J.Army W.S. DB×銀魂
3ドラゴンボール×銀魂 夢のクロスオーバー
トキの守護者篇
第3話
「伝説 対 侍
孫悟空 vs 坂田銀時 前篇」
広く雲一つない青空。日が差す複雑に岩が並んだ荒野に吹く涼しい風。
そこに影が2人。対峙する影は如何にも真剣な眼差しでお互いを見ている。
風が頬を触り、銀色の髪が風に靡く。
坂田銀時は、眼の前にある伝説と対峙していた。
その男は戦闘を好み、決して諦めない心で地球を幾度も守った、名を孫悟空。
悟空と銀時。前代未聞の2人の戦いが今幕を開けようとしている。
1人は謎の少女を守るため。
1人は謎の少女の脅威から地球を守るため。
違った意思故に起きる2人の戦い。汗が頬を通り、地面へ落ちる。
悟空はそっと口を開き「まさかおめェと戦う事になるとはな」その言葉を坂田銀時へ向ける。
その言葉を耳で受け取る銀時もまた口を開き「あんたとやり合う日が来るとは俺も思ってなかったよ」溜息と共にその言葉を悟空へ向ける。
沈黙が続く2人の間。それは見る者にも恐ろしい気迫を与えた。
遠くから2人を見る影が3つ。ベジータと新八、神楽がそうだ。
息を飲む子供と、じっと戦場を見つめるベジータ。
新八と神楽の中で、銀時に勝ち目はない、そんな考えが無意識に漂っていた。
ーー響く衝動。荒野中に衝動が取り巻き、岩や地面を捲り上げる。まるで薄皮の様に。
その中心たるもの悟空は、気を解放していた。
黄金色の炎の様に立ち上るオーラが身を包み込み、そのあまりの力に空も暗黒に包まれた。
地面を捲り上げる程の烈風をその身に浴びて、銀時は両肘で眼を覆い、風で吹き飛ばないのがやっとの状態で悟空を何とか見ようと瞼を小さく開ける。
悟空のあまりの気の高さ故に太陽から舞い降りる光の散乱が起きなくなり空を太陽の差す状態で一時的に暗く見せている。
悟空の後ろ髪は徐々に腰まで長くなって黄金に染まり、眉毛が消え立ち上るオーラは更に激しくなりそして火花を散らす。
銀時はその光景を細目で見る事しか出来ない。
そしてその周囲に轟く「はぁぁぁぁぁあぁぁぁああ!!!!!!!」大きな悟空の声と共に、その周囲を襲っていた異常がピタッと止まる。
銀時は眼を開けると、全くさっきとは違う悟空の姿を目の当たりにする。
腰まで長い黄金色の髪。眉毛が消え、炎の様に立ち上る透明と黄金が混ざった光に身を包まれ火花を散らし、その男は立ち続ける。
その姿、超サイヤ人3
歴代の超サイヤ人の中で最強の地位にあり、真のサイヤ人のみがそのフルパワーを扱える伝説の姿。
そんな大きな伝説と対峙する銀時は直感する。
いや元々分かっていた事だ。今まで戦った敵とは比ではない強さを持った男が眼前にいると改めて自覚した。
下手をすれば一瞬で殺される。銀時は息を飲み、その恐怖を精神力で押し殺し、その侍の独特の姿勢で、腰にぶら下げた木刀を引き抜く。
汗を垂らし、木刀を右手に銀時は超サイヤ人3となった悟空と対峙する。
悟空も内心自分の行動に疑問を抱いている。相手は人間。
そんな相手に対しなぜ最強の力を最初から出したのか。
銀時の眼から放たれるあの感覚は何だ?手加減すれば、殺されてしまうような鬼気とした感覚。
そんな疑問が悟空を内心騒がせていた。
伝説の男と1人の侍。目に見える勝敗だが、不思議な感覚もこの勝負を見る者の心にある。
「(なぜあいつは、カカロットと対面できるんだ...⁉︎ なぜ退かないんだ)」
そんな疑問がベジータの心にある。
銀時は只者ではない。分かっている事だ。だが喧嘩を売った相手は次元を異にする強さを携えた男。
それでも銀時は震える事なく対峙する。
2人は笑みを浮かべる。銀時はゆっくりと口を開き
「これであんたも、俺も全開......。もう腹に余計なもんを残さず全てを曝け出そうじゃねェか......。1つたりとも後悔を残さず......、この剣に込める魂が、あんたを破る......。腹から全部出し過ぎて、流し忘れるなよ?」
剣の鋒を悟空へ向け、左眼が獣が狩りをする時の様な赤く危険な気迫を感じさせ、その言葉を気迫と笑みと共に悟空へ届かせる。
孫悟空も独特の武術の構えを見せ「あぁ!!」と堂々と答える。
沈黙が続く両者。
すると悟空の姿が銀時の眼前から消える。
人間の反応速度では到底追いつけない圧倒的な速さで悟空の拳は銀時へ向かった。
勝った、悟空は一瞬でそう思った。
そして拳は衝突し周囲を煙が覆い込む。誰もが銀時は死んだと思った。
新八と神楽はその場に座り込んでしまう。「あ......あ」と絶望の霞む声が溢れる。
だが悟空は放った拳に手ごたえを全く感じない。まるで銀時がその場からいなくなり、自分の拳が地面へぶつかって煙を舞い上げただけかとさえ思ってしまう。
だが周囲を包む煙。銀時の姿は見えない。
ーー悟空の右頬へ直撃する木刀の刃、唇が切れて血が飛び出、悟空は少し吹っ飛ばされ岩場に衝突する。
誰もが驚いた。悟空が木刀の一撃で吹き飛ぶなんてあり得ない。
だが目の前にある光景が今までの先入観をことごとく覆して行く。
悟空本人も全く状況を把握出来ていない。
なぜ躱されたのか?なぜ自分が銀時の一撃を喰らったのか?
煙が周囲から消える。徐々に見えいる銀時の姿。
右の頬を頭から流れる血が線を一本描きながら通る。
だが銀時の笑みは絶えない。
悟空もまた立ち上がり、再びとてつもない速度で銀時へ突進する。
右足の蹴りで銀時の頭を狙う悟空だが、またあり得ない光景を目の当たりにする。
銀時が腰を後ろへ曲げ、その一撃を躱したのだ。
悟空は動揺せず二発目の拳を放つ。だがその前に銀時がバク転し再び躱す。
銀時が体制を整える間に悟空は銀時の眼前に現れ右手の拳を構えた。
だが銀時に向けて動く前に銀時の左手の木刀が拳へ突き刺さる。
右手は動かずとも左手は動く。悟空のもう片方の拳がほんの微動にした瞬間、銀時の眼はそれを逃さない。
そして悟空の拳が動いた途端銀時は首を左に曲げその一撃を回避。
だがその風圧だけで銀時の右肩が深々と切り裂かれる。悟空の右拳からも銀時の右肩からも血がまるで噴水の様に出ている。
悟空の左手が動く前に銀時は悟空の右手に刺した木刀をそのままグリッと中で回転させ、尋常じゃない痛みが悟空の身体を襲うと悟空は自然的に後退する。
その戦いを見ているベジータは一瞬で驚愕する。
震える唇は「銀時(あのやろう)、カカロットの弱点を見抜きやがった」と言葉を零す。
それを聞いた新八と神楽は「え?」っと疑問を抱いた。
銀時は既に息を切らしている。まだ戦闘が始まり20秒も過ぎていない。圧倒的に力の差がある敵と戦っているのだから当然だろう。
悟空は銀時の戦法が明らかに何か違うと直感していた。
それを見ているベジータは銀時の戦法を完全に理解している。
「"予知"と"力の魔術"を使ってやがる」
と言う。
新八は驚き「銀さんにそんな能力無いですよ?」と言う。
ベジータは笑みを浮かべて
「言葉の綾だ。つまり簡単に言えばあいつはカカロットがどう攻撃するのか既に分かった状態で動いてやがる。カカロットの身体の動きを神経を尖らせて理解し、どう攻撃するかを把握して、カカロットの攻撃が出る前に回避行動に出る......。だからカカロットの攻撃をかわせるんだ。そしてなぜカカロットの防御力を破ってあいつの攻撃が効いているのか。それはあいつの剣術の高さ故に実現できる事だ。1つの方向に無駄なく力を動かせる技術を使いカカロットの防御力を破れる攻撃力を瞬間的に発揮してやがる......。カカロットや俺たちの弱点を最初の構えで見抜け無けりゃこんな方法は使えない」と語る。
余りにもあり得ない事に驚く新八は「弱点?」とベジータに問う。
ベジータは頷き「それは"技量"の差だ。俺たちサイヤ人は生まれてから既に高い戦闘力を誇り、強くなると言う概念は単に戦闘力の強化でしかない。それが理由で超サイヤ人を多用する......。だが俺たちに足りない"戦闘経験"と身体の使い方や力のより良い扱い、"技量"とも呼べる物が俺たちには全然足りていない。だからあいつは俺たちに食らいつく程の戦いをしたんだ」と語る。
新八はようやくその意味を理解し「そうか......銀さんは何年も戦争に身を置いた上に幼少の頃から剣術を学んで来た......。我流だと言われてたから実際"兵法"自体を知らない人だと思ってたけどとんでもない......。銀さんは"兵法"を理解した上でそれを我流で扱えるんだ......。そんな凄い人だったなんて」と改めて銀時の強さを理解した。
銀時は剣を再び強く握りしめ、戦場に立っても不適の笑みを浮かべ「さぁ来やがれ、次はもっと驚かしてやるよ」と悟空へ挑発をかけた。
悟空も退かず銀時へ突進する。
続く......。
次回予告
第4話「後篇」