東方呉服屋Project 作:手巻きおにぎり
──カタカタカタ、カタカタカタ
カタカタカタカタ──
「失礼するぞ」
いらっしゃい。
あら、先生じゃない。
衣服に無頓着でいらっしゃる石頭先生が、なぜこんなところに?
「心なしか、言葉に棘がある気がするんだが。気のせいだよな」
気のせいではありませんわ。
「そうか、やはり気のせいか。いやなに、今日はちょっと頼みをしに、な」
頼み?
ますます怪しいわね。
一体どんな頼みかしら。
博霊の巫女にケンカを売れ、とか?
それとも天狗に自分を売れ、かしら?
「お前の中で私は一体どんな極悪人なんだ・・・。頼みというのは他でもない。私の友人を上手く着飾ってやって欲しくてな」
自分は着飾れないのによく言うわ。
まぁ、しっかりとお金払ってくれるなら仕事はするけれど。
友人・・・というと、藤原の子かしら。
「あぁ、妹紅だ。あいつはまるで衣服に頓着しないからな・・・。言っておくが、私基準で、だぞ?私からみても、あれは酷い。この前なんか、服の袖を燃やしてたんだぞ!?あれがファッションだとか、さすがの私も閉口したぞ!」
はいはい、わかったから。
まぁ、確かにそれは輪をかけて酷いわね。
服を燃やすなんて冗談きついわ。
罰当たりね、命知らずなのかしら。
「言わんでやってくれ。・・・どうやらあいつにも新しい友達ができたらしくてな。そのために軽くでも綺麗にしてやりたいんだ」
へぇ、というと・・・。
うーん、心当たりが多すぎてわからないわね。
どんな子なの?
「私もよく知らん。だが、前の異変の首謀者だとか、昼間にしか顔を見ないだとかは言っていたな」
あぁ、あの『じょしこうせい』とかいう子ね。
荒らし屋に一人追加されてた子よ。
確かに、昼にしか見ないわねぇ。
「それはいいが、頼みは受けてくれるんだよな?」
・・・一八○○○円になります。
「ぶっ、高すぎやしないか!?」
もう、汚いわね。
コーディネートから製作まで一任させてもらうんだから、そのぐらい貰うわよ。
正当な料金ですわ。
「す、すまない。ではなくてだな!?・・・ぐ、一五○○○なら払おう」
ほう、私相手に値引き?
別に私は受けなくてもいいのよ?
でも、この人里で私以外に受けてくれる人が居るかしらねぇ。
「ぐぅ、わかった。一八○○○だな?また今度持ってこよう」
うちは依頼は前払い主義だから、貰ってから仕事をする。
後で持ってくるならまだ仕事はしないけれど、いいのよね?
「あぁ、それについては大丈夫だ。期限など特に決めてるわけでもないしな」
あら、そう。
ならまた今度持ってきてちょうだい。
「わかった。では失礼する」
あっ、ちょっと待って。
「なんだ?まだ私に用が・・・あるんだから呼び止めたんだろうが。どうした」
寺子屋の子供たちにいっておいて。
ここは休憩場所でもなければお菓子を食べるところでもない。
ましてや、かくれんぼの為の場所なんてありえる訳がないってね。
次うちの服を汚したら冗談じゃ済ませないから、とも。
「・・・はぁ、全く、手のかかる子供達だ。わかった、それについては厳しく言いつけておこう」
ああ、それともう一つ。
商品を汚さず大人しくしてるんだったら、話ぐらいはしてあげる、ともね。
子供ってのは罪な生き物よね。
「ふふっ、同感だ。それもしっかり伝えておくよ。それではな」
じゃあねー。
ふぅ、にしても、藤原の子を綺麗に、ねぇ。
上手くいくかしら。
いや、ここで上手くいかせなけりゃプロじゃないわね。
気合い入れていかないと──