GARO/Grand Order   作:響く黒雲

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お久しぶりです。ちょっとスランプ気味ですが、何とか投稿しました。

この一ヶ月色々有りましたが、多くは語りません。
皆さんが見たことが総てです。

でも一つだけ言わせてください…… FGOサイコー!






では牙狼ーマの設定をどうぞ。

黄金騎士 ロムルス

鎧の形状自体に変化は少ないが、黒いラインの装飾が総て赤に変わり、羽織るマントも赤で黄金と赤というローマらしい姿になっている。

牙狼剣もロムルスに合わせて形態を変え、牙狼槍という槍型の魔戒剣となった。

ロムルスはこの姿で、当時の魔戒騎士にとっては偉業である使徒ホラー七体を討滅し、七つの丘(セプテム・モンテス)に封印した、伝説の魔戒騎士である。


船出

「たはー!負けた負けた!」

 

「やりましたよ!先輩!」

 

そう言って満足気に優牙に駆け寄るマシュと、何故か石ころに頬擦りしているドレイク。

 

あまりに訳の解らない出来事に思わず優牙は驚いた。

 

「マシュ…… ドレイクはなんで石ころに頬擦りを?」

 

「はい、ドレイクさんは中々手強かったのでちょっと石ころが金塊に見える魔術を掛けさせて貰いました」

 

デミ・サーヴァントである為に忘れがちだが、マシュも立派な魔術師、基本的な術は心得ている。

 

マシュはドレイクの銃撃の隙を突いて地面の石ころを拾い上げ魔術を行使、それを金塊に見立ててドレイクに投げつけ、ドレイクの注意を惹き、叩きのめしたのだ。

 

「成程、そういうことか…… オイ!何時まで幻覚に惑わされてる。目を覚ませドレイク」

 

「アイタッ!? アレっ?あたしの金塊は!?」

 

マシュの説明を聞いて合点がいったワタルは、ドレイクの頭を叩いた。

 

当のドレイクは魔術が解けたものの未だ寝ぼけた様に金塊を探していた。

 

「そんなもんは何処にもないぞ」

 

「なんだ夢か…… で?そっちは終ったのかい?ワタル」

 

「ああ、話は着いた。船長であるお前も負けた。なら話を聞いてやれ」

 

「そうさね。ま、取り合えず宴の続きでもしようかねぇ!!」

 

そうして今まで観戦していた海賊たちとドレイクは再びどんちゃん騒ぎを初めてしまい、話どころではなくなってしまった。

 

「えぇ!? いやまだ話が!」

 

「そうですよ!? なんの為に戦ったんですか!」

 

「?なんでってそりゃ―――」

 

『『『宴の為だろ?』』』

 

「ちーがーいーまーすー!」

 

結局、ドレイクたちは戦っていた理由すら忘れてしまい、マシュは再びドレイクに説明する事になった。

 

 

 

 

 

 

 

「アハハ!! そうそう。そんな話をしていたねぇ」

 

「や、やっと解ってくれましたか……」

 

外野の騒ぎ、海賊たちの乱闘など、妨害されること数回、マシュたちはようやくドレイクに話を解ってもらえた。

 

「諦めろ嬢ちゃん。コイツはその場のノリで生きているような奴だからな」

 

「ハハハ、そうでなきゃ、この海で生きていけないさね」

 

「はい…… もう十分理解しました……」

 

「お疲れさま、マシュ」

 

疲れきったマシュはヨロヨロと座り込んでいた。

余程ドレイクに説明するのが堪えたのだろう。

 

「にしてもあんたも酔狂だねぇ。あたしみたいな海賊の手を借りようだなんて」

 

「そういうのは関係ないよ。ただ、フランシス・ドレイクの力が必要だと思ったから頼んでいるんだ」

 

優牙の言葉のせいか、はたまた酒のせいか、ドレイクの顔が紅くなる。

 

「あたしの力ねぇ~。嬉しいこと言ってくれるじゃあないのさ!いいよ、そういう事なら力を貸そうじゃないか!」

 

「ありがとう。ドレイク」

 

機嫌が更に良くなったドレイクは優牙の背中をバンバンと叩き、握手する。

 

「幸い、食糧と水はコイツのお陰で事欠かないからねぇ。一人二人増えても問題はないさ」

 

そういうと、ドレイクの胸元から金色の杯が出現した。

 

「え?うそ…… せ、先輩!?」

 

「ん?どうかした?」

 

「せ、聖杯が…」

 

「うん。絶対手に入れようね」

 

「いえ… そうじゃなくて…」

 

「これまでお世話になった皆の為にも!」

 

「ああもう!ドレイク船長が聖杯を持っているんですってば!」

 

「アハハ!! んなバカな…」

 

そう言って笑いながらドレイクを見ると、その手には見馴れた金色の杯が魔力を発して食糧やら酒やらを出現させていた。

 

『ねぇ、二人とも。計器の故障かな?二人の目の前に聖杯の反応があるんだけど…』

 

「故障ではありません!ドレイク船長が聖杯を持っています」

 

『な、なんだってー!?』

 

「うそーん…」

 

 

 

 

 

 

「へぇ… この杯にそんな大層な事がねぇ…」

 

あの後、ドレイクに聖杯の正体と入手した経緯を聞くと、それは卒倒ものの冒険だった。

 

この海に来る前に、古代都市アトランティスが海底から浮上し、その中から現れたポセイドンを名乗る怪物をムカついたからというノリで倒した時の財宝にあったのだと言う。

 

「し、信じられません…… ドレイク船長は私達が来る前に世界をノリで救ってしまっていたんです!?」

 

「とにかく、コイツがあればあんたらは元の所に帰れる訳だ。ホラ、やるよ」

 

聖杯が願望器と知って尚も、ドレイクはあっさりと聖杯をマシュに引き渡した。

宵越しの銭を持たぬ主義のドレイクらしいと言えばらしいのだが。

 

「…… 聖杯は此方に譲渡されましたが…… ドクター、何か変化はありますか?」

 

『いや、依然そこは特異点のままだ。多分その聖杯は元々この時代にあった物だろうね』

 

「じゃあ、その聖杯を受け取っても解決は……」

 

『しないだろうねぇ……』

 

結果、ドレイクの持つ聖杯はレフが特異点にもたらした物ではなく元々この時代にあった物で、正しくドレイクが勝ち取った物だった。

 

『恐らく、ドレイクの正しい聖杯とレフがもたらした誤った聖杯が上手く拮抗して出来たのがこの特異点なんだろう』

 

「つまり?」

 

『その聖杯は彼女の物だ』

 

「話は終わったかい」

 

「はい。私達の求める聖杯はドレイク船長の物とは違うみたいです。ですから、これはお返しします」

 

マシュがドレイクに再び聖杯を手渡すと、聖杯はスーッと胸元に吸い込まれていった。

 

「んー…… 中々馴れないね、この感覚には。それに渡したお宝を速攻返されたのは初めてだ」

 

「手数が増えたのは良いことだろう。違うか?」

 

「いやまあ、そりゃそうなんだけどねぇ……」

 

海賊として、あるいは商人として納得出来ないのか、ドレイクは難しい顔をして唸っていた。

 

「まあ、あたしらが全面協力するんだ。対価としては案配かねぇ」

 

「うん。それでいいよ」

 

「フフ、そうかい。んじゃあ明日の出航に向けての前祝いだ!野郎共!ジャンジャン騒ぎな!」

 

「まだ続くんですか~!?」

 

マシュの悲鳴は誰にも届かず、海賊たちの宴は夜更けまで行われた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~…… 気持ちのいい風です……」

 

翌日、マシュは黄金の鹿号(ゴールデンハインド)に乗り、ドレイクたちと聖杯探索を始めていた。

 

気持ちのいい潮風を感じながら、マシュはフォウと共に何処までも続く海を眺めていた。

 

「それにしても……」

 

「フォウ?」

 

不意にマシュは表情を曇らせて、ゴールデンハインドのマストを仰ぎ見る。

 

 

ギンッ……!ガキンッ……!

 

 

鋼のぶつかり合う音、剣戟の火花。

デミ・サーヴァントであるマシュはその卓越した五感でマストの上で行われている非常識を見ていた。

 

「もしかしなくても先輩はバカなんでしょうか」

 

呆れる後輩の視線の先には、マストを縦横無尽に駆け巡って魔戒剣で斬り合う二人の魔戒騎士、優牙とワタルの姿があった。

 

「ハッ!」

 

「踏み込みが甘い!」

 

「はい!」

 

本来不安定であるはずのマストの上で、あれだけアクロバットに動く様をみて、魔戒騎士がどれだけ人からズレているのかを再認識したマシュはため息しか出なかった。

 

「そういえば、カルデアでもこんなことがありましたね」

 

思い返すこと数ヶ月前。

ローマから帰還して間もないころのトレーニングでの出来事―――

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん…」

 

「どうかされましたか?先輩」

 

「なんか訓練が物足りないと思ってさ」

 

日課のトレーニングを終わらせて優牙が最初に放った一言がこれである。

 

「そ、そうですか?なら、ドクターに頼んで更にレベルを……」

 

上げて貰いましょう、と打診しようとしたその時、丁度そこにエミヤがやって来る。

 

「ム?マスターとマシュか。君たちもトレーニングかね?」

 

「あ、エミヤさん。はい、今トレーニングの難易度を上げて貰おうとドクターに頼んで……」

 

「そうだ。エミヤにお願いがあるんだけど」

 

普段されないような優牙からの頼みに困惑するエミヤだが、世話になっていることもあって極力聞こうと話を聞いてみる。

 

「ああ、なにかね?」

 

まさかあんなお願いをされるとはエミヤもマシュも思っていなかったが……

 

「エミヤって剣の投影が得意だろ?だから思い切り、出来るだけ多くの数の剣を俺に向かって放って欲しいんだ!」

 

それを聞いたエミヤとマシュは一瞬ポカンとするが、直ぐに復帰、早急にマスターをなんとかしなければと説得に入る。

 

「いやいや待て待て待て!? どうしてそうなった!?」

 

「トレーニングですよね!? 何故にエミヤさんと戦おうとしてるんですか?」

 

「え?いやトレーニングだけど?」

 

「マスター。君はカルデアに来る前は一体どんなトレーニングをしていたんだ!?」

 

「えっと…… 両刃ギロチンを四基可動させての剣舞だけど?」

 

その言葉を聞いた瞬間、二人は何もかも諦めた。

そして心を一つにしてこう思ったのだ。

 

―――― マスターは修行マニア(バカ)だ、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり、先輩を守るには私も精進しなくちゃ…」

 

「お~いマシュー。楽しんでるかい?」

 

自らの未熟さに辟易しながらも、決意を新たにするマシュの元に、ドレイクがやって来る。

 

「ドレイクさん」

 

「はぁー、よくもまあ器用に飛び回れるねぇ、あの二人は」

 

「お二人は魔戒騎士ですから」

 

「世界を化け物から守ってるんだって?お陰であたしらは陽気に旅が出来るんだ。騎士さまさまだねぇ」

 

ゆったりとした雰囲気が流れるなか、ドレイクの元に船員から報告が入る。

 

「姉御!左舷に島が見えた!」

 

「へぇ、幸先が良いじゃないか」

 

「ドクター」

 

『確認した。あの島にサーヴァントの反応がある。注意してね』

 

「超人も居るってのかい。コイツは愉しくなってきたね!オイ!ワタル!優牙!降りてきな!」

 

ドレイクの叫びを聞いたワタルと優牙は、マストからスルスルと降りてきた。

 

「なんだドレイク。何かあったのか」

 

「上陸だ!あの超人も居るらしいからアンタには来てもらうよ!」

 

「超人ってことはサーヴァント?」

 

「はい。その可能性は高いです」

 

そして黄金の鹿号(ゴールデンハインド)は前方に見える島に進路をとり、ドレイクとサーヴァントに対抗できる優牙達が島に上陸することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どう?ザルバ」

 

『確かにサーヴァントの感覚はあるな』

 

『なんかこのサーヴァントの気配ってヤな感じ』

 

「文句を言うなウルバ。細かな索敵は魔導輪が頼りなんだからな」

 

島に上陸した優牙とワタルは、サーヴァントを探し出す為にザルバとウルバを使って索敵していたが、二人が感じた結果、サーヴァントは島の中心から動いていない。

 

「先ずは、サーヴァントとの接触を計りつつ慎重に―――」

 

「ん~?ここか?」

 

 

タァン!

 

 

「フォウ!?」

 

「ひゃあ!?」

 

行動計画を建てながら慎重に事を進めようとしていたマシュだったが、唐突にドレイクが草むらに向けて発砲した。

 

「フォウフォウフォーウ!?」

 

「ああ!フォウさん走り回らないで!ドレイクさん!?」

 

「いや、なんか居たように感じたからつい」

 

「つい!? 勘で撃ったんですか!?」

 

発砲した理由はごく単純、何となくそこに気配を感じたからという勘に等しい理由。

 

基本優等生のマシュはそれを信じられないという面持ちで叫んでいた。

 

「それで?当たったのか?」

 

「さあ?死んだのか当たったのかは見てみないと分からんさね」

 

そう言ってドレイクはワタルと共に発砲した方角へと足を向ける。

 

「…… 先輩。ジャンヌさんやネロさんとは違ってドレイクさんは大胆過ぎます!これでは慎重に行動できません」

 

「海賊に慎重を求めるのが無理な話だよな。ま、臨機応変に行こう」

 

「…… そうですね。臨機応変に対応します」

 

「おーい!なんか有ったぞー!」

 

ドレイクとはそういう人なのだと自分を納得させるマシュだったが、先に行ったドレイクとワタルが何かを見つけたらしく、優牙とマシュに手招きしている。

 

何事かと急いで密林に足を踏み入れると、文字が刻まれている石板の前に二人がいた。

 

「何を見つけたんですか?ワタルさん」

 

「ああ、コイツだ」

 

ワタルが指し示す石板には、優牙が見たことも無い文字が刻まれていた。

 

「これは…?」

 

「ルーン文字ですね。ですが、魔術の類いではなさそうです」

 

『しかもこれ一週間程前に刻まれたばかりだぞ…』

 

「ザルバは読める?」

 

『ああ、ルーン文字なら読めるぞ』

 

それを聞いた優牙は、ザルバを石板にかざした。

 

『何々……「一度眠りし血斧王。再び蘇る」だそうだ』

 

『んー?血斧王?どーっかで聞いたことがあるような?』

 

『九世紀に活躍したノルウェーのヴァイキングだよ!――― ああ、不味い!?サーヴァント反応が接近!』

 

その時、島の中心から動いていなかったサーヴァントが、此方に気づいたのか急速に接近、優牙達の前に現れた。

 

「ギギギギギ!! ガガガガガ!!」

 

「サーヴァントです!話は…… 通じなさそうです」

 

「という事はバーサーカーか」

 

「ワガッ!ワガナハ、エイリーク!! イダイナルエイリークッ!!」

 

強大な体格にして、最小の革鎧を身に纏い、血管に血が流れるがごとく躍動する巨大な斧を持つヴァイキングの王。

 

与えられたクラスはバーサーカー。

狂気を孕んだ笑みを浮かべ、血斧王エイリークは優牙達に襲いかかった!

 

「グララララララッ!!!!」

 

 

ズドン!

 

 

獣の斧が容赦なく振り降ろされ、血を啜り、肉を抉るべく、優牙に血色の衝撃が迫る。

 

「くぅッ!!」

 

 

ガンッ!!

 

 

辛うじて魔戒剣を取りだして、赤鞘を盾にして防ぐことに成功したが、威力は凄まじく、勢いのまま優牙は木に叩きつけられた。

 

「グハッ!」

 

「先輩!」

 

「大丈―――!? 前だ、マシュ!」

 

「え?」

 

優牙に気を取られたマシュは、エイリークの接近に気づかず、血斧はマシュの体を斬り潰そうと迫っていた。

 

「ハッハー!!」

 

「クッ!?」

 

「マシュ!」

 

慌てて回避行動を取ろうとするが後の祭、エイリークの斧を振りかぶる速度には及ばない。

 

あと二秒、それだけあればマシュの肉体は物言わぬ肉塊に成り果てるだろう。

 

 

バァン!!

 

 

「グオッ!?」

 

――― ドレイクの銃撃による妨害がなければだが。

 

「おい、そこの髭ダルマ!うちのクルーに手ぇ出すたぁ、嘗めたマネしてくれるじゃないか!」

 

「ドレイクさん!」

 

「そら、マシュ。アンタもなんか言ってやんな。ロートル風情が、調子に乗るな!とかさ」

 

「そこまでは言いませんが…… マシュ・キリエライト、血斧王になんか負けません!」

 

「良く言ったよッ!」

 

更にドレイクが銃を連射、エイリークの顔面目掛けて次々と撃ち込み、エイリークを怯ませる。

 

「グッ、ヌウウウ!!」

 

「やあッ!!」

 

ドレイクの乱撃乱射に耐え兼ねて、斧を盾にするしかないエイリークの隙を突き、背後に回ったマシュは背骨に強烈な打撃を与えた。

 

「グオオッ!?」

 

「ヌン!」

 

そこをすかさずワタルがエイリークの巨体を駆け登り、斧を持つ腕を魔戒剣で突き刺し、血斧を蹴り飛ばした。

 

「止めはお前だ優牙!」

 

「はい!オオオオッ!!」

 

衝撃から復帰した優牙が、魔戒剣を片手に駆け出し、蹴り落とされた血斧を再び蹴ってエイリークにシュートした。

 

「ムゥ!? ヌオオオオオオオッ!?」

 

「これで…!どうだ!」

 

 

ザンッ!!

 

 

自身の宝具でもある血斧を後退りはしたものの、見事キャッチしたエイリークだったが、斧が巨大だったこともあり、優牙が懐に潜り込んだ事に気づかず、そのままわき腹を斬られた。

 

「グッ…… クソ、クソッ! クソッ! タカラハ、オレノモンダ…!! オレノモンナノニ…!!」

 

そう言って恨み言を吐いた後、エイリークはフッと消え去った。

 

「…… エイリーク血斧王、消滅しました」

 

『…… ん?アレ?今、反応が……』

 

「どうかしましたか?ドクター?」

 

『いや、なんか計器の調子が悪いみたいだ。ちょっと調べとくよ』

 

カルデアの計器はこの特異点に来てから様子が可笑しいらしく、向こうで必死にメンテナンスをしているようだった。

 

「いやー、流石ヴァイキング。危なかったねぇ」

 

「ああ、一つ間違えば体を潰されていただろう。優牙、あそこは受けずに避けるのが正解だ」

 

「すみません…」

 

「だが、剣は落とさなかった。そこは評価出来る。精進しろよ」

 

「はい…!」

 

このあと、島の反対側でエイリークが乗ってきたとされる船が見つかり、その中に有ったこの海の海図を奪取し、島を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、何処かの海……

 

「グッ、ゥゥゥウウウオオオオッ!!!!」

 

「お?なあ、船長。エイリーク帰ってきたぜ」

 

「ボロボロですわね?」

 

「何があったんだろう?」

 

そこに浮かぶ海賊船に、エイリークが現れた。

それを歓迎する中年の槍使いと、二人の女海賊。

 

「デュフフフwww それでそれでエイリーク氏?お宝は?」

 

「タカラ…… ナイ……!」

 

「ファーwwwwww!どういうことでござるかエイリーク氏!?」

 

「ジャマ、ガ、ハイッ、タ」

 

不気味な笑い声を上げながら、エイリークの帰還報告を受ける船長と思わしき髭男。

 

そんな彼を煩わしそうに見る男がいた。

 

「五月蝿いぞ。静かにしろ」

 

「いや、そうは言ってもですね旦那ァ!!」

 

「近寄るな、バカが移る」

 

「ファッ!? 塩対応、ギモヂイイ!!」

 

どんなに素っ気なく扱っても、むしろ気持ちよさそうにするこの変態に嫌気が差したのか、男は無言で髭男を海に蹴り飛ばした。

 

「ギャーッ!? な、何をするんですか旦那!?」

 

何とか船にしがみついて海に堕ちる事は無かった髭男たが、追い討ちを掛けるように男は髭男の手を踏みつけた。

 

「そのまま落ちろ。その方が平和だ」

 

「ヤーメーテー!!」

 

「にしても兄ちゃん、アンタ何処の英雄なんだ?格好からして海賊じゃあないようだが」

 

「そうですわねぇ。そろそろ教えてくださらないこと?」

 

「……」

 

槍使いと銃を持った女海賊にいわれ、ため息を吐きながら、男は答えた。

 

「確かに海賊じゃあないが、賊は賊だ」

 

「海賊じゃない賊?」

 

「ああ。アサシンのサーヴァントとして現界した。真名、藤原保輔。生前は盗賊袴垂として生きていた、マイナーな極東の反英雄さ」

 

そう言って、男は自嘲するように笑った。

髭男が海に落ちる断末魔と水音をBGMにしながら…




お前たち、ミノタウロスって知ってるか?

迷宮に迷い込んだ人を食い殺す恐ろしい怪物だ。

だが、本当は心優しい奴だったらどうする?


次回 第四節 迷宮


優牙達は知る、怪物はもはや怪物ではないことを…
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