if~刹那君は新入生~   作:猫舌

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ども、3パックだけ勝ったらリオン君二枚当たった猫舌です。
今回の話書いて思ったんですけど・・・あれ?セツナ君、ヒロイン?
修学旅行編に入る前に次回から少しだけセツナ君のニート状態以前の冒険者時代のお話を書いて行こうと思っています。
まずは、ツキミ編を書こうと思います。
お楽しみに!



第11話

三人称サイド

 

 

その日の夜、オウガは一人海岸で黄昏ていた。そしてゆっくりと森の方へと振り向き、口を開く。

 

 

「・・・いるのは分かってんだ。とっとと出てこいや」

 

「いやいや、お会いできて嬉しいですよ。《金獅子》のオウガさん」

 

 

そう言って人当たりの良さそうな顔をした小太りの商人が姿を現した。その姿を見てオウガは心底不愉快そうに顔を歪める。

 

 

「トボけてんじゃねぇぞ。狙いはオレの首か?」

 

「とんでもございません。寧ろ逆・・・アナタ様のお力になりたいと思いまして」

 

「ほう・・・言ってみろや。ブン殴るのはその後にしてやる」

 

「----アナタ様は、恐怖されている」

 

「・・・!」

 

 

その言葉にオウガは目を見開く。商人は話を続けた。

 

 

「越えられない壁を前にして、生まれて初めて怖気付いている。・・・違いますか?」

 

「・・・何が言いてぇんだ」

 

 

オウガの怒気を孕んだ静かな声が嫌に響いた。人の心にズケズケと上がり込まれて怒りのボルテージは上がる一方だった。親友たる白髪の少年ならもう少し我慢出来たのかもしれないが、猪突猛進の自覚のあるオウガはキレる手前だった。

そんなオウガに対し、商人は態度を変える事なく話し続ける。

 

 

「私は、アナタ様に《力》を与える事が出来ます。壁もろとも打ち砕き、あらゆる存在を屈服させる力を・・・」

 

「ハッ!おもしれぇ!くれるってんなら、もらってやろうじゃねぇか。だがよ、テメーの企み通りには行かねえと思うぜ?」

 

「ほう?」

 

 

商人に嘲笑うかの様な嘲笑を浮かべたオウガは次の瞬間、獰猛な、獲物を睨みつけるかの様な眼差しと共に口の端を釣り上げる。そこから見える犬歯は獅子を連想させた。

 

 

「この金獅子が、その《力》もろとも喰らってやるからよ」

 

「ククク・・・いいでしょう。それでは・・・」

 

 

商人も愉快そうに笑うと、その体から漆黒の瘴気を流し出した。その瘴気はあっと言う間にオウガを包み込む。

 

 

「ぐっ!コイツは・・・!」

 

「実の所、アナタ様の様に威勢の強い方は多くおりました。まァ・・・そういうカタに限ッて、アッサリ呑みこまれてしまいましたがネ!」

 

「うおおアあアァァーーーー!!」

 

 

オウガの悲鳴にも似た大きな叫びが島中に木霊した・・・。

 

 

三人称サイド終了

 

 

セツナサイド

 

 

森の中でバイパーと話していると、オウガの声と共に小さい頃から嫌という程感じて来た気配に嫌な予感がした。

 

 

「・・・お前も気付いたか」

 

「やっぱり?」

 

「ああ、間違いない。----《闇》だ」

 

「多分僕の予想が当たっていればだけど・・・」

 

「まさかとは思うが・・・急いで合流するぞ」

 

「分かった。リオン!」

 

「分かっている。行くぞ」

 

 

僕とバイパーは元のサイズに戻ったリオンに乗って、気配の方向へと急いだ。

森を抜けた先の砂浜。そこにオウガは立っていた。

明らかに様子が可笑しく、なによりも闇の気配を濃く感じた。

 

 

「っ!下がれ!!」

 

「分かってる!」

 

「ウア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーッ!!」

 

 

オウガの目に自我は無く、体中から闇を吹き出しながら僕達を襲って来た。リオンが尻尾で薙ぎ払い、一旦距離を取る。

 

 

「ちっ・・・まずいな」

 

「見れば分かるよそんな事。てか何で闇なんかに触れてんのさ」

 

「グル゛ル゛ァァァーーーー!!」

 

 

吠えるオウガに警戒を強める。すると、僕達の後ろからアイリス先輩、シロ先輩、キャトラが焦った表情で駆け付けて来た。

 

 

「セツナ君!バイパーさん!」

 

「やっと見付けたと思ったら・・・」

 

「・・・!」

 

「ゴア゛ア゛ア゛・・・!グア゛ア゛ア゛・・・!」

 

「なんかヤバい事になってるし!オウガ、一体どうしちゃったのよ!」

 

 

キャトラがオウガを見て震える。バイパーがアイリス先輩に声を掛けた。

 

 

「丁度良い。アイリス、お前の力を貸せ」

 

「は、はい!」

 

「・・・万一の時は・・・覚悟しておけ」

 

 

その言葉に全員から緊張が走る。そんな中、僕の中では別の感情が渦巻いていた。それは止まる事無く溜まり続け、遂に僕のキャパを超えた。

僕はリオンから降りる目の前ではアイリス先輩が文化祭の時に使っていた浄化の魔法を詠唱している。だが、その効果は無かった。

 

 

「そんな・・・闇が、消えない・・・!」

 

「グル゛ル゛ァァ!ガア゛ァァァ!」

 

「・・・アイリス先輩、退いてください」

 

「セツナ君!?危険よ!」

 

「良いから。今最高に機嫌悪いんで巻き込みますよ?」

 

「す、すぐに退くわ・・・」

 

 

そう言ってアイリス先輩が離れる。僕はオウガの前に立って睨み付ける。

 

 

「オウガ。君の事だから大方そんなモノ逆に呑みこんでやるとか思ったんでしょ?甘いよ。闇はどんなに小さくても心の隙間に入り込むんだ。歴戦の戦士でも分が悪い。でもさ・・・」

 

 

僕は言いきる前に踏み込んでオウガの顔面に拳を叩き込んだ。オウガはそのまま吹っ飛び、砂浜を5回程バウンドしてから岩に激突した。

 

 

「覚悟がどうだの語った真っ先に付け込まれんなこの大馬鹿!」

 

「グ・・・ア゛ア゛ア゛!」

 

「来いよ金獅子。親友からの説教タイムだ。その体に叩き込んでやる」

 

「グル゛ア゛ァァァ!」

 

「君は昔から自分の力を過信しすぎなんだよ!だから口だけの結果になるんだ!」

 

「ゴァガッ!?」

 

 

オウガの攻撃を最低限の動きで躱して、カウンターを腹に叩き込む。オウガは修業だのなんだの言う割には最後、己の力に慢心する癖がある。現に闇に取り込まれてこのザマだ。

 

 

「どうした金獅子!こんなんじゃヴィルフリートを倒すなんて夢のまた夢だぞ!」

 

「ゴア゛ア゛ア゛!」

 

「何時までも悩んでないでとっとと戻って来い!」

 

「グ・・・!」

 

「や、やっぱりダメなの・・・?」

 

「いや、待て・・・様子が変だ」

 

 

バイパーが言うと、オウガは突如として動きを止める。そして・・・

 

 

「・・・ガア゛ッ!!」

 

 

鈍い音がした瞬間、オウガは自分の頬に自分の拳を叩き込んでいた。その光景にキャトラが唖然としている。

 

 

「グヴゥ!」

 

「・・・抗っているのか、オウガ」

 

「グガぁァ・・・オレ、は・・・負ケら・・・ンネェ・・・ヤツ・・・に・・・ダケぇ・・・はァぁ・・・!」

 

 

取り戻し始めた自我の中、オウガは天に向かって吠えた。自分が今乗り越え、辿り着かなければいけない人物の名を・・・。

 

 

「ヴィルフリートオォーーーー!!」

 

 

その瞬間、オウガの体から闇が弾け飛ぶ。それを直ぐにアイリス先輩が浄化した。

 

 

「グル゛オ゛オ゛オ゛オ゛アアアアああアあアアあああーーー!!」

 

 

闇の最後の抵抗か、オウガの体で断末魔の様な叫びを上げた後、完全に消滅した。

解放されたオウガが苦しそうに肩で息をする。

 

 

「がはっ、はぁぁぁ・・・かはぁぁぁぁ・・・チクショウ、が・・・!」

 

「!正気に戻ったのか」

 

「ああ・・・なんとか、な・・・はぁ・・・はぁ・・・コレが《闇》かよ・・・クソッ、ちと甘く見てたぜ・・・」

 

「あの闇は、お前をかなり深くまで浸食していた。・・・無茶をしたな」

 

「ああ・・・だが、悪い事ばかりじゃなかったぜ」

 

 

そう言ってオウガは迷いの吹っ切れた顔で力無く笑う。

 

 

「闇と一緒に、いらねぇモンも吐き出せたって事だ。もう迷いは残っちゃいねぇ。あるのは、勝利への確信だけだ」

 

「ふっ・・・そうか」

 

「待たせたな、セツナ。オレの"覚悟"は決まった」

 

「・・・遅いんだよ、ばか」

 

「悪い悪い・・・帰るとしようぜ、あの場所によ」

 

 

そう言ってオウガは立ち上がって僕の髪をグシャグシャと撫でまわす。全く、仕方ないな・・・。

そう思っていると、オウガは何時もの笑みを作り、

 

 

「オレの一世一代のケンカをよ----特等席で見せてやるぜ」

 

「・・・勝ってよね、オウガ」

 

「ああ。お前等に教わった事、無駄にはしねぇ。だから、オレを信じて見ててくれや」

 

「うん!」

 

 

そう言って僕達は互いに笑い合った。何故だか今のオウガならあのヴィルフリートを超えられる気がした。

 

 

「・・・なにがどうなってんの?」

 

「さて、な。あいつらにしか分からない事なんだろう」

 

「あれが人間の青春と言うやつなのだな。また一つ学んだ・・・」

 

「それはちょっと違う気が・・・」

 

「・・・(汗」

 

「で、でもあの二人の会話・・・ちょっといけない妄想が」

 

「アイリス!?」

 

 

なんか後ろが騒がしいけど今はどうでも良い。目の前の親友の決意を目に焼き付けるのが僕が今やる事なのだから・・・。

 

 

「へっ、待ってろや----帝王!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数日後~

 

 

その日、学園内は異様な空気に包まれていた。

何時もの賑やかで楽しげな雰囲気とはうってかわり、誰しもが口をつむぐ。

また、あるいは開いたとしても----

 

 

「・・・今日らしい・・・」

 

「・・・そうか・・・」

 

 

まるで禁忌であるかの様に、言葉少なに、一言二言かわすだけ。

 

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

 

誰もが口を閉じ、何も話さない。

----そして、時が満ちると男達は、導かれる様に、ある場所を目指した・・・。

それは無論僕もである。

----出揃った僕も含めた男子達は、緊張しつつも興奮を抑えられない面持ち。何故なら、今、これからこの場で答えが出るのだ。

----この学園の最強は、どちらなのか・・・。

 

 

「・・・来てくれたか」

 

「・・・」

 

「オレの答案用紙、受け取ってくれや」

 

「・・・」

 

「あんたと初めて会ってから、体中の血が鎮まらねえんだ。・・・今ここで、決着をつけさせてくれ。《不死者の帝王》・・・ヴィルフリートさんよぉ!」

 

「金獅子よ。何を望む」

 

「・・・あ?」

 

 

答案用紙、等は意味が分からないが、オウガはヴィルフリートに宣戦布告をした。そんなオウガに対し、ヴィルフリートは無表情でオウガに問いかけた。

 

 

「貴様は既に全てを得ている。何が不満だと言うのだ。我の先に・・・何を見ている?」

 

「さあて、ね。それは、最強の座を奪ったそんとき、分かるんだろうよ。色々考えたけどよ。オレの命題っつうのはシンプルにたった一つだぜ」

 

 

そう言ってオウガは決意を込めた目で相手を見る。そしてその言葉を紡いだ。

 

 

「最強になる。全部、まずはそこからだ」

 

「・・・」

 

「さあ、とっとと始めようや」

 

「・・・」

 

「・・・へっ・・・!」

 

 

ヴィルフリートは手に持っていた双剣を無造作に放り、ゴキリと指を鳴らした。それを見て、オウガも獰猛な笑みを浮かべる。

笑みを浮かべながら軽く足を開き、重心を落とす。踏みしめた地面には、ともすれば闘気の所為か、幾筋も亀裂が走っている。

 

 

「来い!」

 

「うおおおぉぉぉおおおおおお!!!」

 

 

ヴィルフリートの裂帛の気合を弾き返しながら、オウガは突進する。

今、この学園のトップとルーキーの決闘が始まった。僕は最前列でその決闘を見る。オウガの修業で僕が連れて行かれた事は皆が知っていた様で、関係者として普通に通してくれた。

 

 

「おらぁっ!」

 

「ふんっ!」

 

 

オウガの拳を避け、負けじと叩き込まれるヴィルフリートの拳をオウガは円を描く様に動いて受け流す。バイパーとの修業の成果が発揮されていた。

決闘はその流れのまま続き、外は夕焼けに彩られている。

 

 

「すげぇ・・・何時まで続くんだ・・・?」

 

「互いに一歩も譲らない・・・」

 

「・・・いや」

 

「永き刻を生きる、不死者の帝王を、少しずつですが・・・!」

 

「若き金獅子が、押し始めている・・・!」

 

 

ザック先輩達の呟きにガレアさん、いさ兄、ゲオルグさんが反論する。その通りに・・・

 

 

「はっ!」

 

「そんな・・・もんかぁああ!?」

 

「ぬ!?」

 

「うおおおおおおお!!!!」

 

 

オウガの連続攻撃に、ヴィルフリートが押され始めていた。そしてオウガが雄叫びを上げ、夕焼け空を振動させた。

 

 

「おうりゃあああああああ!!」

 

 

金獅子と呼ばれた男の全身全霊を込めた右拳が、帝王の顔面を捉える。

 

 

「がはっ・・・!」

 

 

ヴィルフリートは宙を舞うと、地面に二度三度バウンドし、倒れ込んだ。その光景に全員が驚愕する。幾ら強いとはいえ、あのヴィルフリートを殴り飛ばしたのだ。尚且つオウガは此処まで来て、未だにノーダメージである。

その光景を見て、僕の隣に居たソウマ先輩が声を上げる。

 

 

「決まったか・・・?」

 

「はぁ・・・はぁ・・・オレは・・・やったぜ・・・!」

 

「あんの馬鹿・・・最後まで油断すんな!」

 

「・・・」

 

「!?」

 

「なっ・・・!?あれもらって、立てるのかよ・・・!」

 

 

僕の警告も空しく、オウガの後ろでヴィルフリートがゆらゆらと立ち上がる。その光景にオウガは驚愕し、ザック先輩も同級生の強さに衝撃が走っていた。

あの馬鹿・・・散々慢心すんなって言ったのに・・・。僕の肩でリオンもやれやれ、と言いたげな表情をしていた。

 

 

「・・・しぶといじゃねえか・・・あぁ!?帝王さんよぉ!?このオレの拳をくらってよぉ!?まさか、言わねえよなぁ!?守るべきものが、どうたらこうたら・・・ンなくだらねえ事はよぉ!」

 

 

オウガは苛立たしそうに拳を握って叫ぶ。

 

 

「俺は・・・自由だ・・・!なんのしがらみもねえ、この拳が!金獅子の拳が!最強なんだよ!」

 

「・・・」

 

 

満身創痍のヴィルフリート。しかし、その眼は光を失っていない。その姿にクライヴ先輩が疑問を抱く。

 

 

「なんだ・・・?」

 

「帝王殿の、あの目・・・まるで、死を覚悟したドラゴンの様な・・・」

 

「・・・あれは・・・事切れる寸前のシズクの父と母・・・」

 

「使命を背負った退魔士の・・・いや・・・違う・・・!」

 

「違う・・・?」

 

「・・・あれは男の目だ」

 

「男の目・・・それは・・・?」

 

 

皆がそれぞれ言うが、最後の疑問にガレアさんは首を黙って横に振った。語るべき言葉等無いのだと言う様に・・・。

そんな中、ヴィルフリートはオウガに話し掛けた。

 

 

「確かに貴様は最強であろう。金獅子オウガよ・・・」

 

「ようやく認めてくれたかよ?」

 

「既に認めている」

 

「・・・あぁ?」

 

 

ヴィルフリートの言葉にオウガは疑問の声を上げた。それを聞いて、僕はなんとなくこの決闘の行く末が分かってしまった・・・。僕の考えを余所に、目の前の時間は進んで行く。

 

 

「貴様の言った通り、我には守るべき者、守りたい者がいる。使命もある。また、責務も。死、だと?それを身近に感じぬ日も我には訪れぬ。だが・・・我は、最強ではなかろうな・・・永き年月を生きるは、挫折の繰り返しよ・・・」

 

「へっ・・・なんだよ。要はオマエ、玉座に座るのがしんどくなってきたんだな?」

 

「・・・」

 

「だったら安心しな。今日から晴れて、自由の身だ。オレがその座をもらってやる!」

 

 

風を巻いて、オウガがヴィルフリートに襲い掛かる。金髪を靡かせ、前傾で拳を溜めるその姿は、全力で獲物を仕留める百獣の王そのものだ。

 

 

「もらったぜ!ヴィルフリート・オルクス!」

 

 

相手の名を叫び、万物いかなる物も粉砕する、闘気の込められた金獅子の爪が、ヴィルフリートの額を撃つ。

----しかし、

 

「なっ・・・!?」

 

「あ、コレ終わったわ」

 

「・・・」

 

 

オウガは目の前に光景に驚き、僕もギャラリーから見てオウガの負けを確信した。なにせ彼の一撃をヴィルフリートは一歩も動かずに受け止め、立っていたのだから。

 

 

「・・・我は強者であると同時に、弱者である」

 

「・・・あぁ!?だから俺が、最強なんだろうがよ!」

 

「最強、だと?そんなものは、片一方の行き止まりに過ぎん」

 

「!?」

 

「----故に」

 

 

最強。聞こえは良いが、その末路は寂しく、先の無い物だ。その言葉を聞いて動きを止めたオウガに、ヴィルフリートが棒立ちのままゆっくりと拳を振りかぶる。

 

 

「厳正なる審査の元、貴様に裁きをくれてやろう・・・いや・・・採点、か・・・学園風にな・・・」

 

「なんだと・・・!?」

 

「うぉおおおおっ!!!」

 

 

ヴィルフリートの動きは、僕達の眼にはやけにゆっくりと映った。スローモーションの様な軌道を描き、残りカスを振り絞った様な精彩に欠けた拳は・・・

 

 

「!!」

 

 

オウガの頬に食い込み、

 

 

「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅッ!!」

 

 

美しすぎるほど強引に、

 

 

「おぉぉぉおおおおおおおおッ!!!」

 

「がっ!?」

 

 

オウガの巨体を持ち上げ、そのままブッ飛ばした。

 

 

「かっ・・・はっ・・・!」

 

 

ズン・・・と音を立てて、オウガは仰向けに倒れた・・・。

倒れたオウガにヴィルフリートは声を掛ける。

 

 

「・・・金獅子よ。道は無数にある。それが見えぬうちは、落第も及第も意味など無い。貴様の答案は預かっておこう。励むがいい。金獅子よ。時、満ちればまた・・・何時でも採点をしてやろう・・・」

 

 

そう言ってヴィルフリートは去って行った。その時の表情は、不死者の帝王等ではなく、後輩に教えを説く先輩の様であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

----二人の対決を目にした者は、口を揃えて言う。

----『もう二度と見る事は無いだろう』と。

 

 

セツナサイド終了

 

 

三人称サイド

 

 

「・・・」

 

 

オウガが目を覚ますと、音が無かった。眼前にはただ、暗闇と、そこに浮かぶ無数の星々。

 

 

「・・・へっ・・・」

 

 

オウガは目を閉じ、噛み締めた。

初めて知った、敗北と言う物の味を・・・。

 

 

「・・・厳しい先輩だぜ・・・」

 

「なに勝手に終わらせようとしてんのさ」

 

「おわぁっ!?い、いたのかよ・・・」

 

「全く。・・・あれほど慢心するなと」

 

 

自分の脇でぶつぶつと説教を始めたセツナにオウガは苦笑する。正論を言われている為に言い返せない。

そう思いながら体を起こすと、頬に湿布が張られている事。それに自分に毛布が掛けられていた事に気付く。

 

 

「これ・・・お前が?」

 

「ま、油断はしたけど良い所までは行ったからね。ほら、ご褒美」

 

 

そう言ってセツナはオウガに切ったリンゴを渡した。リンゴは可愛らしいライオンの形に切られている。

相変わらずの女子力の高さにオウガは最早何も言わなかった。

食べ始めるとセツナは王の財宝から飲み物を取り出し、コップに入れて差し出した。リンゴを食べきったオウガはセツナをバツの悪そうな顔で見ながら頭をボリボリと掻いた。

 

 

「あー・・・その、よ・・・悪かった」

 

「本当だよ。僕達がどれだけ注意したと思ってるのさ」

 

「うぐっ・・・」

 

「でもまあ・・・うん。カッコ良かったよ、オウガ。お疲れ様」

 

 

そう言ってセツナはとびきりの笑顔を浮かべた。親友からの労いの言葉を貰った金獅子は元気良く返す。

 

 

「おう!」

 

 

こうして、茶熊学園の激動の一部が幕を閉じた・・・。

 

 

三人称サイド終了

 

 

 

 




~教えて!ソウマ先輩![5時限目]~


ソウマ「それじゃあボス戦に入るぞ」

セツナ「はい。行くよリオン」

リオン「任せろ」

ソウマ「今回のボスは《ジャガー》。獣型の巨大モンスターだ」

セツナ「あれ炎とか吐いて来るんだよね」

リオン「そう言っている内に来たぞ!」

ソウマ「コイツの倒し方は簡単だ。シンプルに叩け!」

セツナ「《反逆のライトニング・ディスオベイ》!」

ソウマ「《スクールバスター》!」

ジャガー『ガアッ!(もう初級のボスとか勘弁してください)』バタッ


----クエストクリア!


ソウマ「よし、クエストクリアだ。次回はこの学校の施設等を見て行こう」

セツナ「起立!礼!」

二人&一匹「「「ありがとうございました!」」」
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