FGOのジャンヌオルタに運全部持ってかれた・・・。
第1話
???サイド
僕は《如月 刹那》。ある日、女神《アテナ》に間違えて殺された事によって、転生者として新しい世界で生きる事になり、特典と呼ばれるものを貰って、転生してから数年が経った。
なんでも《白猫プロジェクト》というゲームの世界らしく、簡単に言えばファンタジーな世界だ。ドラゴンもいれば、妖精だっている。
前世同様、複雑な家庭環境にいた僕は色々あって世界中を幼少から渡り歩き、現在は15歳の《冒険家》と呼ばれる職業をしています。
旅を続ける仲で、何人かの友達も作る事ができて満足な生活を送っていたある昼下がりの事だった。僕の部屋に一羽の伝書鳩が飛んで来た。当然ながらファンタジーな世界であるこの世界は文明が遅れている地域が多い。遅れているどころか、あたり一面森しかない僕の家は機械のきの字も無かった。
僕は鳩から手紙を受け取って、中身を確認する。それは、僕に向けての《招待状》だった。
「・・・《茶熊学園》ねぇ」
《茶熊学園》。なんでも冒険者を育成する為の学校らしく、熊がいたりするとかの噂を聞いた事がある。前世の経験の所為か、あまり学校に良い評価を持たない僕は手紙を机の上に置く。そして戸締りを確認して、外へ出る。向かうのは、この先にある"花畑"だった。到着すると、僕の同居人・・・というか家の主が花畑の中心でボーっとしていた。目的の人物に僕は声を掛ける。
「おーい、《フローリア》!そろそろ戻ろうよ!」
「あ、《セツナ》。分かりました」
そう言って少女《フローリア・レクランセ》が立ち上がってこちらへ向かって来た。その両目は固く閉ざされていた。
彼女は目が見えない。だが、耳が良いので日常生活に支障が無いどころか器用に弓で敵を射抜く姿は正直ドン引きだった。そんな彼女は庭師をしていて、僕は冒険者がてらその手伝いをして同居している。
同居に至ったきっかけは初めて彼女に会った日の事だった。
『あの・・・貴方はもう帰ってしまうのですか?』
『まあね。といってもまずは宿探しだけど』
『でしたら、私の家に来てください』
『・・・はい?』
なんて最初は一日だけお世話になる筈が、何時の間にか表札に僕の名前まで刻まれていた。何度かいい加減出て行く、と話したら毎回フローリアが泣き始めるので、考えるのを止めた。その後は、先程説明した通り、今に至る。
フローリアは僕の前に来ると、手を差し出して来たので僕はその手を取って歩き出す。
フローリアはよく僕と歩く時、手を繋いで来たり腕を絡ませて来る。正直、楽じゃない。二人で家まで戻り、僕はエプロンを着てから食事を作る。
「セツナ、今日のご飯は何ですか?」
「昨日採って来た山菜を使って、東の方の国の料理を作ってみようと思うんだ。下ごしらえは終わってるからすぐできるよ」
僕は前に冒険者の仕事の時に貰った天ぷら粉や、自分で打ったうどんを使って天ぷらうどんを作る。この世界は前世みたいに日本等がある訳ではない。ただ、日本に生活様式が似た国があるだけだ。そう言えばあの国の姫様元気かな・・・。この前龍に乗って大暴れしてたから将来に不安しか覚えないよお兄さん。
そんな事を思い出しながらフローリアの前にうどんを出す。最初はフローリアの目に気遣って、食べやすい物を中心に作ろうと思ったが、全然余裕で食べる彼女を見てなんかどうでも良くなった。
「「ごちそうさまでした」」
食べ終えた僕達は暫くテーブルで寛いでいる。フローリアは何時も持っている如雨露を手入れしていた。それを見ながら僕は先程の手紙をまた読んでいた。学校には興味無いが、僕はこの手紙に少し希望を見出していた。
フローリアの手伝いをしながら生活して早数カ月。此処最近、冒険者の仕事が出来ていない。冒険者は基本、《ギルド》と呼ばれる場で張り出されているクエストを解決して、その報酬で生計を立てている。手伝いばかりで仕事をしていなかった僕は正直ただの脛かじりだ。働こうとすると、フローリアに、
『大丈夫です。私、稼いでますから』
『セツナは、家を守ってくれていますし・・・』
『いざとなれば、私が養いますよ』
正直アカンと思った。だから僕はこの家から出て茶熊学園に所属している間にギルドから仕事を受けて稼ぎ、フローリアに仕送りすると言う《刹那君、ニート脱却作戦》を行おうと決めた。
覚悟を決めた僕はフローリアに話し掛ける。
「フローリア。話があるんだ」
「・・・分かりました」
フローリアは僕の声に軽い部分が無いと分かると、作業を止めて真剣な顔で見つめて来る。いや、見つめてはいないけど。
「実は、今日僕に手紙が届いたんだ」
「先程から手に持っていた物ですね?」
「うん。それでね・・・」
僕は説明をする。ニート脱却をしたい事、冒険者としての仕事をしたい事等、全てを話した。話し終えた時、フローリアは涙目になりながらも了承してくれた。
「分かりました。ですが、一つ約束してください。"必ず帰る"と。私にとって貴方は大切な家族なんですから」
「フローリア・・・分かった。必ず帰って来るよ」
「なら、早く準備をしなくてはいけませんね。手伝いますよ」
「良いよ。荷物って言っても基本的に全て《宝物庫》にしまってあるから」
「セツナの能力はやっぱり凄いですね」
そう言ってフローリアは僕を褒める。僕は少し照れながら残りの荷物を纏める。手紙によれば、数日後に船が此処から道を下った先の港に来るらしい。
何時でも出発出来る準備をしてから、数日はあっと言う間に過ぎて行った・・・。
~数日後[港]~
「それじゃあ、行って来る」
「セツナ、頑張ってくださいね」
「うん。フローリアも体には気をつけて」
「はい。セツナからお守りも戴きましたから平気です」
そう言うフローリアの首には僕の作った首飾りが下げられていた。僕が貰った特典を使用して作りあげた最高のお守りだ。
僕は船に乗り込み、フローリアを見る。泣いていた。今までとは比にならないくらい顔をグシャグシャにして泣いていた。止めてよ、そんな顔したら僕まで・・・。
「フローリア!必ず帰るから!」
「セツナ・・・!はい!ずっと待ってますから!私の・・・!」
最後の言葉は聞こえなかった。僕はフローリアとの約束を胸に、茶熊学園へと向かった。
~茶熊学園[校舎前]~
「・・・でっか」
目の前には前世で見た事のある懐かしの校舎が立ち並んでいた。入学式まで時間あるし・・・部屋に行こう。先程貰った部屋のカギをポケットでチャリチャリ鳴らしながら寮へと向かう。その途中、地面に何かが落ちていたので拾った。
「押し花の栞か・・・」
フローリアとよく作ったのを思い出す。桜を使っている様で、とても綺麗だった。後で届けようと思いそれを持って部屋へと向かった。鍵を開けて中を見ると、一人で生活するには少し広すぎると思う様な豪華な造りだった。栞を机に置いてベッドへ寝転がる。すごく柔らかい・・・。
「いいなコレ・・・ああ、眠く・・・なって来た・・・」
段々視界が霞み、気がつけば暗転していた・・・。
----それでは、入学式を終了します。
「う~ん・・・はっ!?」
外から聞こえて来た声に僕は飛び起きる。時計を見ると、数時間経過していた。僕は急いで支給された制服に着替えて、窓から飛び降りた。高さは四階くらいだが、これくらいは生身で行ける。着地すると、僕は声のした場所、体育館へと一気に走り出した。
体育館へ着き、扉を開ける。そこは既にもぬけのからだった。いや、なんか居た。
「うん?おや、初日から遅刻ですか?《セツナ・キサラギ》君」
「は、ははは・・・熊が喋ってる」
「そうですよー。私は《カムイ》。ここの学園長です」
「・・・寝過してすみませんでしたー!」
「全く・・・君のクラスは《イクラ組》ですよ。急いでください」
「はい!失礼しました!」
僕は礼をしてから体育館をダッシュで出る。校舎は中から行くと時間が掛かる。なので、僕は外から教室を見つけると、開いてる窓までジャンプした。窓縁に手と足を掛けて安定させてから教壇に立っている先輩に挨拶をする。
「遅れてすみません!新入生の《セツナ・キサラギ》です!」
「・・・」
「「「「「「「「・・・」」」」」」」」
僕を見て、全員が唖然とした表情で見る。まあそうなるな。やがて教壇に立っていた人が元に戻る。あ、先生じゃなくて先輩だこの人。入学説明で見た。
「お、俺はこのクラス担当の《ソウマ・ホクト・バスクナ》だ」
「どうも。寝坊してすみませんでした」
「気をつけてくれよ。しっかり寝ておいて欲しいな」
「あはは・・・行きで色々ありまして」
言い訳がましいが、此処へ来る道中。つまりは海の上でモンスターに襲われた。それがまた多い事多い事。倒したら倒したで黒い変なピエロが出て来たし。まあ、ブッ飛ばしたけど。
その所為か、体力ではなく精神的に疲れた。同じ事を延々とやるのは心が死ぬ。
「あの、僕の席は何処ですか?」
「席は・・・あそこだ」
「お、良い場所だ♪」
僕の席は窓側の一番後ろだった。鞄を机の横に掛けて座ると、隣の席の少女が話し掛けて来た。僕は驚愕する。何故なら相手は知り合いだったからだ。
「セツナ君も来たんだね~」
「久しぶり、《ツキミ》」
頭に謎のウサ耳が付いた少女《ツキミ・ヨゾラ》が相変わらずのポワポワした雰囲気で僕に話し掛けて来る。前に何度か仕事先で会った事があったが、えげつないビームを放つヤバい子だった。一度だけ、偶々居たお祭りが大好きな少年がビームに巻き込まれて黒コゲになったのを僕は忘れない。
「一緒のクラスだよ?嬉しいな~」
「僕もツキミが居て良かった。知り合いが居なかったらと思うと不安で・・・」
「今まで何してたの?」
「ん?ああ、居候してニートになってたから脱却しに来た。フローリアにも悪いし」
「・・・フローリア?」
ん?なんかツキミの声が低くなったんだけど、なんで?
「刹那君。フローリアって女の人?」
「まあ、そうだね。なりゆきで表札まで刻まれた」
「へえ。その人とはお付き合いしてるのかな?かな?」
「別にそんな事はないよ。そもそも向こうにとっても僕はただの家族だろうし・・・」
「家族?・・・へえ」
「ねえ、なんか怒ってる?」
「別に~?全然怒ってないよ~?」
すっげえ怒ってるやんけ。なんで怒ってるの?まさか僕がフローリアに手を出したとでも思いこんでいるのかこの兎娘は。それはまずあり得ない。僕は家族を泣かせる気はサラサラ無い。
「誤解してる様だけど、僕は変な事してないからね?」
「本当?一緒にお風呂~とか、ないよね?」
「・・・ハイ、アリマセンヨ」
「・・・へえ」
今なんか凄い背筋がゾクッとしたんだけど!?ツキミさんは何で目からハイライト消えてるんですか!ほら、周りの人達めっちゃ怯えてるやんけ!
「な、なあ・・・俺の話を聞いてくr「あ゛あ゛?」なんでもないです」
そ、ソウマ先輩!ツキミの威圧に負けないで!て言うか僕を助けて!違うんだよ!僕からじゃなくて、フローリアがほぼ毎日僕の入浴中に入って来るんだよ!寝てる時だってよくベッドに入って来るし・・・。男性苦手だって言ってた癖に・・・。まさか、カマトトぶっていた!?はないな。あの子僕以外はダメだったもんな。まあ、警戒されるよりはマシか。
「つ、ツキミさん?落ち着こうよ。ね?」
「・・・後でたっぷり聞かせてね~♪」
そう言ってツキミは前を向く。僕もすぐに前を向いた。これ以上は彼女の方を見て居たくない。幻覚だ。あの手に握られたペンが握りつぶされたとか幻覚だ。
暫くすると、学級委員長を決める話しになり、様々な口論を経て《ゲオルグ》と言う人に決まった。その後は、文化祭の出し物を決める話し合いが始まった。入学早々にハードだなぁ・・・。
「さて----話し合おう」
「・・・」
「・・・」
いや誰か話そうよ。ゲオルグさんは皆に語る。
「文化祭と言えば、校内だけでなく、外部にも向けた、その学校のアピールの機会と聞く。入学早々の我らに文化祭を命じた意図は不明な点もあるが・・・決まったからには!手を抜く事は許されない!全力で盛り上げよう!」
「お~っ!!」
「・・・」
「全力投球には全力で同意よ!学校一番の出し物にしましょう!」
いや、名も知らぬクラメイトよ。それはちょっとハードル高過ぎんかね?
「お~!!」
「お前も乗るな」
駄目だこのツキミ。早くなんとかしないと・・・。
「ゲオルグ殿の心意気やよし!我ら《鬼退治》の一族も、全霊をもって助力いたします!」
ガンッ!!
「ど、どうしたセツナ!?」
「な、なんでもないです。ちょっと地獄の扉が見えただけなんで」
「それなんでもあるだろ!?」
思わず机に頭を叩きつける。
ソウマ先輩・・・なんで僕の関わりたくない人間ナンバー2が此処にいるんですかねぇ・・・。
今の女性は知っている《シズク・エンジュ》。彼女との、いや、彼女達との思い出はあまり良い物ではなかった。よくみれば《イサミ》もいるし・・・。
「「おっおお~!!!」」
ウサ耳と知らない子!さっきからゴーイングマイウェイか君達は!?もう勝手にしてくれ・・・。そう思いながら僕は机に突っ伏した・・・。
刹那サイド終了