ということで今回最終回! あ、開校祭のですよ?
次回からは新しい話になります
そうそう、なんか知らない間に総合日間ランキングに載ってたみたいで知らぬ間にお気に入りしてくれた人が200人以上増えててびっくりです。皆様ありがとうございます
それではどうぞ!
飛鳥と沙耶さんが帰ってから当然の様に仕事に戻り始め早いことに数時間が経過していた。
外を見ればもう赤いし、ラストオーダーも終わり今となってはそのラストオーダーで頼んだものを食べている人たちだけだ。
「もう時期終わりだなあ」
汚れた皿を俺の横で洗っている白兎が楽しかった時間の中で完全燃焼し切った後みたいに笑いながら俺に言ってきた。
「楽しかったな」
実際過去四回に渡ってこの学校で行って来た学園祭よりも今年の開校祭は充実していた。
意気揚々とした仲間達と共に動けて、俺たちの接客や食べ物で満足してくれる客たちの笑顔やお礼の言葉、そして何より飛鳥の存在のおかげだ。
「お前の彼女も見れたしな。いつから?」
「……彼女の話はいいだろ」
余計なことを喋っているといずれ襤褸が出そうで怖いし、これ以上白兎に情報をあげると後々怖い。
なんせ生粋の飛鳥ファンだ。万が一スキャンダルとかになれば世界中の、それこそ記者なんかよりも確実にこいつのほうが怖い。
身近で生粋の飛鳥ファンであるこいつから俺は逃げることもできずえらい目を見るに違いない。だからできる限りこいつに情報を与えたくないのだ。
「いや気になるもんだぜ? 長い付き合いの親友に彼女が居たなんてびっくりしない方がおかしいって」
「まあそれもそうだろうけど」
「だろ? それも他校の子ですごい可愛いと来た。いつの間にってなるのが自然だと思うぜ」
何度も言うが全然他校じゃないしお前もよく知っている人物だから、お前すごいファンだから、と心の中で答えておく。
これまでのばれないように動いていた効果がちゃんとありすぎたんだなあと思える。こんな身近な存在にすら俺に恋人がいたという事実を隠蔽できていたのだ、これは飛鳥も我慢できないな。これからはもっと彼女のことを考えよう。ま、もうスキャンダルが起きても不思議じゃないって感じなんだけど。普通に一緒にお昼とか食ってるし。そもそも彼女が自分の家ではなく最近俺の家を本拠としている時点で起きても何も言えないのだが。
「よっし皿洗いおーわり。いやあ働いた働いた。大人な気分」
「もう一回頑張りましょう」
「そういえばまだあったな、次はもう少し楽なのがいいな」
「接客業はつらい」
「はっきりわかんだね」
などと言い合って笑っていれば最後の客が席を立った。
それを合図と言わんばかりに全員が開校祭開始時と同じように参列し、なんの合図もなく、全員で声をあげた。
「ありがろうございました! またの機会に心よりお待ちしております!」
「お前どうすんの? 後夜祭は?」
「んー、パスで」
「まじか、打ち上げしようと思ってたのに。用事あんの?」
「用事というか、待たせてるから?」
「なるほど、じゃあ俺から言っとくわ。明日の片付けにはこいよ」
「了解」
白兎に後は任せ、俺は学校を後に帰宅路に歩き始めた。
明日本格的にやるとは多少はということである程度片付けていたら夕焼けは落ち、既に暗闇が空を埋め尽くす時間帯までかかってしまった。
「楽しかったなあ」
それと同じくらい疲れはしたが、対価は十分あったと言えるだろう。
彼女の変装も見れらし、というかぶっちゃけこれが一番でかい気がする。
「……馬鹿だなあ俺、単純なことで」
結局自分の中の一番は何よりも彼女なのだと実感する。他の、クラスメイトや友、家族よりも優先順位の上にいるのはいつだって彼女だった。
「これからはもっと頑張らないと」
これまで散々待たせたのだ。ならばこれからは彼女の要望にちゃんと答えつつ、叶うのならば俺の要望もかなえてもらおう。もう俺も我慢する理由ないし。
そんなことを考えているともう家の前、当然のように明かりがついている我が家を見て少し早めに歩き始めた。
ロビーに入りエレベーターを使って三階へ。エレベーターの扉が開いたら右に曲がり一番奥の部屋へと進み一度止まる。
目を瞑り深呼吸一つして、その扉を開けば待っていましたと言わんばかりに玄関先に彼女は立っていた。
「その表情はドッキリ成功かしら」
「本当にびっくりするからやめてほしい」
後ろ手にドアを閉めて靴を脱いで家に入った。それと合わせるように彼女も歩き始める。
「貴方のことだからお風呂より先にご飯でしょ?」
「さすがだね」
「当たり前じゃない。手を洗ってきて、温めるから」
「了解」
俺は彼女に言われた通り洗面台に向かい手を洗い流し、リビングの方に向かえば当然のように彼女はそこにいて、俺に気づいて振り返ってくれる。
「どうしたの?」
俺が何も言わずに見ていたから気になったのだろう、彼女が質問してくる。
「ねえ飛鳥」
「ん?」
「ただいま」
「ええ、お帰りなさい」
昼下がりのファッションショー
ある昼下がり、彼が友達の家に用があるとかで少し外出しており特にやることもなかったので家事をこなしていた時の出来事。
掃除も食器の洗いも服を干すのも終わり残すのは服をたたむだけとなり、何を考えるでもなくただただ服をたたんでいた。畳んでは積み畳んでは積み、畳んでいない衣類の山から新たな衣類を引き抜く。
今度のは快のワイシャツ、これは後でナイロンをかけないと、と思った矢先、ふとある考えに至った。
考えるや私はそのワイシャツに腕を通した。通したはいいものの手が袖から出ない。やっぱり快も男の子なんだなと実感する。ついで服の匂いを嗅いでみる。いつも使っている洗剤の匂い、のはずなのだが妙に別の親近感がある。
「なんだか、楽しいかも」
とりあえずワイシャツは脱いで別のところに置き、今度は彼のパーカーを手にとってきてみた。ワイシャツと違いどこか温かくなる感じがあり、それがまた私の感情を揺さぶった。
「次は何を着ようかしら」
味を噛み締めた私はまた一つ彼の衣服を手に取った。
「……そういうのはやめてくれ、本当に。心臓に悪いから」