GARO/Grand Order   作:響く黒雲

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迷宮

エイリークの船から見つけた海図には、今までにエイリーク達が訪れたこの特異点の島についてびっしりと書かれていた。

 

その海図を元に、優牙と黄金の鹿号(ゴールデンハインド)は次の島に向けて出航した。

 

「んー?」

 

「どうかしましたか?ドレイクさん」

 

「風の味が変わったね」

 

空を仰いで鼻をひくつかせるドレイクはそう言うが、マシュにとっては初めての海、風の味と言われても何の事か分からない。

 

「風の味…… ですか?」

 

「そうさ。スペインからポルトガル位の距離ならまだしも、大陸を渡るとなるとね。空気が変わるって奴さ」

 

『驚いたな。ミス・ドレイクは気温や潮風の変化を感じているのかい?』

 

「やだよ!ミスだなんて、学者の兄ちゃん」

 

ドレイクとて女だ。

ミスと呼ばれて悪い気はしないが、反面、海賊としては気恥ずかしいのか、顔を真っ赤にしている。

 

『では失礼してドレイクと、でもマシュ。本当に今いる海域はさっきの島とは変化している。注意してね』

 

「了解しました。…… あの、所で先輩は?」

 

「ああ、優牙ならワタルとそこで鍛練中さね」

 

ドレイクが顎をしゃくる先を見ると、そこは帆に繋がっているロープ。

 

二人は、そこで綱渡りをしながら魔戒剣を振るっていた。

 

「先輩ってば……」

 

「なんだーい?優牙に構って貰えなくて寂しいのかい?」

 

「ち、違いますよ!」

 

ドレイクにからかわれたマシュは、頬を若干紅くしながら抗議するが、当のドレイクはカラカラと笑っているだけだった。

 

「姉御!」

 

「あ~ん?どした?」

 

その時、船員の一人が何かを報告しに来る。

 

「海賊船です!数は一隻」

 

「旗は?」

 

「分かりません。見たことがないっス!」

 

黄金の鹿号(ゴールデンハインド)の向こう側から見知らぬ海賊旗を掲げた船がやって来ていた。

 

「なら敵だ。野郎共!戦闘準備だ!」

 

「了解しました!キャプテン・ドレイク!マシュ・キリエライト。行きます!」

 

そうしてマシュ達は、何度目かも分からぬ海戦を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ。もう!こんなに走ったのは生まれて初めてよ!というかなんで私サーヴァントになってるわけ!?―――― (ステンノ)駄妹(メデューサ)もいないし…」

 

暗い地下迷宮で、美しい肢体、輝くような薄紫のツインテール、整った顔を持った少女が、なにかから必死に逃げていた。

 

「それに――― 此所ってあの迷宮(ラヴィリンス)よね…?なら、アレも此処に居るわよね…」

 

自分が今何処にいるのかを理解している少女は、この地下迷宮の主の存在を警戒する。

 

そして―――――

 

「■■■■■■■!!!」

 

「きゃあぁぁぁぁッ!?」

 

黒く大きな影が、少女に覆い被さった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦闘終了、強さは中の下と言った所でしょうか?」

 

「まったく、概念の海賊とはいえ、もっと骨が欲しいもんだ」

 

『何言ってんのさワタル!弱けりゃそれだけ早く終わるでしょ!?』

 

先程襲ってきた謎の海賊船を撃退し、船を完膚なきまで叩きのめした優牙達だったが、その中でワタルは割りと直ぐ片付いた事に不満気だった。

 

「姉御、敵の海賊旗です」

 

「ふーむ…… やっぱり見覚えないねぇ……」

 

「ドクター。カルデアで解析は可能ですか?」

 

『任せてよ。それぐらいなら画像解析だけで充分だ』

 

敵の船から奪った海賊旗を改めて見ても、やはりドレイクには心当たりがなかった。

 

そこで、カルデアの解析機能を使って海賊旗の示す船長、海賊船を割り出し、誰の差し金か調べるのだった。

 

「皆、そろそろ着くよ。海図に書かれていた島に」

 

そうして優牙が指さす先には、エイリークがいた島より、デカイ島が見えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無事上陸しました、ドクター」

 

『うん。さっきの島よりも広そうだ。それに幸いにも竜脈がその島に根付いてる。早速召喚サークルのアンカーを設置してくれ』

 

「了解です。という訳でドレイクさん。こちらへ向かいたいのですが良いですか?」

 

「良いんじゃない?あたしもこっちだと思うし」

 

「ドレイクが言うなら間違いはないだろう」

 

島に上陸した優牙達は、ロマンからこの島に根付いてる竜脈の事を知り、カルデアとの繋がりを強固にするべく、指定されたポイントに向かって召喚サークの設置をするべく、森の奥へと進んだ。

 

 

 

森を越えて、草花が敷き詰められた平野に竜脈を見つけたマシュはそこに雪花の盾を置く。

 

「それでは、召喚サークルの設置を開始します」

 

雪花の盾が触媒となり、カルデアの召喚ルームと接続され、カルデアとの通信が強固となる。

 

「これで第一目標はクリアだね」

 

「はい。後は聖杯を見つけ、回収するだけです」

 

『御苦労様。所で、さっきの海賊旗の解析が終わったんだけど。あれは大■賊――『■■』のも■―――』

 

その時、今しがた強固にしたはずのロマンからの通信にノイズが走り、肝心の言葉が聞こえない。

 

「ドクター?」

 

不審に思ったマシュが再度、通信を試みると―――

 

 

 

 

―――― ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!

 

 

 

 

島に大きな揺れが襲いかかった。

 

「地面に伏せな!」

 

ドレイクがいち早く気づき、激を飛ばすと、それに従ってサッと身を屈める優牙達。

 

しばらくして揺れは治まり、誰一人怪我をすることなく地震を乗りきった。

 

「皆さん、ご無事ですか」

 

「問題ないよ」

 

「無事だ」

 

「……… あたしらは問題ないみたいだが、船が心配だ。一度戻ってもいいかい?」

 

「それがいいですね。今、船が無くなるのは困ります」

 

地震の影響で黄金の鹿号(ゴールデンハインド)に支障が出ていないか心配したドレイク達は、急いでもと来た道を走り抜け、船を停めた海岸へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「野郎共!無事かい!」

 

「姉御…… 大変です…… 船が動きません」

 

「なんだって?ちょっと見てくるよ!」

 

海岸に戻ってたドレイク達を待っていたのは、船が動かなくなったという想定しうる最悪な報告だった。

 

ドレイクは急いで黄金の鹿号(ゴールデンハインド)に乗り込み、船を調べるが、結果動かなかった。

 

「ダメだね。うんともすんともいわない。船体自体に傷はないと思うんだけどねぇ」

 

「となると、魔術的な何かをで妨害されていると?」

 

「ああ。あれは動かないってよりは固められてるって所だろ。なぁ、優牙。アンタ達こう言うの得意だろ?」

 

「どうだ?ウルバ」

 

ワタルは、ウルバを船体に向けて翳した。

 

『うん。確かに結界が島中に張られてるね。でも邪気は感じないし…… なーんか変な感じなんだよなぁ……』

 

『――――― なんてこった』

 

ウルバは、結界が張られてる事には気づいたが、邪気がなく、別の力で張られている事に疑問を抱いていた。

 

しかし、ザルバにはこの力の正体に気がついてしまった。

 

「どうしたの?ザルバ」

 

『厄介な事になったぞ優牙…… こいつには僅かながら神霊の気配がする』

 

「し、神霊!? 神霊がサーヴァントとして召喚されているのですか!?」

 

その時、二人の脳内に思い起こされるのは、ローマでの地獄の様な試練を与えてきたあの悪魔(ステンノ)の笑顔。

 

二人は思った、またあんな事になるのかと……

 

「バカバカしい。神なんてものは存在しないだろうに」

 

「何を言っているんですか?ワタルさん。神はちゃんと存在してますよ?」

 

「なに?」

 

そこで優牙とワタルの認識に食い違いが発生した。

 

「古代の悪神等を討伐したのは魔戒騎士ですよ?常識でしょう?」

 

「なんだと?そんな記録、元老院にすらないぞ?」

 

「え?」

 

優牙は神は存在し、それを討伐したのは魔戒騎士だと言うが、ワタルにはそんな知識は存在していない。

 

ベテランであり、元老院付きの魔戒騎士で導師の身でもあるワタルがだ。

 

「どういうことですか?先輩とワタルさんは同じ魔戒騎士なんですよね?」

 

「その筈だよ」

 

『恐らく、ワタルは優牙の両親が()()()()()の魔戒騎士なんだ。向こう側では神は存在していないんだろう』

 

詳しい事は割愛するが、優牙の両親はこの世界の出身ではない。

優牙が生まれる半年ほど前に、今の世界にたどり着き、優牙を産んだのだ。

 

「べ、別の世界、ですか!?」

 

「俺も詳しい事は知らないけど、そうらしいよ」

 

「成程、そういう事か。彼奴から優牙という子が生まれたという話は聞かなかったからな」

 

「どーでもいいけどさー。とにかく船が動かないのは原因があるんだろ?なら、早く探すなりするよ!」

 

「そ、そうでした?! では行きましょう、皆さん」

 

長い話に痺れを切らしたドレイクの言葉で目的を思い出した優牙達は、結界を張った主を探して、島の探索を開始した。

 

 

 

 

 

再び森を越え、新たに見つけた砦を探索しても、サーヴァントは愚か、人一人居やしない。

 

優牙達は途方に暮れ始めていた。

 

「駄目です。何も見つかりません。先程からカルデアとも連絡が取れません」

 

「さっきの砦にしてもそうさ。もぬけの殻で何もありゃしない」

 

「アレだけの建造物が有ったにもな。誰も居ないとは……」

 

『結界のせいで気配もうまく辿れないよぉ!』

 

人の気配もサーヴァントの気配も、況してや神霊の気配すら感じない。

打つ手なし、どうすることも出来ない。

 

「ん?」

 

「どうした?」

 

「いや…… あの岩、洞窟になってないか?」

 

その時、偶然にも優牙は岩陰に隠れていた洞窟を見つける。

 

「本当です。地下に繋がってます」

 

『ビンゴだ。ここから邪気を強く感じる』

 

「でかしたよ優牙!さぁ、さっさと終わらせようじゃないか」

 

意気揚々と地下へ降りていくドレイクを追いかけて、三人も地下へ降りていく。

 

そこで見たモノとは……

 

「これは……」

 

地下迷宮(ダンジョン)ってやつか!お宝のにおいがしてきたね!」

 

地下に作られているとは思えないほど巧妙で、広大な地下迷宮だった。

 

「ドレイク、目的を忘れるなよ?あくまで船を動かす為にだな……」

 

「分かってるって!さあ、こっちだ!」

 

ワタルはキラキラと目を輝かせるドレイクを嗜めるが、こうなってしまったドレイクを止められる者は誰も居ない。

 

ドレイクは「ヒャッホー!!」と叫びながら迷宮を走り出した。

 

「ったく、悪童め…」

 

「まあ良いじゃないですか。ザルバ、ドレイクが向かった道であってる?」

 

『信じられん…… あの女、()()()でこの迷宮に点在する邪気を避けて正解の道を通ってやがる。しかもサーヴァントの反応に一直線だ』

 

「呑気してる場合じゃないですよ二人共!? ドレイクさん、どんどん行っちゃいますよ!」

 

こうして話している間にも、ドレイクは迷宮を走り抜けている。

引き離され、はぐれてしまうと厄介この上ないため、優牙達も遅れながら、ドレイクを追いかけて迷宮を走った。

 

 

 

 

 

 

しばらくして、ようやくドレイクに追い付いた優牙達は、ドレイクが床に屈んで何かを調べているのを見つけた。

 

「ドレイク?何をして―――」

 

「シッ、静かにしな」

 

険しい表情で、優牙達を黙らせたドレイクは、床に指をさし、自分が調べていた物を見せる。

 

「これは―――― 血か?」

 

「ああ。それも新しいね。傷の具合からいってもかすり傷だろうさ」

 

それは血。

点々と道なりに続いている新しい血痕だった。

 

「一体、誰の……」

 

「さあね。でもこの先に居るのは確かだ」

 

『サーヴァントの反応だ。この血はソイツのだろう』

 

「…… 行こう」

 

サーヴァントが居る。

だが、船を動かす為にはどのみちサーヴァントに会わなければならない。

 

優牙は覚悟を決めて、先に進んだ。

 

やがて、広い空間に出る。

先へと続く道があるのだが、そこに門番の如く鎮座する大男が一人、両手に斧を携えて待っていた。

 

「サーヴァント……!」

 

「……… ころす」

 

優牙達の姿を見た瞬間、牛面の仮面越しに光る紅い瞳が、殺意に満ちる。

 

「この、あすてりおす、が、ころす!」

 

「―――ッ、バーサーカーです。交渉は不可能。気を付けて下さい。アステリオスは隠された真名で、一般に知られる名は『ミノタウロス』です!」

 

ギリシャ神話において有名な怪物といえば複数存在するが、その中でもミノタウロスは有名な部類に入るだろう。

 

アリアドネの大迷宮の主、怪物ミノタウロス。

生まれながらの怪物で正にバーサーカーに相応しいサーヴァントである。

 

しかし、そんな存在もこの少年が知るはずもなく―――

 

「………?」

 

ただ、首を傾げるだけだったりする。

 

「……… 例によって知らないんですね」

 

「…… ゴメン」

 

「良いんです、先輩に期待した私がバカでした」

 

「うおおおおおおおっ!」

 

「無駄話は後にしろ!来るぞ!」

 

そんな会話にアステリオスが配慮するはずもなく、急接近した彼は、両手の斧で優牙達を凪ぎ払った。

 

 

ガゴンッ!!

 

 

「うおっ!?」

 

「くっ!!」

 

全員、咄嗟に武器を取り出して防御するが、やはりバーサーカー、途方もない腕力で防御ごと優牙を吹き飛ばす。

 

「しねぇ…… しねぇ!」

 

『来たぞ、優牙!』

 

「!」

 

次にアステリオスが目を着けたのは優牙だった。

獣の直感か、一番倒し易いと判断したようで、ドレイクやマシュ、同じ魔戒騎士でもベテランのワタルは倒すのに時間が掛かると践んだのだ。

 

「ぅぅううああああっ!!!!」

 

「くうっ!」

 

魔戒騎士とはいえ人間の腕力、怪物としての腕力があるアステリオスに勝つには分が悪く、魔戒剣で斧を受け切れていなかった。

 

(一か八か…… やるか……!)

 

このままでは拉致が明かないと、優牙は捨て身である策に出る。

 

大振りに構えてアステリオスに振り下ろす。

 

が、そんな隙だらけの構えなぞいくらバーサーカーのアステリオスでも簡単に弾ける。

 

 

ガキンッ!!

 

 

案の定、魔戒剣は宙を舞った。

 

「これで、おわり!」

 

武器を失った優牙の首を目掛けて、斧を凪ぎ払ったアステリオス。

 

だが、優牙は何故かニヤリと笑っていた。

 

「マスター!?」

 

マシュの叫びが木霊したその時――――

 

 

……―――― シュゥゥゥン!

 

 

宙を舞っていた魔戒剣が独りでに動きだし、優牙の真上で円を描いて弾けた。

 

魔戒剣はソウルメタルで出来ている。

ソウルメタルは所有者の心に反応して重さを変える不思議な金属、一流の魔戒騎士は手元から離れた魔戒剣をも操る事が出来るのだ。

 

金色の光が優牙を照らし出し、黄金の鎧が舞い降り、優牙の体に纏われた。

 

 

ガキンッ!!

 

 

アステリオスは理解が出来ていなかった。

目の前の男は、本来なら既に殺せていた筈だ。

なのに何故、この男は金色の狼となって斧を受け止め、こちらを睨んでいるのか――― と。

 

「うおおおおおおおっ!!!!」

 

ならばと、アステリオスはそのまま斧に力を込めて、優牙を砕き、殺そうとする。

 

『グッ、オオオオオ……!』

 

牙狼の鎧を纏っても、一向に覆らない力量差。

元々の筋力に違いがありすぎるのだ。

 

だが、アステリオスは忘れている。

敵は目の前の優牙だけでは無いことを。

 

『グゥウウッ!! マシュッ!!』

 

「はい。行きます、マスター!」

 

アステリオスと優牙の隙間に、その華奢な身体を滑り込ませて、雪花の盾を胴体に叩き込むマシュ。

 

「ぐう…!」

 

「そらよ!こいつも喰らいなぁッ!!」

 

 

ダダダン!!

 

 

ドレイクが放った銃弾が、アステリオスの胸に突き刺さる。

 

「む、ぎぎ……」

 

「ハッ!」

 

注意を失った背中をワタルが魔戒剣で一閃する。

 

「がはっ!」

 

更にマシュと優牙は共に走り出し、雪花の盾をアステリオスの顎に打ち上げ―――

 

「やあああっ!!!!」

 

「ごっ……!?」

 

がら空きになった胴体に、優牙がその黄金の腕で殴り、壁に激突させる。

 

『ウオオオオッ!!』

 

「ぐふっ!!」

 

 

ドオオオオン!!!!

 

 

『やったか!?』

 

砂煙が上がり、アステリオスを倒せたか分からないが手応えはあったと拳を握る優牙。

 

 

しかし――――

 

 

「…………」

 

「なっ!?」

 

「そんな!」

 

「アレだけの攻撃と銃弾を受けてまだ立つのかい!?」

 

血まみれで、仮面も壊れていたが、そこにはしっかりとした態度で立つアステリオスがいた。

 

『クッ!?』

 

再び攻撃される前に倒そうと、宙に待機させていた牙狼剣を引き寄せ、アステリオスの心臓目掛けて、その黄金の剣を突き立てようとする。

 

―――― が、その時優牙は見た。

 

「おれ、が……… まも、る……!」

 

狂気の怪物の瞳に、自分と同じ守る意思を湛えた光を……

 

『………』

 

結果、優牙は牙狼剣をアステリオスに突き立てる寸前で止めた。

 

『優牙、何故止める?』

 

「なにしてんだい優牙!」

 

「相手はバーサーカーなんですよ!?」

 

『……… いや』

 

そしてついには、牙狼の鎧まで解除してしまった。

 

「……… ぅ?なんで、やめる……?」

 

「アステリオス…… お前、一体何を守っているんだ?」

 

優牙はアステリオスがバーサーカーであることを完全に忘れていたが、どうしてもそれだけが聞きたかった。

 

マシュの話が正しいならアステリオスは怪物、どちらかといえば破壊する側だ。

その怪物から守る意思を感じ、更には守ると言った。

 

アステリオスがそうまでして守るモノを優牙は知りたかった。

 

「……… やくそく、した。えうりゅあれ、まもる」

 

「えうりゅあれ?」

 

その時、第三者の介入が入る。

 

「待ちなさい!私が大人しく着いていけばいいんでしょ!ソイツから離れなさい!」

 

「え?」

 

その声に聞き覚えを感じながらも、声の主がいる方を振り替えると、そこには――――

 

「ス、ステンノォ!?」

 

以前、ローマで散々な目に逢わされたあの女神(あくま)と瓜二つの少女が立っていた。




まさか女神と共闘するとはな…… 先行きが不安なパーティになったな。

おい優牙、入れ込みすぎて化かされるなよ?


次回 第五節 惨状


俺様も色々見てきたが、ホラーより醜悪な人間は始めてみたぜ……
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