GARO/Grand Order   作:響く黒雲

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この更新の前に色々ありましたね。
マシュの声優さん交代、私はわりと違和感なく聞けてますが、種田さんの声が聞けないのは寂しいですねぇ…… あと獅子上引きました。

話は変わりますが、HD牙狼 遊戯の回で魂の入った瓶が出ましたよね?

聖杯戦争って元々アインツベルンが第三魔法である魂の物質化を狙って起こしたものなんですけど、液体とはいえ物質化してますよね?

これホラーが魔法使えちゃってますよね?


御柱

「敵性サーヴァント・ランサー、ロムルス。消滅しました」

 

「うむ…… これでようやくローマも、元の形にもどるのだな」

 

ロムルスを倒したネロはこれに安堵して、満面の笑みを溢す。

 

『うーん…… それはどうかなぁ。集団的にはこっちの勝利なんだけど、なにせ宮廷魔術師も見当たらないし、こっちの目的である聖杯も見つかってないんだからね』

 

ロマンの言っている通り、ロムルスを倒しても前回のフランスでのジャンヌ・オルタやジル・ド・レェのように聖杯は出現しなかった。

 

「そういえば、すっかり忘れてたよ」

 

「ああ。まだ魔神ホラーっつう大物が控えてんだろ?だったらさっさと見つけないとな」

 

『いや、フラウロスの事だ。今頃、逃げ出す準備でもしているんじゃないか?』

 

とにもかくにも、聖杯を探して回収しようとしたとき、荊軻の暗殺者としての気配読み(スキル)がここにいる優牙たち以外の存在を掴んだ。

 

「まて、玉座の奥に誰かいる。サーヴァントでは、ない?」

 

その瞬間、全員が一斉に玉座に振り返り武器を抜いた。

 

そして、乾いた拍手と共に緑の紳士服とシルクハットを着たあの男が現れた。

 

「……… いやはや、ロムルスを倒しきるとは。デミ・サーヴァントや寄せ集め()()()がやるじゃないか」

 

「レフ…… ライノール……!」

 

「冬木で見た時よりも成長したようだな。やはり、君はあの場で殺して置くべきだったよ…… 優牙君」

 

最後に冬木で見た、張り付けたような笑顔を見せ、レフはやって来た。

 

その手に聖杯を携えて……

 

「だが所詮はサーヴァント。この聖杯の力の前では無力に等しい。勝ることなどあり得ない」

 

「あやつが宮廷魔術師か。ではあやつが携えている黄金の杯が……」

 

「はい。あれが聖杯です。形状は前回と同じようですが」

 

「へぇ~。あれが聖杯ね。ホントに金ぴかでやんの」

 

優牙は魔法衣に手をいれ、ライターを取り出すと、魔導火を着けて、レフの前にかざす。

 

するとレフの瞳は白く濁り、魔界文字が浮かび上がった。

 

それこそがホラーである証。

 

「やはり、ホラー…」

 

「て、事は…!」

 

「こいつが魔神ホラーか!」

 

「全く…… 魔戒騎士がゾロゾロと。誰の差し金か知らんが、ここに貴様らの守る人間は居ないぞ?」

 

憎たらしくそう言うレフにロマンが皮肉を浴びせかけるように、敵意剥き出しの言葉を掛ける。

 

『宮廷魔術師が、王の危急をあえて見過ごすとはね。すっかり裏切り者が板に着いたじゃないか、レフ。それとも素かな?なんにせよ今の君、カルデアにいた頃より生き生きしてるよ』

 

しかし、優牙がそれを魔戒剣を赤鞘から抜き放つ事で制し、レフを見据える。

 

「無駄口はあとだ、ドクター。聖杯を渡してもらうぞ、レフ」

 

「ロムルスに剣を奪われ、いい具合に絶望したかと思えば、いっぱしの口を開くようになったね。少年」

 

しかしそれでも、レフの顔から笑みは消えなかったが、やがてその顔にも焦りが見え始める。

 

「聞けばフランスでは大活躍だったとか。全く…… お陰で私は大目玉さ!本来ならとっくに神殿へ帰還している所だが、子供の使いも出来ないのかと追い出された!」

 

「子供以下のホラーである貴様が何を言ってる」

 

徐々にイラつきが目立ち始める、レフ。

ギリリと奥歯を噛みしめ、愚痴の様な言葉は続く。

 

「結果この時代で、後始末だ。聖杯を愚者に渡して、その様を嘲笑おうとしたのだが……」

 

「神祖ロムルスは世界の崩壊なんて望んでいなかった。だから――――」

 

『だから、自分で介入するしかなかった……』

 

「あの人は魔戒騎士、それも牙狼だ。世界の崩壊なんて望む筈がない」

 

『皮肉なもんだ。ここにはお前みたいな裏切り者はいなかった訳だからな』

 

そこでレフは、今までね紳士的な態度を辞めて悪魔の様な形相、ホラーの本能を剥き出しにする。

 

「黙れカス共。初めから人間なぞ期待していない。君もだよ優牙君。凡百のサーヴァントをかき集めた所で、このレフ・ライノールを止められるとでも?」

 

「思ってる。貴様こそ、()()()()()()()()()()()()()()

 

「ほう?そう問いかけてくるとは驚いたな。まあ、だからと言って、私が君たちに言う必要は無いのだけれどね」

 

「そうだった。貴様はホラー。俺は魔戒騎士。ならば、俺は貴様を斬るだけでいい」

 

そう言う優牙を小馬鹿にしたようにレフは笑い、再び邪悪な笑みを迸らせる。

 

「フン。これだから思考停止している魔戒騎士は…… そもそもだ、貴様らは思い違いをしている。人理を守るぅ? バカバカしい、既に貴様らでは()()()()()()()()結末は確定している。貴様らは無意味!無能!」

 

「なら…… 俺たちが、その結末を変える!」

 

「ならば、哀れに消え行く貴様らに、我らが王の寵愛を見せてやる!」

 

その時、レフは聖杯に自らの血を注ぎ、魔力を流し込んだ。

 

すると魔界へのゲートが開き、そこから溢れた膨大な魔力と数十体の素体ホラーがレフに纏わりつき、巨大な肉の柱を顕現させ、全体から紅い邪眼を開いた。

 

「な……に?!」

 

「あんな数の素体ホラーを、同時に宿す、だと?」

 

「おいおい、冗談じゃねぇぜ!?」

 

こんなにも巨体で邪悪なホラーを三人は見たことがなかった。

それどころか、数十体のホラーと融合して自我を保っていられるレフにも驚いていた。

 

『あれですと、斬ってもすぐに再生してしまいそうですね……』

 

『不味いな。今回は普通の人間(ネロ)もいるんだぞ』

 

そのネロはというと、柱の邪悪さに舌を巻きながら己が初めて見る魔獣を睨み付けていた。

 

「なんだ、あの怪物は…!この世のどんな生き物よりも醜いぞ、貴様!」

 

『はは。ははははは!ソレハその通り!この醜さが、貴様らを滅ぼすのだ!』

 

『なんて膨大な魔力!! サーヴァントでもない、幻想種でもない!まさか…… これが、本当の悪魔の反応!?』

 

カルデアで観測される魔力は、既にサーヴァントが放つ宝具の標準数値を越えていた。

それは、カルデアで見守っているロマンが絶望しかけるには充分な衝撃だった。

 

『改めて自己紹介だ!我が名はレフ・ライノール・フラウロス。七十二柱の魔神が一柱!魔神フラウロス――― これが、王の寵愛そのものだ!』

 

そう言ってレフは…… いや、魔神ホラーフラウロスは高らかに宣言する。

邪悪な魔力を周囲に撒き散らして。

 

「おぞましい…… 悪逆そのものではないか」

 

「邪悪な肉の柱…… 膨大な魔力…… あれが、先輩の言っていたホラー… ドクター!」

 

『詳細は全て不明だ……。ここは優牙君たち魔戒騎士に任せよう!優牙君、頼んだよ!』

 

「ああ!ネロ、マシュ、荊軻!ホラーの血には触れるな!奴等の血は人間には猛毒だ、死にたくなかったら絶対に触れるなよ!」

 

今までに無いほど真剣に言っている優牙の顔を見て、三人は気を引き締める。

同時にフラウロスの目が光り、周囲に閃光が走ると爆発が起こった。

 

 

キュピィン――― ガガガガガガ!!!!

 

 

火柱を上げながら迫る爆発が、優牙たちを滅ぼすべく凄まじい勢いで周囲を灰に変えていく。

 

「散れッ!!」

 

そう言うや否や優牙はマシュを、陸人はネロを、瞬は荊軻を抱えて回避する。

 

『ム?久々ニコノ姿に戻ッタセイカ、照準ガズレタナ……』

 

そう呟くフラウロスの目の前は、強力な爆発により吹き飛んで跡形も無くなっていた。

 

「な、なんたる威力……!」

 

「これが…… ホラーというものなのですか…?先輩…」

 

優牙たちが即座に抱えて回避していなければ、確実に灰になっていたであろう事実に舌を巻くネロ。

 

そして、冬木のセイバーやフランスのジャンヌ・オルタをも越える邪悪の化身を目の当たりにしたマシュは、その無垢な心故にフラウロスに恐怖していた。

 

「先輩は、あんなものと…… ずっと戦っていたんですか……? 怖いです…… 怖いです!先輩!」

 

カタカタと震える細い肩を優牙は抱き締め、フラウロスと言う邪悪がいるにも関わらず、驚くほど優しい声音と落ち着いた雰囲気でマシュを励ます。

 

「大丈夫。落ち着いて?マシュ。確かに、今までの奴等に比べたらかなり強いけど…… それだけだ」

 

「…… ですが」

 

「奴等ホラーは、魔界から生まれた者たちだけど…… 本質は人間の邪心だ。なら、人間である俺たちに倒せない訳がないだろう?」

 

優牙はそうしてニコリと笑う。

その声を聞くだけで…… その笑顔を見るだけで…… 不思議とマシュの心からは恐怖が薄れていった。

 

「…… ありがとうございます。もう大丈夫です!先輩」

 

「その意気だ。ザルバ、サーヴァントの攻撃は奴に有効か?」

 

『解らん。だが、サーヴァントと言うのは実体を持つ幽体なんだろう?封印は出来ずとも、ダメージを与える位は出来る筈だ』

 

「成程ね…… 荊軻!瞬!フラウロスの目を狙ってくれ!陸人とネロはサポート!」

 

四人ともコクリと頷くと、フラウロスを見据えて走り出す。

 

『フハハハハッ!! ザコガ、幾ラ来ヨウトモ、所詮カス共ノ悪足掻キヨ!』

 

そんな様子を嘲笑い、フラウロスの回りに集まる邪気が、グネグネと形を成して触手の様になって襲い掛かる。

 

「やらせぬ!」

 

「ハァッ!」

 

ネロと陸人が触手を捌いて無理矢理道を開き、瞬と荊軻に先を行かせる。

 

「瞬!アレを使う。後は頼むぞ?」

 

「宝具を使うのか?」

 

荊軻は何も答えず、ただフッと笑うだけ。

次の瞬間、荊軻の顔から生気が消えて何かを覚悟した表情に変わった。

 

匕首に毒が滴り、荊軻の気配遮断のスキルが発動し、限りなく気配が消え去った荊軻はフラウロスに走る。

 

瞬は荊軻の覚悟を汲み取り、出来るだけフラウロスを惹き付ける為に牙舞の鎧を召喚してフラウロスに飛びかかる。

 

『貴様の相手は俺だ!』

 

 

ドシュウッ!!

 

 

『ギャァァァァッ!!!! オノレ!カスニモ劣ル魔戒騎士風情ガッ!!』

 

触手を切り裂き、フラウロスの目玉の一つに森羅槍を突き刺したことでフラウロスは激昂、標的が瞬に移った時、荊軻は宝具を発動させ飛びかかった!

 

「此れより、死地に入る…… 『不還の匕首(ただあやめるのみ)』」

 

荊軻の宝具は匕首に毒を滴らせて、敵に叩き込み、毒殺、暗殺をするアサシンに打ってつけの宝具だ。

気配遮断も併用している中、誰もがフラウロスに命中すると思っていたが……

 

「クハッ……!」

 

『フハハハハッ!!!! 貴様ラノ脆弱ナ策ガ、コノ私ニ通ジル筈ガ無いダロウ、愚カモノ共メ!』

 

柱から直接生えた触手に貫かれ、荊軻は霊核に重大なダメージを負ってしまった。

 

『荊軻!』

 

「グフ…… 済まぬな、瞬…… 主殿…… どうやら私は…… また…… しくじったらしい……」

 

そう言う荊軻の体は粒子に還り始めていて、消滅してしまうのも時間の問題だった。

 

「お前…… まさか、分かっていて!?」

 

ショックで鎧を解いてしまった瞬は悟った。

荊軻が元から敵わぬと知って、最初から死ぬつもりであったということを……

 

「まあ、な。だが、只で終わるつもりは…… 無い!」

 

荊軻は、残された最後の力を使って匕首をフラウロスの目玉に投げ込んだ。

 

『ガッ!? ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!』

 

「去らば。後は任せた」

 

毒が体に入り込んだフラウロスの苦しみの叫びを満足そうに聞いた荊軻は、役目を終えて消え去った。

 

「荊軻さん……」

 

「馬鹿野郎…!!」

 

「……… 荊軻が作ったチャンスを無駄に出来ない。奴が苦しんでいる間に決めるぞ!」

 

共に戦った戦友の消滅。

しかし悲しむにはまだ早い。

敵は苦しんではいるが、まだ健在。

気を抜くには早すぎる。

 

『クソッ!クズ共ガ、コノ私ニ更ニ恥ヲ掻カセルトハ……!許サン…… 貴様ラハ、我ガ焼却式を以テ、特異点ノ崩壊ヲ待タズシテ消シサッテクレル!!』

 

フラウロスの目の前に巨大な魔方陣が現れる。

そこからは、最初の攻撃が可愛いく見える程の魔力が溜まり始めていた。

 

「許さぬだと……? それは此方の台詞だ!我がローマの皇帝達を利用して母なる地を汚し、あまつさえ荊軻まで…… 貴様だけは…… 生かしておかぬ!」

 

「待て!ネロ!」

 

陸人の制止を無視するほど怒り狂ったネロは、剣に炎を迸らせ、フラウロスに飛び込んでいく。

 

「今までの全ての精算だ!受けるがいい!」

 

『フン。コレダカラ愚カナ人間ハ。一時ノ感情ニ囚ワレテ直グニオノレヲ見失ウ。ソレガ命取リダ!』

 

その瞬間に魔方陣が組み上がり、焼却式フラウロスが完成、漆黒の邪気を含んだ灰と火炎がネロに向けて全て襲い掛かる。

 

「ネロッ!!」

 

その前に優牙がネロに向けて飛び込み、ネロを抱え込んだ。

 

瞬間、ネロと優牙は灰に呑み込まれた……

 

「優牙ァッ!!」

 

『ハハハ…… フハハハハ!!!! 愚カナリ黄金騎士!貴様トネロ・クラウディウスガ死ネバ、終ワリダトイウノニ!ヤハリクズハクズダッタカ!! ハッハッハ!』

 

「貴様…!」

 

「待って下さい。二人共」

 

直ぐにでも飛びかかろうとする二人を、マシュが懸命に抑える。

 

「三人も殺られたんだぞ!黙って見てられるか!」

 

「ああ…… 奴には地獄を見せる…!」

 

「いえ、待って貰います。だってまだ――― 先輩とのパスは繋がっていますから」

 

そんな三人の様子にも気づかず、フラウロスを上機嫌に優牙をバカにしている。

 

『ソモソモ人間ナンゾニ守ル価値ナドアル筈ガナイダロウニ…… 大人シク餌ニナッテイレバイイモノノ。全ク、魔戒騎士トハ度シガタ――― ギャアアアアア!!!!』

 

すると突然フラウロスが悲鳴を上げた。

突然の悲鳴に三人が驚いていると、フラウロスの頭上に金色の光が溢れていた。

 

『――― それでも、俺は躊躇わない。魔戒騎士が戦うことで、少しでも平和に生きる人々が増えるなら…… 俺は戦う!』

 

 

ドスッ!

 

 

『ギャァアァアアァァアッ!!!!』

 

「「優牙!」」

 

フラウロスの悲鳴の原因は、頭上で牙狼の鎧を纏った優牙とネロが牙狼剣を突き刺していたからだ。

 

『瞬!陸人!鎧だ!烈火炎装を使うぞ!』

 

優牙の声を聞いた二人はそれぞれ鎧を召喚し、優牙はその二人の間に飛び降りて並び立った。

 

『キサマ…… 黄金騎士ィィィィ!!!!』

 

激昂したフラウロスが魔方陣を再び出現させて、焼却式フラウロスを発動させようとするが……

 

「させま…… せん!」

 

その魔方陣を阻む様に光の盾が出現した。

マシュの疑似宝具が発動したのだ。

 

『コノ…!! デミ・サーヴァントガアァアァアアッ!!!!』

 

『例え、もう取り返しがつかなかったとしても…… そこに希望があるなら、俺たちは戦う。魔界に帰れ!フラウロス!』

 

牙狼剣から緑の、輪断剣からは蒼の、森羅槍から紅の烈火炎装の斬撃が放たれ、一つの巨大な炎の斬撃となって、フラウロスの肉柱を真っ二つに斬り裂く。

 

『ガアッ!? ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛………!!』

 

フラウロスの肉柱は魔界の炎に焼きつくされ、徐々に形を失っていく。

 

「これで…… 本当に終わったのだな……」

 

「はい。これで荊軻さんに報いる事が出来ました…… あとは」

 

「聖杯を見つけないとな」

 

その時、焼かれているフラウロスの肉柱から何かが燃えながら飛び出し、床に落ちる。

 

そして炎の中から光が照らし出され、魔導火が跡形も無く消え去った。

 

「グ…… あり得ない…… 王の寵愛を受けたこの私が……」

 

そこに居たのは、聖杯を手にしたレフだった。

レフは聖杯の力で魔導火を消し去ったのだ。

 

「そうか。神殿を離れて久しいからな。この体も壊死しはじめていたのだろう…… フハッ、そうでなければ、計算が狂う筈がない……」

 

「いいや。お前はここで終わりだ、レフ」

 

火傷だらけの体をのっそりと起き上がらせたレフは、ブツブツと独り言を呟くが、優牙はそんなレフに魔戒剣を突きつける。

 

「終わりだと?バカめ、まだ終わりでない!聖杯が我が手にあるかぎり敗北はないのだ!」

 

往生際悪く、レフは聖杯に魔力を流し込みサーヴァント召喚の魔方陣を作り上げる。

 

『不味いぞ優牙君!レフを止めるんだ!サーヴァントを召喚しようとしてる!』

 

「!ハァッ!」

 

「ガ、アアアアアア!!?」

 

事態を理解した優牙は、素早くレフの腕を切り落として聖杯を叩き落とすが、レフは狂喜の笑みを浮かべて笑い出す。

 

「ハ、ハハッ…… ンハハハハハハ! もう遅い!術式は構築した。触媒はこのローマそのもの!これでこの時代も終わりだァ!」

 

「いいや…… 終わらぬ。ローマとは世界そのものだ。余の世界は決して、滅びたりなどせぬ!」

 

「フン。思い上がりもそこまで行けば愚かだなネロ・クラウディウス。此れより現れるは、西方世界を蹂躙しつくした大英雄!貴様らに勝ち目はない!いでよ!破壊の大王アルテラ!」

 

魔方陣の魔力は密度を増し、人の形を造っていく。

そして光が臨界に達した時、破壊の大王が姿を現す。

 

「……」

 

「あれが…… 破壊の、大王?」

 

現れたのは褐色の肌と流れる様な銀髪を靡かせた少女だった。

 

しかし、彼女が放つ威圧感は並々ならぬ物で、召喚されただけにも関わらず、宮殿の壁に皹が入った。

 

「さあ行けアルテラよ!この世界を潰せ!そしてそこにいる愚か者共に鉄槌を―――――!?」

 

レフは最後まで言葉を言い終える事なく死んだ。

何故なら――――――

 

「なっ!?」

 

「そんなっ!?」

 

「……… うるさい」

 

うるさい、とたった一言告げたアルテラが、その手に持つ三色の光を放つ剣によって体を引き裂かれていた。

 

「私は、フンヌの戦士である」

 

そう言ったアルテラに、持ち主を失った聖杯が吸収される。

 

「聖杯が!」

 

「この西方世界を壊す、破壊の大王である」

 

それと同時に、手に持った剣が三色の光を増していきながら回転を始める。

 

『魔力反応増加!? 不味い、宝具が来るぞ!』

 

「マシュ!宝具だ!」

 

「はい!真名、偽装登録――――!」

 

優牙はマシュに宝具を使用させて、宝具を回避しようとするが……

 

「――――『軍神の剣(フォトン・レイ)』」

 

静かに告げられた真名と共に輝きを増した三色の極光が、ネロを、マシュを、三人の魔戒騎士を包み込んだ………

 

 

―――― 数秒後、連合帝国首都の宮殿は、跡形も無く消え去った。




かつてないほどの猛威を振るう破壊の化身!

託された世界を守るため、薔薇の皇帝は切り札を切る!


次回 第十三節 劇場


黄金の劇場が、幕を開ける!
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