェイズ、まあこれは今は何も無いね。

 そしてメインフェイズ。此処でモンスターや魔法カードの使用、カードを裏側でセット出来る」

 

「えっと……」

 

 どうやら一度に言い過ぎたようだ。

 

「先ずはモンスターを出してみよっか。肌色のカード、もしくは茶色いカードは無い?」

「えーっとね……あったぁ!」

 

 笑顔で手札にあったカードを見せてくるジャックちゃん。

 可愛い。

 

ジャックLP:8000→8500

 

「あれ? 何これ?」

「え? あー……【黄金の天道虫(ゴールデン・レディバグ)】かぁ……ジャックちゃんがスタンバイフェイズの終了を宣言しなかったから発動したのか……」

 

 見せられたカードはジャックちゃんの手を離れてこっちを見つめる様に表側で浮いている。

 

《このロリコンめ!》

 

 黙れ、紳士と呼べ!

 

「そのカードの効果、能力だよ。茶色いカードは効果モンスターって言って様々なタイミングで効果が発動するんだ」

「効果……」

 

「そのカードは【ゴールデン・レディバグ】。スタンバイフェイズに相手に見せて、ターン終了時まで公開する代わりにライフが500ポイント回復するんだ」

 

「なるほど……じゃあ、コレは残して……これ出したい!」

 

【コスモ・クイーン】

☆8 ATK2900 通常

 

「……うーむ、残念ながらメインフェイズに行える通常召喚だと、☆の数が4個以下じゃないと出せないんだ。

 5個以上だとフィールドにいる自分のモンスターを墓地に送る、リリースを行わないと召喚できないんだ」

 

「この星は、レベルって言うの?」

 

「! うん、よく知ってるね?」

 

 ジャックちゃんは手元のカードを確認している。

 

「お母さん、特殊召喚って何?」

「通常召喚と違って、条件やコストを払えば1ターンに何度でもやっていい召喚の事だよ。これだと、特別なモンスターやレベルの高いモンスターもそのまま出せるよ」

 

「えっと、魔法カードは?」

「使い捨てで効果を発揮する緑色のカードだよ。条件やコストが書いてあるならそれを満たさないといけないけど……」

 

「じゃあ、私たちはこれを使うよ! 【古のルール】! レベル5以上の通常モンスターを、手札から自分のフィールドに特殊召喚するよ! 【コスモ・クイーン】!」

 

【コスモ・クイーン】

☆8 ATK2900 通常

 

 ジャックちゃんの頭の回転が早いから、ルールを理解するのも早いんだな。

 

「凄いよジャックちゃん! 初心者の最初に出すモンスターにしては凄過ぎるよ!」

「えへへ! お母さんに褒められた!」

 

 褒められて嬉しそうなジャックちゃんマジ天使。

 

「お母さん! このピンク色のカードは?」

「それはトラップカード。フィールドに裏側でセットしたターンの次のターンから、相手のターンでも発動出来るカードだよ。   

 因みに魔法カードの種類の一つ、速攻魔法カードもセットすれば同様に使えるよ」

 

「じゃあ……2枚セットして……」

「先攻の最初のターンは、攻撃ができないから他にやる事が無いならターンエンドだね」

 

「うん! ターンエンド!」

 

 ジャックちゃんは手札を殆ど使い切った様だ。残り1枚は【レディバグ】だし。

 

 

「じゃあ、俺のターン! ここからは必ずターンの初めにカードを引くよ! ドロー!」

 

 さてさて、ネタで作ったカードの足りないコンボデッキ。

 手札にキーカードが来ないと何も出来ずに負けるんだが……

 

(……完璧過ぎるんだが……)

 

 遊戯王初心者を絶対混乱させるコンボが既に手札に揃っていた。

 

『早く出して、早く早く!』

 

(今日の幻聴、なんか元気いいな……)

 

 仕方が無いので幻聴の発信元らしきカードを墓地に叩き落とす事にした。

 

「スタンバイ、メインフェイズ! マジックカード、【愚かな埋葬】を発動するよ。デッキからモンスターを1枚、墓地に送る」

「墓地に?」

 

 ジャックちゃんははてなマークを浮かべているだろう。

 

「俺が送るのは、【妖精伝姫(フェアリーテイル)―シラユキ】」

 

『お昼寝するね! 王子様のキスで起こしてね!』

 

 これがこのデッキの主役である。やっぱり幻聴はこいつが原因か。

 

「更に【マスマティシャン】を通常召喚!」

 

【マスマティシャン】

☆3 ATK1500 効果

 

「効果発動! 召喚成功時にデッキからレベル4以下のモンスターを墓地に!」

「えい! トラップ発動! 【落とし穴】! 攻撃力1000以上のモンスターが召喚されたら、それを破壊するよ!」

 

 ヒゲを指で触る小人の様な老人は、息をつく間も無く穴に落とされた。

 

「だけど、召喚は成功だ! モンスターがいなくなっても発動した効果は健在だ。効果でデッキからレベル4の【不知火の宮司】を墓地へ!」

 

 召喚成功時に発動する効果は一度発動すれば、その後に発動した【落とし穴】の効果でモンスターが先に破壊されても効果は使える。

 

 まあ、破壊されたモンスターをフィールドに必要とする効果は不発になるけど。

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンド!」

 

 

「よく分からないけど……私のターン!」

「今度はドロー出来るよ」

 

「ドローして……スタンバイフェイズ! 手札の【ゴールデン・レディバグ】を見せて、ライフを500ポイント回復する!」

 

ジャックのLP:8500→9000

 

 またこちらを見張る様に現れる黄金色のてんとう虫。

 

《ペロペロしたいんだろ? このロリコンめ!!》

 

 くっそ……! なぜこちらの考えが筒抜けなんだ……!?

 

「行っくよぉ! 【コスモ・クイーン】で攻撃するよ!」

「通す! うっぐ……!」

 

ジュウヤのLP:8000→5100

 

「俺のフィールドに何もいない状態で【コスモ・クイーン】の攻撃を受けたから攻撃力の2900が俺へのダメージになる。

 もし攻撃表示の【コスモ・クイーン】より攻撃力の低いモンスターがいた場合、【コスモ・クイーン】の攻撃力からそのモンスターの攻撃力分を引いた数字がダメージ。

 だけど、モンスターが横向きの状態、守備表示なら守備力が攻撃力より下でもモンスターは破壊されるけど、ダメージは受けない」

 

「どうやって守備表示にするの?」

 

「通常召喚をする時は攻撃表示じゃないと駄目だけど、通常召喚の代わりにモンスターを裏側守備表示でセットできる。

 特殊召喚ならなんの縛りもなければ表側攻撃表示か表側守備表示のどっちかを選択して召喚できるよ」

 

「それと、前にターンに召喚された、攻撃していないモンスターはメインフェイズ時に攻撃表示か守備表示かに変えられるよ。セットされたモンスターもね」

 

「……えーっと……つまり【コスモ・クイーン】は攻撃したから守備表示に出来ないんだね」

 

「バトルした後にメインフェイズ2に行くからモンスターを召喚したり、魔法カードの発動やセットをターン終了する前に行えるよ」

 

「んー……何も出来ない……ターンエンド!」

 

 手札は1枚。ライフ差は開いているが……

 

『……ッチラ』

(幻聴で目を開ける音が聞こえて来たんですけど?)

 

 どうしろと言うのだ。

 コンボを出せばジャックちゃんのデュエルへの興味が終わる可能性すらあるぞ。

 

 

「俺のターン、ドローして、スタンバイ、メインフェイズ!」

 

 だが、せめて逆転する意思を見せなければジャックちゃんも納得しないだろう。

 

「リバースカードオープン! 【スケープゴート】! 攻撃力と守備力が0の【羊トークン】を4体場に特殊召喚する! 全部守備表示だ」

 

【羊トークン】×4

☆1 DEF0 通常

 

「トークン?」

「ああ、カードの効果で召喚されるモンスターだよ。フィールドを離れるとゲームから消滅するんだ。

 【スケープゴート】の効果でこのカードを発動したターンは召喚・反転召喚・特殊召喚出来ない。セットは出来るんだけど……しないかな。これでターンエンド」

 

 仕方が無いので次のターンに反撃させてもらおう。

 ああ、俺、ジャックちゃんに嫌われるのかな……

 

 

「私たちのターン、ドロー! スタンバイフェイズに【ゴールデン・レディバグ】の効果発動!」

 

ジャックのLP:9000→9500

 

《ロリコン死すべし、慈悲はない》

 

「メインフェイズに手札からマジックカード、【ビックバン・シュート】を発動するよ。どうやって使うのかな……?」

 

「装備魔法カードだね。それはフィールドの表側表示のモンスター1体に装備させて、カードがフィールドに残り続けるカードだ。

 表側なら相手モンスターにも使えるのが大きな特徴だね。

 【ビッグバン・シュート】は攻撃力を400ポイントアップさせて、守備表示モンスターとのバトルでも装備モンスターの攻撃力分の数値から守備力を引いた分だけ貫通ダメージを与える効果を持つよ」

 

「じゃあ……【コスモ・クイーン】に装備!」

 

【コスモ・クイーン】

ATK2900→3300

 

「これでトークン攻撃されると3300ダメージか……痛いな」

 

「バトルフェイズ!」

 

「今だ! 墓地の【シラユキ】の効果発動! フィールド・墓地・手札にあるカードを合計7枚をゲームから除外する事で墓地の【シラユキ】を特殊召喚する!」

 

「俺はフィールドの【羊トークン】4体とセットされていたトラップカード、【エクシーズ・ディメンション・スプラッシュ】、墓地の【不知火の宮司】、【愚かな埋葬】を除外して特殊召喚!

 “慌てふためく小人さん。目覚めた時には誰もいない!” 特殊召喚、【妖精伝説―シラユキ】!」

 

『あれれ? 小人さんも王子様もいない? あ、マスターが王子様だぁ!』

 

【妖精伝説―シラユキ】

☆4 DEF1000 効果

 

 現れたのはリスの耳に、尻尾。赤いリボン……では無く緑色のリボンが巻かれた女の子。尻尾には本が結び付けられている。

 

(米国版の修正の入ったカードだ。諸々の事情でデッキに3枚積む為に手元にあった米版を入れたのだ)

 

 女の子である。しかし、ジャックちゃんの前だ。ソリッドビジョンにペロペロは控えよう。

 

「【シラユキ】には特殊召喚成功時の効果があるが……その前に除外された【不知火の宮司】とセットされて除外された【エクシーズ・ディメンション・スプラッシュ】の効果が発動する!」

 

「除外されて発動する効果?」

 

「遊戯王は墓地も除外も利用できるゲームなんだ。先ずは【ディメンション・スプラッシュ】の効果で、デッキの水属性、レベル8のモンスターを2体選択して特殊召喚する!」

「【コスモ・クイーン】と同じレベルのモンスターを2体!?」

 

「現われろ! 【スプラッシュ・サーペント】2体!」

 

【スプラッシュ・サーペント】×2

☆8 ATK2900 通常

 

「この効果で召喚されたモンスターは攻撃出来ず、効果も無効化された上で、リリースも出来ない!」

「? 唯の、お人形さん?」

 

「そして【不知火の宮司】が除外された場合、相手フィールドの表側表示カードを破壊する!」

「【コスモ・クイーン】が破壊されちゃう!?」

 

「俺が破壊するのは、表側表示の【ビッグバン・シュート】!」

 

「え? っきゃぁ!?」

 

 墓地から放たれた紅い炎が【ビッグバン・シュート】を破壊すると、【コスモ・クイーン】が爆発を起こした。

 

「【ビッグバン・シュート】の効果発動。このカードがフィールドを離れた時、装備モンスターはゲームから除外される」

 

「そんな……」

「どうする、ジャックちゃん? 【シラユキ】は相手モンスター1体を裏側表示にする効果があるけど、対象がいないので使わない」

 

「……負けないもん! 私たちのターン!」

「おっと、ストップ!」

 

 デッキトップに手を掛けようとするジャックちゃんに俺は待ったをかけた。

 

「確かに俺が色々やったけど、まだジャックちゃんのターンだよ?」

「あ……そっか」

 

 よくある事だ。相手に色々されると相手のターンと勘違いする。

 

「……ターンエンド」

 

 手札は【ゴールデン・レディバグ】1枚。何も出来ない様だ。ジャックちゃんのテンションが目に見えて下がっている。

 

 

「俺のターン! ドロー!」

 

 とは言えこちらは主役の【シラユキ】で場を荒らした後に一気に攻めるデッキ。ここらへんで本気出さないと……

 

「じゃあ、見せてあげるよ! エクシーズ召喚を!」

 

 俺は手を前へとかざして声を張り上げる。

 

「“俺は、レベル8の【スプラッシュ・サーペント】2体でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! 9つの柱束ね、神聖なる力を天空より刻め!” エクシーズ召喚! ランク8、【聖刻神竜―エネアード】!」

 

【聖刻神竜―エネアード】

★8 ATK3000 エクシーズ・効果

 

 現れたのは太陽の如き輝きと巨体を持つ聖刻の竜。

 その姿は見る者を圧倒する。

 

「……おっきい」

「エクシーズモンスターはフィールドのレベルの同じモンスター2体以上を素材としてエクストラデッキから特殊召喚できる、レベルではなくランクを持つモンスター。 

 俺は【シラユキ】を攻撃表示に変更する」

 

【妖精伝説―シラユキ】

DEF1000→ATK1850

 

 正直不安である。たとえ映像だとしてもジャックちゃんにエネアードで攻撃するのはやばい気がする。

 だって、俺の身長と足が同じ位の大きさな巨体だぞ!? これを喰らって大丈夫な訳がない。

 

「え、【エネアード】……? 優しくね、優しくしてね?」

 

『ッゴォォォ!』

 

 了解した様に吠えてくれるが逆に不安になる。

 

『私は全力で行っちゃうよぉ!』

 

「バトルだ! 【シラユキ】でダイレクトアタック! 【スノーストーリー】!」

『ええい!』

 

「うわぁ! 雪だぁ!」

 

 突然の雪にジャックちゃんは大喜びだ。

 

ジャックのLP9500→7650

 

「【エネアード】! 【セイグリッド・DP(デコピン)】!!」

『ゴォォォ……!』

 

 低く唸りながらエネアードは腕を伸ばしてそ~っと指でジャックちゃんを弾いた。

 

「あ、痛っ!」

 

ジャックのLP:7650→4650

 

「……ふう、俺はこれでターンエンド!」

 

 何もなければこのまま俺の勝ちなのだが……どうだろう?

 普段なら今のはフラグだが……

 

 

「私のターン、ドロー! ……【ゴールデン・レディバグ】の効果で、500ポイント回復!」

 

ジャックのLP:4650→5150

 

「マジックカード、【ご隠居の猛毒薬】を発動……ライフを1200ポイント回復するね」

 

ジャックのLP:5150→6350

 

「……うう……ターンエンド」

 

 随分とライフを回復するが、このままだと追い付くのは明らかだ。

 初心者がビートダウン型のスターターデッキから1枚の回復カードよりモンスターカードを入れた方が良いと気付くのが、次に進む為の第一歩だ。

 

 

「俺のターン!」

『バリアンズ・カオス!』

「ドロー! って被せるな!!」

 

 隣で嬉しそうに笑っている【シラユキ】を横目で見つつ引いたカードを確認する。

 

RUM(ランクアップマジック)―バリアンズ・フォース】

 

当然だけど、【七皇の剣(ザ・セブンス・ワン)】はデッキに入ってないから、バリアンって言ったらこれしか無いよな……

 

「……メインフェイズ! 悪いけどジャックちゃん、これで終わりだよ!」

「あぅ!?」

 

「マジックカード発動! 【RUM―バリアンズ・フォース】! フィールドのエクシーズモンスター1体を素材に、種族が同じでランクが1つ上のCX(カオスエクシーズ)CNo(カオスナンバーズ)をエクシーズ召喚扱いで特殊召喚する!」

 

「ランク……アップ?」

 

「“時の流れは逆流し、始まりは混沌より訪れる……ランクアップ、カオス・エクシーズ・チェンジ! 顕現せよ!”

 【CNo.107 超銀河眼(ネオ・ギャラクシーアイズ)時空龍(タキオン・ドラゴン)】!!」

 

【CNo.107 超銀河眼の時空龍】

★9 ATK4500 エクシーズ・効果

 

 時空を超越し、フィールドに出現したの3つ首の黄金龍。その力は時の流れすら逆転させる。

 

「攻撃力……4500……!?」

 

「ジャストキル……だね? 【タキオンドラゴン】の攻撃! ……優しくな? “アルティメット・タキオン・スパイラル”!!」

 

 【タキオン】はジャックちゃんの体をその尻尾で掴んで、コマの様にその場で回転させる。

 

「うぅ……目が回る…………」

 

ジャックのLP:6350→1850

 

「トドメだ、【シラユキ】!」

 

『スノーストーリー!』

 

ジャックのLP:1850→0

 

 

 

「このカードを入れて……」

「うんうん……あ、このカードは?」

 

 あのデュエルの後、ジャックちゃんのデッキの構築を始めた。

 

 オリカばかりで苦戦するがなんとかなりそうだ。

 

「お母さん、ギューッとするね?」

 

 胡座をかいている俺の膝の上のジャックちゃんが抱き着く。

 

「えへへ……暖かい……」

「じゃ、ジャックちゃん……可愛い!」

 

 

 

「結婚しよう!」

 

 ………………くそぅ、こう言うオチか!!

 

「くっ……夢だと分かっていた……分かっていたけど……む?」

 

 あれ、体の上にカードが2枚ある。

 

 急いでそれを裏返す。

 

「【邪神アバター】と【神炎皇ウリア】? アレ? ダイナミストも陽炎獣デッキも机の上なのに……」

 

 風でも吹いたか?

 

 

 




モリンフェンとかエンジェルイヤーズを使う人に憧れています。

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