遂に転生者達が接触し始めます。
~大昭13年~ 9月11日~
この日の昼、史実と同じくして関東を大地震が襲った、そう関東大震災である。
史実でも壮大な被害を出したこの震災であったが、史実とは違ったところが存在していた。
~翌日、午前11時、帝都のとある警察署~
「おい!まだこんな変な情報が出回ってるのか!デマ情報と正しい情報との区別と公表急げ!」
「所長!入り口前にこちらが保護している朝鮮人を引き渡すように要求する群衆が!」
「自警団の連中か!このクソ忙しいときに忌々しい!多少強硬でも構わん!追い散らせ!!」
「やはりと言うかなんと言うか、かなり悲惨な状態だな、槇田。」
「くそったれが、この周辺だけでもまだコレだけの自警団が残ってるのか、早い内にある程度解散させないと一般人の犠牲者が増えるぞ畜生!」
「全く・・・・それにしても高木、お前が無事で取り敢えずは良かったよ。」
「前世知識に救われてな、お前がここの所長になってるのを知ってたから急いで避難する事にしたんだよ。」
東京のとある警察署、ここの所長、槇田 信重(まきた のぶしげ)は外にいる自警団を見て怒りを露にしながら、少し前に避難した陸軍軍人の男、高木 成義(たかぎ なりよし)と話をしていた。
槇田が行っているのは被害状況の確認と被災者の保護、そして自警団関係などの秩序回復行動などであった。
署が珍しく耐震設計されていた為に無事であった彼は、部下に被害状況を確認させ、この後各地で起こりうる出来事を予測し、対応するために動いていたのだが、その時々に自警団の存在が邪魔をし、鈍い動きしか出来ない状況であった。
この槇田と高木の二人は前世にて首相と防衛大臣を勤めた男だったが、転生してからはしがない警察署所長と一介の陸軍軍人であった為、心の内で無力感に怒りを覚えてしまってもいた。
と、その時他の警察署などとの連絡をどっていた所員達の内の一人が急報を届けにやって来た。
「所長、急報です!」
「ん?どうしたこの状況で!」
「先程、海軍が救援物資を積んだ艦隊が東京湾に入港したとの連絡が入りました!近いうちに、本署にも物資の一部が来ます!」
「本当か!避難民の為の食料に不安がつきまとうこの状況でそれはありがたい、救援物資が来たら直ぐに知らせてくれ!」
(ん?おかしいな?もう海軍が救援物資を積んだ艦を到着させたのか?)
(もしや長門か?いや、さすがに早すぎるか、それにしても艦隊とはな・・・・)
「取り敢えず、暫くは食料の心配はせずにすみそうだな。」
「念押しで緊急時用の食料を備蓄していたが、これで暫くは安心できそうだ。」
槇田と高木は署員の連絡に一抹の疑問を覚えつつも、救援に感謝しつつ、治安回復に勤めるのであった・・・・・・。
同時刻
~龍飛艦上~
「物資の積み降ろし状況どうだ?」
「はっ、今のところ、港付近の瓦礫が幾ばくかの邪魔をしており、思うようには作業は捗っていません、港近くの避難所への物資輸送には大きな支障をきたしていませんが・・・・。」
「遠くなれば成る程輸送における障害が増えると、参ったな、せっかく大急ぎで艦隊に補給物資を乗っけて来たんだが。」
「そんな事を言っても仕方ありませんよ提督、今は出来るだけの事をしませんと。」
「・・・・だな、艦長、船員の一部をインフラ回復に回せるか?」
「専門部隊じゃ無いので大きなことは出来ませんが・・・・ある程度なら。」
「よし、参謀長、本艦、天城、赤城、加賀、土佐、天龍、龍田、峰風、夕風辺りの艦から、出来ればで良いから、インフラ回復にある程度人員を回すよう、各艦に連絡してくれ。」
「了解しました。」
(やはりここは史実通りか・・・・だがしかしそれにしても、訓練が完了するまでとはいえ、私がこの年齢で艦隊司令をやることになるとはな・・・・。)
「龍飛」甲板上にて被災者への救援物資をいち早く届けるため、部下に指示を飛ばす男、第創作は甲板上にて
1つ目は、「天城、土佐が空母として完成しており、同じく空母である加賀、赤城とともに艦隊を組んでいること」であった。
史実を知っている人ならこの事の違和感に直ぐにお気づきになるだろう。
そもそも史実ならこの時に天城が損傷、修復不能になり、其が原因で後に代わりに加賀が空母化されるわけだし、そもそも土佐は未完のまま標的にされる筈である。
しかしこの世界
代わりなのかなんなのか、この世界では、扶桑型と陸奥の建造が中止になっていた。
次に、創作自身がこの4隻と駆逐艦8隻、それに天龍型2隻を含めた大規模艦隊の臨時司令官として、この場に突っ立っていたのである。
・・・・しかも少将なのに。
とは言えど、これには理由があった。
そしてその理由こそ第3の理由なのである。
「蒼井提督、先程、金剛と比叡からそろそろ艦が横須賀に到着すると入電がありました。」
「そうか、それじゃあ南丞艦長、横須賀方面への救援物資搬送は任せると連絡しといてくれ。」
「了解。」
「・・・・にしても、とんでもない秀才達がやって来たものだ。」
そう、この艦隊には多数の
・・・・と言うのも、わずか3ヶ月前ほどに成立した「女性志願者特例士官法」が原因であった。
この法案が即日施行されるに辺り、翌月辺りから志願者達をふるいにかける試験が行われたのだが、この時、女性志願者の適性試験は当時としては過剰なくらい難しい筆記試験と、よりにもよって東郷平八郎を統裁官とする、対佐官クラスメインの図上演習までもを所見でやらせると言う落とす気満々の構成をなしていた。
・・・・・・が、これで地獄を見たのは受験した女性志願者達でなく、この試験を大人げなくブチ込んだ海軍人事部側であった。
そう、前世にて元女性軍人であった転生者達が列をなして大量に受験したのである。
受験した転生者達は海軍が用意した鬼畜問題を前世知識を生かして易々と突破。
海軍が最後の砦として一応用意していた軍高級士官を相手取った図上演習も、前世、軍人の転生者からすればかつてコンピューターの補助を受けてやった奴と、時代の問題を除けば極端な差は無く手慣れたものであり。
筆記試験通過者多数で急途、統裁官として呼び出された岡田啓介や、軍神とまで呼ばれた東郷を狼狽させる程にまで、主に佐官クラスで構成されていた試験官側が一方的にボコボコにされる展開が続出。
現役の意地で奮戦する試験官も居たが、あまりにもボコボコされる展開が多く、遂には大将やら中将やらを呼び出し、休暇だった創作やその他の軍人まで試験に付き合わされた程にまでのカオスに至り、結局の所、志願者の9割以上を合格させる他無かった。
そして、その優秀さに目をつけた東郷達軍上層の一部が、慣例その他もろもろを無視して初っぱなから艦長職だとかを一部女性志願者に割り当てた為、その事に文句を言おうとする現役士官が続出、面倒事に発展してしまったのである。
因みに創作の妻、菜桜も志願しており、前世の戦後辺りに創作から軍略やら軍事知識などを学んでいたからか、筆記試験を華麗にパスし、図上演習も4回中3回試験官に辛勝し、見事に合格している。
んで、なんでこれが関係あるかと言われれば、単純な話、この図上演習の時に試験官側で一番勝数の多い人物こそが途中から休日返上で試験官にされた創作だったのである。
(72戦中67勝、試験官の平均対戦数と勝数は、平均対戦数100戦程で、平均勝数30前後)
この事に目をつけた岡田と東郷が、彼の少将への昇格と引き換えに、新たに配属される大量の艦艇勤務の女性士官達を訓練する教官の役割を当面の間創作に丸投げしたのである。
んで、女性士官陣を訓練させるためにわざわざ割り振られた艦達の事こそ、今現在創作が臨時で司令官をやっているこの臨時編成の艦隊なのであった。
因みに編成されてから一月も経ってないほか、予定上では後2~3ヵ月で艦隊は解散する予定である。
そのくせ陣容は空母5、巡洋艦(まだ重巡洋艦ができる前)3、駆逐艦8に潜水艦2とやけに豪華であった。
因みに海軍、図上演習試験で地獄を見ている時に法案成立に陸軍が噛んでいたことを知り、とんでもなく悔しがったらしい。
そして、先程創作に金剛からの通信を伝えた女性こそ、その時の筆記試験で満点、図上演習試験でも創作との一戦以外で完勝して見せた若き秀才、南丞 絢香大佐なのであった。
そしてこの時、創作は絢香が甲板で土佐達を見つめながら、本人が気づかぬ内に小声で口を滑らせたのを聞き逃さなかった。
「・・・・まさかこの艦達が私達の訓練に使われるなんてね、
後に創作はこの後の行動を振り返り、こう言った。
「あの時、間違いないな、と直感が来た。」
と。
「南丞 大佐、少し気になったことがあるんだが・・・・・・。」
「はい?何かありましたか?」
創作は絢香に聞いてみた、ストレートに。
「・・・・私の軽い妄想ならそれで良いのだが、大佐はもしや、未来からの
「!!!」
絢香は最初、創作のストレートな質問にとても驚いた様子だったが、すぐさま何かに気がつき、苦笑いを浮かべながらこう言った。
「もしかして・・・・、貴方もですか?蒼井少将。」
この日を境に、交わるはずの無い二つの未来からの転生者達が、一つの世界で交わり始めるのであった。
~続く~
次回、「~転生者達の世界恐慌~そして知り合う転生者達~」