~序章1~転生~
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この日とそれより前のある日、混迷続く世界の日本に、何人もの人間が転生してきた、されど、その事を知るものは少ない・・・・・・。
広島県呉市、呉軍港にたたずむ正規航空母艦、
その艦橋上、艦内時計が午前11時を伝える頃にて一人の男が、ただぼんやりと、呉の空を眺めていた。
「・・・・蒼井艦長、」
「ん~~、?」
「蒼井艦長!!」
「うわわっ!どうしたんだね?副長?」
「どうしたもこうしたもありませんよ!日課の航空隊視察すっぽかして何やってんのかと思ったら、こんなところでポケ~っとして、航空隊の様子を確認するんでしょう?、だったら急いでください。」
「おう・・・・すまなかったな、直ぐに向かうよ。」
「はぁ・・・・先いって待ってますので。」
「おう、後でな」
そう言うと、先程の男は去って行く・・・・。
(ちょっと待てや!!色々考えさせろ!!、何でや!どうしてこうなってるんだよ!!)
先程蒼井艦長と呼ばれた男は艦橋を離れ、甲板上に出るまでの道のりにて、表層上ではバレないように思案を始めた、
(まず確認だ、寿命で普通に死んだと思ったら若返って鳳翔の艦長をしていた・・・・訳が分からないとおもうが(ry、しかも艦橋のカレンダーには大昭13年って書いてあったぞ、大正の間違いじゃないのか?)
(にしても、内部構造が鳳翔で良かったよ、大正換算ならこの時期は確かに昔の俺が艦長をやってた頃だが、内部構造覚えてなかったら艦長が迷子の悲しい事態になってたぞ・・・・、にしてもおかしいな・・・・仮にあのカレンダーの大昭が大正の間違いで、俺が過去の自分として転生したとして・・・歴史通りなら、この時点ではまだ艦橋は甲板上のアイランド型のアレな筈・・・?、何でほぼ最終改装時の姿なんだ!?、ってか何で96式が完成している!?)
甲板に出た男は、外見上は平静を装っていたが、内面では大混乱していた。
まず、
「艦長、やっと来られましたか、いつもはとっくにパイロット達と話始めてる頃なのに、今日は来ないな~と皆心配していたのですよ?」
「ああ、すまんすまん、ちょいと考え事をな・・・・・・。」
「日々の激務に流石の蒼井艦長殿もお疲れですかな?今日から暫く休暇だった筈ですので、これからにでも、ご家族とゆっくりなされては?」
「・・・・だな、副長、すまんが暫く艦のことは頼む。」
「了解しました。」
数時間後・・・・
~呉市内、蒼井夫妻宅~
「・・・・帰ってきたなぁ、実感がまるで沸かないけど。」
透き通った水色の瞳をし、膝まで届く程の長髪をした男。正規航空母艦《龍飛》艦長、蒼井創作は、広島市内にある自宅に帰ってきていた。
とはいっても彼には帰ってきた、と言う実感は今のところ無い。
いくつかのSSで主人公が転生する系の小説を読んだことがある人にならばわかるかもしれない。
有り体に言えば彼、蒼井 創作(あおい そうさく)はつい数時間前、気がついたら過去の自分に転生してしまった、と言うわけなのである。
また、わかる人には分かるかもしれないが、転生の内容も紺碧の艦隊じみていた。
「ただいま~」
「お帰り、貴方。急で悪いのだけど、ちょっと話さないといけないことが出来たの・・・」
「…………俺もだよ、菜桜。」
家に帰還した創作を出迎えたのは彼の妻である、蒼井 菜桜(あおい なお)、彼女は前世においても、この少し前の時期から彼の妻であった人物である。
菜桜から話を切り出した事に創作は多少驚きつつも、自身が持ち合わせた(前世)を話さねばならぬと思い立ち、創作も返答した。
暫くの沈黙の内、菜桜から話された内容は二重の意味で衝撃的であった。
自分は前世の記憶を持っていること、数時間前、前世にて寿命で死んだと思ったら突然こんな形で転生してしまったこと、前世にて持ち合わせた能力を今は持ち合わせていないこと・・・・。
「菜桜・・・・それは本当なのか?」
「本当よ!何処にこんな訳のわからない嘘を大切な貴方に話す意味があるのよ!信じれないと思うけど全部本当よ。」
「そうか・・・・ハハハハハハ!驚いた、こんな事があるとはな・・・・、菜桜、はっきりいってしまえば俺も同じさ。」
まず創作は自身の妻が自身とまるで同じ形の転生者であることに驚いた。
次に、目の前の人物が前世での妻本人であることに驚いた。
だが、同時に嬉しくもあった、形は何であれ、前世で愛した妻が、後世でも自分の妻としていてくれるのだ。
前世との相違点で困惑し、状況について行けなかった創作だが、大切な存在がいること、そしてそれにより精神的支えが生まれたことで、それまでに、転生者としての孤独と寂しささえ覚えていた創作も、同じ状況で夫の帰りを不安になりながら待っていた妻、菜桜もあっという間に元気になり、再会を喜び会う。
「この感じだと、もしかしたら正成達とも案外、あっさりと会えるかもしれないな。」
「そうね、この新しい人生でも、また皆揃って話す日が来るかもしれないわね。」
「それにしても前世の能力が使えないとはな、弱くなってニューゲームとは珍しいもんだ。」
「元からしてチートすぎたからかしらね、いずれにしても肉体的に素の人間だから死んだらおしまいなのよ?その辺気を付けなくちゃ。」
「・・・・とすれば正成達もそうなってるのかも知れんのか…………出来れば早めに合流したいな~」
「ま、その前に今後どうするかね、チート無いこと考慮しとかないと」
「ああ……そっか五年後って・・・・」
「そうよ、」
「「世界恐慌かぁ~(なのよ~)」」
「昭和恐慌もほぼ起こるとして・・・うわぁ、歴史知識総動員しないと辛いぞこりゃ、ってやべえ!もうすぐ関東大震災じゃん!。」
「そうもいかないかもよ?」
「へ?」
気を取り直し、改めて今後どうするかを考える最中、過去へ転生する人間が大体活用する(歴史知識)を利用するのが一番かと考えていた創作に、菜桜が反論する。
「まずこの日本、年号とかの時点で違うんだもん、大正の筈が
「そして何より・・・・」
「何より?」
「今の首相が清浦奎吾じゃなくて浄裏奎吾だしね、名前も立場も似てるけど別の人と考えた方がいいわ。」
「紺○の艦隊かよ!」
菜桜からの話を聞いた創作はかつて呼んだ小説の事をを思い浮かべる。
だが、この時はまだ知る由も無かった。
この後に起きる第二次世界大戦の様相が、史実と大きく趣を異にしていくことに・・・・。
「・・・・・・・・うん?今どこかで俺の事を噂したような気がするが…………気のせいか?」
そして遥か遠く横須賀の港、そこでこう呟いた男こそ、「旭日の艦隊」にてその名を轟かせる男、大石蔵良であることに・・・・・・。