if~刹那君は新入生~   作:猫舌

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第2話

セツナサイド

 

 

「ダメだダメだ!仮装喫茶なんてありきたりだ!」

 

「そこをあえて一周回ってでしょ!?」

 

「うさぎさん達のラインダンス~♪」

 

「お待ちください!それでは主役が兎になってしまいます!」

 

「ならばドラゴンでは!?」

 

「論点はそこではないかと!」

 

「おかしやさん!」

 

「俺の腕はパティシエ級だぜ!」

 

 

これもう分からなくなってきたんですけど・・・。なんていうか、カオスにも程があるな・・・。あのピエロの方がマシな気がする。

 

 

「・・・」

 

 

ソウマ先輩沈黙じゃん。皆、周りを見ろよ。まあ、参加する気がない僕が言えないけど。そう思いながら、フローリアと別れる前に買ったギルド発刊の求人雑誌を読む。ふむ・・・《ウッホ種》と《ガルーダ種》200体ずつの討伐か。手応えなさそうだけど、リハビリにはいいかも・・・。

 

 

「ええい!これではまとまらん!ならば多数決だ!」

 

「異議あり!」

 

「ぬう!?」

 

 

僕と同じ白い髪の男《バイパー》がゲオルグさんに異議を申し立てた。ちなみにこの男、僕の会いたくない奴ランキング第1だ。理由は・・・色々あったんだよ。察しろ。

 

 

「多数決などと!一見民主主義風味の、みせかけの公平だ!そんなものは尖ったアイディアを絶滅させる、悪しき風習だ!」

 

「悪しき風習!」

 

「改革こそこれを断ち切る術!バイパー殿の考えに賛同いたします!」

 

「そっかな~?習慣ってさ~、それなりに意味もあると思うんだ~」

 

 

あの女の子、おバカそうに見えるわりによく考えてるじゃないか。それなのにコイツは・・・。

 

 

「こねこね、こねこね~♪」

 

「あらツキミさん、おだんごですか?」

 

「いきなりこねないでいただきたい!」

 

「俺の腕はパティシエ級だぜ!」

 

 

ツキミ、いい加減にしろ。あとバイパーは黙れ、永遠に。

 

 

「バイパー殿ぉおおおお!!」

 

 

ほら、ゲオルグさんキレちゃったじゃん。あの人も面倒そうだし・・・。もしかしてここって超問題児クラスなんじゃ・・・。学園長、チェンジを要求します。

 

 

----ソレ、却下でーす☆

 

 

こいつ、直接脳内に!?

もうどうでもいいから早く決めてくれ。

 

 

「・・・」

 

「ん?」

 

「!あんたは・・・」

 

「・・・」

 

 

廊下にいた人影に気づいた僕は思わず視線を向ける。それに気付いたソウマ先輩が人影を見て少し驚く。人影はそのまま何処かへ行ってしまった。なんなんだろうか、アレは・・・。

 

 

「あたしもおだんごこねるんだー!ラッキー・こねこね~!」

 

「なるほど・・・シズク。今日の昼飯はぜんざいでどうだ?」

 

「よいな」

 

 

よくないよ。ぜんざいはご飯じゃない。おやつに食べなさい。話し合いから外れてシズク達はツキミと団子をこね始めた。

 

 

「あら、イサミさんお上手~♪いい手つきですね~♪」

 

「《こね》の本質も鍛練と同じ。自分と向き合うことですから」

 

「なにっ!?これも鍛練なのか!?ならば・・・ツキミ殿は、武の達人?」

 

「なに言ってんだこの人?」

 

「俺も達人だぜ!」

 

「君はなにかと乗っかってくるな!?」

 

 

思わず突っ込んだが、バイパーの方へ注意が向いてくれて助かった。

 

 

「ヘイヘーイ♪」

 

「ウォウウォーウ♪」

 

 

バイパーとさっきのおバカ少女が楽しそうに歌い出す。真面目にする気ないだろアンタ等・・・。

 

 

「ねーっ!みんなー!脱線してるよーっ!!」

 

「「「「「「「▲※■○×▼◎♪※」」」」」」」

 

 

なんというか・・・本当に一体感ないなこの人達。そしてついにはこの騒ぎを聞きつけたのか、学園長が来て皆がお叱りを喰らっていた。僕?発言すらしてないからお咎めなしです。

とばっちりでソウマ先輩まで怒られていた。

あ、ゲオルグさんが学長室まで呼ばれた。さて、どうなるかね・・・。

 

 

「・・・怒られちゃったね(小声」

 

「調子に乗りすぎたな(小声」

 

「がっきゅーちょー、お説教かな?(小声」

 

「どうだろうな(小声」

 

 

なんかボソボソと話してるけど超丸聞こえだよ。

 

 

「はぁ・・・それじゃあ、学級長抜きで決めよっか。あの、セツナちゃん・・・で良いのかな?意見くれない?貴女だけ聞いてないのよ」

 

「・・・飲食店の方向は良いんじゃない?あと、僕は男だから」

 

「・・・へ?」

 

 

何故驚く。ツキミだって君って言ってただろうに。そんなに僕の見た目が女々しいってか!?だって髪切ろうとするとフローリアがキレるんだもん!普段丁寧な口調のフローリアがタメ口でお説教だよ。三時間正座はキツかった・・・。

 

 

「ま、まあ兎に角、確かに良い案かもね」

 

「おぉ~?じゃあ、なんのおかしにするか決めればいいんだね~♪」

 

「いや、甘い物から離れようよ。なんでオンリーなのさ」

 

「なら、甘い物から離れるか」

 

「えぇ~!?」

 

 

おバカの子はめっさ不満そうに声を上げる。僕はそれを宥める為に声を掛ける。

 

 

「良く考えてごらん。甘い物だったら、他の人が出してる店で良いでしょ?」

 

「あっ、そうなの~?」

 

「うん、そうなの」

 

「なら分かったよ!だんちょーの思いでおかしはやめよ~!」

 

「となると・・・」

 

 

バイパーの言葉に教室が沈黙に包まれる。そして話し合いの結果が放たれた・・・。

 

 

「お好み焼きだな」

 

「ええ」

 

「だね」

 

「異議なし」

 

「同意します」

 

「そうなっちゃうよね」

 

「そうなるでしょうね」

 

「えっ!?」

 

「ソウマ。決定した。イクラ組の出し物は、お好み焼き屋だ」

 

「そ、そんなあっさりでいいのか?いや、いいならいいんだが・・・」

 

「満場一致いたしましたゆえ」

 

「・・・分かった。なら、それで書類を提出しておこう」

 

 

あっさりと決まった面々にソウマ先輩が戸惑いながらも書類を提出しに職員室へと向かった。その後、適当に授業を受けて今日は解散した。全員が教室から出て行こうとする。ツキミも何時の間にか購買部で働いているらしく、なんとか尋問は回避した。僕はやる事もないので雑誌を見ながら外を歩く事にした。

 

 

「ふむふむ・・・邪龍の討伐か。アレ弱くて話しにならないからな・・・」

 

「ほう。龍を強くないと言うか小僧」

 

「お、ドラゴンだ」

 

 

気が付けば、竜舎の様な場所に来ており、僕の独り言を聞いたのか赤いドラゴンが僕を見ていた。周りには、白い龍や、鳥、蒼い龍もいた。

 

 

「なんか凄いねそこ」

 

「ふん。それで、龍が弱いだと?」

 

「うん。邪龍は理性がないから倒し易いんだ」

 

「邪龍を恐れぬ奴は初めてみたぞ」

 

「それはどうも。僕はセツナ。君は?」

 

「俺は《カグツチ》だ。小僧、お前h・・・来たか」

 

 

カグツチが言うと、その視線の先から僕のクラスの女子が走って来た。その視線は竜舎の白い龍に向いていた。女子は白い龍に跳びついた。

騒ぎだしてなんか嫌だったので、このまま帰る事にした。

寮へ向かって歩いていると、森からハンマーを持ったゴリラ型モンスターの《ウッホ》が飛び出して来た。そしてハンマーを僕に向けて振り下ろす。僕は後ろへ下がる。すると今度はグルグル回転しながらこっちへ突っ込んで来た。

 

 

「チッ・・・暴れるな!」

 

「ウホッ!?」

 

 

ゴリラを蹴飛ばす。運良く何も無いグラウンドへ跳んで行ってくれて助かった。丁度いいや。久々の戦闘と行こう。

この世界では、戦う人達は何故か決まった種類の武器で戦う。剣、槍、弓、杖、ハンマー、双剣、竜槍の七つだ。

僕は別に縛りプレイをする気はサラサラ無いので、色んな戦い方をするが、今回は貰った特典を使う。

右手を構えて、魔力を流し込む。

 

 

「----《投影開始(トレースオン)》」

 

 

次の瞬間、右手には一本の剣が握られていた。それを離れたウッホ目掛けて一閃する。剣を使うと発動する特殊能力《チャージスラッシュ》だ。ウッホは一発で倒れ、その場にこの世界の通貨が落ちる。モンスターからドロップってやっぱファンタジーだこの世界・・・。

 

 

「さてと、帰r「待て」・・・なんの用かなバイパー」

 

「その能力、やはりあのセツナなんだな」

 

「そうだよ。君達に追い出されてから色々あってね。世界は狭いもんだ」

 

 

木陰から出て来たバイパーは先程の様なふざけた雰囲気はなく、本来の職業である《退魔士》の任務時と同じ雰囲気だった。

 

 

「警戒しないでよ。戦うつもりはない。僕は帰って寝たいんだ」

 

「教えてくれ。"あの時、何があった?"」

 

「・・・もう過ぎた事さ。それじゃあ、僕は帰るよ」

 

 

バイパーを無視して僕は寮へと歩き出す。嫌な記憶が戻って来る。

そう、僕はバイパー達と同じ里の出身だ。事の始まりは5歳の時だった。バイパー達が長期の任務で村を開けている時、村が巨大なモンスターに襲われた。強力なモンスターは村の精鋭達を軽々と薙ぎ払った。だが、僕は貰った特典を使って無傷で勝利した。その時僕は村の全員から畏怖の目で見られていた事に気が付かなかった。

そしてバイパー達の帰って来る前日、村の誰かに言われた。

 

 

----コイツもモンスターに違いない!

 

 

それから僕は村の全員に襲われ、村から逃げた。山の中を走り抜け、ひたすらに走り続けた。その後、シズク達に野垂れ死にそうになっていた所を拾われたりしたのだが、そこでもまあひと悶着あった。これ以上は思い出したくない。吐き気がしそうだ。話からしてバイパーは違う事を聞かされているのだろう。なんていうか、バイパーだけじゃなくて、退魔士全体に嫌悪感抱いちゃったんだよなぁ・・・。

寮へ戻った僕は制服から部屋着に着替えてそのまま眠りに落ちる。疲労が溜まっている所為か、すぐに眠った・・・。

 

 

 

 

 

~翌日~

 

 

「・・・ナニコレ?」

 

 

朝、学校へ行くと玄関に新聞が張り出されていた。そして見出しにはこう書いてある。

 

 

[謎の新入生!その圧倒的戦闘力に迫る!]

 

 

見事に昨日の僕の戦闘中の写真も貼ってあった。こんな事をする奴は一人しか居ない。あの蛇野郎・・・!刻んでやろうか・・・!

 

 

「あ!新聞の子だ~!」

 

「げっ!」

 

「逃げた!ねえねえ!あの手品教えて~!」

 

「手品じゃないってばー!」

 

 

昨日のおバカな子から逃走しながら答える。

昨日使ったのは特典で貰った能力の一つで《無限の剣製》と言うらしい。解析した武器を投影する能力で、簡単に言えば相手の武器の贋作を造れるという物だ。

僕は屋上まで逃げ切り、一息吐く。

 

 

「こ、ここまでくれば・・・」

 

「よう。お前が例の新入生か?」

 

「・・・って《オウガ》じゃん。なにしてんの?」

 

「お前・・・セツナか?随分と大きくなったじゃねえか」

 

 

僕に声を掛けた大柄な男《オウガ》は僕の背中をバシバシと叩いて来る。昔にコイツの縄張りに入り込んだ事があって、色々面倒事に巻き込まれた。

なお、オウガの他に面倒な子がもう一人居るが、それはまた今度だ。

オウガと話していると、始業のチャイムが鳴った。オウガと一緒にサボる事にし、二人で求人雑誌を見る。

 

 

「でさ、コレの報酬が高級焼き肉なんだけど・・・」

 

「ハードすぎねえか?」

 

「僕が居るのを忘れないでよ。それに定員二人なんだけど・・・どう?」

 

「そりゃいいや。んじゃ、何時行く?」

 

「そだね・・・今から行っちゃう?」

 

「良いな。よし、行こうぜ」

 

 

朝からサボタージュした僕達は僕の特典《スキルメイカー》と言う能力を創る能力で創った空間転移のスキルを使ってギルドへ移動し、クエストを受注を受けて再び空間転移で任務の場所へ。

場所は濁った湖だった。そこで依頼主の農家さんから話を聞いた。

 

 

「実は牛達の飲み水になってる湖が汚れてモンスターが住み着いてしまったんじゃ。頼む!モンスター達を追っ払ってくれ!」

 

「はい。一緒に湖も浄化しましょうか?」

 

「そ、そんな事が出来るのか?ならお願いじゃ!報酬も上乗せしよう!」

 

 

そう言って農家さんは安全な場所へと下がって行った。僕達は取り敢えず湖に近づいてみると、湖の中から巨大な水のモンスター《ドロアクーア》が大量に出て来た。僕の隣でオウガが武器であるナックルを装備して構える。僕も弓を投影して、オウガの後ろから配置に付く。そして、戦闘が始まった。

 

 

「オラぁ!とっとと失せやがれ!」

 

「キリないなコレ・・・オウガ!全部上に上げて!」

 

「おう!ふんっ!」

 

 

そう言ってオウガが地面に思いっきり拳を叩きつけた瞬間、湖の中にいたドロアクーア達全員が衝撃で空中に投げだされる。

僕は魔力を集中させる。投影したのは一本の捻じれた剣。それを弓に番える。すると剣は細くなり、光を発し始める。それと同時に魔力が高まり始めた。狙いは空中の有象無象。僕は魔力を練り上げる詠唱をしつつ、弓を放った。

 

 

「----我が骨子は捻れ狂う。《偽・螺旋剣Ⅱ(カラドボルグ)》!」

 

 

瞬間、空が赤く染まり、衝撃と熱風が飛んで来た。暫くすると、そこには何も居なくなっており、ドロアクーアが全滅した証拠だった。僕は湖に入ると、特典の一つ《王の財宝》と呼ばれる異次元空間から前に能力で創った水質浄化の薬を撒く。本来は野宿中にろ過するのが面倒だったから創ったのだが、まさかこういった使い方をする時が来ようとは・・・。

数分後には、湖は底が見えるほど綺麗になっていた。試しに一口水を飲んでみる。うん、旨い。水から上がると、農家さんが僕達の所へと駆け寄って来た。

 

 

「ありがとう!これで牛達も安心して水を飲めます!ささ、あちらで焼き肉をお楽しみくだされ!」

 

「あ、どうも」

 

「サンキュ、じいさん。セツナ、行こうぜ」

 

 

この後オウガと焼き肉を楽しみ、お土産まで貰った僕達は辺りをブラブラ観光してから学園へ戻った。時刻はとっくに夕方を過ぎていた。

王の財宝にお土産を仕舞って、着替える。明日はどんなクエストしようかなぁ・・・。

そんな事を思っていると、ドアをノックする音が聞こえて来たのでドアを開ける。そこにはソウマ先輩が居た。やっべ。

 

 

「よう。今日は授業放り出して何処行っていたんだ?隣のクラスのオウガも居なかったんだが・・・?」

 

「さ、さあ・・・何でしょうね?」

 

「そう言えばさっき学校へ連絡があってな。なんでもうちの生徒がクエストを受けてくれたって褒められたよ」

 

「へえ。そんな良い子が居たんですか」

 

「何でも、何処からともなく武器を出す男装女子と学ランの大男。正に美女と野獣だったそうだ」

 

「誰が美女だ!僕はちゃんとおと・・・こ・・・」

 

 

僕の墓穴を掘った発言にソウマ先輩がニヤリと唇を三日月に歪めた。そして僕の肩に手を置いて嬉しそうに話す。

 

 

「そうかそうか。先輩として誰かの為に頑張るのは嬉しいぜ。・・・授業をサボらなければなぁ!」

 

「痛い痛い!指食い込んでますって!?」

 

「よし、表に出ろ。先輩として色々教えてやるよ」

 

「話聞いてください!」

 

 

その後、一晩中ソウマ先輩に付き合わされて朝まで追いかけられた。なんであの人両手にシャケ持って追いかけまわして来るんですかねぇ・・・。

 

 

「《スクールバスター》!」

 

「危なっ!?そのシャケ今制服斬ったんですけど!?」

 

「安心しろ!鉄くらいならスパッと行ける!」

 

「安心できねー!助けてフローリアッーーーーーー!?」

 

 

翌日、ボロボロの状態で授業を受けさせられたのは余談である。隣のクラスの大男もボロボロだったのも余談である・・・。

 

 

セツナサイド終了




刹那君のプロフィールです。


セツナ・キサラギ(前世:如月 刹那)

15歳

腰まで伸びた白髪に赤目。
男の娘。

好きな物:食事、睡眠、仲間との時間

嫌いな物:苦い物、鬼退治の一族、退魔士の一族


つい最近までフローリアと同棲していた転生者。
戦闘能力は誰よりも高く、あらゆる武器への適正能力も飛び抜けている。
女子力が高く、フローリアの家の家事を全て担っていた。
行く先々で女性とのフラグを立てる(本人自覚なし)。
貰った特典はFate物が多く、未だに性能を把握しきれていない。
この世界に来てから手に入れた隠し玉がまだある様で・・・?


特典、能力:

1.無限の剣製

2.王の財宝

3.スキルメイカー

4.Fate法具一式(王の財宝の中に収納中)

5.???

6.???
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