GARO/Grand Order   作:響く黒雲

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ネタのつもりで言ったのに……… マジかよ…… イリヤ当たっちゃったZE☆ ヤッフゥゥゥッッッ!!!!

イベントも明日の更新を待つばかりです。
クロを宝具5にせねば……

後、絶狼の特報見ました?新しい魔導火の活用がすごいし、やっぱり絶狼格好いいなぁ~!

それでは、本編をどうぞ!


言葉

――――― あれは何時の頃だったか。

 

父さんは普段あまり笑わず、笑顔を見せない“厳格”と言う言葉がこれでもかと似合う人だった。

 

アンナの助けもあり、財閥の職務を全うしながら修練で剣の腕前を磨き、時間がある時は積極的にエレメントの浄化を行う、正に最強にして理想の魔戒騎士だとよく噂されていた。

 

それでも俺は、子供ながらに思ってしまった。

――― どうして父さんは笑わないのか? もしかしたら父さんは心の無い人形の様な人なんじゃないか?と……

 

今思えば愚かな事を思ったもんだ、と悶えたくなるが、ある日俺は母さんに聞いてしまった。

 

「父さんは、人形なの?」

 

「? どうしたのー、優牙。お父さんが人形だなんて」

 

俺は母さんに思った事をありのまま伝えた。

すると母さんは驚いた後、とても可笑しそうに笑った。

 

「あははは!…… そうねぇ、確かにお父さんは笑わないし、無愛想だよ?でもね、優牙。貴方のお父さんはこの世で一番優しい人なの。強くて優しい…… ね」

 

そう言って母さんは俺の頭を撫でてくれたが、やっぱり俺には分からなかった。

 

後でアンナにも聞いてみたが、やっぱり答え同じ。

アンナ曰く、『本当に強い人の笑顔は誰よりも優しい』だそうだ。

 

やっぱり俺には分からなかった。

 

ある日、父さんに魔戒騎士の修行を見て貰っていた時、不意にこんな事を言ってきた。

 

「優牙。魔戒騎士に必要なものは何か、解るか」

 

「魔戒騎士に必要なもの?」

 

俺は暫く考えた後、答えてみる。

 

「剣の腕前?」

 

「そうだな。それも必要だが、違う」

 

「ホラーを見極める感覚?」

 

「違うな」

 

「そっか!鎧だ!」

 

「フッ…… 違う」

 

結局、答えは見つからずに頭を抱えてしまった。

 

「じゃあ、なんなの?」

 

「いいか、優牙。覚えておけ、魔戒騎士に必要なものは剣の腕でも鎧でもない……。大事なのは――――」

 

今思えば、父さんは分かっていたのかもしれない。

だから急に、俺にこんな事を聞いてきたんだろう。

 

その半年後、父さんは母さんとの旅行中にホラーの襲撃を受け―――― 二人共、行方が分からなくなってしまった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「■■■■■■■■――――ッ!!!!」

 

「ははは、はははははははははははは。時は来た!我が意志と肉体をもって、圧制者より解放せん!」

 

連合帝国首都、今まで敵を追いかけていたスパルタクスと呂布がようやく敵を殲滅し終えたのか、首都に戻ってきて連合帝国軍を殲滅し始める。

 

それによりローマ軍に勢いが付き、次第にローマ軍が連合帝国軍を押していく。

 

「…… ふーん。なるほどね。それであいつ、落ち込んじゃった訳だ。しかも、肝心のマスターまであんな調子で……」

 

「そうか?優牙は確かに目に見えて落ち込んでいるが、ネロ帝はそうでも無いようだが。今も戦場を駆け巡って士気を高めているようだが」

 

首都の偵察に出ていたブーディカと荊軻は、今までの総てを聞き、考察に耽った。

 

荊軻の言うように、ネロは戦場を駆け巡って兵士たちの士気を高めているが、ブーディカには違和感しか感じられなかった。

 

「うーん…… 何時もより光が陰っているって言うか、明らかに光量が減っているね」

 

「私にも分かります…… その、覇気が薄れていると言うか… 何時の明るいネロさんでは無くなっています」

 

関わって日の浅いマシュでさえこう感じているのだ、常人では分からない程の差ではあるが、ネロの覇気はどうしても上がり切れずにいた。

 

「神祖ロムルス。確かにご先祖様が出てきたら、そりゃあ、気も動転するだろうけど……」

 

「今は不味いな。兵士たちに気づかれていないが、軍の士気にも関わってしまう」

 

『神祖ロムルス。かの建国王がまさか魔戒騎士とはねぇ。これは誰にも予想出来なかった』

 

「先輩……」

 

マシュは心配そうに優牙を見る。

今は危なげなく連合の兵士を捌いているが、普段よりも技のキレがない。

 

これでは遅かれ早かれ、体力と気力が底を尽きてしまうだろう。

 

「彼も彼で大変だね。自分が大事にしていた剣も、鎧も、あまつさえ誇りと自信さえも打ち砕かれて……」

 

「それでも戦えているのは気にしていないのか、魔戒騎士だからなのか……」

 

『建国王ロムルス。七つの丘(セプテム・モンテス)を打ち立てローマを作り上げた英雄。彼は軍神アレスの子でもあったそうだ』

 

「成程、納得。それだけの英雄なら、連合帝国の兵士に対して相当なカリスマを発揮出来る訳ね」

 

連合帝国とローマ軍の兵士の違い。

それは根本的な士気の違いだろう。

 

ローマ軍の士気は、良くも悪くもネロに依存している。

 

その為、ネロに何かあればローマ軍は即座に崩壊してしまうだろう。

 

対して連合帝国には、名高き皇帝が多数いる上、そこに自らが神聖視する神祖ロムルスのカリスマが加わる。

 

人々は自らが信じる神がついているに等しい状態で戦っているが故に、連合帝国が負けるとは微塵にも感じず、自らが死しても神祖や他の皇帝が成し遂げると信じている。

 

彼らには洗脳にも違い一体感の元、自らの犠牲も問わず戦い続けている。

 

自分が死んでも、神祖さえ生きていれば、必ず勝てると信じているいるから。

 

「正直、連合の兵士は異常だよ。それどころか、市民まで兵士気取りで向かってくる始末。神祖っていう光に群がる蛾のように」

 

『兎に角、ロムルスを何とかしない限り、この戦争には勝てないようだね』

 

「ですがドクター。彼は……… 彼は先輩の鎧を持っています。鎧の強力さは、身をもって見てきました」

 

『そうなんだよねぇ~…… せめて鎧をどうにか出来れば……』

 

「鎧と言えば、瞬と陸人はどうしたのだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラァッ!」

 

「ぐふっ!?」

 

その頃陸人と瞬は、連合の兵士を気絶させながら、ロムルスへの闘志を燃やしていた。

 

『リク、少し飛ばしすぎですよ』

 

「平気さ、ラルヴァ。これぐらい」

 

「そのこれぐらいが命取りになる。気を付けろ陸人」

 

『お前にも言える事だ。瞬』

 

二人共、ロムルスに受けた屈辱と悔しさを忘れず、少しでもロムルスに近づこうと、積極的に道を開いていた。

 

『リク。貴方、ロムルスに言われた事を覚えているのですか?ただ闇雲に戦うだけでは……』

 

『お前もだ瞬。鎧に頼りすぎる…… 言われるまで気がつかなかったのは、俺たちにも落ち度はある。だが、今のままでは……』

 

しかし二人の魔導輪であるラルヴァ、ガルバはそんな二人がロムルスに勝てるとは余り考えていなかった。

 

「分かっている、ガルバ。俺たちもずっと考えていた。魔戒騎士に必要なものを……」

 

「俺たちに必要なものって言ったらやっぱアレだろ?」

 

「「守りし者としての魂!」」

 

だが二人は偶然にも同じ答えを既に見つけていた。

だからこそ二人は積極的に道を開いていた。

それを教えてくれた一人の騎士のために。

 

『リク…… でも、彼は疲れきっています。答えを見つけられるかどうか……』

 

『瞬に守りし者としての道を拓いた者だ。立ち直ると信じたいが……』

 

「俺たちだって見つけれたんだ、あいつが見つけられない筈がないだろ」

 

「ああ。それにガルバ。お前はあいつが誰だと思っている?」

 

瞬に言われたガルバは一瞬考えるが、直ぐに瞬が言わんとしていることが分かった。

 

『……… あぁ。そういうことか』

 

「そうだ。あいつは最強の魔戒騎士。黄金騎士 牙狼だ。敗けたまま終わる事はないさ」

 

何処から沸き上がってくるのか分からない絶対的な自信だが、二人の直感が確信していた。

 

優牙は立ち上がる、何度打ちのめされても諦めなかったあの時の様に、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「覚悟ッ!」

 

「……… フッ」

 

「ぐおっ!」

 

「ハッ……」

 

「がはぁっ!」

 

フラフラと寄ってくる敵を次々と倒していく優牙。

兵士を倒す度にロムルスに言われた事が、頭に繰り返し繰り返し思い出される。

 

 

―――― その器、未だ黄金騎士を受け継ぐに至らずッ!

 

 

「…… ッ!」

 

 

―――― 未熟、未熟。大方、今まで鎧の力を頼りに戦ってきたのだろう。

 

 

「……… んなこと………」

 

 

―――― ソウルメタルを操り切っておらぬわッ!

 

 

「そんなこと…… 分かってるんだよ…… ッ」

 

思い返される度に優牙の心は荒み、半ば八つ当たりに近い状態で拳を振るっていた。

 

 

―――― 真に、魔戒騎士として必要なものは何か。

 

 

「俺には…… 分からない……」

 

遂に精神に限界が来た優牙は、その場に膝をついてしまった。

 

『……… なんてザマだ、優牙。お前が諦める日が来るとはな……』

 

「…… ザルバ」

 

『今までのお前なら、何が何でも諦めなかった筈だが?』

 

「…… 分からないんだよ……」

 

優牙は、今にも泣きそうな声色で、バートナーであるザルバに言った。

 

「今まで俺は、牙狼としてやって来た。でも、どうだよ。鎧は奪われて、魔戒騎士としても未熟…… なぁ、ザルバ。鎧も剣もない、それどころか相応しい誇りもない…… そんな俺は…… 魔戒騎士と言えるのか…?」

 

先人たるロムルスに騎士としての今までを否定され、鎧すらも奪われた。

 

魔戒騎士としての何もかもを失った優牙には、これからどうすれば良いのかも、魔戒騎士として必要なものも見定められずにいた。

 

『さあな』

 

そんなザルバが取ったのは突き放すことだった。

 

『俺様は魔導輪だ。人を慰めたりはしないし、慰める様な言葉も教わっていない。そんな風に作られていないからだ』

 

「………」

 

『だがな、優牙。そんなお前に、今俺様が掛ける言葉はたった一つだ。旧魔界語で、希望を意味する名が何かは知っているな?』

 

たったこれだけの単純な問いかけ。

だが今の優牙に取っては、精神的に持ち直すには十分な言葉だった。

 

熱くなった目頭を拭い、今までと同じとは行かなくても、少し毅然とした態度が戻った顔でザルバに返答する。

 

「……… ガロ。俺が、父さんから受け継いだ名だ」

 

『それでいい。それさえ忘れなければ、お前さんは大丈夫だ』

 

少し、気が楽になった優牙は立ち上がり、再び歩き始める。

 

ロムルスの言った魔戒騎士として必要なものを見つける為に。

 

「あっ…… 優牙か……」

 

「ネロ…」

 

そんな時、優牙は戦場を駆け巡っていたネロに、偶然にも会った。

 

やはりネロもロムルスの登場は衝撃だったのか、表情には陰りが一層増していた。

 

「マシュは一緒では無いのか?」

 

「うん……」

 

「そうか…… そう言うこともあるのだな。お前たちは何時も一緒だったからな…… そう思ってしまったのだ、許せ」

 

「そういえば…… そうだっけ」

 

今更ながら、優牙は隣で何時も支え合っていたマシュが居ない事に気がついた。

マシュが居ない事に気がつかなかった自分を、優牙は自嘲した。

 

「………」

 

「………」

 

空気が暗いまま、時間が過ぎる。

二人共、今目の前にある問題が大きすぎて、話が見つからなかったのだ。

 

「…… すまんな優牙。見苦しい所を見せてしまった。伯父上やカエサル殿の時も、それなりに失態を見せてはいたが……」

 

「いいさ…… ネロも、ロムルスに思うところがあるんだろ…… ?」

 

「うむ…… 彼を見た時、余は…… 思ってしまったのだ…… もしや、余は間違っているのではないかと……」

 

それは紛れもないネロの本心。

今まで頑なに笑顔で隠し、見せることの無かったネロの本当の、偽らざる今の気持ちだった。

 

「勿論、その様な事はない…… 余は、ローマ皇帝なのだから…… だが、もしや…… もしやと……」

 

「ネロ……」

 

「………… ええい!この際だから言ってしまうぞ!余は、神祖の元に降ってしまいたい!神祖だぞ!? 余が束になっても勝てるか分からぬ相手だ!神祖が余を断ずるならば、連合に名を連ねる皇帝となって、全てを委ねてしまいたい!」

 

次の瞬間、今の怒濤のような心情の吐露が嘘のように収まり、ネロは語る。

 

そうできない理由を……

 

「だが…… それは出来ぬ…… 出来ぬのだ!きっと、神祖は間違っている。見よ!この街を!」

 

ネロは、優牙に連合帝国の国を見せつける様に叫んだ。

 

「連合の者は誰一人として笑っておらぬ!いかに完璧な統治であろうと、笑いの無い国があってなるものか!」

 

ネロが何よりも大切にするものの一つ。

それは自国の民の笑顔。

それがない連合には、何が何でも降る訳には行かないのだ。

 

ネロの全ての思いを聞いた優牙は、静かに両手をネロの肩に乗せて言った。

 

「大丈夫。ネロは何も間違っちゃいない。ネロの思う通りに進めばいい」

 

「そうか…… そうだな!そうであった。余は大切な事を忘れるところであったぞ。何も恐れることはない。迷う事もない。余は、余が正しいと思う事を成そう」

 

その時、ネロの太陽にも勝る真っ赤な情熱と、皇帝としての覇気が甦った。

 

「すみません、マスター!長い間側を離れて…… あれ?なんだかネロさんの雰囲気が明るくなった様な気がします!」

 

すると、ブーディカと一緒にいたマシュが優牙と合流するためにこちらにやって来たのだが、マシュが見ても分かる程にネロの覇気は復活していた。

 

「先輩が何かしたんですか?」

 

「何も。ただ自分を信じて進めばいいって言っただけだよ」

 

「たったそれだけの事で?」

 

余りにあっさりと解決してしまった事に首をかしげるマシュだったが、明るくなったネロを見ていると、それでもいいかと思っていた。

 

「…… そうですね。たったそれだけの事で良かったのかもしれません」

 

「ネロは元々強い娘だから……」

 

「なんだ?なんの話だ?余も交ぜよ!」

 

「いえ、なんでもありません。それよりネロさん。荊軻さんが宮殿への道を見つけたそうです」

 

「そうか。では、急ぎ向かわねばな。……… と、優牙!」

 

宮殿への道を案内させるため、荊軻と合流しようと歩み出すネロだが、不意に足を止めて優牙に向き直る。

 

「なに?」

 

「何か思い詰めているようだが、神祖殿と優牙は()()()()のだ。余り、考え過ぎるなよ?」

 

その一言が、優牙の足りなかった者を見出だす切っ掛けとなった。

 

「関係、無い……… そうか!」

 

「? どうかしたのか?」

 

「ありがとう、ネロ。お陰で分かったよ。俺に必要なもの」

 

「うむ、何がなんだか分からぬが、もっと余を褒めるがよい!」

 

優牙は、魔戒騎士として必要なものをネロの一言から思い出した。

 

かつて幼い日々に、父が優牙に語った事を……

 

「先輩、もう大丈夫なんですか?」

 

「うん。心配かけて悪かったね。これで、ロムルスと戦える……!」

 

その時の優牙の顔は、もう陰湿としたものではなく、晴れやかで優しさの滲み出る何時もの表情に戻っていた…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうして今まで忘れていたんだろう……

父さんが遺してくれた、あの言葉を………

 

「魔戒騎士に必要なものは剣の腕でも鎧でもない……。大事なのは―――― 騎士の心だ」

 

「騎士の、心?」

 

「そうだ。剣や鎧は関係無い。それさえ忘れなければ、魔戒騎士の誇りが揺らぐ事はない」

 

当時の俺はまだ分からなかったけど、今なら分かるよ、父さんが言いたかった事が。

 

「?」

 

「今はまだ分からなくていい。だが、何時かはお前も悟る日が来る、その時まで……」

 

その時の父さんの顔を、俺は生涯忘れる事は無いだろう。

 

()()()()、優牙。守りし者となれ……」

 

その時の父さんの顔は母さん達の言った通り、誰よりも優しい笑顔だった。




遂に立ち直った戦士たち。

それぞれの答えを胸に戦士たちは歩み出す。

さぁ、見せてやろうぜ!俺たちの魂を!


次回 第十一節 皇帝


ぶつかり合う、二頭の金狼!
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