艦隊コレクション〜不器用な提督〜   作:サカズキ

6 / 11
1-のナンバリングはこの話で終わります。
地味に長かった。
読んだらそんなんでも無いんですがね?

追記
ナチュラルに5と6のナンバリングに話ってつけるの忘れてました。
もう直してます


1-6話

暇だ。どうしようもなく暇だ。日頃職務職務の日中なのに今おれはベッドの上。サボってるわけでは無い。まだ怪我が治らずに療養中なのだ。暇なときは何をすればいいのかわからない。ガキの頃なら走り回るだけでも楽しく、親父がいるなら船で沖に出て釣りなんかをしていた。

しかしこの職についてから暇というものを体感したことが無い。休日や休暇はあるのだが、海上戦術や艦娘・深海棲艦のことを調べたりと遊びということをしたことがなかった。痛みは引いたので、上体を起き上がらせることはできるので、ベッドに足を伸ばし座るような体勢をとる。右の窓辺を見ると海が見える。穏やかな波。雲1つ無い晴れやかな空。

いつからだろう?こんな風にゆっくりと青い水平線と空が交わる光景を見るのは。

いつからだろう?心にゆとりがなくなっていたのは。これだから冷たい提督だの言われるのだろうか?

怪我を負ってナイーブになってしまったのか、ネガティヴな考えばかりが頭の中を廻る。

 

「提督。入ってもよろしいですか?」

 

ノックをして声が聞こえた。赤城だ。

 

「いいぞ。入れ」

 

「失礼します」

 

赤城は戸を開けると部屋へ入り、おしとやかな仕草で戸を閉め、そのまま俺のベッドの、脇にあるパイプ椅子に腰掛ける。彼女は俺が怪我をして、ここに寝ている時から今まで、毎日欠かさず見舞いに来てくれていたらしい。大淀や明石のサポートがあるとはいえ、俺の代わりに提督職務をしてくれているのだ。本当に頭があがらん。

 

「…………………」

 

俺は黙ったまま窓の外を眺めている。赤城は何も聞かず、何も語らず、静かな時間が部屋に流れる。

 

「…………聞かないのか。右手の事。見たんだろ?」

 

「はい」

 

その返事は聞かないのか、という問いの答えか、右手を見たという事へと答えか。はたまた両方の問いへの答えか。されど彼女は何も聞かない。

俺も語らない。いや違うな。語りたく無いのだ。俺は自覚した。皆に嫌われても、沈まなければいい。皆が無事ならと思っていた。だが赤城だけは違う。彼女にだけは嫌われたく無い。そして傷ついてほしく無い。俺にとっての彼女は…………

 

「……やはり、聞かせて下さい。提督のその右手について。貴方のことを教えて下さい」

 

考えた末に俺は彼女に向き合い、「あぁ。いいとも」そう言って俺は語る。この右手のこのこと。それに至る経緯を。彼女は真剣な眼差しで、俺の話を聞いた。言葉を発さず聞き入ってくれた。

 

「以上が俺のこの右手の経緯だ。…………気味が悪いだろ?敵のはずの奴らの細胞が植えられているんだ。俺は君たちを裏切って…………「違います!」え?」

 

話の途中で、彼女の声に遮られた。

 

「確かに秘密にしてたのは、嫌でした。ですがそれは違います。貴方は私達のために、人類のためにその右手に重み携えて生きてきました。それを裏切りなどと、気味が悪いとは思いません!それに…………………」

 

彼女はそこで言葉を止めて、俺の瞳を覗き込み。

 

「だって………だって提督泣いてるじゃ無いですか」

 

彼女に言われて、左手で拭うとそこには水が付いていた。

 

「あ、あぁ…………おれは」

 

俺は涙を流すなど久しぶりだ。もう覚えてないくらい昔のことだ。きっと俺は聞いて欲しかったんだ。この不安を。

赤城は俺を包み込むように抱きしめる。

 

「いいんです。泣いても。誰も貴方を責めません。きっと他の子達もわかってくれます」

 

「俺は良いのか?もう1人で抱えなくて。赤城や、他の子達にもこんなことを背負わせて」

 

「えぇ。いいんです。少なくとも私は、貴方と共に戦います。これからもずっと」

 

俺はそれから赤城に抱きしめられながら、泣き続けてしまった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

後日

退院した俺は鎮守府の講堂に、全所属艦娘を集めて話をした。俺の過去の話、右腕の話。

 

「そして最後にもう1つ。これからのことだ。君たちには選択肢がある。ここに残るか、または、他の鎮守府に異動するかだ。ここに残るなら、こんな提督ではあるが、信じてついてきて欲しい。残ってくれたことに対し、全力で応える。他の鎮守府に異動するなら、俺の知り合いや、コネを使って良い提督の元へ配属されるよう掛け合おう。決めてくれ。君たちの意思で」

 

壇上に立つ俺に注がれる視線は、次第に周りの仲間たちに変わる。

俺は黙って言葉を待つ。傍に立つ赤城も同様に待っている。

その時

 

「俺は残るぜ」

 

声をあげたのは、天龍だ。

 

「俺は龍田が沈んだのは今でも悔しい。だが、提督の事はもうせめてねぇ。むしろ、こないだの戦いで上の連中に啖呵切ったのはすっきりしたぜ」

 

聞こえてたのあれ?赤城にそんな視線をおくると、苦笑いを返した。

マジか…………

だが、天龍のその声に私も!と言う声が続き、異動を希望するものは居なかった。俺はその様子に涙を流しながら、ありがとうと何度も呟いた。

後日某艦娘により、その時の通信内容が鎮守府内放送により、再生されその艦娘を指導したのはまた別の話。




ところどころ軍用語とか入れたりしてます。
まぁ、わかる人はわかるけど。
もしわからなかったら、感想なんかで質問してくれても良いです。ググレカスなんてことは言いませんw
次回からノットナンバー日常編になります。
基本1話完結の短編です。番外編みたいなもんです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。