でも大筋はこれで終わりです。
ある日のこと。艦娘達は海上で戦闘をしており、振りに陥った。
しかしあることで、事態は一変した。
轟音鳴り響く海の上の戦場は、仮面を着けた男の登場により、辺りの敵は一掃され、新種の深海棲艦を残し海底へと沈められた。赤城は傷だらけの体、艦装も艦載機は無く甲板は離着陸のできる状態では無く。他の皆……加賀・天龍・川内・神通・那珂も既に戦闘を行える状態では無く、また敵の襲撃があれば轟沈も否めない。
そんな彼女たちは仮面の男を見る。
彼は艦娘と同じように海の上に立ち、軍刀を右手に握り、残る深海棲艦をその仮面の奥の赤い瞳が睨みつける。
「お前を沈める。今日。ここで」
彼の者は、落ち着いた声で吐露する。しかしその心の内には、味方の仇を取るための思いが込み上げている。
本来なら彼は赤城たちの前に出ることはなかった、それがこの様に成ったのには数刻前に遡る。
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今日も俺にとってはいつも通りの朝だった。赤城からの朝の報告や、届いている文書の確認やらを終えると、本部や各協力団体への提出書類の作成。遠征や演習の割り振り。残資材の確認をして建造・開発の計画。変わったことといえば、一部を除いた艦娘達からさらに嫌悪されていることだろう。数日前の龍田の一件以来日に日に増す艦娘達の冷ややかな目線。仕方の無いことだと割り切る自分がいる。幸いにも言い渡した、任務には従ってくれている様だ。もしかすれば、赤城が何らかのフォローをしてくれたのかもしれない。任務を言い渡す際、皆が赤城をチラッと見て渋々了承してくれている様子だった。
さっきも今日の午後からの出撃を言い渡す時、天龍が恨みの籠った目線で俺を見たが、了解とだけ言って部屋を出て行った。このままではいけないと思っていても、どうすればいいのか分からない。こういう時自分の不器用さというか、要領の悪さに嫌気がさす。あの時だって、やりようはあったはずなのに、と考えてしまう。たられば何ぞの事をいくら言ってもしょうがないが、後悔しているのは当たり前だ。
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昼を過ぎた頃。
出撃任務は定時報告により、異常なしと言われていた。だが
「第1艦隊より入電!敵艦隊と接触。交戦開始しました」
出撃任務がある際に出撃艦隊との交信をお願いしている、大淀から報告された。
「敵数多数。及び例の新種の姿ありとのこと!」
「奴がいるのか」
龍田を沈めた新種の深海棲艦。本部は生け捕りしろとか言っているが、俺からすれば目下の殲滅対象だ。
「大淀、伝達頼む。新種に注意しつつ交戦を続けよ、と」
「了解です」
俺は電話の受話器を手に取り、本部への連絡を取る。
「…………お疲れ様です。例の奴が」
報告をしている最中、大淀が叫ぶ。
「敵艦さらに増援!我の被害甚大!提督指示を!」
また誰かを沈めるわけにはいかない。そう思い今度こそ撤退の指示を出そうとしたが
「は?…………戦闘、続行?」
本部からはそのまま続けろと言われた。他の味方艦隊をよこすから、耐えろと。
それを聞いて俺の堪忍袋の緒が切れた。
「…………るな。ふざけるなぁ!テメェら本部が何を知る?何を見た!こちとら前の戦闘で『一人』沈んでるんだ!数字上でしか、戦場を知らねぇ本部様が現場の意見無視してんじゃね!」
そのまま受話器を叩きつける様にして、電話を切る。
「大淀、艦隊は威嚇射撃を行いつつ全力で後退せよ!厳しいなら第2艦隊を編成して援護に向かうと伝えろ」
「は、はい!分かりました。提督はどこへ!?」
部屋を出て行こうとする俺に問うが、俺は回答せずに、廊下に出た。そのまま自室へと向かう。
「俺がやる。今度こそ沈ませない」
俺が出来ることをやろう。たとえ嫌われようが拒絶されようが、それでも、もうみんなが悲しまない様に。誰かを失わない様に。俺が全部背負う。
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そして今俺は、夜間に深海棲艦を狩る姿で赤城達の前。新種の深海棲艦に対峙する様に立つ。
仮面を着け、黒のマントで体を覆い。軍刀を握り。この姿を見せ、正体を知れば、好奇の目に晒され、気味悪がられるだろう。
「だがもう関係無い。お前を沈める!」
海面を蹴り、一瞬で敵に肉薄する。それを察知して敵は機関銃を掃射するが、俺は体にかするのを無視して突っ込む。通り過ぎざまに、砲身を斬り落とす。直様反転し、次は首を狙いに行くが、腕を盾にした防がれなおかつ、刃はは浅くしか斬りつけられず。
しかし速さならこちらが上なのが理解できた。このまま押し切れる。そう踏み、また首を狙いに行く。そう思った瞬間、俺は驚愕した。
「歯で、軍刀を、止めた?」
文字どおりだ。奴は体を少し屈ませ、歯で受け止めたのだ。驚いていると、気が付けば奴の主砲がこちらに向いていた。
「ッ!?」
轟音鳴り響き、主砲から黒煙が立ち込める。俺は頭を後ろに下げたが、ギリギリで擦り、仮面が吹き飛んだ。
「クソ、………が!」
頭から血が出てさらにはガンガンと酷い頭痛の様な状態だが、意に返さずに、軍刀を奴の口から引っこ抜き、そのまま肩から斜めに体を切り裂いてやった。それでも動こうとするやつの首を、跳ねる。
「はぁ……はぁ……はぁ………これで、終わっ、た?」
どっかの漫画でこんなことを言えばフラグが立つとか言っていたが、そんなことを考えられる余裕もこの瞬間は無かった。奴の首と胴体は離れたまま海面から沈んでいき姿を消した。それを見て俺は安心したのか、倒れ込む。その瞬間に誰かに抱きとめられた感じと、呼び声がしたがそのまま俺は意識を手放した。
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次に目が覚めたのは医療室のベッドの上だった。患者服に頭は包帯がぐるぐる巻きに成っており、全身も所々包帯が巻かれていた。起き上がろうとすると、激痛が走る。
よく覚えていないが、あの時の戦闘は思ってた以上に傷を負っていたらしい。
何も出来ないのでしばらくの間、天井を寝ながら見上げていると、誰かが入室してきた。
「………誰だ?」
「て、提督!目が覚めたのですね?」
入ってきたのは驚きの表情を浮かべる赤城だ。
彼女のこんな顔は初めてだ。
「よ、よかっ、た。目が覚めて、本当に良かった………」
驚いていたのに、今度はベッド泣き崩れてしまった。
赤城が泣くなんてことも初めてだし、俺は女性を泣き止ませる方法なんぞ知らんから、まだ動く左手で彼女の頭をそっと、できるだけ優しく撫でた。
予告
次の話終わったら、しばらくは日常編を出していきたいと思います。基本話の内容は1話完結系で、何回か出した後、5話から6話完結でまた話し出したいと思います。