すみませんでした!
秋弥side in
もう何歩歩いただろう
視点を少し下にすれば泥だらけの服がみえた
体も痛い、冷たい
それでも歩く、足跡を追って
一歩ずつ、一歩ずつ
足はもうフラフラだ、何度転んだかわからない
ほら、また転んだ
立ち上がってまた進む
足跡が絶えた、そこには倉庫があった
よく見れば別の方向からまた違う足跡があった
どっちも倉庫に入ってる
倉庫の中にアリサがいる…………やっとついた
扉の前で転けた、扉に体を打ち付けた
体を引きずってノブを握り、扉を開けた
なかにはコンテナとドラム缶が幾つかあった
少し進むと男が2人倒れてた
切られた跡があった
どうでもいい
この先にアリサがいる…………
突き当たりにはよく見ないと見えないくらい小さな穴があった
穴の中に指を入れ、引き上げると通路があった
大人が屈んでやっと入れる位の通路だ
通路を進んだ、すぐ先に出口が見えた
そこにはアリサがいた
気絶していて、手と足をロープで縛られ口にガムテープを貼られていた
視界が涙で覆われた
生きていた、ここにいる
駆け寄ろうとした
だが無茶だった
寧ろ子供の体で良くここまで来れたものだ
アリサを目の前にして、倒れた
秋弥side out
語り手side in
彼は自身の体がボロボロになるまで歩き続けた
ボロボロになって女の子を助ける
男なら一度は夢見るシュチュエーションじゃないか?
一度はどうせ死ぬなら誰かを助けて死にたいとか思わないか?
だが彼はその時そんな事思ってなかった
よく言えば信念、悪く言えば無謀
彼はそこまで考えていなかっただろうが下手すれば殺されていた
彼女の死体を見たかもしれない
だが考えていなくとも体が動くということはそれだけ強い信念だったからだろうね
後悔したくないから、とても彼らしく美しい心だとは思わないか?
私なら素直に賞賛し讃え敬うだろうね
そうは思わない?
価値観の違いかな?ただしよく考えて欲しい
彼は特別な力も知恵もあった訳じゃない
ましてや主人公みたいな力もない
"ただ"の一般人だ
それを踏まえた上で考えてみてそれでも同じ考えならやはり価値観の違いだね
もし最初から、または今のを聞いて考えが変わった人は
自分の限界をわかっているのかもしれないね
語り手side out
秋弥side in
目が覚めた時は見たこともないような天井でした
自分はベットで寝ていて、カーテンから差し込んでいる光がやけに眩しく感じました
自分は何をしていたんだろう
視界がぼやけて見えた為、自分は勘違いをしました
転生なんてやっぱり無かった
アレは全部夢だったんだ
きっと轢かれた後、病院に来たんだ
そうに違いない
そんな自分を引き戻すかのごとく、母さんが入って来ました
母さんを見た瞬間
夢じゃなかった
それが自分の頭の中に浮かびました
それから母さんが心配して駆け寄って来ました
視点を下げるとそこには
ボロボロの左手が見えました
その瞬間ぼやけていた頭が覚醒し、視界はクリアに、耳ははっきり聞こえるようになりました
「母さん!アリサは!アリサは無事なのか!?」
駆け寄って来た母さんの腕を掴み、問いただす
母さんは驚いた表情を見せた後
「無事よ、貴方がアリサちゃんを見つけたんでしょう?
そんなボロボロになってまで
大丈夫、ちゃんとアリサちゃんは無事よ」
母さんは隣のカーテンを引き_____
「この通り今は寝てるけどね」
そこにはベットに横たわり寝ているアリサがいた
感動で涙が出てきた、視界が滲んだ
「良かった…………良かった…………本当に良かった…………!」
自分の……いや俺のした事は無駄ではなかった
その証拠にアリサは生きている
それだけで俺は嬉しかった
今の俺はアリサがそこにいる事実だけで満たされていた
秋弥side out