GARO/Grand Order   作:響く黒雲

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お久しぶりです。
まずは申し訳ありません。卒業やら、春に向けて準備やら、新宿やらで忙しく更新出来てませんでした。

これからも更新ペースは落ちると思いますが、これからもよろしくお願いします。

FGOの近況は教授、婦長、ベオさんとEX三世が出たぐらいですかねぇ……


惨状

「ス、ステンノォ!?」

 

瀕死のアステリオスを庇ったのはかつてローマの地で出会った女神、ステンノと瓜二つの少女だった。

 

『よく見ろ優牙。似ているが、奴とはまた別だ』

 

「あ、本当だ」

 

「見分けられるんですか?私にはさっぱりで…」

 

「煮るなり何なり、好きにすればいいわ!アステリオスはもう瀕死よ、連れていく価値がないでしょ。モタモタしてるとこいつが死んで迷宮が崩壊するわよ?」

 

アステリオスの前に立つなり、凄まじい勢いで捲し立てる少女。

 

「あ、あの。少々よろしいですか?」

 

「なに?ダサい盾女。さっさと行きましょうよ。アイツのところへ」

 

「ダサッ……!?」

 

何気にダサいと言われたマシュはショックを受けていたが、尊大な態度が気にくわなかったドレイクが食って掛かる。

 

「こら、ガキンチョ。助けられる身分でそう悪口を言うもんじゃないよ」

 

「はあ?育ちきった女はお呼びでないんですけど?」

 

しかし少女はどこ吹く風で全く気にしないどころか更に毒舌はヒートアップしていく。

 

「――― ほう。あんた、船の女神像(フィギュアヘッド)の代役でもしたい訳かい?」

 

「女神?…… よくわからないけど、私は女神エウリュアレよ。なに、そんなことも知らないで追い回していたの?」

 

「こんなのが女神とはな…… ザルバが毛嫌いするのも頷けるな」

 

「あら?」

 

ふと、ワタルの存在に気づいたエウリュアレは、ワタルの回りをクルクルと回って眺める。

 

「その服装と武器は魔戒騎士ね。しかもサーヴァントになってるなんて珍しい。あんたも()()()の仲間?」

 

「なんだと?」

 

他にも魔戒騎士を知っている風な口ぶりで話すエウリュアレだったが、どうも何か勘違いをしている様だった。

 

「なあ、何か勘違いしてない?」

 

「ん?んん?また魔戒騎士?しかも人間の…… てことはあんた、アレのマスター?何で?」

 

優牙の存在を認識した瞬間、この場で唯一のマスターであることを察したエウリュアレはポカンとしたが、それも一瞬、次には怒りを剥き出しにして優牙を叱りつける。

 

「いいえ、それよりマスターならサーヴァントをきちんと躾なさいよ!なに、あのド変態サーヴァント!あんなのギリシャにもいなかったわよ!?」

 

「あの!私たちは貴女を追いかけてきたわけではありません!」

 

見ていられなくなったのか、マシュがエウリュアレの愚痴に割り込んで状況の説明をしようとする。

 

「……はあ?じゃあいったいどこの誰よ、あなたたち?」

 

「私たちは―――」

 

そうして、マシュが懇切丁寧にエウリュアレに対して、今までの経緯を説明した。

 

「な・に・よ・そ・れー!紛らわしいのよ!」

 

『それはこっちの台詞だよぉ!』

 

「結界が張られて閉じ込められてしまえば敵だと思うのは当然でしょう!?」

 

それに対して逆ギレを始めるエウリュアレに、マシュとウルバがキレて、小さな喧嘩がはじまる。

 

「ぐ……」

 

多少の回復ができたのか、立ち上がろうとするアステリオスだが――――

 

「ああ、アステリオス!動かなくていいわよ。あなた頑丈だから、じっとしていれば死なないわよ…… 死なないわよね?」

 

「…… ん」

 

それに気づいたエウリュアレが、直ぐに駆け寄り、アステリオスを安静にさせる。

 

「すまなかった。突然だったからな、対処を間違えるところだった」

 

「結界を張ったのはそちらのアステリオスさん、ですよね?」

 

「そうよ。でも、あなたたちを閉じ込めたんじゃなくて、外からの敵を防ぐためよ」

 

何者かに追われていたエウリュアレは、偶然見つけたアステリオスと共に結界を張っていた。

しかし、更に偶然にも優牙たちがこの島にいたため、このようないざこざが起こってしまったのだ。

 

「そうだったんですか。ですが、解除してもらわないとこちらも立ち往生で……」

 

「……… むぅ、仕方ないわね」

 

意外にも、エウリュアレはあっさりと承諾した。

 

「おや、意外にあっさり納得したね」

 

「単純な事よ、外に出るにはアステリオスが死ぬか、結界を解除するしかない―――― なら、解除するわ。…… 一人になるよりは、マシだもの」

 

唐突に寂しげな表情(かお)をするエウリュアレだったが、そんな彼女を見て品定めするようにドレイクはニヤリと笑う。

 

「…… なるほど。いいね、気に入った。あんた面白いし、なにより金目の匂いがする。ウチの船に回収だね」

 

「は?……… ちょ、何勝手に決めてるのよ!ふざけないで!」

 

いきなりのドレイクの回収宣言にため息を吐く者、ポカンとする者と様々だが、当人であるエウリュアレはキレた。

 

「それに、私はアステリオスを置いていく気は無いわ!」

 

「何言ってんだい。アステリオスも連れていくに決まってるだろ?」

 

「…… え?」

 

アステリオスを置いては行けないと、頑なに拒むエウリュアレだが、そもそもドレイクは二人とも回収する気満々だった。

 

「神話の怪物をスカウト出来る機会なんて滅多にないさね!それを逃したら笑い者になっちまう!ま、イヤなら仕方ないけどねぇ」

 

「…… いいの?」

 

「勿論さ。あ、でも福利厚生は期待しないでおくれ」

 

「…… アステリオス、あなたはどうする?」

 

一応、本人の意思も確かめるために聞いてみたが、どうやらアステリオスは既に決めているようだった。

 

「いく。ひとりは、さびしい」

 

「そう。……… なら、いいわよ。船に乗ってあげる」

 

ひどくホッとした様子なエウリュアレだったが、そんなしおらしい態度も直ぐに終わり―――

 

「あ、ただし私酔うの個室を用意してちょうだい。当然浴室はあるわよね?ああ、それから―――」

 

矢継ぎ早に捲し立てられる要求に、横暴な女神らしさを垣間見るのだった。

 

「――― なんだか、話に入れないまま進んでますね」

 

「まぁ、いいんじゃない?終わり良ければって奴さ」

 

「―――― そうですね、先輩」

 

『女神がいる時点で危機感を持ったほうがいいぞ?お前たち』

 

 

ザルバの忠告を話し半分に聞きながら、二人はエウリュアレとアステリオスを見る。

 

「アステリオス、肩を貸しなさい」

 

「ん……」

 

「きゃっ!? ちょっと!急に立ち上がらないでよ!頭打っちゃうじゃない!」

 

「うぅ……」

 

「アステリオスさんは、ギリシャでは有名な怪物ですが……」

 

「違うよ。アステリオスは()だ。間違っても、ミノタウロスなんて怪物なんかじゃない」

 

「そう、ですね。私も、そう思います」

 

喧しく騒ぎたてながらアステリオスに怒るエウリュアレと、困ったような様子なアステリオスを見ながら、優牙たちは迷宮を抜け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――― いつも思うんだけどさ、生きてて恥ずかしくないの?」

 

優牙たちのいる島からそう遠くはない海域に浮かぶ船の中、銀髪の少女の辛辣な毒舌が放たれる。

 

「もう、ダメですよメアリー。どんな害獣、害虫、疫病持ちのネズミだって生きてるのよ?このサーヴァントだって生きていいのです。私は許します」

 

「うふぉぉうw アン氏はいつもソフトに締めてくるでござるwww ナイーブな拙者にそんな事言われた日には二人ともチョメチョメしちゃうですよ?」

 

そんな少女、メアリーの毒舌をフォロー(と見せ掛けた巧妙な口撃)する長身の女性アンだが、自身の言動で全て台無しにしていると気づかない髭男。

 

「…… アン。やっぱ殺そうよ」

 

「だ・め・よ。遠くで見てるだけなら有害で不快で臭いだけでしょう?さ、船長。そろそろちゃんとしてくださいな」

 

「おっと失敬失敬ww それでは真面目にやらせていただきますですわwww」

 

なんとか真面目にさせようとするが、なおも軽薄な態度を崩さない髭男に、斬りかかろうとするメアリーを抑える(フリをして銃口を向けている)アン。

 

「よーし………… では、我が同胞たちよ。女神エウリュアレ氏を―――」

 

すると、急に髭男は真面目になり、船員に指示をだすが………

 

「いただきに参りましょう!あ、あとついでにBBAのアレもね!」

 

やっぱり真面目にする気は無いようだ……

 

「ドゥフフフフウ!いいよね、エウリュアレ氏!僕は好きだなあ!さあメアリー・リード氏!アン・ボニー氏!エイリーク血斧王氏!そして――― 先生!」

 

そうして意気揚々と先生と呼ばれる男を前に出すが、男は困った洋に頬を掻いている。

 

「あー…… 何だかなぁ。俺ぁ、先生って呼べるほど大したことはしてないよ?」

 

「ご冗談を!トロイア戦争の大英雄である貴方様がいらっしゃれば百人力!それにぃ~まだまだ、我らには旦那がいる!」

 

そうして次に目を付けられたのは、甲板の隅っこで腕組みしながら静かに佇んでいる男、袴垂だった。

 

「ね!ね!袴垂の旦那!旦那がいりゃあ、俺たち無敵の海賊団!」

 

「…………」

 

だが、袴垂は髭男に詰め寄られても目を開けることなく、無言で佇んでいるだけだった。

 

「無視?ねぇ旦那、無視?」

 

「アイツもよくアレに耐えられるよねぇ~」

 

「私だったらとっくに撃ち抜いてます♪」

 

「あの兄ちゃん、忍耐力あるよなぁ~」

 

遠巻きに他のサーヴァントたちが見ているが、異にも介さず、佇んでいる袴垂だったが、このバカは学習することなく詰め寄り続ける。

 

「デュフフwww そういうプレイでごさるか?旦那も物好きですねぇ~!よっ、このスケベ!」

 

だが遂に………

 

 

―――― ブチッ。

 

 

「……… おい、メアリー」

 

「な、何?」

 

「そのロープを寄越せ」

 

「う、うん」

 

何かが切れる音と共にゆらりと目を開けた袴垂は、異様な威圧感を伴いながらメアリーにロープを要求。

 

メアリーは威圧感に圧され、おずおずとロープを差し出した。

 

「ソレ、どうするんですの?」

 

「……… こうする」

 

「おごぉっ!?」

 

ロープを受け取った袴垂は、髭男を殴り、怯んだ隙にロープで体を簀巻きにして船体にロープを繋げ……

 

「な、なにをするんですか……?袴垂氏……」

 

「こうする」

 

おもむろに髭男を担ぎ上げ、そのまま海に投げ捨てた。

 

「あぁぁぁぁぁれぇぇぇぇぇぇ…………」

 

 

―――― ドボン!

 

 

「フン…… これで少しは静かになるだろう――― さてお前たち!船長は自ら海域調査に出た!故に暫くの間は俺が代理をする。さあ、キビキビ働け!」

 

『『『『『サ、サー!イェッサー!』』』』』

 

この間、わずか99.9秒である。

たったそれだけの間に、袴垂は髭男の海賊団を掌握してしまったのだ。

 

「……… ねぇ、君たち。あんな船長で大丈夫なの?ねぇ」

 

「………」

 

「………」

 

男の心配はもっともなのだが、そう聞かれても答えられないメアリーとアンは、黙るしかなかったのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、優牙たちはアステリオスの結界を解除してもらい、動かせるようになった黄金の鹿号(ゴールデンハインド)で島を脱出し、次の島を目指していた。

 

いきなり現れた大男のアステリオスに船員は初めビビっていたが、ドレイクが連れてきたと分かるや、一気にエウリュアレと共に歓迎ムード。

 

さっそく、船のマスコットになっていた。

 

「そら、こいつを飲め。リヴァートラの刻だ」

 

「う…… ま、ずい……」

 

「我慢しろ。良薬は口に苦いものだ」

 

「うぅ……」

 

そんなアステリオスは、ワタルによって先の戦闘で受けた傷を癒していた。

 

ワタルに渡されたリヴァートラの刻を、アステリオスは嫌々飲み込んでいく。

その様子はさながら、薬を嫌がる子供に薬を飲ませる父親のようだった。

 

「よし、飲んだな。あとは魔導火で炙るだけだ」

 

「ん…」

 

魔導ライターを取り出したワタルは、魔戒剣に魔導火を灯し、アステリオスの傷に翳して炙っていく。

 

すると、アステリオスの傷はたちどころに消え去った。

 

「これでどうだ?」

 

「ん… なおっ、た。あり、がと。ワ、タル」

 

「気にするな、アステリオス。これから共に闘うのだからな」

 

「うん。がん、ば、る」

 

導師として数多くの子供たちを魔戒騎士とするべく、教えを説いているワタルにとってアステリオスはとても好感が持てるサーヴァントだった。

 

それはアステリオスにとっても同じようで、厳しさの中に確かな優しさがあるワタルにとてもなついていた。

 

「じゃあ、エウリュアレはステンノの双子なんだね」

 

「そ。私が妹で(ステンノ)が姉よ」

 

その横で優牙はエウリュアレの話し相手になっていた。

 

――――― 光栄に思いなさい。女神が自ら、魔戒騎士のあなたの話し相手になってあげるわ。

 

そこから始まった何気ない会話だったが、優牙にとってはやり易かった。

 

ステンノ同様、人間嫌いではあったが、ステンノに比べて活発だったので優牙にとっては話しやすかったのだ。

 

「あーあ。私もローマに召喚されたら良かったな。そしたら、私も(ステンノ)と一緒に遊べたのに」

 

「やめてください」

 

「あら?お望みなら今からでもいいわよ?マシュマロサーヴァント」

 

「デミ・サーヴァントです!」

 

生真面目なマシュはエウリュアレにとっては格好の餌のようで、かなりの確率でからかわれていた。

 

「ねぇ、優牙。私暇だわ。何かないの?」

 

「何かって言われても……」

 

いきなりの要求に困る優牙。

魔法衣の中をゴソゴソと探ると、出てきたのは魔的な装飾が入った大きめのオカリナだった。

 

「こんなのしか無いけど……」

 

「なら、それでいいわ。聞かせて見なさい。無様だったらお仕置きだけど」

 

『優牙。エウリュアレの言うことを聞かなくてもいいんだぞ。呪ってきたなら斬ればいい』

 

「あら、野蛮な指輪ね」

 

「そういう訳にはいかないよザルバ」

 

そういうと優牙は、オカリナに口づけ、自分が知っているメロディーを奏で始めた。

 

 

~♪~♪♪~♪

 

 

「♪~♪♪~♪~」

 

すると、エウリュアレは何を思ったか、優牙のオカリナに合わせて歌い始めたのだった。

 

「おお!なんだい女神様、歌えるのかい?」

 

「当たり前じゃない、女神だもの。ていうか、誰が聞いていいって言ったかしら?」

 

「そんなケチ臭いこと言わないでおくれよ~」

 

「仕方ないわねぇ。いいわ、特別にあんたたちにも聞かせて上げる!」

 

気分がいいのか、気分を良くしたいのか分からないが、エウリュアレはやけにノリよく優牙のオカリナに合わせて歌っていた。

 

「鎮魂の曲か…」

 

「これ、レクイエムなんですか?ワタルさん」

 

「ああ。魔戒騎士には称号を持たずして死してしまう名もなき英霊が数多くいる。そんな彼らに安らかに眠ってもらう為に作られた唄だ」

 

「そう、だったんですか… 何故か、とても()()()()()()()になります……」

 

優牙の曲を聴いていたマシュは、なんだか懐かしい気持ちになっていた。

 

産まれてから一度もカルデアから出た事のないマシュからすれば、魔戒騎士の曲など知るはずもなく、何故懐かしいのかは分からなかった。

 

もしかすれば、彼女の中に宿る英雄の影響かもしれない。

 

「姉御!」

 

たが、そんな憩いの時間は瞬く間に過ぎていく。

 

「えぇい!なんだい!? 今いいところなのに!」

 

「海賊船です!」

 

「何だって!? 旗は!」

 

「今までの奴等と同じです!」

 

前方から急速にやって来る海賊船。

それは、黄金の鹿号(ゴールデンハインド)にも負けず劣らずのデカさで今までの海賊船とは一味違っていた。

 

「げっ、見つかっちゃったか……」

 

「そうだ…!先輩、ドクターに連絡を!」

 

海賊船を見たとたん、露骨に嫌そうな顔をするエウリュアレだが、海賊旗を見たマシュは何かを思い出したようで、ロマンに連絡を入れた。

 

『やっと繋がった!? びっくりしたよ!いきなり二人とも連絡が途絶えるし!』

 

「あ…… すっかり忘れてた……」

 

『あれー?おっかしいなぁー。もしかして僕忘れられてた?みんなの便りになるドクターロマンですよー』

 

「すみません!少し事情がありまして。それより、先程の通信障害で海賊旗の解析結果が分からなかったので至急お願いします!」

 

『あ、ああ!あの海賊旗は世界で一番有名な大海賊、“黒ひげ”の海賊旗だ!』

 

そうロマンが告げた時、黒ひげの海賊船は、すぐ横に付けられていた。

 

そうしてそこに現れたのは――――

 

「……… やあ」

 

「「「「「………………」」」」」

 

醜悪な面をした髭男だった……




あんなふざけた野郎が黒ひげとはなぁ……

俺様はあまり関わりたくないから、あとは任せたぞ、優牙。


次回 第六節 敗走


魔戒騎士が敵だと!? 一体どうなってんだ?!
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