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J.ARMY 第2章
「F」復仇戦争篇 第48話
宿命激闘篇
第72話「父親」
冷笑を浮かべたフリーザの口元には、勝利の暖かい笑みが浮かび上がった。
「嘗ての私なら君を殺すのに躊躇いはなかった
だが、息子を得て、君(もくひょう)を得て、どうやら私も甘くなってしまった。
いや、君と出会い、私の悪が消えてしまったよ......
この勝利は、復讐なんて安い名前など付けたくはない。
1勝1敗
ライバルとしての競り合いに、同点を翳したまでさ」
今までに発しなかった言葉をフリーザは遂に告げた。
倒れた悟空を背に、フリーザは歩き出す。
「高杉さんには謝罪しなければなりませんねェ......
もう誰も殺せそうにない
あの悟空(バカ)が、私を変えてしまった」
と微笑みを零しながら、限界を告げた体で歩く。
すると、フリーザは背後へ眼を向ける。
見える横顔は、悟空へ笑みを送っていた。
気を失っていた悟空も
清々しい笑顔だった────
悟飯と戦い続ける神威。
森は全て更地に変わっており、悟飯と神威は息を切らして、中腰になりながら互いを睨み合う。
だが2人の顔面にも敗北できない笑みが浮かび上がっている。
両頬から血を流し息を切らす2人。
悟飯は全力で神威へ突進し、その腹を殴り付ける。
拳が神威の腹へ直撃し、大量の血を吐き出す。
だが、なぜ身体が爆散しない?
それは悟飯の拳が神威に直撃する瞬間、本能が赴くまま悟飯の手首を自分の拳で殴り付けており、威力のほとんど全てを殺した。
そしてそれに動じた悟飯の腹を蹴り上げる神威。
力の鋭い一撃が悟飯の口から血を吐き出させる。
また距離を取る両者。
すると悟飯は「どうやら僕たちの敗けの様だ
どうする?このまま続けるなら喜んで戦うよ
殺し抜きだけどね
君の中の闇も晴らし切れていない事だし」と軽い口調で口走る。
神威も笑みを浮かべる。
「なら戦っても意味はないか
無駄に戦いで手を煩わせるよりも、負傷した味方(ばかども)を助ける事も覚えなきゃって阿伏兎に怒られたばっかりだしね
だけど君の中の甘さを消したかったなァ」
と少し惜しむ言葉を振る舞う。
この2人は、互いを倒すと言う事からいつの間にか"互いを強くする"関係性に塗り変わっている。
先ほど戦いの宛ら、阿伏兎の死を本能で感じ気が狂った神威だったが悟飯がドラゴンボールで生き返らすと言う事を聞き少しホッとした様子だった。
悟飯も神威の中に悪意と言うよりも闇が潜んでいるのを感じていた。
嘗て大切な者を守れなかった闇が。
神威が自分から退いた。自分でも若干不思議に思っている。
それは悟飯を通じて得た何かが徐々に自分を変え始めた事を象徴する事に、まだ気が付いていない。
うつ伏せに倒れた銀時。
顔の周りの地面は自分の血で真っ赤だ。
ゆったりと眼を開く。
見えるのは、自分の木刀の柄。
「うぅ」
と痛みの声を散らしながら、ゆっくりと立ち上がって行く。
身体から血がポタポタ地面へ落ちている。
剣を握り、辛うじて二本足で立つ。
高杉との再戦で相当消耗している。
────「ようやく眠り姫のお目覚めか」
突如銀時の耳に届く聞き覚えのある声。
ハッとなり、その声が発せられた方向へ振り向く。
そこには、瓦礫の岩の上に座り、剣を握りながらも笑みを浮かべる高杉がいた。
銀時は愕然として「てめェ、起きてやがったのか」と口走る。
すると高杉は笑みを絶やさぬまま
「逆にてめェに驚いたよ
あの衝撃の中でよく呑気に寝れたもんだ
戦争時代なら俺がとっくに斬り殺してるところだ
今度こそ俺の勝ちだな
俺が止めを刺せばてめェは御陀仏だった」
と皮肉を見せながらもどこか狂気が消えた口調だ。
銀時も舌打ちしながら高杉の隣に立ち「俺は反撃するために待ってた」と少し負け惜しみを言う。
敗けを認めない銀時の癖を知っている高杉はその話を「へいへい」と聞き流す。
すると高杉は続けて「どうやらこっちの大将の勝ちの様だ
さっき細い光線の光が空へ昇っていくのが見えたんでな
勝利の合図だ」
フリーザの勝利を既に知っていた高杉は銀時へ告げる。
すると銀時は「悟空さんは、生きてんのか?」と悟空の安否を按ずる。
すると高杉は溜息を吐き出してまた笑みを浮かべる。
「どうやらこっちの大将にそんな気はないみてェだ
10年越しに会った時からあいつの顔にあった悪が消えてたんでな
本来は同盟を決裂するところだが、少し興味のあった戦いの上、約束を破らん松陽の生き方に逆らう訳にもいかねェ
またげんこつを喰らうのはごめんだからな」
と空を仰ぎ見る。
静かな風が吹く。
戦いの終わり告げたゆったりな優しい風が2人の髪を揺らす。
「げんこつ......か」
虚と言う男の顔が銀時の脳内を過る。
銀時も空を仰いで、安らかな笑みを浮かべ「そうだな」と、ゆっくり口走る。
2人の髪は、静かな風に靡く。
夜兎兵士と戦っていたヒナタ兵士と未来のトランクス。
こちらもフリーザの合図を受け取り、勝利を確信した。
だが、阿伏兎の仇を取るべく眼を血走らせる輩も居たが、無駄な殺しを好まなかった阿伏兎を尊重し、夜兎兵士は自らの宇宙船へ帰還を始めた。
死んだ者、動けぬ者を抱え、阿伏兎の亡骸を抱え、涙を流しながら。
静かな風が吹く。
未来トランクスも超サイヤ人2を解き、夜兎との激しい戦いで消耗した所為か座り込む。
ヒナタ兵士も全員座り込み、息を切らす。
ヒナタ兵士の1人が「我ら白兵精鋭隊、ヒナタ様に恥じぬ戦いが出来た」と、自分の戦いを尊重する。
白兵精鋭隊、今までにヒナタ兵士とされていた部隊の名は、白兵精鋭隊と語れた。
そんな彼等を見て血塗れのトランクスも微笑む。
戦況、並びに結果
自軍
戦闘不能
ピッコロ、17号、18号、クリリン、ヤムチャ、天津飯、ヒナタ、悟天、トランクス
戦死者
魔人ブウ
倒れた彼等を新八と神楽が守り、全員が遠くに避難している。
戦場での味方
悟空
フリーザとの一騎打ちで敗北 気絶状態。
銀時
高杉と共に宇宙船側へ進行中。
ベジータ
どこかの岩に座り戦況を拝んでいる。
悟飯
神威と共に宇宙船側へ進行中。
白兵精鋭隊
200人中 17人生存 宇宙船の側でトランクスと共に座り込んでいる。
未来トランクス
消耗し、宇宙船の側で白兵精鋭隊と共に座り込んでいる。
敵軍
戦闘不能
鬼兵隊 118名 第七師団21名
戦死者
フリーザ軍全兵、鬼兵隊 112名、第七師団 42名、阿伏兎
戦闘不能者も、戦死者も、全員二つの巨大な宇宙船へ避難され、並びに第七師団も鬼兵隊も宇宙船に入って飛び立つ準備に入り、高杉と神威とフリーザを待っている。
戦場での敵軍
フリーザ
悟空との一騎打ちに勝利し、宇宙船へ進行中。
アイス
宇宙船で待機中。
高杉
銀時と共に宇宙船へ進行中。
神威
悟飯と共に宇宙船へ進行中。
結果、フリーザ軍・鬼兵隊・第七師団同盟軍の勝利
ゆっくりと、限界の身体を引きづり歩くフリーザ。
激しく疲労しているにも関わらず、その顔は微笑んでいる。
「宇宙船へ着いたら、地球側の戦士に鬼兵隊と第七師団の被害者の蘇生を頼んで見ますかねェ
私は同盟を裏切る様なもの、せめてその償いをすれば高杉さんに僅かながら謝罪が出来るかも知れない
アイスもどうやら無事みたいだ
ベジータさんとの戦いで、彼の中に彼の母が植え付けた、私への無意味な忠誠心が消え、ちゃんと1人の息子になってくれれば良いですがねェ
10年も私のトレーニングの相手を無理やり買って出た
もう、普通の親子として暮らしたいものですね」
と独り言を呟く。
嘗てのフリーザならばこの様な言葉は死んでも吐かない。
同盟を裏切るならばサイヤ人の様に殺せば良い。
高杉が厄介な相手?そうじゃない。
フリーザの中にはもはや悪の心は殆ど残っていない。
無闇な殺しをするのはもう彼自身が認めない。
フリーザの中にあるのは、もうアイスと共に平穏に暮らし、自分が得られなかった父親の愛をアイスへ注ぐ事。
だからこそ最初はアイスを連れて来る事を自ら拒んでいたフリーザだったが、地球の戦士との触れ合いで、アイスの生き方を妨げる"母の言葉"を掻き消すために、地球へ連れて来た。
フリーザはもう、帝王などでは無い。
悟空のライバルで、1人の父親なのだ。
だが
過去の業
それがフリーザに重くのしかかった
ドクン!!!!
その鼓動は、新たな絶望を告げる────
続く......。
───────
技壊とは?
鋭い一撃の攻撃により悟空達のような超人に攻撃が通る戦闘技術。
技ではなく一種の対超人用戦術
使える人
銀時・高杉・阿伏兎・神威・夜兎族・鬼兵隊
などなど銀魂の人間は全体的に使える。
因みに人間vs人間でこれを使えば、当たれば虐殺出来るが、隙が大きい。
悟空達の様に、戦闘技に弱い人には使えるが、同じ戦闘技の人には使えばこっちが隙が大き過ぎて殺される恐れがでるから。
次回より
「F」復仇戦争篇
5節
辛戦篇
絶望の開幕
10/21 開戦