1941年12月8日。
「…………結局の所、アメリカからの返答は来ませんでしたな。」
「条件は事前に突きつけてありますので、これで我が国は名実共にアメリカと交戦状態に入ったわけです。」
「第1艦隊の高杉司令、第2艦隊の坂本司令、第3艦隊の蒼井司令、そして
米国の返答期限がこの日、過ぎることになったのだが、結局のところ、アメリカ政府は日本の出した条件への返答をせず、日本は事前に通告していた通り、対米開戦と相成ることとなった。
さて、とうとう、転生せし人々によって史実から変化を遂げた《紹和》日本がアメリカとの戦争に突入するのであるが、ここで開戦時の日米海軍戦力についてここである程度述べておくことにしよう。
まず、すさまじく簡易的な史実開戦時の簡単な空母戦力比較である。
太平洋戦争開戦当時、正規空母と言い切れる大型艦空母の数は日本6(一、二、五、航戦とそれぞれ呼称される6空母)、アメリカも六隻(レンジャーが除外されている)で互角だったのだが、実はそのうちの3隻は太平洋におらず、おまけに残りの3隻の内、サラトガはサンディエゴで整備の最中であったため、形式的には6対2だったのである。(実際はサラトガが即座に行動したため、6対3であったが)
…………つまり、開戦時、日本は大型空母の数で 有利だったのである。
事情の違う後世においてもその辺は非常に似ており、後世においての太平洋戦線に置ける主力航空母艦数の差は、日本8(赤城、天城、加賀、土佐、翔鶴、瑞鶴、飛竜、蒼龍)、アメリカ6(レキシントン、エンタープライズ、サラトガ、ホーネット、ワスプ、ヨークタウン)と、史実と比べ非常に厳しい所があるものの、それでも日本の方が勝っている、と言う事情を有していた。
さて、話が脇道にそれたので、そろそろ艦隊の話へと話を移すこととする。
まず、当事の日本海軍が編成した艦隊は5つで、その内、主力となりうる艦隊は3つである。
今回は、そのなかでも主力の3艦隊に関して説明する。
①、第一航空機動艦隊。
戦艦《比叡》を旗艦とした主力艦隊、打撃戦力は金剛型を主力としておいている為、実は主力艦隊の癖に、既に4隻ある大和型は一隻も配備されていない。
艦隊司令官は高杉英作、「紺碧の艦隊」に置ける高杉艦隊のポジションを担う。
所属艦。
戦艦《金剛》《比叡》《榛名》《霧島》
航空母艦《赤城》《加賀》《飛竜》
重巡洋艦《羽黒》《那智》《利根》《筑摩》《衣笠》《熊野》《愛宕》《摩耶》
軽巡洋艦《那珂》《川内》《球磨》《木曾》《能代》
改吹雪型対潜駆逐艦12隻
改秋月型防空駆逐艦8隻
②、第二統合防衛艦隊。
此方は戦艦《長門》を旗艦とする主に本土防衛を担う艦隊。
司令官は坂本良馬中将、「紺碧の艦隊」における坂本支援艦隊のポジション。
所属艦。
戦艦《長門》《陸奥》(陸奥が何故建造されたのかは別話詳述)《伊勢》《日向》
航空母艦《翔鶴》《瑞鶴》《蒼龍》
重巡洋艦《妙高》《足柄》《高雄》《鳥海》《三隈》《最上》《鈴谷》
軽巡洋艦《北上》《大井》《神通》《阿賀野》《酒匂》《鬼怒》《阿武隈》《五十鈴》《由良》
改秋月型防空駆逐艦6隻
改島風型汎用駆逐艦6隻
③、第三統合補用艦隊。
(大日本帝国第三独自遊撃艦隊)
第一、第二艦隊を編成した後、艦隊編成の際に溢れた艦を入れた旧式艦中心の艦隊、巡洋艦に出雲型、天龍型、駆逐隊に峰風型など小型艦艇の旧式ぶりに目がいくが、一番の特徴として、前回、簡単に名前を出した大和型戦艦四隻が、実は全部この艦隊に所属していることであろう。
第一、第二艦隊は連携を考えて編成されているが、本艦隊は基本的に別行動であり、艦隊名称自体は()内の物が正式なのだが、基本的に前線の支援が目的のため、俗称として統合補用艦隊の名が付いている。
総括的に見ると、艦隊所属艦が、改装された旧式艦と最新鋭艦のどっちかと言える歪な艦隊編成であり、またやけに強い戦艦の数が多いせいでこっちが主力にしか見えないほどの戦力を有しているのが特徴。
旗艦は大和型戦艦《信濃》、司令官は蒼井創作中将。参謀長に南丞絢香がいる。
所属艦。
戦艦《大和》《武蔵》《信濃》《紀伊》←コレ全部大和型。
《摂津》《太郎坊》《僧正坊》←後者三隻詳細は別話にて
航空母艦《天城》《土佐》
重巡洋艦《常磐》《浅間》《八雲》《吾妻》《春日》《古鷹》《加古》《青葉》
軽巡洋艦《長良》《名取》《矢矧》《夕張》《大淀》《仁淀》
改二峰風型防空駆逐艦15隻
改二白露型駆逐艦、14隻
以上が、表層上、太平洋にて対米戦の活動をするために存在する艦隊である。
この他に偵察専門の潜水艦隊「第七統合通報艦隊」や、恐るべき秘匿艦隊、揚陸艦とその護衛の艦隊「第八強襲艦隊」、海軍の主要艦隊からは外れるものの小型空母を複数擁する、輸送船団護衛のための「海上護衛総艦隊」等もあるが、本項ではその説明を省くこととする。
それに対して、開戦時アメリカ太平洋艦隊の陣容は以下の通りである。
アメリカ太平洋第一艦隊。
艦隊司令はH・キンメル大将
旗艦は戦艦《アイオワ》
所属艦。
戦艦《アイオワ》《カリフォルニア》《メリーランド》《テネシー》《アリゾナ》
《オクラホマ》《ウエストバージニア》《ぺンシルヴァニア》《ネヴァダ》
航空母艦《ホーネット》《サラトガ》
重巡洋艦《ニューオーリンズ》《サンフランシスコ》
軽巡洋艦《デトロイト》《ホノルル》《セントルイス》《ヘレナ》《ローリー》《フェニックス》
駆逐艦17隻
小型艇40隻以上
戦艦アイオワを中心とするガチガチの殴り込み艦隊である、大鑑巨砲主義のキンメル大満足の艦隊編成であり、単艦隊の戦艦所属数ではトップを誇る。
建造されて1か月もたっていない虎の子アイオワを旗艦としているが、当時の米海軍に、改良されている大和型が4隻も運用されていることを知っていたものは誰もいなかった。
アメリカ太平洋第二艦隊
艦隊司令はロレッタ・アークライト中将。
彼女は、女性士官採用が1938年末まで遅れたアメリカが産み出した初の女性艦隊司令官である(ちなみに転生者、前世にて南丞絢香の友人であった人物でもある)。
旗艦は航空母艦《エンタープライズ》
所属艦。
戦艦《コンスティチューション》《ユナイテッド・ステーツ》《コンステレーション》 《ユタ》 《ニューメキシコ》《サウスダコタ》
航空母艦《エンタープライズ》《ヨークタウン》
重巡洋艦4隻
軽巡洋艦8隻
駆逐艦10隻
第一艦隊と比べると貧相ではあるが、第一艦隊がキチガイじみているだけであり、コレでも大規模な艦隊である。
ただし、所属戦艦群は微妙なラインナップであり、《コンスティチューション》《ユナイテッド・ステーツ》《コンステレーション》の三隻に至っては1920年後半着工で、レキシントンの本来の形態である巡洋戦艦である、何度も変更された設計が祟り、速力に優れていたが防御は微妙な性能になってしまっていた。
アメリカ第三艦隊。
本艦隊は状況に応じて大西洋、太平洋のどっちかにいる艦隊である。
艦隊司令は猛将として知られるW・ハルゼー中将、旗艦は航空母艦《レキシントン》
所属艦。
航空母艦《レキシントン》《ワスプ》
重巡洋艦6
駆逐艦8
ハルゼー艦隊は史実よりも強化されているが、前述の日本艦隊相手では不安が残る編成である。
以上が各艦隊の編成である。
さて、話を戻し、開戦直後に話を戻すことしよう。
開戦直前、日本時間12月7日午後9時45分のこと、すでに第一艦隊は無線封鎖を継続させつつ、ハワイ諸島オアフ島北430キロメートルの所に進出、すでに作戦開始の準備を完了させていた・・・・・・
「第一次攻撃隊、発艦せよ。」
旗艦「比叡」からの合図をもとに、《赤城》《加賀》《飛竜》から攻撃機隊が発艦していく。
本航空隊は夜間に発艦を敢行しハワイ、オアフ島真珠湾へ向け進路を取った。
この航空隊を誘導するのは最新鋭航空機「星電」、初期型コンピュータを有するこの機体の誘導に従い、攻撃隊は真珠湾へと向かっていく・・・・・・
一方、第二艦隊も同じくして別方向からハワイへと攻撃隊を発艦させていた。
そしてこの時、第三艦隊は・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・南条参謀長。」
「・・・・言いたいことはわかります。」
「各艦、離れないように気をつけろよ!」
「クソッ!なんでこんな時に限ってレーダーが機能しないんだよ!!」
「落ち着け銀城艦長!とりあえず、艦隊がはぐれることだけを防げればそれでいい。」
「・・・了解した、とりあえずやれるだけのことはやりますよ。」
「頼むわ。」
第3艦隊はハワイへ南方から攻勢をかける予定だったのだが。現在、艦隊は原因不明の濃霧に包まれ、レーダーが管制不能、完全に目を奪われていたのである。
「指令!急いでこの霧を抜けませんと!」
「それは解っています!、マーサ、未だこの濃霧を抜けれそうな場所は見つかってないのですか?」
「駄目です・・・・・いまだにこの濃霧を抜けれそうにないですね・・・・・」
「SHIT!!、レーダーも聞かないこの状況だと敵艦隊に捕捉されるわけにはいかないのに・・・・・・」
そして、同じような目に遭っている艦隊が一つ・・・・・・・
今、開戦の狼煙が太平洋の空に立ち込めようとしていた・・・・・・・