東方呉服屋Project   作:手巻きおにぎり

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Stage 5

──カタカタカタ、カタカタカタ

 

カタカタカタカタ──

 

・・・どなたかしら?

 

うちは日が落ちたら店じまいなのだけれど。

 

 

「まあまあ少しぐらいいいじゃないか。どうせ知らない仲でもあるまいし」

 

 

そりゃあ、確かに貴女の事は知ってるけど。

 

幻想郷二大健康オタクの片割れ。

 

通称『う詐欺』、因幡てゐ。

 

こんなしがない呉服屋に何の用かしら?

 

服をお求めなら昼間に来て頂戴。

 

 

「あっはは、まぁそう警戒しないでちょうだいな。いくら私でも、ここを騙して金せびろうなんてことは考えないからさ。ちょいとお話ししようや」

 

 

断る。

 

あんたは人妖をたぶらかす妖怪だからね。

 

会話を成立させてはいけないって言われてるのよ?

 

知ってた?

 

 

「酷い話だこと。でもね、今回はちょっと真面目な話だから、ちゃんと聞いてほしいなー」

 

 

・・・真面目な話、ね。

 

どういった?

 

 

「・・・私は、まぁ知っての通り長生きだ。昔この辺りに引っ越してきてからずっと、近くの人里を見守ってきた」

 

 

どんな話かって聞いてんのよ。

 

関係ない話はしないで。

 

 

「私が見守りはじめてから何年後だったか、人里に奇妙な『人外』が住み着いた。『高名羽織』っていってねぇ。不思議な、不可思議なほど住民に受け入れられていた」

 

 

黙れって言ってるでしょ!!

 

その頭の耳は飾りか!?

 

 

「何をやったかは知らないけど、『上手く』行き過ぎた話だとは思わんかね?私はとてもそう思うけれど」

 

 

っ!?

 

・・・そうね、言われてみれば。

 

確かにその『高名羽織』という妖怪、『上手くいきすぎて』いた。

 

それで?だからいったいなんだというの。

 

 

「いんや?私はだからどうしようとかは考えてないね。ただの知的好奇心さ」

 

 

あら、そう。

 

喧嘩だったら受けてあげたのに。

 

 

「私の能力を知ってるかい?『人に幸せを与える能力』さ。これがまた応用性が高くてねぇ、人のみならず生物非生物の『幸』を見ることが出来るのさ。・・・あんたの幸はからっきしだ。生き物としてあり得ないほどにゼロなんだよ」

 

 

あらそれは。

 

なるほど、それはそれは。

 

ここ数年の不運の原因がはっきりしましたわ。

 

ありがとうございました。

 

 

「そういう話をしてるんじゃないんだよ。私が聞きたいのはなぜ『幸が無い状態であそこまで上手く行っていたのか』だよ。話術か、妖術か、あるいは能力か。何にせよなにか細工をかけないと不可能なことだ。私はそれが知りたい、ただそれだけだよ」

 

 

さあ、どうなんでしょう?

 

話術かもしれない。

 

妖術かもしれない。

 

能力かもしれない。

 

ただ言えることは、何にせよ私はそれを可能にできる、ということ。

 

貴女の思った選択肢が、正解なのではないのかしら?

 

 

「・・・・・・はぁ、暖簾に腕押し糠に釘、こりゃどうも駄目みたいだね。仕方ない、今日は帰るよ。また今度、できたら教えてほしいなー?」

 

 

何か買ってくれるなら考えないでもなくはないけど。

 

 

「そうかい、そりゃ残念だ。んじゃ、失礼するよ」

 

 

二度と来ないでちょうだいな。

 

 

 

・・・ふぅ、どうにか上手く撒けたかしら?

 

 

「あら。何を撒いたんでして?」

 

 

!?

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