GARO/Grand Order   作:響く黒雲

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皆さん、水着イベントやってますかー!
今回はストーリーも良いし、周回もあまり苦にならない感じなので、良いイベントだと思います!

因みに私は水着鯖はアンメア引きました(サモさんが良かったなんて口が裂けても言えない……)


輪廻

予期せぬダレイオス三世との戦いを終えた優牙達は、ラルヴァからのメッセージによってブーディカが捕まった事を知り、急ぎネロ達と合流する。

 

合流するとネロ達は既に帝国連合軍との戦いを終わらせていて、既に陸人も戻ってきている事からネロもブーディカの事は知っているようだった。

 

「すまないネロ…… 俺が敵に夢中になったばかりに……」

 

「……」

 

ネロは陸人の謝罪が聞こえない程呆然として地面を見つめていた。

 

「ネロさん!」

 

「………… ん?ああ、すまぬ。ちょっと考え事をしていた、と思う」

 

マシュに呼ばれてようやく正気に戻っていたが、どう見てもネロが普通の状態ではないのは誰が見ても明らかだった。

 

「うむ、余は決めたぞ。今ブーディカを失うのは余りに痛い。連合軍からブーディカを救い出すぞ!」

 

『待った。今、ブーディカを助けに行くのは危険だ。ブーディカはサーヴァントだ。それを捕らえられるのはサーヴァント以外にあり得ない。となると……』

 

「罠の可能性があると言うことですね。ドクター」

 

陸人の話だと、二人組のサーヴァントによりブーディカは捕らえられ、その内の一人はキャスタークラスらしき宝具を使ったそうだ。

 

であれば、罠の可能性は極めて高かった。

 

「罠なら、踏み砕いて行けば良いだろう?」

 

「瞬さん…… ですが、リスクが」

 

「どのみち決めるのはマスターである優牙だ」

 

『そうだね。優牙君、どうするんだい?』

 

皆の目線が全て優牙に向けられる。

そんな中、優牙は数秒目を瞑り、見開くと―――

 

「決まってる。ブーディカを助ける」

 

――― 迷わずブーディカの救出を決めた。

 

「瞬の言う通り、罠は踏み砕けばいい。()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それが魔戒騎士だと、俺は教わった」

 

「僅かでも可能性があるなら…… いい言葉ですね。先輩」

 

『全く、どれだけ命知らずなんだい?魔戒騎士って』

 

もっともロマンは優牙が最初からその選択をすると分かっていた様で、モニター越しで笑っていた。

 

「だから陸人も、何時までも悔やまないで救うことを考えなよ」

 

「…… ああ、そうだな!」

 

座り込んでいた陸人に手を差し伸べると、陸人はしっかりと握って立ち上がった。

 

「さてと、そうと決まったら早速お返しに行かなきゃな!」

 

「うむ!では行くぞ。幸い砦は近い、ブーディカを救うぞ!」

 

ネロ率いるローマ軍は、ブーディカが連れ去られた砦へ進軍を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『近いぞ、サーヴァントの反応だ。数は二騎』

 

先程の戦場から然程離れていない場所に砦は在った。

着くと同時に、必死にブーディカをネロは探し始めていた。

 

「何処だブーディカ!余には分かるぞ!お前は死んでいないとな!」

 

「うーん…… それは少し勝手が過ぎるんじゃないかな……」

 

そんなネロの叫びに真面目に答える声が一つ。

砦の奥から出てきたのは赤髪の少年と、彼の軍師であるロード・エルメロイ二世。

 

「やあ。待っていたよ。ネロ・クラウディウス」

 

「ブーディカは何処だ!!」

 

「彼女かい?今はすやすや眠っているよ」

 

「拘束だ。魔術で縛っているんだ、すやすやとは違うだろう」

 

「でも彼女、すやすやと寝てたよ?」

 

「………」

 

そんな少年の報告に何とも言えない顔になっているエルメロイ二世をそっちのけでネロは剣を構える。

 

「見たところ砦の将だな?名を名乗るがよい!」

 

「名乗らせてくれるのかい?でも僕はたくさん名前があるからなぁ…… よし、アレクサンダーと名乗っておこう」

 

「ロード・エルメロイ二世だ。別段、覚えなくていい」

 

「あんた、時計塔のロードだろう?何故サーヴァントになっている」

 

優牙達三人の魔戒騎士は、というより元老院は魔術師として最高権力であるロード達を警戒していた。

 

故に優牙達はロード達の素性を記憶していて、何時でも粛清出来る様にしていた。

 

その中でもロード・エルメロイ二世は比較的話の分かる魔術師で性格的にも問題ないとされたロードだったのだが……

 

「なに、君達カルデアや魔戒騎士に言っても解らんさ。それに私は()()()だ。余り気にしないでくれ。アレクサンダーはマスターがいるようだが」

 

「うん、どうも僕はマスターと合わなくてね。だから僕は僕として、君と話したかったんだ。ネロ・クラウディウス」

 

「余と、話したいだと?」

 

「そう、だから手は出さない。――― さぁ、話そうよ」

 

その時けたたましい雄叫びと共に、背後から帝国連合軍の兵士達がローマ軍に襲いかかった。

 

「マスター!背後から敵軍です!」

 

「挟撃か!」

 

「だから、僕は手を出さないよ。でも、彼らはもう敵を見つけたら自動的に戦うようになっている。止められはしないよ」

 

言葉通りアレクサンダーとエルメロイ二世は手を出してこなかったが、こうしている間にも敵兵はネロ迫っていた。

 

「来ます先輩!」

 

「ネロを守るぞ、瞬!」

 

「ああ。遅れるなよ荊軻」

 

「フフ、言うじゃないか?」

 

優牙を筆頭にマシュ、瞬、荊軻は敵兵士を押し止めるために軍勢の真っ只中に飛び込んでいく。

 

アレクサンダーとエルメロイ二世の前に残ったのはネロと陸人だけだ。

 

「うん?君は行かないのかい?」

 

「何だかんだ戦う気満々のヤロウ二人に家の可愛い皇帝様を置いとく訳にはいかないんでね♪」

 

「僕は話したいだけなんだけどなぁ~」

 

「止めておけアレクサンダー。魔戒騎士と言うのは感情の機微には人一倍敏感だ。出任せは通じないぞ」

 

「そういうこと」

 

陸人の顔は笑っているが、明らかに目が笑っておらず、黒い魔法衣の袖に仕込んでいる黒鞘から二振りの魔戒剣を取り出してクルクルと回していた。

 

「それはおっかないや。じゃあさっさと始めようか」

 

「…… 分からぬ。余の兵も、貴様の兵も少なからず死んだぞ。それでも、余と話す為だけに貴様は使うと言うのか?」

 

「そうだよ。別に人の命をどうとも思ってない訳じゃない。それが一番いいと思ったから」

 

ニコニコしていたアレクサンダーの表情が変わる。

それは紛れもなく王の顔。

何時の日か、世界を踏破する覇王の顔その物だった。

 

「ネロ・クラウディウス。君は何故――― いや、いつまで戦うつもりだい?」

 

「なんだと?」

 

「連合の『皇帝』に連なる者として恭順すれば、無駄な犠牲を出さずに済むと言うのに」

 

アレクサンダーの言う事は人として当然の感情。

偉大な先駆者達がこぞって襲いかかり、降伏を迫れば人はそちらに靡く。

 

たがネロは皇帝である。

全てを傲慢に背負い、繁栄の極みを目指す者。

そしてネロの性格上それは許せぬ事だった。

 

「無駄と言ったか?この戦いを…!!」

 

「言ったよ?それで?」

 

「許さぬ…… 余はローマ帝国第五代皇帝ネロ・クラウディウス!たとえローマの神々が連合に降れと言おうとも!偉大なる神祖が襲い来るとしても!余は屈せぬ!」

 

「今は余の時代だ!余だけが、民に愛され、民を愛することが赦される!傲慢にも全てを背負う事が赦される!ローマの栄華を極める…… それこそが、余が誓った事に他ならないからだ!」

 

「良く言った!それでこそだ!君は皇帝―― いや、覇王になるといい!人の堕落を表す数字の獣よ!君は、魔王にだってなれるよ!」

 

ネロの回答に満足したのか、アレクサンダーは王気を出したまま剣を抜き取り、それを見たエルメロイ二世はやれやれと言いながら扇を構える。

 

「まったく、結局こうなったか……」

 

「ならなくても俺はやるつもりだったがな」

 

一方でネロは何が気に入らなかったのか、更に激昂していた。

 

「黙れ!黙れ黙れ黙れ!! これ以上の問答は不要!故に余は貴様を倒―――!」

 

「待った」

 

怒りに任せて原初の炎を抜いてアレクサンダーに飛びかかろうとするネロだったが、陸人が前に立ちそれを制する。

 

「何をするのだ陸人!」

 

「落ち着けって。熱くなるのはいい、でも冷静でいろよ?君は皇帝なんだし」

 

「う、うむ… それを言われると弱いな…」

 

「それに」

 

陸人は逆手に構えていた魔戒剣の片方を順手に回して、アレクサンダーとエルメロイ二世に指し向ける。

 

「あの二人には個人的な借りがあるしな」

 

「陸人…… そなたまさか」

 

『それが本音ですか……』

 

これにはネロもラルヴァもあきれ果てていた。

 

「生憎だけど、僕は負ける気はないんだよねッ!」

 

するとアレクサンダーが持ち前の瞬発力を使ってネロに飛びかかる。

 

「ネロッ!」

 

「お前の相手はこちらだ」

 

ネロはアレクサンダーの剣を危なげなく反応して受け止め、鍔迫り合いを始める。

 

そんなアレクサンダーの背に斬りかかる陸人だが、後ろにいる軍師が許す筈もなく、風の魔術で吹き飛ばされる。

 

「邪魔すんな!」

 

「これでも軍師なのでね。王の邪魔はさせんさ」

 

扇を一振りすると、陸人の足元がせり上がって赤く明滅する。

 

「ヤバッ!?」

 

危険を感じた陸人が、その場を飛び退くと同時に地面が爆発して、爆発で飛んでくる石を魔戒剣で捌く。

 

「流石、時計塔のロードって所か」

 

『感心している場合ではありませんよ、リク』

 

「陸人!行ったぞ!」

 

ネロの声に反応した陸人が後ろを振り向くと、そこにはネロと斬り合っていた筈のアレクサンダーが陸人目掛けて剣を振るっていた。

 

「貰った!」

 

「うおおおっ!? フッ!!」

 

「ガッ!?」

 

アレクサンダーの剣をギリギリの所で避けると、普通の人間なら不可能な体勢からアレクサンダーを蹴り込んだ!

 

「つぅ~、ははっ、楽しいね。成程、未来の僕が夢中になる訳だ」

 

「お前のその戦いを楽しむ癖はどうにかならんのか…」

 

「俺はちっとも楽しくないけどなッ!」

 

すかさず陸人は殴り込む様に魔戒剣を振るい、アレクサンダーとエルメロイ二世を攻撃していく。

 

「ふむ、ならばこれでどうだ」

 

再びエルメロイ二世が扇を振るうと、陸人――― ではなく、ネロの頭上に岩が落下してくる。

 

「ネロ!」

 

「心配するな。この程度訳はない!はぁああああっ!!」

 

炎を纏った原初の炎を一振りすると、落下してくる岩

は跡形もなく消え失せたが……

 

「やはり英雄の力は凄まじいな。だが、突破すると分かった上で行動すれば問題ない」

 

「ネロ!! そこを離れろ!」

 

ニヤリと口許を緩めたエルメロイ二世を見て、彼の掌の上で踊らされている事に辛うじて気づいた陸人がネロに警告を叫ぶが――――

 

「なっ?! これは!!」

 

「『石兵八陣(かえらずのじん)』諸葛孔明の究極陣地だ。破れるのなら破って見せろ」

 

「このっ!! くっ、まともに動けん……!!」

 

先の戦いで、陸人が二人に嵌められた要因でもあるエルメロイ二世の宝具『石兵八陣(かえらずのじん)』。

 

石柱に捕らえられたネロは、先程よりも強固に掛けたのか、身動きが取れなくなっていた。

 

「流石だね、エルメロイ先生」

 

「後は、そこの魔戒騎士だけだ」

 

「……」

 

状況は二対一と陸人が不利なのだが、陸人からは未だ不屈の闘志が湧き出ていた。

 

「はぁー。全く……」

 

「「?」」

 

「女の子には優しくしないと駄目じゃないか」

 

陸人がその場で魔戒剣を振るうと、魔戒剣は柄から直角に曲がり、トンファーの形になる。

トンファーと化した魔戒剣を握り、ボクサーの様な構えを取ると、一気にエルメロイ二世の懐に飛び込んだ。

 

「グハッ!?」

 

「速い!?」

 

「シッ!!」

 

「くっ!! はぁっ!!」

 

エルメロイ二世を抉り斬り、アレクサンダーにも殴りかかるが、避けられ、反撃される。

 

『リク!左です!』

 

「分かってるよ!」

 

襲い来る斬撃を、左のトンファーで受け止めると、陸人はアレクサンダーの服を掴み、魔術で反撃してきたエルメロイ二世に投げつけた!

 

「うわっ!? がっ!!」

 

「何?! ぐおっ!?」

 

アレクサンダーは魔術を受けながらエルメロイ二世に激突し、縺れ合い倒れた。

 

「さて、そろそろ向こうも終わるだろうし、こっちも決めますか!」

 

陸人は、腕を頭上でクロスすると、二振りの魔戒剣を回転させた。

 

魔戒剣の軌跡は銀色に輝く円を描き、陸人の体を照らし、やがて円が砕けて黒と銀が入り交じったモノクロの鎧が召喚された。

 

『ハァァァァァ……』

 

綺羅びやかに輝く黒鉄と星の様に光る白銀。

仮面は牙狼よりも獣らしく牙が長く、その瞳は赤みがかっていた。

 

紋章はメビウスの環の形状とほぼ同じ。

魔戒剣は半月の様な見事な弧を描いた二振りの輪断剣と変化していた。

 

その名も、輪廻騎士 星狼(セロ)

魔戒騎士の中で唯一、鎧の色が二色ある騎士である。

 

「へぇ、それが君の宝具かい?」

 

『悪いが時間がないんでな、一気に決めさせてもらう!!』

 

陸人は輪断剣をトンファーから双剣に戻し、アレクサンダーに斬りかかる。

 

『オラァッ!!』

 

「そんなの!」

 

アレクサンダーは輪断剣を自身の剣で受け止めようとするが、剣がぶつかる瞬間、陸人は輪断剣を返して峰で剣を受けた。

 

そして……

 

『そらよっ!』

 

「あっ、しまった!」

 

勢いのまま剣を振り抜き、アレクサンダーの剣を弾いた。

 

『これで終わりだ!!』

 

好きが出来たアレクサンダーに、輪断剣を振りかざすが―――

 

 

ザシュッ!!

 

 

「くっ…」

 

『何!?』

 

輪断剣はアレクサンダーではなくエルメロイ二世を斬り裂いた。

 

「先生!」

 

「アレクサンダー…… 宝具を発動させろ……」

 

「!…… 分かったよ」

 

輪断剣はエルメロイ二世の霊核を確実に斬り裂いたのを悟ったアレクサンダーは、陸人に目掛けて宝具を発動させる。

 

「我が敵を潰せ!『始まりの蹂躙制覇(ブケファラス)』!!!!」

 

ブケファラス、それはアレクサンダー大王の愛馬、そしてライダーのサーヴァントである証。

 

その巨体を活かした一撃が陸人に迫るが……

 

『…… ハッ!』

 

 

ドォオオオオオオン!!!!

 

 

陸人は踏み潰される前に砦の塀に飛び上がり、アレクサンダーの宝具ブケファラスを回避した。

 

『フゥゥゥ…… ハァッ!』

 

二振りの輪断剣をトンファーに戻し、互いの鋒と柄頭を連結させ、完全な円を描く偃月刀に変えた。

これが輪断剣のもうひとつの形態、輪廻断絶剣。

 

『ハァァァァァ…… オラァッ!!』

 

赤みがかった瞳でブケファラスに乗るアレクサンダーを見据えると、陸人は砦から飛び降りながら輪廻断絶剣を投げつけた。

 

「!? ブケファラス!!」

 

甲高く鳴いて主を守ろうとするブケファラスだったが、輪廻断絶剣のほうが素早く、ブケファラスの首が刈り取られた。

 

「ぐあっ!? ブケファラ―――!?」

 

『オオオオアアアアアッ!!!!!!』

 

 

ザン!!

 

 

ブケファラスから落馬し、その安否の確認をする前に、素早く輪廻断絶剣を回収していた陸人により、アレクサンダーの霊核は完全に破壊された。

 

「グフッ!! …… ク、ハハ、負けちゃった」

 

『……』

 

「最後にひとつ教えておくよ、ネロ・クラウディウス…… 君の考えは確かに尊いものだけど、同時に危険でもあるんだ…… だから、どうか――」

 

「ふん。お節介などお前が――― いや、貴方の言えた義理ではないな」

 

そうしてネロへの忠告は、最後まで終わる事なくアレクサンダーは消滅し、後を追うようにエルメロイ二世も消えた。

 

それを見届けた陸人は、星狼の鎧を解き、石兵八陣(かえらずのじん)より解放されたネロに手を差しのべた。

 

「立てるか?」

 

「うむ……… アレクサンダー、それでも余は皇帝なのだ。……… 皇帝、なのだ………」

 

強気な事をネロはアレクサンダーが居た場所を見据えて言うが、その顔は未だに迷いに満ちた不安な表情をしていた。




決戦を間近にしているって言うのにとんでもない奴が出てきたな。

何? 牙狼剣が奪われただと!?

こいつは厄介な事になりそうだ。


次回 第九節 神祖


黄金の皇帝(ローマ)、降臨ッ!
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