いつもの時間に起床。いつもの様に朝の支度をする。部屋を出ると今まさにノックをしようとしていた、赤城がいた。
「お、おはよう御座います提督」
彼女はちょうど開いたドアにビックリしながらも、挨拶をした。
「何か用か」
「いえ。起きてらっしゃるのでしたら、大丈夫です」
何が大丈夫なのかは不明だが。俺は赤城を連れながら、執務室へと向かう。
部屋へと着くなり俺は自分の椅子に座り、仕事を開始する。全くもって忙しいことになった。先日の新種の深海棲艦の出現に伴い、鎮守府の警備強化を命じられたのでそれに、てんやわんやだ。ただでさえ我が鎮守府はできる限りの負担を無い様にと心がけていたのに、こうなっては貯蓄に手を出さざるを得ないことになる。艦娘にも要らぬ負担が出る。
イライラとしながらも、計画を練っていると、電報が来た。
本部からだ。本部からの物はいい予感がしない。予想は的中し、それを確認して俺は顔をしかめる。
内容は新たに敵が確認された海域を可能な鎮守府は探索せよ、と言うもの。
断るべきか否か。我の利害を考えれば断るのみではあるが、今後のためを考えれば参加は必然である。
悩んだ末にすっと机の引き出しにしまい込んだ。
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数日後
考えに考えた末、結局俺は新海域に艦隊を送り出すことにした。今後のことを考えての作戦執行だった。
編成は秘書艦の赤城が旗艦。以下に天龍・龍田・加賀・榛名・川内。うちのエース達だ。彼女達なら何かあれど対応できるだろう。
そんな彼女達はすでに出撃済み。海の上だ。
「チッ!メンドクセェこと押し付けやがってあのバカ提督」
「まぁまぁ天龍ちゃん。今回の作戦は私たちにとっても必要なことだし、そんな風に言わないの」
天龍の悪態を龍田がなだめるのもいつものこと。
ただ、天候は曇天。今にも嵐が来そうだ。
新海域に入ってから飛ばしていた加賀の艦載機から通信がはいる。
「敵、見ユ!」
邂逅した両者。10はいる敵の一体は見たことの無い個体だった。顔を包帯のようなものでぐるぐる巻きにしていて素顔は見えない。全身もボロボロの布で覆っているため、武装も確認できない
「ソノ魂ゴト海底ニ沈メ」
抑揚のなき声を発する新種の深海棲艦。
先手を打ったのはこちら側の1隻。天龍だった。
「オラァ!」
弾丸が飛び交い、砲弾を打ち出す轟音が鳴る戦場。
俺は鎮守府にて彼女達の報告を受け、本部に例の個体と接触したことを伝える。
するとすぐに返答が来た。
「全勢力を持って捕獲。無理なら沈めよ」と。馬鹿か本部は。捕獲なんぞどこの鎮守府も、試して無理だと判断しただろうに。その分被害が出るだろうが。
とはいえ、現状は若干こちらの優勢であり、予想より被害が少ない。劣勢になったからか。敵が引き始める。
「敵後退。提督に被害の報告を」
赤城が冷静に戦場を見る。こちらの被害は無いとはいえないが、相手の方が被害が格段に大きい様に見える。
俺は赤城からの報告を受けて、本部に伝た。
未知数の相手に深追いは禁物だな、と思い。こちらも後退しようと、彼女らに伝えようとしたその時。
本部からの、通信が入った。それは俺にとって最悪な命令。進軍の命を下したのだ。
俺は反論しようとしたが、飲み込んだ。今反論しても、結局本部の反感を買うのみ。
俺は前線の彼女達に連絡する。
「…………艦娘たちよ進軍し、敵を殲滅せよ」と、酷であるのは承知している。
「提督、お言葉ですが、敵の力は未知数ですし、こちらの被害もあります。ここは一旦退いて…………」
期間の赤城が具申をして来るが、それでも俺は心を鬼にして突っぱねる。
「二度言わせるな!命令だ」
俺は通信を切ったが、赤城にだけ繋ぎ直した。
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提督のいつもとは違う命令に、私は戸惑いました。
他の子も、提督の命令に納得していない様子です。
私もそうです。無理とまでは言いませんが、厳しい状態での追い込み作戦をすると言うのは。
皆が悪態をついている時また通信が入りました。ですが私以外には聞こえていない様で、私に個人通信をしている様でした。相手は提督しかいません。
「…………赤城。すまない」
少しの無言の後、提督は一言だけ言って通信は切れた。
しかしその一言には全てが詰まっていた「すまない」。提督が謝ることなんて今までなかった。
そんな提督が、泣きそうな声で謝ったのだ。
「…………提督」
それで理解しました。きっと提督よりも上の人に命令されたのでしょう。新種の深海棲艦を沈めよと。私は意を決して口を開きました。
「行きましょうみなさん。あちらの数は私たちの半分。さらに負傷しています。勝てないわけではありません」
みなは、提督に対しては厳しく言っていましたが。わたしが言うと渋々の様子ではありましたが、従ってくれました。わたしは先頭となり、敵が引いた方向へと進みます。
それからしばらく進んだのですが。全くしません。
「おかしい。いくらなんでも、水平線にすら捕捉できないなんて」
ここで引くかと思いもしましたが、その時!
ドンッ!
砲撃音する。
「攻撃!どこから!?」
わたしは辺りを見回すと、少し離れた位置の海から出てる岩礁に敵の影が1つ。ならば後の2体は?
「6時の方向、敵影2!」
挟み撃ちにあってしまった。提督に指示を仰ごうとしましたが、そんな隙がありません。
前後からの挟撃に私たちの被害は拡大していきます。
「うぉ!?」
天龍さんが被弾して、大破まで行ってしまいました。わたしは大破状態の天龍さんを守るよう、みんなに指示しながら後退出来るように隊を動かそうとします。
「逃ガサン!沈メ沈メ沈メ!」
新種の深海棲艦が大破状態の天龍さんに、ボロボロの布切れから出た砲身を向けて戸惑いなどなく砲撃する。
「クソ!」
天龍さんの声が聞こえたすぐ後に、爆発音によりかき消された。煙により詳細は不明だが、あの状態であの威力を、受ければもう。煙が晴れるとそこには
「だい、じょうぶ?天龍、ちゃん?」
「な、なん……で?なんでなんだ龍田!」
龍田さんが、背中に砲撃を受けて天龍さんをかばった。
その背は服は吹き飛び背中は大きな火傷を負っていた。あの傷ではもう。
「逃げて、天龍ちゃん。みんなと一緒に」
「なんで身代わりになった!俺がやられればれ」
「だって。大事な家族だもの。だから、ね?…………赤城さん。わたしが囮になります。だからみんなを連れて逃げて、くだ、さい」
「龍田さん…………でも」
「はやく!このままでは全滅の可能性もあります!だから!」
わたしは、唇を噛みながらも龍田さんを
「おい!離せ!龍田が!」
「天龍さん落ち着いて。彼女の思いを無駄にしないで」
暴れる彼女を、わたしと榛名さんで押さえながら龍田さんを、置き去りにするような感じで離脱に成功した。
「…………………あぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
天龍さんの叫びが、海域を出たところで発せられた。悲しみと怒りを含んだ声を。これできっと彼女は提督を恨んでします。彼にそんな気は無かったのに。また彼は一人になる。
龍田轟沈しました。
させてしまいました。
好きな方ごめんなさい。
でも、させるのは最初から考えてたんです。
なので、謝りはしますが、反省はしません。
見てくれてる方少ないようですが、その方のために頑張ります。
1-のナンバリングは5話程度。以降は話数は決めてませんが、同じような感じにします。
次回は多分。提督の過去と秘密について書きます(多分)