いやー長かった。次回は勿論三章です!
召喚されたサーヴァントの日常回みたいなのも書きたいですが、とりあえずはメインを先にやります。
皆さんクレオパトラどう思います?
僕は真っ先に考えたのはエジプトなのにわりと現代人の服装だなってことですね。
ん?ヴラド公? 僕はアポの方が好きですハイ。
「こ、これは……!」
『驚いたな。お前さん、こんな事まで出来たのか』
優牙の目の前に広がるのは豪華絢爛の黄金劇場。
現実では決してあり得ない事だが、ネロは自らが持つサーヴァントに匹敵する魔力と、類稀なるその才能をフルに活用して発動させた大魔術だ。
「フハハハ!見たか!余の渾身の作品ドムス・アウレアを!」
『信じられない…… 固有結界並みの大魔術だぞこれは!?』
後にサーヴァントとなり、反英雄としてではあるが、人理に名を遺すネロの宝具にも設定される程に強力な魔術である。
真名を『
「うぐぐ…… 先、輩!」
「っと、マシュを忘れる所だった!!」
ついネロのドムス・アウレアに目を奪われてしまった優牙であったが、未だアルテラのフォトン・レイを疑似宝具で受け止め続けて動けないマシュを回収した。
シュゴォォォォォォ!!!!!!
抉り砕く様な爆音を響かせて支えを失った七色の光は黄金劇場を砕いていく。
だが、ドムス・アウレアはネロの魔力によって維持されている為、破壊された箇所から速やかに修復が始まっていく。
「…… なんだ、ここは……?」
軍神の剣を受けて尚、崩れず壊れる処か破壊された端から修復されていくのを見て破壊の化身たるアルテラも困惑していた。
「ハッ……! ハッ……!」
「大丈夫か、マシュ」
「平気……ですっ…… まだ、倒れません!」
令呪による魔力ブーストを加えた宝具の全力展開、それすらも砕いていくアルテラの宝具の威力にマシュの身体は満身創痍寸前だった。
鎧はひび割れ、白い無垢な柔肌からは真っ赤な鮮血を滴らせ、足も盾で支えて立っているのが精一杯と言った様子だった。
『ムチャをするな。見ただけでも動けないのは解るぞ?お嬢ちゃん』
「そんなこと……っ」
『いいや、ダメだよマシュ。こっちからモニタリングしてるけど、これ以上は危険だ』
ロマンでさえもドクターストップを掛けなくてはいけないほどに、マシュの身体はボロボロになっていた。
「でも…… ネロさんや先輩だけに戦わせるなんて……!」
「うむ、それなのだがな」
『「「?」」』
「これを維持するのに集中せねばならん…… 全力で動けるのは一回と言った所だ」
ネロはネロで、いくらサーヴァントに匹敵する魔力を持つとは言え生身の人間である。
この黄金劇場を維持するために莫大な魔力を消費し続けている。
故に一回。
ネロは全力で動くのをたった一回に絞った。
「と言う訳だ、優牙。タイミングはそなたに任せる。良き采配を期待するぞ」
「俺一人か…… まぁ、やるだけやるさ」
そう言ってあっさりと優牙は了承し、アルテラに向かっていく。
「待って…!? 先輩!」
『マシュ、今は…… 優牙君に任せよう。黄金騎士の力を……』
マシュもロマンも、本来戦うべきでないマスターである優牙の背中から見ている事しか、出来ずにいた…
「今度は俺が相手だ」
「誰だろうと関係ない。私はフンヌの戦士、破壊の大王……」
「いい加減その言葉も聞き飽きた。終わらせよう……アルテラ!」
優牙は魔戒剣を天に突き翳し、光の円を描く。
やがて円が砕けて光が溢れ出した時、黄金劇場の照明が、主役の登場とばかりに暗くなる。
―――― GAOOOOOOOOO!!!!!!!!
溢れ出した光が、スポットライトのように優牙を照らし出し、獣の叫びと共に鎧が召喚され優牙の身に纏われる。
『ハァァァ…… ハッ!』
鎧を纏った優牙は、魔戒剣が変化した牙狼剣を勢いよく振り抜き、衝撃波と共に薔薇の花弁が舞い散った。
今、偉大な黄金劇場に黄金騎士 牙狼が舞台へその雄々しき姿を現したのだ。
「………」
衝撃波を受けたアルテラは、牙狼の鎧を纏った優牙をほんの少し睨みながら、軍神の剣を構えて突撃する。
少し遅れて、優牙は倒すべき
「ハァアアッ!」
『タァアアアアア!!!!』
丁度劇場の中心、そこで破壊の剣と金狼の剣は、凄まじい衝撃波と剣戟音を迸らせ、二人はその場で留まる。
「鎧で身を包もうが無駄だ。私は総てを破壊する」
『どうかな。この世には、お前の剣でも破壊出来ないものだってある』
「私に…… 破壊出来ない…… モノ…?」
優牙の言葉に若干の反応をしながらも、アルテラは決して優牙への攻撃の手を緩めている訳じゃない。
「そんなモノは……… 無い!」
『クッ!!』
だが一撃、二撃、三撃と剣を交えている内に、段々とアルテラは優牙の剣に対処しきれなくなっていた。
そして………
『ハァッ!』
「あっ!? くぅぅ…!!」
遂に優牙の牙狼が、アルテラの腹部を薄く切り裂いた。
「…… 何故だ。何故、お前の攻撃が私に当たる」
アルテラは更に困惑している。
原因は分からない、無意識でアルテラが同様していたからか、はたまた優牙が戦いの中で成長したからか、どちらにせよ確かなのは――――
『ウォオオオオオオッ!!!!』
「かはっ……!」
優牙に戦況が傾いているという事だ。
斬り飛ばされたアルテラは、黄金劇場をゴロゴロと転がっていき、壁に激突する。
「……… 損傷、拡大。これ以上は危険か」
『終わりだ、アルテラ』
アルテラに最後の止めを刺すため、走り出した優牙だが、優牙は致命的なミスを犯してしまった。
「…… いいや、破壊されるの貴様だ」
アルテラの手にある軍神の剣が、魔力を溜めて回転している事に気がつかなかったのだ。
「『
そして、その総てを破壊する七色の魔力が、優牙に向けて放たれた。
『しまっ…!グアァアアァアアアッ!!!!』
優牙の体が、鎧ごと光に呑み込まれる。
だが、優牙は牙狼の鎧の力で何とか光を耐えきり、尚も放たれる光に対して、牙狼剣を床に突き刺して耐えていた。
「破壊されない…… だと?」
『避けろ優牙!このままじゃ、鎧ごと木っ端微塵だ!』
『グ、オオオッ……!!』
ザルバの忠告も受け入れず、ただひたすら前に進み続ける優牙。
「これで破壊されないならば、更に威力にを上げていくだけだ」
だが、そうしている間にもアルテラは出力を上げ、牙狼の鎧も歪み、砕け始めようとしていた。
『この、ままじゃ……!』
もはやこれまでかと思われたその時―――
『……? なんだ、光が止んで……!』
突然、優牙放たれていた筈のフォトン・レイが止んだのだ。
一体何故だ、と優牙は顔を上げて自分の目の前を見ると………
「く、うううう……!!!!!!」
マシュが、ボロボロの体を推して疑似宝具を再び展開して優牙を守っていたのだ。
『マシュ…!どうして!?』
「すみません……ッ。マスター!やっぱり私には見ているだけだなんて出来ません!」
『バカ!それで死んだら元も子もないだろうが!』
「それでも、私は…… 先輩を護りたい!」
その時、マシュの身体に変化が起こった。
『これは!?』
『信じられない…… 今、マシュの霊器が上昇した!』
「感じます…… 私に力を与えてくれた英雄の存在を…… この力、私が護りたい人の為に使わせていただきます!」
足りなかった鎧が出現し、同時にひび割れが全て修復され、それに伴ってかマシュの体も綺麗に治っていた。
刹那、今までアルテラのフォトン・レイに押し負けていた疑似宝具が七色の光に拮抗し始めたのだ。
「バカな、私の…… マルスの剣を押し返すなど……!」
「いっけぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
マシュの光の盾が、徐々にフォトン・レイの光を押し返していく。
『今なら…… ネロ!』
「うむ!漸く出番だな。余の晴れ姿、とくと見よ!」
そのアルテラの動揺と、動きの制限を見逃さなかった優牙は、切り札の一つであるネロに指示を出した。
劇場の維持を一時的に止め、勢いよく飛び出すと、ネロは一気にアルテラに接近し、自らの情熱を炎に変えて原初の火をアルテラ目掛けて振り抜いた。
「『
その炎の一閃が宝具使用中で身動きの取れないアルテラを正確に切り裂き、打ち上げる。
『オオオオオオッッ!!!!』
更に上空に飛び上がって待ち受けていた優牙の牙狼剣で再び地面に叩きつけられる。
「くっ………ッ!!?」
「これで、どうだぁぁぁぁ!!!!」
そしてマシュの光の盾によって弾かれたフォトン・レイがアルテラを呑み込んでいった。
光が収まると、そこには今にも消えそうなアルテラと、分離された聖杯がフヨフヨと浮いていた。
「…… この世には、私の剣でも、破壊されないモノが、あるのか……」
「ああ、この世界を探せば、もっと沢山あるさ」
「そうか…… それは…… 少し、嬉しいな…」
そう言うと、アルテラは静かに微笑んで消えていった。
「聖杯、回収しました」
「うむ。この劇場も畳むとしよう」
そう言ってネロは少し目を瞑ると、豪華絢爛な黄金劇場は瞬く間にその姿を消した。
「ふぅ…… これでローマの地に、再び平和が戻るであろう…… って、お前たち!足が透けているぞ!?」
再び目を開けたネロが見たのは、足元からどんどん透けていく優牙とマシュ、フォウの姿だった。
それを見たネロは瞬時に悟った。
「そうか…… もう、行ってしまうのか」
「はい…… 聖杯を手に入れ、時代も修復されたので、私たちは……」
「まだ、やらなきゃいけないことがあるんだ」
「フォウも、行ってしまうのだな……」
「フォウ……」
ネロは何とか泣きそうになるのを堪え、必死で笑顔でいる。
そんなネロに釣られて、マシュとフォウも泣きそうになるのだった。
「ならば、ブーティカも、陸人と瞬も行ってしまったのか」
「はい…… 彼らはサーヴァントですから、役目を終えれば消えてしまいます」
「そうか。すまぬな、優牙とマシュには何度も助けられたというのに、結局なんの報酬も与えられなんだ」
そう言うと、本当に申し訳なさそうにしてネロは表情を暗くする。
「止めてくれよネロ。似合わないよ」
「そうです!ネロさんは笑っているのが一番素敵なんですから!」
「たが、しかし……」
「ならさ、どうしても何か与えたいなら、俺たちと友達になってよ」
それを聴いた途端、ネロの顔は驚きに包まれ、優牙をまじまじと見詰めた。
「そ、そんな事で良いのか!? もっとこう… あるであろう!?」
「ないよ。俺はそれだけでいい」
「私もです。ネロさん!」
「フォウ!」
「そ、そうか…… で、では」
コホンと咳払いし、表情を凛々しくしたネロは優牙とマシュに手を差し出す。
「考えてみれば、ローマ皇帝たる余と友になろうとは、これ以上ない報酬よな。客将、冴島優牙とマシュ・キリエライト、そしてフォウ。そなた達は余の友だ。例え世界が滅びようとも、余達の友情は未来永劫だ!」
「ああ」
「はい」
「フォウ」
そうして三人と一匹は固く手を結び合った。
その瞬間、優牙達のレイシフトが始まった。
「…… お別れだな。去らばだ!余の永遠の友よ!余はそなた達が…… 大好きだッ!!」
最後に見たネロの顔は皇帝ではなく、一人の少女その物である、太陽にも負けぬ笑顔であった……
「お帰り!二人共よく頑張ったね!」
カルデアに帰ると、前回同様、ロマンが真っ先に優牙とマシュを出迎えてくれた。
「全く無茶をするなぁ~、君たちは!特にマシュ。あの時霊器が上がらなかったら本当に大変だったんだからね!?」
「ごめんなさいドクター…… でも、私は先輩を護りたかったんです……」
早速ロマンにしかられてシュンとするマシュだったが、事情を知っているロマンもそこまで怒る気は無かったようで、とりあえずは許してくれた。
「はぁ~…… 後でちゃんとメディカルチェックを受けるんだよ?」
「はい!」
「よし、それじゃあ早速…… レオナルド」
「はいはーい」
すると、何処から現れたのかダ・ヴィンチが現れ、マシュを抱きすくめてまさぐり始める。
「はわわわ……」
「よし!聖杯回収かんりょ~。そんじゃロマニ、私はコレを封印してくるから後よろしくね~」
「うん。頼むよ」
マシュの盾に仕込んでいた聖杯回収機能を探って聖杯を取り出したダ・ヴィンチはさっさと工房へ引っ込んでいった。
「さて、兎に角二つ目の修復が完了した。ありがとう。君たちのお蔭だ」
「そうなんだけど……」
『肝心のフラウロスからは何も聞けなかったな』
二つ目の特異点を修復したは良いが、計画の中心と思われるレフはアルテラによって殺されてしまった。
真実は、依然として闇の中である。
「レフから聞き出せなかったのは痛いけど、まだ特異点は五つある。その全てで……」
『確実に魔神ホラーの妨害はあるだろうな』
「そうだろうね。依然として何時でも出られるように警戒はしておいてくれ…… さて、二人共そろそろベットとシャワーが恋しいだろう?今日はゆっくり休むと良いよ」
「ありがたい!」
「それでは、お先に失礼します」
第三の特異点の観測をロマンや他のスタッフ達に任せて、優牙とマシュはブリーフィングルームを後にした。
マイルームに続く通路を歩いていると、マシュはなんだか思い悩んだ表情をしていた。
「…… ネロのこと、気になるの?」
「…… はい。確かに私達は友達になりましたが…… 私達があの時代を去った瞬間、彼女は一人になりました…… それが申し訳なくて……」
「例え、私達との戦いが無かった事になっても…… 彼女は尊敬する先人を倒し、好敵手と別れ――― あの瞬間、彼女は皇帝として、誰にも頼る事もなく一人で生きると思うと……」
「…… なら、ネロにとって、この戦いは辛いものだったと思う?」
そういうとマシュは目を丸くしたが、直ぐに何時もの穏やかな笑みに戻り、否定した。
「いいえ、それは違うと思います。確かに何度も死にかけましたし、戦いは怖いです…… でも、とても楽しい旅でした」
「そうだね。俺も楽しかった!」
すると、優牙は胸に手を当てて目を瞑った。
「先輩?何を……」
「マシュもやってみなよ。そうすれば見える筈だ。ネロの元気な笑顔が」
マシュは言われた通りに手を胸に当てて目を瞑った。
マシュの脳裏には、このローマでの旅で見たネロの太陽の如き笑顔が幾つも浮かんだ。
「…… はい、見えました。ネロさんの笑顔が」
「きっとネロも一緒だと思うよ。目を閉じれば何時でも感じられる…… それが友達って奴なんだって、俺は思う」
そうして、再びマイルームに向かって歩きだす。
「…… そうだ、先輩。私、マッサージを覚えたのですが、良かったら私がマッサージしてもいいですか?」
「へぇ~。じゃあ、お願いしていいかな?」
「お任せ下さい!実は試したいやり方がいくつか……」
そんな会話をしながら、二人は仲良くマイルームに入っていった。
翌日、硬直死体の様に動かなくなった優牙が発見され、カルデアは騒然とすることになる。
なお、全てを知っているザルバは次の様に語った。
『魔戒騎士に経絡秘孔を突いた奴はあのお嬢ちゃんが初めてだ』と………
遂に観測された第三の特異点。
どうやら、今度の舞台は海のようだな。
金銀財宝とくれば欲望につけ込む奴らの巣窟だな。
次回 三章 封鎖終局四海オケアノス 第一節 大海
俺様も、錆びない様に準備しなくてはな……