???「はぁ・・・」
キャトラ「あら、《テレーゼ》じゃない。どうしたの?」
テレーゼ「あ、キャトラ。実は、前からコンサートに誘ってる子がいるんだけど中々来てくれなくて・・・」
キャトラ「そうなの?それってどんな子?」
テレーゼ「とっても優しくて、愛らしい子よ。私をこんな気持ちにさせたのは初めてだわ・・・」
キャトラ「随分と好評価ね。名前は?」
テレーゼ「セツナっていうのだけれど・・・」
キャトラ「またアイツかいっ!?」
~物影~
エル「せっちゃんを狙う雌猫がまた一匹・・・!」ギリッ
セツナサイド
クリアの背に乗った僕達は皆の所へと向かった。クリアは浮き上がるとリオンでは到底出せないスピードで飛ぶ。僕は兎も角、後ろのメンツが顔を青くして今にもリバースしそうになっていた。
「着いたぜ!」
「良かった・・・色んな意味で間に合った・・・!」
僕はクリアから降りて、夫婦剣を投影して援護へと向かう。フローリア達は回復するまでクリアとお留守番だ。クリアの腕の中ではリオンが目を回している。この子の回復も優先せねば・・・!
そう思いながら皆の所へと突っ込む。
「お待たせ!」
「遅えぞ!何やってやがった!」
「メアに口移しだよ!」
「はぁ!?」
オウガと軽口を叩きながら暴れる。もう自棄になり始めている舞妓王の攻撃を躱してカウンターを入れる。だが、智の民と同じように謎のバリアで弾かれる。だが感覚からして、前の様な絶対防御ではなさそうだ。
「あのバリアなんとかならない!?」
「セツナ。ツキミの攻撃が一番効いていた」
「マジ?バイパーナイス!」
「イエイ。それじゃあ俺はスクープの激写に戻る」
おい、待てやクソ蛇。一瞬で消えたバイパーに溜息を吐きながら解決策を考える。ツキミの攻撃。つまりは雷系統の技が有効・・・なら!
「----《投影開始》」
投影により、僕の右手は黄金の籠手が装着される。そこからはバチバチと電気が迸っていた。僕は魔力を高めて右手に込める。魔力を溜めこむ内に、舞妓王が京都の中心へと辿り着き、なんか強化されていた。
「おお、心地よいはんなりソウル・・・この我も思わず野球拳をしてしまいたくなる・・・!」
「あ、あいつー!あんな見た目してるくせに、すばやい!」
「な、なんかヤバそうな感じ!」
「取り敢えず撮影するか」
「バイパーさん、マイペースだねえ~。ところで、メアちゃんは何処?ちょっとお団子にしてジャガーの餌にするから~」
「落ち着け。今の所来ていない」
「ヨシュアちゃ~ん。ご飯食べにいこ~よ~」
「だからね!今はそれどころじゃないから!」
なんか皆がマイペースすぎて自分が馬鹿みたいに思えて来た。魔力を溜めるペースをゆっくりにして、皆の所へと歩く。
「つまり、そう言う事なんだね」
「うっわまた出たよこの人」
「舞妓さんは、仕込み期間を経て芸妓さんになる。その際のエネルギーは、宇宙の創世にも匹敵するんだね」
「まあ・・・凄いんですね。舞妓さんって・・・!」
「なにそれ怖い」
舞妓おじさんの唐突な登場と説明に僕達は唖然となった。セリア、そんなキラキラした目でおじさんを見るんじゃない。んな訳無いでしょ。おい、セリアに見られて頬を赤らめるな。
そう思っていると、カスミが聞いた。
「ちょっと・・・良いですか?」
「そうか・・・君が仕込みを終えて舞妓はんになったら、この私が旦那になろう」
「そういう事じゃなくて!」
「フン、ブッ壊せば終わりだろ!」
「そうだな。此処はオウガに賛成だ」
皆が強行手段に出ようとした所で、舞妓王が笑い出した。
「ふははははは・・・!!機は熟したり!!今こそ天下に我が力を示す時!このからくりかが装備する超ソウル砲ならば、離れた島も一撃でお座敷にできようぞ!」
そう言って舞妓王の操る舞妓ロボはエネルギーチャージを始めた。それを見てキャトラやマリが焦る。
「めっちゃヤバい感じよ!」
「あいつ、止めないとね?」
「・・・!」
「・・・やっぱりこうなっちゃったか。あんたらと一緒だとトラブルばっかりね」
「・・・♪」
「・・・嬉しそう?そうかもね。・・・だって、退屈は・・・しないから」
これが茶熊学園の修学旅行か・・・。なんともまあ、胃の痛くなる・・・。
「あらあら・・・どないしたんどす?」
「・・・!?」
「危ないです。下がっていて」
「おおきに。・・・あら?あの子・・・」
急に舞妓さんが現れ、マリ達が遠ざける。だが、舞妓さんの視線は何処かへと向いていた。そうこうしている内に、オウガ達が舞妓王を叩きのめす。
「かないまへんな~」
そんな事を言いながら舞妓王が更に巨大化して復活した。
「でっかくなって復活したー!!」
「ちっ、そう来たか。セツナ、宝具はまだか!?」
「ん。今つk・・・アレ?」
右手を見ると、何時の間にか投影していた宝具は消えていた。僕は大きなミスをしてしまった事を思い出した。宝具の投影はランクが高ければ高い程高密度の魔力と極度の集中力を必要とする。日本風に言えば明鏡止水の心的な勢いで行かないといけない。全員のマイペースに飲まれて集中が途切れてしまった。ああ、魔力無駄にした・・・。
「ごめん。ミスった」
「なにぃ!?」
「いやぁ、集中切らしちゃった」
「こんな大事な時に何やってんだ!」
「マイペースに行ってたお前等が言うな!」
オウガと口喧嘩になる。そんな中、舞妓王へと三人の人影が攻撃を仕掛けた。だが、あっけなく無効化される。人影の一人であるシャルは舌打ちした。
「ちっ!アイツ固え!」
「あのバリアが邪魔ね・・・」
「ですが、アレをなんとかしなければ・・・」
シャルに続いてメア、フローリアが悔しげな表情で得物を構え直す。復活してくれて何よりです。そんな三人を前に舞妓王が高笑いする。
「馬鹿共め!この京都に満ちるはんなりソウルがあれば、我は無敵ぃー!」
「・・・京都じゃなければ良いんだな?」
「・・・なに?」
「----投影開始」
舞妓王の言葉に僕は新たな投影を開始する。右手に握られたのは先程不発だった籠手では無く、赤い大剣だ。そして大剣に魔力を込めて、詠唱を始める。
「----我が才を見よ!」
大剣を目の前に一閃。すると世界に切れ目が入る。そのまま続ける。
「----万来の喝采を聞け!」
再び一閃。どんどん世界に裂け目が増えて行く。もう止まらない。止まる気は無い。
「----インぺリウムの誉れよ此処に!」
僕の頭の中を過るはかの暴君の劇場。
「----咲き誇る花の如く!」
その伝説が今、権限する!
「----開け!黄金の劇場よ!」
僕はその言葉と共に、剣を地面へと突き刺した。次の瞬間、"世界が書き換えられた"。
視界を覆うは、出口の無い黄金と舞い散る赤い薔薇に彩られた巨大な劇場。その光景に舞妓王も含め誰も声を上げなかった。
そんな舞妓王に僕は剣を抜き、切っ先を向ける。
「さあ、舞台は整った。舞妓王、ダンスの時間だ!」
「な、なんだこの劇場は!?我は京都に・・・!」
「そうだよ。でも君は京都に居る限り無限に復活する」
「そうだ!我は無敵なのだ!」
「知ってる。だから"書き換えたのさ"」
「・・・ファ?」
僕の言葉に舞妓王が首を傾げる。僕は溜息を吐きながら説明をする。なんて丁寧な人間なんだろうか僕は。
「この宝具《招き蕩う黄金劇場(アエストゥス・ドムス・アウレア)》はちょっと特殊でね。《固有結界》と呼ばれる宝具に属す物なんだよ」
「こゆーけっかい?」
僕の説明に、後ろに居たマールが疑問符を浮かべる。それも説明してやるからまってなさいな。苦笑しながら説明を続ける。
「簡単に言えば、"世界へ干渉する宝具"かな。でもコレはその中でも特別でね。干渉するのではなくて、"世界そのものを書き換える"宝具なんだよ。ま、贋作だから若干の型落ち品だけど」
「な、なんて出鱈目な・・・」
「宝具なんてこんな物がゴロゴロしてるよ」
魔法の学校へ通っていた経験のあるハルカが僕の話を聞いて、顔を青くする。コレ位で根を上げてたら、持たないよ?中には森羅万象問答無用に破壊できる宝具だってあるんだから・・・。あと使ったら死ぬ弓の宝具とかね。
「あ、それと此処の空間は僕以外のステータスは最低値まで下がるから」
「・・・ファ?」
「じゃ、踊ろうか?」
そう言って僕は大剣を振り回して、舞妓ロボの腕を切り落とす。
「の、のおおおおおお!?ば、バリアが効かぬぅ!?」
「最低値まで落ちればそりゃ無くなるよ。それ!」
「いやあああああっ!?」
「こちとら口移しなんて面倒事させられてイライラしてるんだ。だからアンタをぶった斬る!」
「完全な八つ当たりではないかーーーっ!?」
逃げ回り始める舞妓王を追いかける。此処では僕のステータスが周りと逆に跳ね上がる為、形勢逆転等と言う言葉は存在しない。正に僕の僕に寄る僕の為の世界なのだ。
「もうセツナ一人で魔法の歴史変えられる気がするわ・・・」
「奇遇ね。私も同じ事考えてたわ・・・」
「規格外すぎ~」
魔法使い組を無視して僕は剣を振り回す。
ボッコボコにしてやるぜ!
セツナサイド終了
どうやらセツナ君がストレス解消に走ったそうです・・・。