東方呉服屋Project 作:手巻きおにぎり
常識に囚われず、フリーな気持ちで読みましょう。
──カタカタカタ、カタカタカタ
カタカタカタカタ──
「うらめしやー!!」
はいはい、表は蕎麦屋うちは呉服屋。
いらっしゃい、小傘ちゃん。
「うぅ、やっぱ驚いてくれないか・・・。こんにちは羽織さん、頼まれた物持ってきましたよ」
あら。あら?今日だったかしら。
「そうですよぉ。はい、えーこれがミシン針になりますね。四種五本づつ、合計二十本入りで三五○○円になります」
はい、三五○○円ね。
・・・前は四二○○円だった気がするけど、値下げした?
「あ、わかります?いやー今回は河童共から鉄を安く仕入れることに成功しましてね!その分!皆さんに商品をお安く提供することに成功したのですよ!」
安く仕入れた、ね。ふーん。
小傘ちゃん、貴女騙されちゃってるわよ。
「えっ・・・、て、えぇ!?ど、どど、どういうことですか!?」
こらこら、身を乗り上げないでちょうだい。
「す、すみません。それで、騙されてるって、どういうことですか!?」
小傘ちゃん、いい?
このミシン針の材質は『アルミニウム』っていうの。
私も詳しくは知らないんだけど、アルミニウムは柔らかく加工しやすいのと、安価で生産出来るのが特徴って話よ。
だから安く仕入れられたのじゃないかしら?
「い、いや、でも!あの時河童はしっかりと『金属だ』って・・・。き、金属・・・」
まぁ、そんなところよねぇ。
アルミニウムも金属、河童は嘘は言っていない。
今回は完全に貴女の失敗ね。
「そ、そんなぁ」
けれど、悲しむにはまだ早いかもよ?
確かに貴女は間違えてアルミニウムを買ってしまった。
しかしそれに合わせて値段も下がっていた。
まあアルミニウムにしては高い値段ではあったかも知れないけれど、そこは授業料だと思って払っておけばいいんじゃないかしら?
「・・・向こうもお金を騙しとるつもりじゃなかったんでしょうか」
いや、もしかしたらもっと長期的な作戦だったのかもしれないわね。
「長期的な作戦、ですか?」
そう。
今回ので上手く騙せたと知ったら、中身はアルミニウムのまま値段を元に戻して騙しとるつもりだったのかも。
怖いわねぇ。
「本当ですよ・・・。大人って汚い」
そうね、大人は汚い。
だけどそれ以上に汚い者が、商人という生物よ。
自分の利益の為なら、平然と嘘をつく。
私達はその嘘を見抜けるようにならなきゃいけない。
でもきっと大丈夫よ、次からは上手く行くわ。
だってまた一つ賢くなったんだもの。
ね、小傘ちゃん?
「・・・・そうですね!賢くなったからにはもう騙されないぞ!」
そうそう、もし怪しいと思ったらうちにいらっしゃい。
相談ぐらいはのってあげれるから。
「わかりました!・・・そういえば、ですが。羽織さん『商人は汚い』って言ってましたよね?」
えぇ、言ったわね。
「羽織さんも一応商人な訳なんですが・・・。あの、そのぅ。やっぱり、意地汚かったり、するんですか・・・?」
・・・そうねぇ、どうかしら。
小傘ちゃんはどう思ってるのかしら?
「え!?えぇっとぉ・・・。わ、わちきはこれで!また来まーーす!!」
はいはい、またね。
・・・全く、逃げなくてもいいのに。元気ねぇ。
あら、小傘ちゃん代金置いてっちゃった。
あらあら、うふふ──