クエスト増えたけど正直宛が外れた感じがします。
ツインテチャイナが来ると思ったんだがなぁ~…
次回から第二章!次に登場する魔戒騎士はオリジナルを予定しています。
立ち位置的には、絶狼や打無といった優牙の世界に於ける三騎士の役割です。
「陰我? 陰我と申されたか。否!これは崇高な我が望み!尊ぶべき聖処女の復讐を遂げる為の反逆なのです!」
ジル・ド・レェは宝具
迫り来る海魔を蹴り飛ばしながら優牙はジル・ド・レェの主張を真っ向から否定する。
「尊ぶべき復讐など無い!」
「そうです!いくら憎んでいると言えど、復讐なんて……」
「黙れ!この匹夫共がァァァァ!!!!」
ジル・ド・レェの怒りに反応するように、動きを活発化させていく海魔達はジル・ド・レェの宝具からどんどん召喚されていき、優牙達を分断した。
「しまった!? マスター!」
「…… 分断されたな」
『あのギョロ目、狂っているようで中々策士だな』
「マスター!ジル!もうこんな事は終わりに……!!」
「終わらぬ…… 神に、総てにジャンヌの威光を知らしめ、復讐を完遂するまでは!! 私の戦いは終わらぬッ!!」
これだけ狂っても、どれだけの犠牲を出そうとも、総てはジャンヌの為。
ジル・ド・レェは、何処までもジャンヌ・ダルクを信じ、尽くしてきたからこその兇行に出るのだ。
「このっ!! 離れなさいよっ!」
「邪魔をしないで下さる?旦那様の元へ一刻も早く駆けつけねばならないのに」
エリザベート、清姫も海魔に分断され、各々は完全に孤立した環境で戦わねばならなかった。
「さて…… まずは誰から海魔の餌食にしましょうか…… ジャンヌは勿論最後でございますが…… そうですね…… 今まで散々邪魔をしてくれた、そちらのマスターから恐怖のどん底に落として差し上げましょう」
「!?」
ジル・ド・レェはまず見せしめとして、そしてこの戦いをさっさと終わらせる為に、優牙を惨殺することに決めた。
優牙の回りを海魔が取り囲み、一匹、また一匹と飛びかかってくる。
「ハッ!ウオオオッ!!!!」
「ギィ!!」
「ギャァァァッ!!」
『キリがない!! どうするんだ優牙!?』
「先輩!」
やがて徐々に、優牙の体は海魔に纏わりつかれていき、優牙の姿は海魔によって完全に見えなくなり、ブチブチと肉の引き裂く音が聞こえる。
「先輩…!そんな……!!」
「優牙さん…!」
「アヒャッヒャッヒャ!!!! どうですジャンヌ?信じた者が喰われ、消え行く様は?痛ましいでしょう?醜いでしょう?」
「ジル…… 貴方という人は、何故…?」
「さあ!無様なマスターの肉塊をご覧に入れましょう!」
ジル・ド・レェが海魔達に指示を出し、優牙の醜い死体がある筈の場所を、ジャンヌ達に見せつけようとしたその時。
「ギィィィィィィ!!!?」
突然海魔達が苦しみ出し、海魔達の隙間からは金色の光が漏れだしていた。
「これは一体どうしたことか!? それにこの光……!!?」
ジル・ド・レェが困惑するなか、漏れだす光はどんどん増していき―――― 海魔達を滅しながら、爆発した。
ドン!
「ギィィィァァァァ……!」
『ハァァァァァ………』
光の中心には牙狼の鎧を纏った優牙が、普段は使わない黒いマントを靡かせ、優しい紫色の瞳がジル・ド・レェを鋭く睨んで立っていた。
「その光…… 正しく神の光! 漸く神は召されたか!!」
『なんだ?こいつ一人で熱くなってやがる』
『…… 哀れな』
ジル・ド・レェは完全に狂ってしまったのか、牙狼が放つ金色の光を神の光と勘違いし、歓喜にうち震え、その様子を見たザルバと優牙は呆れ果てていた。
「さあその光、我が海魔をもって汚して見せよう!待ちに待ったこの時、遂に来たり!」
そんな事も気にせず、ジル・ド・レェは海魔を優牙に差し向け、自らの目に映る神の光を消し去らんとする。
その行動は牙狼にとって無意味以外の何物でもないという事にも気づかずに……
「ギィィィィィ!!!!」
海魔達は餌にありつくため我先にと優牙に飛びかかるが、最初の一匹が牙狼の鎧に触れた瞬間、海魔の肉体は焼けただれ、喰らう事はおろか触れる事すら出来なかったのだ。
「なんと!? 我が盟友、プレラーティの海魔が!?」
『我が牙狼の鎧は穢れを浄化する。貴様の海魔では指一本触れる事は出来ない!』
「おおおお、神よ!貴方はそこまで!私とジャンヌを否定なさるか!」
『貴様のご託は聞き飽きた!』
優牙は、更なる攻撃を仕掛けられる前にジル・ド・レェを殴り飛ばし、その手に持つ
『ハアアァァァァ!!!!』
ザン!
―――― オオオオオオオオオオオオ!!!!!!
「ぐぅ…!! おのれ黄金騎士!! 我が盟友の贈り物をよくも!! 許さん!! 許さんぞォ!かくなる上は、更なるサーヴァントを召喚して――― ガフッ!?」
優牙への恨み言を吐き、次の行動を実行しようとしていたジル・ド・レェだったが、吐血して動きを止めた。
胸から、ジャンヌが腰に差していた剣を生やして……
「ジャン………ヌ? 何故……」
「もういい…… もういいのですジル。貴方はもう十分過ぎるほど私に尽くしてくれました……!」
宝具が破壊され、海魔から解放されたジャンヌは、真っ先にジル・ド・レェを止めるために、自らの剣でジル・ド・レェの霊核を貫いた。
「もうすぐ…… 貴方の潔白と、神の不在が証明、出来たというのに………!」
「先程も言いました。私は誰も憎んではいません。それに、ジルがどんなに世界を変えても、私は死に、貴方は殺人鬼になる…… それは変えられません。だから、せめて希望を残して戻りましょう?私達のあるべき時代へ……」
ジャンヌは子供をあやすようにジル・ド・レェに語りかけた。
「…… おお、ジャンヌ。聖女よ、地獄に逝くのは、私だけで……」
彼女の思いを聞いたジル・ド・レェは、憑き物が落ちたかのような安らかな顔でこの世界から消え、その場には、彼が持っていた聖杯が残った。
戦闘を終えた優牙は鎧を解除し、マシュは残った聖杯を回収していた。
「聖杯、回収完了しました!」
「…… なんか、勝ったのに後味悪いな……」
『皆良くやった!まもなく修復が始まる。レイシフトの準備は終わっているから、早く戻ってきて!』
ロマンからの通信でカルデアに帰る為のレイシフトが始まり、優牙とマシュ、それにフォウとザルバは黄金の粒子に包まれ始める。
「もう、行くのですか?」
「ああ、まだやらなくちゃならない事がある」
「あらそう?なら、お先に失礼するわ子イヌ。あなたの戦いぶり、中々だったわよ」
「もうお別れですか。ですが私、少し執念深くて…… きっとまた会いに行きます。それが『愛』というものでしょう?」
本格的に時代の修復が始まったのか、エリザベートと清姫は役目を終えて消えた。
一方、ワイバーンを足止めしていたチームの消滅も始まっていた。
「ワイバーン達が消えていく…… 終わったのか」
「その様ですね。此度は歪な聖杯戦争でしたが、
「こちらも、聖ゲオルギウスと戦えて光栄だ。――― しかし、優牙の戦いはまだだ続くのだろうな。また手を貸してやれれば良いのだが……」
「祈りましょう。彼らが、私達を召喚する事を」
「うーん…… 働き尽くしだったから、ケツが痒いなぁ…!」
「こらアマデウス!下ネタは禁止!」
「そうでした…… 失敬失敬。それにしても良い指揮だったよ優牙。今度は、普通の演奏を指揮してもらいたいもんだね」
「優牙さん。貴方のお陰でフランスは救われました。感謝の気持ちで一杯よ!貴方の勇姿、忘れないわ!貴方の行く道に幸あらん事を!ヴィヴ・ラ・フランス!」
アマデウス、マリーは優牙の働きを称賛しつつ、最後まで明るく消えていった。
「…… どうやらユウガ達がやったようだぞ、ロベルト」
「あいつは黄金騎士だからな。これぐらい当然だろ?にしても、アルフォンソやレオンの奴も召喚されると思ったんだがな」
「あの二人の出番はまだ先と言う事だろう。再び我らが召喚される事もあるやもしれん」
「マジかよ…… 人使いが荒すぎだろ、ガジャリの奴……」
すると、漸くヘルマンとラファエロも回収されるのか、二人の体からも黄金の粒子が立ち上る。
「どうやら時間の様だ…… また会おう!未来の魔戒騎士よ!」
「スゲェ奴だよユーガ。お前なら、本当に七つの世界を救っちまうかもな。あばよ!」
ホラーから世界を守った二人の英霊は、後輩にエールを送り、元の時のたゆたう場所へ還っていった。
「おお!やはり貴方はジャンヌ!」
「ジル!」
その頃城では、この時代に生きるジルとジャンヌが会合していた。
「聖女よ、生きておられたのか!良かった、貴女が居れば、フランスは復興出来よう!」
「いいえジル。私は確かに死にました。貴方もそれとなく理解している筈です。これは夢の出来事なのだと……」
ジャンヌが生きていると勘違いしていたジルは、ジャンヌにより現実を突きつけられ、泣き崩れた。
「おおおおおおお……!!!! ジャンヌよ、赦して欲しい!私達は、この国は、貴女を裏切った……!」
「大丈夫、私は誰も憎んではいません。私は確かに死にましたが、その死が、次の幸福に繋がっていると信じていますから」
ジルは泣きながらジャンヌに謝罪し、ジャンヌはそれを慈しみを持って許した。
例え正史には残らないとしても、このジルは確かに救われたのだ。
「さて、もうお別れの様です」
「はい。そろそろカルデアに戻ります」
ジャンヌとマシュは、少し寂しそうに笑っていた。
「ありがとうジャンヌ。君のお陰でフランスを修復することが出来た」
「お礼を言うのはこちらです優牙さん。あの砦で貴方達を見つけなければ、私は負け、フランスは蹂躙されていたでしょう」
そんな話をしていると、ジャンヌから黄金の粒子が出始め、優牙とマシュも霊体にシフトを始めていた。
「貴方の信じる心のお陰で、私は立ち上がれた。ありがとうございます。黄金騎士 牙狼」
「俺達も、君の折れない信念があったから、ここまで来れたんだ」
「私、貴女をわすれません。救国の聖女 ジャンヌ・ダルク」
光が溢れ、修復も最終段階に入り、回りも消え始めた。
「私達はこれでお別れですが…… また会える気がします。私の勘って結構当たるんですよ?」
「じゃあ、その日を楽しみに待ってるよ。ジャンヌ!」
そしてジャンヌは消え去り、優牙達はカルデアへレイシフトした。
レイシフトが終了し、カルデアのブリーフィングルームに戻った優牙達を待っていたのは、ロマンとダ・ヴィンチだった。
「お帰り!良くやってくれたね!」
「ただいま、ドクター」
「フォウ、フォーウ!」
「フォウさんもいつの間にか戻ってきてます。ラッキーアニマル何でしょうか?」
いつの間にかマシュの懐に潜り込んでいたフォウも無事に戻っていた。
「ほい、ロマニ。最新のデータだよ」
「ありがとうダ・ヴィンチちゃん。―――― おお!」
ダ・ヴィンチから観測データを受け取ったロマンは歓喜の声を上げ、優牙とマシュに早速結果を発表した。
「やったよ二人共!ちゃんとフランスは修復出来た!まだ一つだけだけど、これは大きな一歩だよ!」
「やりましたね!先輩!」
「そうだね、マシュ」
やって来た事が無駄ではなかった事を喜ぶマシュを優牙は微笑ましげに見ていた。
「人員も物資も、何もかも不足している状況で、良くやってくれたよ二人共。今いるカルデアのメンバーを代表して言うよ!君たちはもう、カルデアが誇る一流の
「いや、俺は魔戒騎士なんだけど」
「堅いこと言いっこなしだよ優牙君」
ロマンの魔術師発言にツッコミを入れながらも、優牙は使命をやり遂げられた事を内心喜んでいた。
「二人共疲れただろう?次の任務まで時間がある。シャワーを浴びて、ベットでぐっすり疲れを取ってくれ」
「その薦めには抗い難いものを感じます。行きましょう、先輩」
マシュに手を引かれた優牙は、ブリーフィングルームを出て、マイルームへと向かうのだった。
「お疲れ様でした、先輩」
「マシュも、良く頑張ったね。体は大丈夫?」
「はい、大丈夫です。私は先輩の役には立てなかったけど、なんとかやっていくだけの覚悟は出来ました」
そこまで言うとマシュは、何かを思いだし、考える様に顔を俯かせる。
「どうかした?」
「いえ…… ジル・ド・レェの事を思い出していて… 彼は正史では、ジャンヌさんの死により心を壊し、殺人鬼となりました。話では分かっていたんです、でも実際みると、どうしてあんな風になったのか分かんなくて、私はそれを受け止めるだけの心がなくて……」
マシュがフランスでみた二人のジル・ド・レェ。
生前のジルを見る限り、彼は狂気に走る人間ではないが、青髭となった彼は狂気にまみれ、殺人を犯した。
本人が口にした狂気に堕ちたその理由を、マシュは受け止められずにいたのだ。
「マシュ。人の心っていうのは強いけど脆い。昨日まで光の道を歩んでいた者が、闇に堕ちる場合がある。こればかりは人間だからとしか、俺は答えられない」
「人間だから…… アマデウスさんもその様な事を言っていました。私にはそれがどういうものなのか分かりませんが、少しずつ理解していこうと思います」
「うん、それがいい。ゆっくり焦らず、一緒に知っていこう」
「はい、先輩」
そして、優牙のマイルームの前に到着した。
「では、私はここで。夢の中にも聖女の加護があらんことを祈ります。お休みなさい、先輩」
「お休み、マシュ」
こうして優牙達は特異点の一つ、フランスを修復した。
だが、特異点はフランスだけではない。
未だ6つの特異点が崩壊の危機に晒されている。
戦いは苛烈を極めていくだろう。
だが、忘れる事なかれ。
彼のもう一つの名、黄金騎士 牙狼。
この名は何時だって、世界に希望を与え続けている事を………
過去の栄光、輝かしき日々。
それらが襲い来る時、人は何を想うのか?
何もかも閉ざされ、狂気に満ちたその世界で……
次回 二章 永続狂気帝国セプテム 第一節 帝国
咲き誇れ!情熱の紅薔薇!