東方呉服屋Project 作:手巻きおにぎり
──カタカタカタ、カタカタカタ
カタカタカタカタ──
「こんにちは、邪魔するよ」
いらっしゃい。
あら、森近さん。
今日はどうしたんですか?
「うちの店が占領されてしまってね、誰にとは言わないが。それでいつも静かな此処にやってきたんだ。暫く休憩させてもらうよ」
・・・何か買っていかれるのでしたら、どうぞご自由に?
「何か、ねぇ。・・・じゃあ、あの子供用の可愛い服を頂こうかな」
あら、あらあら。
それはもしかして、霧雨の娘さんにですか?
「まさか。魔理沙はもう受け取ってもらえないだろうさ、小さい頃は可愛かったんだがね」
ふふっ、こんど娘さんにその事言ってみようかしら。
「やめてくれ、いや本当に。その服は少し前からうちに住んでいる、というか住み着かれた妖怪へのプレゼントさ。あれでいて中々可愛いものだよ」
ほぉほぉ、森近さんがまたいたいけな少女に手を。
これは井戸端会議がまた盛り上がりますわね。
「言ってみるがいいさ引きこもり店主め」
引きこもり店主には言われたくない台詞ですわ。
・・・コホン、それでは代金の一二○○円頂きますね。
「ぐ、安くない買い物だ。今月もまた塩水生活だな」
あら、いいじゃないですか。
栄養失調で死ぬわけでもないですし。
「気分の問題だよ。一月ずっと塩水は、精神的にクるものがある」
そうですか。
私には解らない感覚ですね。
「純妖怪が解ったら、それこそ異端者だよ。それじゃ金も払った、暫くゆっくりさせてもらうとしよう」
どうぞ、ごゆっくり。
──カタカタカタ、カタカタカタ
カタカタカタカタ、カタカタ──
世間話なのですが、
「・・・どうしたんだい、急に」
森近さんのお店は、いったい誰らに占領されたのですか?
「いつも通り、霊夢や魔理沙らだよ。緑巫女と、もう一人知らない奴を連れて来ていたな。全く、騒がしいったらありゃしない」
ふふっ、森近さんったら年より臭いことなんか言っちゃって。
たまには騒がしいこともいいんじゃないですか?
「たまに、ほんのたまになら僕も我慢出来るんたがね。あいつら、何かにかこつけちゃぁ毎日のように来るんだ。店番は朱鷺子に任せてきたし、大丈夫・・・だろうとも言い切れないのが辛いなぁ」
ほぉ。
住み着いた妖怪ちゃん、朱鷺子っていう名前なんですか?
「仮名だがね。住み着くのならその分働いてもらわねばならないし、いつまでも名無しと呼ぶわけにもいかんだろう?」
えぇ、そうですね。
朱鷺子ちゃんですか、一回会ってお話してみたいですね。
今度遊びに行っても・・・、面倒だからやっぱいいです。
「・・・相変わらずの引きこもり具合で大変安心したよ、店主殿。この出不精め」
そんな出不精の引きこもり店主のお師匠様には言われたくありませんわ。
それより、夜も段々更けてきましたが。
お店に戻った方がよろしいのでは?
「ん?何故だい」
噂によれば、お山の緑巫女は大変爆走者でいらっしゃるとか。
貴方が分からない一人はさておき、他の二人は蟒蛇で有名な博霊の巫女と霧雨の娘さん。
もしかすると・・・
「・・・おいおい、先に言ってくれよそういうことは。まずい、非常にまずいぞ!」
頑張ってくださいね(キラッ
「腹立つなその顔。張り倒したくなる」
押し倒したくなるなんて、そんな。
もうっ、森近さんったら!
「あぁもういい!僕はもう帰るぞ!」
さよーならー。
・・・全く、森近さんも相変わらずノリが悪い人ね。
魔理沙ちゃんも、しっかりと正面から伝えれば、気づいてくれるのかもしれないのに。
はぁ、上手く行くといいのだけれど──