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J.ARMY 第2章
「F」復仇戦争篇 第56話
辛戦篇
第80話「絡み合う絆」
煙に包み込まれた悟空。
「ぐォォォォォォォォォォ!!!!」
幻獣の遠吠えが耳へ突き刺さる。
煙を忽ち吹き飛ばし、黄金の神龍が、広がりつつあるフリーザのバリアへ突進する。
雄叫びと共に、龍の顔面はバリアへ食らいつく────
宿敵同士の最後の競り合いが始まる。
ドームの様に周囲を囲んだ紫をあしらった透明のバリア。
それは今にも地球を覆い尽くさんばかりの勢いを誇るが、それを真正面から食らいつき止め続ける黄金の龍。
その龍の顔面の中、右拳を前へ突き出し龍へ力を込めて行く悟空。
嘗てない力のぶつかり合い。
元祖形態になり絶大な強さを得たフリーザと瀕死から立ち上がり力を高めた孫悟空・超サイヤ人3状態。
壮絶なダメージを蓄積させていながらも
地球を守るため
仲間の仇を討つため
絶対に負けないため孫悟空は最後まで争う。
限界を超えたベジータも超サイヤ人3が消え、只々悟空の勝利を願っている。
倒れた高杉も剣を支えに辛うじて立ち上がり、悟空の勝負を見届けている。
抉れた右脇腹、骨もかなり持って行かれ、事実右上半身が殆ど動かない程の重傷を負っている。
更に頭からの流血も激しく、眩暈が絶えない。
胸を貫かれ、肺機能が弱って行くヒナタ。
それでもその眼に映るは銀時。
そして銀時。
岩に背中を付け倒れ込んでいるその眼で、真正面にいてフリーザと競り合う悟空を見届けている。
フリーザと言う嘗てない強大な敵と戦い、その身は満身創痍。
それでも、銀時は行動を取る。
立てぬ身体で、片手で匍匐前進しながら、転がった自分の木刀を目指す。
歯を食い縛る彼の考えは分からない。
競り合いが止まらぬ悟空とフリーザ。
激しい衝突は周囲に雷の嵐を呼び、全てを壊していく。
漆黒の突風が吹き人の身体すら千切らん勢いで全てを狩りつくして行く。
唸る大地は激震し、岩や瓦礫を浮遊し飛散する。
銀色の空はその激しくぶつかり合う威風に黒く染まる。
轟く雷鳴。
叫びを上げる雲。
遠くの町すらビルの倒壊を起こす。
遂にあたりの地面からマグマが噴火の様に吹き出て高温の雨を降らす。
空は燃え上り忽ち雲がオレンジ色に染まる。
「ぐっ、くぅぅぅぅぅ!!!!!」
だが悟空の力を持ってしても帝王には届かない。
龍の顔面の中で右手を突き出した彼の身体は、バリアに徐々に押され始める。
身体からは全力以上の力を出しているためか血管すら浮かび上がっている。
だが足が後方へ引きづられ始める。
ヤバイ
負けている。
直感する悟空でも、最後の最後まで諦めない一心で拳を突き出したまま力を込めて行く。
だが遠い。
「まだ弱い......
まだこんなのでは、私には届かないぞ!!!!」
容赦ない帝王の言葉。
だがそれは事実だ。
それを象徴する様にバリアの膨れ上がる力は一層増す。
帝王も遂に本気になった。
悟空の足はより後方へ引きずられ、目に見えるほど龍が押されるのが分かる。
やはりダメか?
皆が絶望の息を飲む。
噴き出るマグマは一層激しくなり、天を遂に覆い尽くす。
空が、完全な炎に染まり、燃え滾る。
雷鳴はより激しくその絶望を轟かせる。
丸で地球そのものが神々の戦いに恐れを成している。
だが悟空の力は一歩届いていない。
帝王の底力は、想像を絶している。
すると、木刀を支えに、よろけながら立ち上がる修羅。
皆の眼が絶望の色に染まった中、一度は消えたこの男の炎が再び燃え上がる。
再びその眼は蘇る。
坂田銀時。
まだこの男も、諦めていない。
常に袴を片肌脱ぎにしている銀時だが、真っ赤に染まった左肩も脱ぎ、両肌脱ぎとなる。
そして剣を横へ振り、眼前の敵を見据える。
悟空とフリーザの領域に入り込むにはこの雷の嵐を乗り越えなければならない。
「おォォォォォ!!!!」
だがこの男は無茶苦茶だ。
剣を振り回しその風圧で雷を遠ざけ、痛む足で駆け抜けて行く。
「もう、ダメかァ......」
遂に孫悟空も突き出した拳のまま、右膝を地面についた。
限界を超えた戦いで、遂にその敗北を悟った。
「褒めてあげましょう
この私を、ここまで本気にさせた事を...‼︎」
その絶望を更に膨れ上がらせる帝王の威厳。
「まだだァァァァァァァ!!!!!!!!」
龍の左となりを、衝突音と共に閃光が迸る。
「!?」
さすがの悟空も愕然とする。
木刀の先端でバリアを吐きながら、銀時は龍の隣、悟空の隣に立つ。
歯を食い縛る彼は「まだ諦めんなァァァァァァ!!!!」悟空の心を支える。
するとフリーザのバリアの膨張が止まる。
理由は銀時だ。
ただでさえ悟空達の防御を貫通する、鋭い一撃を放つ銀時。
それが風船の様に膨らむフリーザのバリア、龍に食らわれるその一点に"力を逃さず"、高圧力を維持して突き立て続けるとどうなるか?
銀時は自分の鋭い勢いの力を逃していない。
木刀の直撃した勢いは消えず、木刀とバリアの狭間から白い光が散らされる。
これが逃げぬ力。
銀時の言葉から力を受けたのか悟空も立ち上がる。
だがそれでもフリーザは顔色を一つ変えず「まだまだこんなもので!!」と帝王の意地を見せる。
遂には銀時と悟空も、また足が後方へ引きずられ始める。
また膨張を始めた。
だが悟空の眼も銀時の眼も、諦めていない。
死んでいない。
すると銀時の隣と、悟空の隣を更なる希望の光が駆け抜ける。
超サイヤ人3のベジータが、悟空の隣から眼前のバリアにファイルフラッシュを打ち込み
銀時の隣には、左手で同じくバリアに剣を突き立て、同様の逃げぬ力を駆使する高杉。
ドン!!!!
その波動は周囲を取り巻く。
またもやバリアの膨張が止まり、遂にフリーザも汗を垂らす。
「死ぬならライバル(きさま)の隣で死んでやる、カカロットよ」
歯を食い縛りながらもベジータは笑みを浮かべる。
「ベジータ......‼︎」
悟空の眼も和らぐ。
「片腕のてめェじゃ役者不足だと思ってなァ
同じ片腕が来てやった
今からはてめェが俺の右腕だ
そして
てめェの左腕はこの俺だ」
高杉が言い放つ。
銀時は笑みを浮かべ「足引っ張るなよ...!!」といつものどこか優しい皮肉を叩く。
敵対し合い、敵対する事になるかも知れない。
道は遠くてもまたどこかで合わさる
それとも合わされない?
共に歩く?
どうでもいい
俺はお前を憎み、お前は俺を憎む
この憎しみこそが、俺とお前の絆なのだから
銀時と高杉
悟空とベジータ
銀時と悟空
悟空とフリーザ
絡み合う因縁と絆の中、最後の勝負を
「こりゃァあんたが蹴りをつけなきゃならねェ
行ってこい
落とし前をつけろ
勝ってこい!!!!」
銀時は、皆は、悟空へその意思を託す────
続く......。
次回予告
第81話「決着」
11/15 朝10時更新予定!