J.Army   作:Gintoku

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第76話「殺戮」

52

J.ARMY 第2章

 

「F」復仇戦争篇 第52話

 

 

辛戦篇

 

第76話「殺戮」

 

フリーザの眼前に倒れた悟飯。起き上がろうとするも痛みが身体を蝕む。

「クックック」冷笑するフリーザは悟飯の手前に立つ。

右足を上げて悟飯の腹の上に寄せ「終わりだ」その死を告げる。

 

振り下ろされるフリーザの足。

悟飯は死を覚悟し「ごめん、みんな」と笑みを浮かべ最後の別れを告げた。

直撃する足、バケツをひっくり返した様な量の血を吐き出す悟飯。

そのまま白目を向き、息絶える。

 

「「悟飯!!!!」」

 

銀時とベジータの悲痛な叫びは、悟飯に届かなかった────

一層流血が増えた銀時、血を垂らしながら歯を食いしばる。

 

埋もれる瓦礫の中から立ち上がった未来のトランクス。

フリーザの蹴りの痣が顔の左半分を覆っている。

眼に入る、フリーザに足を腹に置かれ屍と成り果てた悟飯の姿。

 

血走る眼。

その光景は、嘗て自分の世界で悟飯の屍を見下ろし、号泣し、叫んだ悲しき記憶を呼び起こした。

「うァァァァァァァ!!!!!!」

超サイヤ人3の姿で、纏ったオーラが一層激しく散乱し、火花を散らす。

歯を食い縛るベジータは「待て!!!!」とトランクスへ叫ぶも、その叫びは届かない。

 

全力でフリーザへ特攻するトランクス。

「殺してやるァァァァァァァ!!!!!!!!」

我を忘れたトランクスの眼にはフリーザへの殺意が満たされていた。

このままじゃトランクスも悟飯の二の舞になる...‼︎

銀時はトランクスを救うため必死に瓦礫から起き上がろうとするも、先ほど吹き飛ばされた衝撃で目眩が絶えない。右側頭部からの出血が止まらない。

 

全ての怒りを込めたトランクスの右拳がフリーザの顔面へ放たれる。

だが、それは届かない。

最も簡単にフリーザは左肘をたてて受け止める。

「どうした?サイヤ人......

怒りで強くなるんだろ?

こんな程度で帝王に挑むのか?」

眼の前に立つは、復活した元祖の宇宙の帝王。

その力は測り知れない。

 

フリーザはトランクスの右手首をもう片方の手で鷲掴み「私に慈悲を乞えばまだ生きれたものを...‼︎」帝王はその凶悪な言葉を吐き捨て、トランクスの右腕を引き千切る。

ブシャァァァァ!!!!

大量の血が舞う一瞬の中、トランクスの眼の血走りは一層増す。

なぜ怒りの拳が届かない。なぜ、怒りの拳が引き裂かれた...!!

 

痛みを超えた悔しさは、身体に走る痛みを感じさせなかった。

悟飯の仇を取る。

流石の帝王でも、右腕を引き千切られた男がまだ攻撃の気力が残っていた────

フリーザの腹に直撃した、刃物以上に研ぎ澄まされたエネルギー波。

 

トランクスは引き千切られた右腕を諸共せず、左掌に集中していた追撃の構えを崩さず、発射したのだ。

鋭利な技はフリーザの腹を貫通した。

 

筈だった。

「確かに予想を超えた一撃だった...

だが、まだ帝王の立つ頂点に届くには、100歩足りなかった様だ」

フリーザの腹は無傷。不意打ちでさえ、その肉体を傷付ける事は叶わないのか。

流石のトランクスも、今度は悔しさと恐怖を覚えた。

そんなトランクスの心臓を貫く無慈悲の光線。

「ガッ...!!」

口から溢れ出る血と共に、トランクスは背後へ倒れて行く。

「ごめん......なさい......

悟飯......さ......」その言葉が終わる前に、トランクスの命が途絶えた。

 

また一つ、屍がフリーザの前へ転がった。

フリーザの周りは血で染まっている。

転がる右腕、悟飯とトランクスの屍。

それを見ているベジータは全力で拳を地面に打ち付ける。

 

怒りたい

この思いをぶつけたい

殺したい

こんな思いで満たされているベジータ。

だがダメだ......。

「悟飯......トランクス......‼︎」

2人の仇を取るには、生き残らなければならない。

この怒りをぶつけられない悔しさがベジータの眼に涙となって浮かんだ......。

その雫は知られる事なく、地面へ落ちる。

 

だが1人、怒りを耐えられなかった。

この戦いで、初めて理解者を得られそうだった。

初めて、自分の強くなる理由が、分かって貰えそうだった。

初めて、もっと強くなれそうだった......!!

 

戦いを通して得た絆の怒りは、神威の眼にフリーザへの殺意となって浮かんだ。

フリーザの頭上に振り下ろす傘。

神威の表情は恐ろしく無に近い。

見えるのはただただ血走った眼だけだ。

 

神威の傘を右肘で受け止めるフリーザ。

「どうした?こんな程度か?

戦争を幾千と経験して得た力は、こんなものか?小僧

緩い...!!」

そんな言葉を吐き捨てたフリーザは神威の頭部を左手で鷲掴む。

そのまま神威の頭を胴体から引き千切る。

 

再び血の海が空中へ舞う。

又も1人、惨殺された。

これが現実なのか?

帝王の前では善も悪も関係なく、ただただ慈悲の無い命の終わり方を迎えるのか?

無様に神威の胴体と身体が地面へ落ちる。

ただただフリーザの周りの血と死体は増えて行く。

悟飯、トランクスに続いて神威も殺された。

 

銀時、ベジータの2人の顔色は絶望に満たされた。

6人がかりで全く手も足も出なかったフリーザの前に、たった2人しか立っていない。

そして、事情はどうあれ共闘した仲間が無残な姿に成り果てた。

 

「まだ、終わってねェだろ?」

1人の男が瓦礫の中から立ち上がる。

彼の頭上からは大粒の血がビチャビチャ地面へ落ちていく。

額は真っ赤。顔全体には8本の太い血の筋が通っている。

身体も己が血で濡れている。

 

それでも男はまだ剣を握りしめ、立ち上がる。

「銀時ィ、てめェも脆くなったなァ

戦争じゃ、こんなもん常に眼の前に転がっていた

それを見て絶望すんのか?

違うだろ......

その意思を受け継ぎ、俺たちァ敵を斬る」

その男、高杉は、瀕死の身体でまた立ち上がる。

 

その言葉に力を貰ったのか、銀時もまた剣を握り立ち上がる。

右側頭部から出た血が、顔の右半分に合計4本も血の筋を描いている。

己が血に濡れた身体で、それでもまた立ち上がる。

「ゴチャゴチャ説教垂れやがって

例え神楽・悟空等(あいつら)に見せる顔が無くなっても、俺の剣は折れねェさ

まだ、フリーザ(こいつ)の首を取れてねェ」

と、真剣な表情を浮かべ口走る。

 

ベジータもまた息を吐き出し、己が涙を飲み込み、立ち上がる。

「ガキ共の分際で一丁前の事を言いやがるぜ」

と銀時と高杉に対して若干の皮肉な口を叩くも、その顔から絶望は消えている。

3人はまたフリーザへ突進する。

 

続く......。

次回予告

第77話「及ばぬ力」

11/3 朝10時更新予定!

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