僕はミッションを九割方終わらせた所です。
そしてなんと!初星5鯖、征服王 イスカンダルが我がカルデアに降臨しました! やったぜ!
これはもう王の臣下になるしかねぇー!
「残った兵士は武器を取り、私に続いて下さい!」
ワイバーンの襲撃が砦を襲った時、突然現れた謎の少女は、旗を槍の様にしてワイバーン達に立ち向かっていった。
「先輩…… どうしましょう?」
「兎に角砦を守ろう。へルマンさんも良いですか?」
「ああ、こっちは良いぜ」
優牙がへルマンに確認を取ると、へルマンは何処から出したのか既に二本の短剣を構えていた。
「じゃあ行こう、マシュ!」
「はい。戦闘開始です!」
優牙とマシュは、互いに武器を構えてワイバーンに向かっていった。
「やあっ!」
「はあっ!」
負傷者に向かったワイバーンを、マシュが受け止め、優牙が魔戒剣で斬り裂いた。
「貴方達は!?」
「細かい話は後で!」
「今はここを切り抜けましょう!」
「助かります!せいっ!」
優牙が剣で斬り、マシュが盾で撃ち落とし、少女が旗で突き貫く。
「あっ!? 危ない!」
マシュが、ワイバーンに群がられていた兵士に駆け寄り、盾を振り回して追い払う。
「大丈夫ですか!?」
「す、すまない」
「さっ、早く砦に!!」
傷ついた兵士を砦に誘導しようと立たせた時、マシュにワイバーンが迫る。
「マシュ!後ろだ!」
「えっ?」
優牙の声で振り返るとそこには、既に自分に向けて爪を振るワイバーンの姿だった。
「くっ!?(間に合わない!)」
何とか身を守ろうとマシュは盾を振り回すが、ワイバーンの爪が僅かに速い。
ワイバーンの爪が、マシュの体に食い込もうとしたその時。
「……… あれ?」
ワイバーンの爪は、マシュの体に当たる寸前で止まっていた。
『キシャアァァァァァ……』
そしてワイバーンは、霧の様になって消えていった。
「どうして……!」
マシュには、何故ワイバーンが動きを止めたのか分からなかったが、答えは直ぐにやって来た。
「大丈夫かい?マシュちゃん」
「へルマンさん!」
へルマンが両手の短剣で、素早くワイバーンを後ろから滅多斬りにしていたからだ。
「すみません…… 私」
「戦場では気を抜かない事だ。でないと、直ぐに死んじまうぜ」
「はい……」
「あんまり落ち込むなよ?筋は良いからな」
そうしてへルマンは、次のワイバーンに向かっていった。
「…… もっと、強くならなくちゃ」
そう呟いて、マシュは盾を握りしめた。
「くそっ、キリがない!」
「負傷者の数も増えて来てる…… このままでは…!」
一方、少女と優牙は、なし崩しにやって来るワイバーンに四苦八苦しながら、何とか砦を守っていた。
「…… 仕方無い、一気にカタを着けるか」
優牙はそう決意すると、魔戒剣を頭上に翳して、円を描いた。
円から金色の光が溢れだし、優牙の体を照らし、包み込む。
――――― GAOOOOOO!!!!!!
狼の雄叫びと共に、優牙に金色の何かが覆い被さる。
次の瞬間には、優牙は黄金騎士 牙狼へと変身していた。
「あれは……!」
「光の、騎士…?」
「間違いない!光の騎士だ!」
「光の騎士が我らを救いに来たぞ!」
回りの兵士は、黄金に光輝く牙狼の姿を見て、困惑しながらも歓喜していた。
「黄金騎士…… 牙狼!」
「……… ガロ? ユーガの奴か!?」
優牙の後ろに居た少女も、遠巻きに見ていたへルマンも、黄金騎士 牙狼の登場に、意味は違えど驚いていた。
『ハアァァァァ……… ハアァアァアッ!!!!』
優牙は思い切り振りかぶって牙狼剣を振るうと、牙狼剣から金色の波動が放たれ、波動は次々とワイバーンの群れを斬り裂いて消えていく。
『『『キシャアァァァァァ……!!!!』』』
その様子を、優牙は低く唸りながら見つめていた。
『ふぅ……』
戦闘が終わり、優牙は鎧を解いて魔界に還す。
向こうでワイバーンを倒し終わったマシュが駆け寄ってきた。
「先輩、お疲れさまです」
「マシュは大丈夫だった?」
「はい、へルマンさんに助けて貰いましたから」
「いやー、まさかユーガがガロだったとはなぁ~!」
そこに、陽気に笑いながらへルマンがやって来る。
「へルマンさん、無事だったんですね」
「まぁ、何とかな。それより……」
そう言ってへルマンは、戦闘に参加していた少女に目を向けると、少女は兵士に何か言われていた。
「あ、貴女は…… いや、貴様は…!! 魔女ジャンヌ・ダルク!!」
「……」
「ジャンヌ・ダルク? 処刑されたんじゃ……」
「ああ、その筈だ」
それに感化されたのか、回りの兵士達も少女に馬尾雑言を浴びせ、遂には砦の門を閉め出してしまった。
「あの…… 大丈夫ですか?」
「…… いえ、ありがとうございます」
「こんないたいげな少女を魔女呼ばわりとは、全く分かってないな、彼奴ら」
残された優牙達は、取りあえず少女に礼を言うために喋りかけたが、少女は何処か寂しげだった。
「助けてくれてありがとう。お陰で助かったよ」
「いえ、私なんかの力がお役に立てて良かったです」
「見た所、貴女もサーヴァントの様ですが…」
「ええ。私はサーヴァント ルーラー。真名をジャンヌ・ダルクと申します」
ジャンヌ・ダルクという思わぬビッグネームが出てきた事に、マシュは驚いた。
「ジャンヌ・ダルク!? あの救国の聖女ですか!?」
「聖女だなんてそんな…… 私は出来る事をしただけですから」
「で、その聖女様がなんで魔女なんて呼ばれているのか…… その辺詳しく聞かせて貰おうか」
へルマンがそう言うと、ジャンヌはコホンと咳払いをする。
「はい。ですが、ここだと話づらいので、向こうの森でよろしいですか?」
「良いのかい?オジサン、女の子の誘いには弱いぜぇ……」
「え!? あ、いや、そう言う事ではなくて……」
「何言ってんだこのクソオヤジ!!」
「げふぅ!?」
森で話し合おうという誘いを、何を勘違いしたのか、へルマンが鼻の下を伸ばしながらジャンヌに触れようとし、寸前の所で優牙が殴り止めた。
「全く、今そんなこと言ってる場合じゃないでしょう?」
「アハハハハ、そうでした」
「しっかりしてください、へルマンさん」
「ええっと…… そ、それじゃあ行きましょう!」
その光景に少し困惑しながらも、ジャンヌは優牙達を森の奥へ誘導するのだった。
「ここなら問題は無いでしょう」
しばらく森を進み、奥地に辿り着くと、安全と判断したジャンヌは、腰をおろし、マシュは夜営の準備を始める。
「では改めて、ルーラー ジャンヌ・ダルクです」
「俺は冴島優牙」
「シールダー マシュ・キリエライトです」
「へルマンだ。よろしく、ジャンヌちゃん」
自己紹介をし終えた一行は、ジャンヌに問い始めた。
何故、ジャンヌが魔女と呼ばれているのか、その理由を。
「フランス各地を蹂躙する魔女ジャンヌ・ダルク…… 恐らく、召喚されたもう一人の私です」
「一つの聖杯戦争に同じサーヴァントが召喚されるなんてあるの?」
『優牙君、過去の聖杯戦争にはそういった事例もあるけれど、まずあり得ない事なんだ』
優牙はジャンヌの説明をロマンの解説付きで聞いていたが、イマイチ分かってはいなかった。
「ルーラーの特権能力があればなんとか出来たかもしれませんが…… すみません、どういう訳かルーラーの能力が殆ど失われているのです」
「ジャンヌさんのせいじゃないですよ」
「待った、その能力は魔女のジャンヌちゃんも使えんのか?」
へルマンの一言に、ジャンヌはハッとした。
「そうでした。イレギュラーの召喚で焦って失念していました。魔女の私が、ルーラー能力を持っていない筈はないんです!」
『それってかなりヤバイんじゃ……』
「急いで魔女の私を討伐しなくては……」
その様子を見ていたマシュは、優牙に言った。
「あの、先輩」
「言いたい事は分かるよマシュ。ジャンヌを手伝いたいんだろ?」
「!はい。先輩なんで分かったんですか!?」
言いたい事を先読みされたマシュは、心底驚いていたが、優牙は驚くマシュを見て笑っていた。
「だって、顔に書いてあるよ。助けたいって」
「もう…… 先輩のイジワル」
先読みされた挙げ句、驚いた顔まで見られて笑われたマシュは、顔を真っ赤にして頬を膨らませていた。
「ごめんごめん。でも俺は最初からそのつもりだよ。ジャンヌ、俺達も手伝っていいかな?」
「ありがとうございます。皆さん心強いです」
「へルマンさんは?」
「そうだな… 俺も及ばずながら、力を貸そうか」
ジャンヌ、へルマンから協力を得ることが出来た優牙だったが、そんな優牙にザルバは告げる。
『優牙、気づいていると思うが、へルマンもサーヴァントだぞ』
「ああ、やっぱり」
「「ええ!?」」
「なんだよ!? オジサンがサーヴァントだとそんなに可笑しいか!?」
優牙はこの言葉で核心を得て、マシュとジャンヌはこぞって驚き、そのあんまりな反応にへルマンは声を上げる。
『そんな!? サーヴァント反応になかったのに!?』
「そりゃ、契約者が違うからな」
「契約者が違う?聖杯では無いのですか?」
「まっ、その辺は追々な。今日はもう遅い。ユーガは寝とけ、マスターのお前が倒れたら不味いからな」
「じゃあお言葉に甘えて」
優牙はマシュが準備をしていた寝袋にくるまって早々に寝た。
翌日、目的も定まった一行は、情報収集のためにラ・シャリテと言う街を訪れる事にした。
「そろそろラ・シャリテに着きます。ここで情報が得られれば良いのですが……」
「見つかんなかったら、オルレアンに近い場所に行かなきゃなんねぇからな…… 世知辛いもんだぜ」
「フォウ!フォウフォウ!」
ラ・シャリテへの道を歩いていると、突然フォウが騒ぎだし、マシュの頭の上に乗っかった。
「きゃっ!? フォウさん? え?「向こうを見るんだ」ですか?………… あれは!」
マシュとフォウが見据える先は、ラ・シャリテの街で、黒い煙と赤い炎が上がっていた。
『皆、サーヴァント反応だ!数は…… 嘘だろ…! 数は五騎だ!ああ!駄目だ離れていく!?…… ロストした……』
ロマンはレーダーにサーヴァントの反応を掴んでいたが、急速に離れていき、反応を見失ってしまった。
『だが、邪気はまだしっかりと残ってる。油断するなよ、お前たち』
「分かってる。急ごう」
優牙達は、ラ・シャリテに向かって走り出した。
ラ・シャリテに着いた優牙達が見た物は地獄だった。
リビングデッドが街を応報闊歩し、ワイバーンがそこら中に築かれた死体の山を漁っていた。
「…… あ、あれは」
『チッ、奴等死体を食って魔力を貯めてやがる』
「止めなさい!」
マシュは吐き気を抑えながら見ていたが、ジャンヌはその光景に耐えられなくなり、ワイバーンに向かって飛び出した。
ジャンヌの旗が、ワイバーンの頭を叩き割り、食事を中断させる。
『シャアァァァァ!!!!』
それに怒ったワイバーンの群れや、リビングデッド達が、こぞってジャンヌに襲い掛かる。
「マシュ!」
「はい!へルマンさんも!」
「おうよ!」
三人はそれぞれの武器を手に、敵に囲まれるジャンヌの元へ行き、敵を蹴散らす。
「ジャンヌ、無事か?」
「ありがとうございます、マスター。本当に心強いです」
幾ら多勢に無勢だとしても、ジャンヌとへルマンは歴戦のサーヴァント、マシュもデミ・サーヴァントという存在であるし、なによりマスターの優牙は魔戒騎士である。
そう簡単にワイバーンやリビングデッドに負けるはずがなかった。
「やああああああっ!!」
「ハアアアアアッ!!」
修羅のごとき戦いを見せる四人に、最悪の知らせがロマンとザルバから届く。
『不味いぞ優牙!奴等戻って来やがった!』
「何!?」
『優牙君達の存在を感知してきたのか!? 凄いスピードだ…! 敵にライダーのサーヴァントが居るのか!?』
なんと先程去っていった筈のサーヴァント五騎が、優牙達を察知して唐突に戻ってきたのだ。
「ど、どうするんですかドクター!」
『逃げるんだ…… こっちは優牙君を入れても四人、あっちは五騎のサーヴァントだ!勝ち目は無い!』
「…… いいえ、逃げません。魔女と呼ばれた私に問わねばなりません」
逃げる様に言うロマンだが、ジャンヌは一貫してここから動こうとはしなかった。
『せめて同じ数ならいい! だけど今は…!』
「ドクター、忠告は有り難いんだけど…… もう遅いみたい」
なんとかジャンヌを説得しようとするロマンだったが、現実とは非情で、既にサーヴァント達は真上に来ていた。
ワイバーンから降りてきた五騎サーヴァント達は、服装も人相もバラバラだが、全員に共通して、狂ったような気配を漂わせていた。
一人は貴族の様な服装に長いメスの様な槍を携え、一人は拷問器具に身を包んだ貴婦人。
更に一人はレイピアを携えた花の騎士。
四人目は十字架の杖を持ち、どこかジャンヌと似た雰囲気をもつ少女。
そして最後は―――
「――― なんて、なんてこと。まさか、まさかこんな事が起きるなんて……」
ジャンヌと瓜二つの容姿、違う点と言えば煤けた金髪とヤサグレた目と真っ白な肌。
性質的にはこちらのジャンヌとは全くの正反対である黒き聖女。
魔女 ジャンヌ・ダルクが竜の旗を掲げて其処にいた。
狂気、それは人間が持つ感情の中で一番危ない感情だ。
一度解き放っちまったら、もう元には戻れないんだからな。
次回 第三節 狂乱
この狂気に耐えられるか!?