if~刹那君は新入生~   作:猫舌

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第3章 《セツナと日常と新たな出会い》
第23話


セツナサイド

 

 

「イメージアップ?」

 

 

修学旅行も終わり、僕達は平和な学校生活を送っていた。そんなある日、生徒会室でシャルがサボって溜まった書類をゲオルグさんと処理していると、そんな相談を持ちかけられた。

 

 

「そうだ。此処最近、闇によって凶暴化した竜の所為でドラゴンライダーに対する批評が多いのだ・・・」

 

「ああ、なんか新聞で見ました。ドラゴンは悪だ~、なんて言ってる人達」

 

「それ故に我々の国でもドラゴンライダーの候補生が減ってしまってな・・・どうか、同じドラゴンライダーとして力を貸してはくれないだろうか!」

 

 

そう言ってゲオルグさんは僕の前で頭を下げる。普段頑張ってくれている人だし、何かしらで恩を返せたらと思っていたので僕は答える。

 

 

「僕なんかで良ければお手伝いしますよ」

 

「感謝する!」

 

「そんな。僕だって普段何かとお世話になってますし、僕に出来る事なら何でも言ってください」

 

「セツナ殿・・・出来る事なら君に生徒会長をやってほしかった・・・!」

 

「げ、ゲオルグさん!?」

 

 

急にゲオルグさんが涙を流し始めた。淡々と涙を流しながらゲオルグさんは語り始める。

 

 

「生徒会長は、文化祭から暫くは真面目に取り組んでくれたのだ。だが、気が付けば再び仕事を放り出して遊びに行き、久しぶりに生徒会室へ来たと思ったら友人達と菓子を食べたり居眠りしたり・・・私の胃が・・・」

 

「・・・後でシメときます。取り敢えず智の民の方々と一緒に眠っていただきましょう」

 

 

あのバ会長・・・ゲオルグさんに負担掛けさせて。少しお灸を据えてやろう。僕だって今日は部活が休みだから手伝えただけなのに。

 

 

「・・・で、取り敢えずそのイメージアップの件なんですけど」

 

「あ、ああ。明日、直属の部下と姫様で会議をする予定なのだ。それに同行していただきたい」

 

「構いませんよ。場所は何処ですか?」

 

「学長から既に会議室を使う許可を貰っている。明日の朝、セツナ殿の部屋に迎えに行かせてもらう」

 

「分かりました。一応リオン達も連れて行きますね」

 

「それは助かる。カグツチ達の大きさでは校舎に入り切らないのでな」

 

「打出の小槌で小さくなる事拒否ってましたしね」

 

 

彼曰く、誇り高き竜が縮むとか屈辱以外の何物でもないだそうで・・・。

こうして、色々と不安を抱えながら次の日を迎える事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~翌日~

 

 

「セツナ殿、おはよう」

 

「おはようございます。リオン、クリア、行くよ」

 

「うむ。今日はよろしく頼むぞゲオルグ」

 

「よろしくな」

 

「こちらこそ。参加していただき感謝する」

 

 

ゲオルグさんと共に、僕達は会議室へと向かう。中へ入るとセリアと見た事の無い二人が椅子に座っていた。僕は取り敢えずセリアに挨拶する。

 

 

「おはようセリア。今日はよろしくね」

 

「おはようございますセツナさん。とても心強くて、安心です」

 

「えっと・・・そちらの御二方は?」

 

 

僕が聞くと、二人が椅子から立ち上がって自己紹介をしてくれた。

 

 

「僕は《セルジュ・ラングレイ》。竜の国で《竜騎士団》の団長補佐を務めてるんだ。今日はよろしくね」

 

「あたしは《モニカ・ヴォルバート》。色々あって、竜騎士団の新人やってる」

 

「僕はセツナ・キサラギです。一応ドラゴンライダー始めたばかりです。よろしくお願いします」

 

「我がセツナの相棒1号のリオンだ」

 

「俺が2号のクリアだぜ。よろしくな!」

 

「凄いね・・・乗り分け可能なドラゴンライダーか」

 

 

リオン達を見て、セルジュさんが目を見開く。やっぱり竜を二体以上乗るのは異例中の異例らしい。

そしてセリアに促されて席に座り、会議が始まった。

 

 

「それでは、会議を始めたいと思います」

 

 

セリアは最初の議題を取り出した。

 

 

「今回、私達はドラゴンに対するイメージアップを考えて行く訳ですが・・・これまでの作戦は悉く失敗して来てしまいました」

 

「あの、どんな作戦をしたの?」

 

「まず、ドラゴン達とのふれあいイベンt「ストップストップ!」は、はい・・・」

 

 

セリアの言葉に僕は思わず待ったを掛けた。馬鹿なのかこの子は・・・。机の上で聞いていたリオンとクリアも溜息を吐く。

 

 

「あのさ、人がドラゴンに対して警戒心持ってるのにふれあいってアウトでしょ」

 

「もしも参加者の中に過激な連中がいたら大変な事になっていたぞ」

 

「しかもドラゴン相手だから殺傷沙汰は間違い無しだろ」

 

「う・・・」

 

「はぁ・・・他には?」

 

「えっと・・・チラシを配ったり、訓練の見学ツアーを実施したり、です」

 

「因みにチラシの内容は?」

 

「一応持って来た。コレだ」

 

 

ゲオルグさんに渡されたチラシを見る。その内容は・・・。

 

 

[竜と人の絆と平和の為に!来たれ、騎士団候補生!]

 

 

思わずチラシを丸め、リオンの逆鱗でシュレッダーしてしまった。ゲオルグさん達がビクッと反応した。どうやら僕は今相当キているらしい。

 

 

「これはイメージアップとは言いません!勧誘ですか・ん・ゆ・う!」

 

「だ、だが身近にドラゴンを見てもらえば考えは変わる筈だと思ったのだが」

 

「さっき言った事思い出してください。警戒心持ってるのに見に行くと思いますか?人間そう上手く出来てませんよ」

 

「む、むぅ・・・」

 

「飽く迄も今回はイメージアップなんですから、この際騎士団とか竜の国とかお堅い考えは捨てましょう。人とドラゴンはこんなに仲良くなれるって事を証明出来れば良いんですよ」

 

 

僕が言うと、全員が頭を抱えた。

 

 

「・・・ゲオルグさん達は小さい頃から関わりがあったから抵抗が無いのかもしれませんけど、他の所からすればドラゴンなんて滅多に見ませんよ」

 

「そ、それは確かに・・・」

 

「だからこそ警戒心も自然と強くなる。そこをどう崩すかが論点です」

 

「ならばセツナ、宝物庫に入っていたあのルーンが使えるのではないか?」

 

「おお、それだ」

 

 

リオンの提案を聞いた僕は、宝物庫からルーンを一つ取り出した。それをセリア達は興味深そうに見る。

僕は説明を始めた。

 

 

「これは《映像のルーン》です」

 

「映像のルーン、ですか?」

 

「はい。これは別の《記録のルーン》で記録した映像を保存して何時でも再生が出来るルーンなんです」

 

「それ単体ではダメなのかい?」

 

「記録のルーンだけでは映像は一ヶ月程度しか残らないんです」

 

「確かに沢山の人達に見てもらうなら永久に残った方が良いよな・・・」

 

「これなら映像を見てもらうだけでドラゴンが近くにいるわけでもありませんし、問題はないかと」

 

「そうですね!リオンちゃんもありがとう」

 

「気にするな。我もドラゴンを差別されるのが嫌だからな」

 

「それでは、次はそのルーンにどの様な内容を記録すれば良いかを考えましょう」

 

 

そう言うセリアに皆が頷く。そしてゲオルグさんが手を上げた。

 

 

「姫様、此処はやはりドラゴン達との日常を記録するのは如何でしょうか?」

 

「良いですね。でしたら皆さんのドラゴンの日常を・・・」

 

「それ、騎士団内での話ですよね?」

 

「む、むぅ・・・」

 

 

僕の質問にゲオルグさんは再び唸ってしまう。なんかごめんなさい度々と・・・。

 

 

「ではこういうのはどうだ?ドラゴン達に災害派遣をさせるのだ」

 

「災害派遣・・・」

 

「そこでドラゴン達は人達と此処まで分かりあえると言う所をアピールするのだ。これならば誰かを助ける事で警戒心を解くのもそう難しくはないだろう」

 

「そうですね・・・でも竜の国の騎士団は戦闘が主ですから、あまり災害への対処は慣れていないんです」

 

「何かミスでもしたら大変だよ」

 

 

リオンの提案も却下されてしまった。災害・・・失敗しない・・・イメージアップ・・・。

もしかして・・・。

 

 

「現実を映す必要は無いんじゃ・・・」

 

「セツナさん?」

 

「セリア、あのね・・・」

 

「・・・ええっ!?そ、そんな案が」

 

「やってみる価値はあるんじゃないかな?」

 

「これならば失敗してもダメージは少なそうだな」

 

「少し抵抗があるけど・・・やってみるか!」

 

 

こうしてイメージが固まった僕達はすぐに行動に移す事にした。僕はリオン達に頼んである人達を呼んでもらう。それは・・・、

 

 

「竜騎士団の精鋭達・・・シャッターチャンス!」

 

「こちら、一応写真部のエース(笑)のバイパーさんです」

 

「それでセツナ。頼み事とはなんだ?お前からなんて余程の事だろう?」

 

「うん。それなんだけど・・・」

 

 

不本意だが、頼みの綱であるバイパーに此処までの経緯と今回の作戦を言う。それを聞いたバイパーは言った。

 

 

「分かった。俺で良ければ協力しよう」

 

「ありがとう。ルーンの使い方については後で説明するよ」

 

「分かった。所で、今から出掛けるのか?」

 

 

バイパーが僕とその隣で元の姿に戻ったクリアを見て聞いた。リオンには違う場所へ向かってもらっており、僕はクリアと別の場へ向かう所だ。

 

 

「うん。今回の作戦で即戦力になってくれる人だから」

 

「そうか。気をつけろよ」

 

「分かった。クリア、お願い」

 

「よっしゃ!かっ飛ばすぜぇ!」

 

 

僕はクリアの背に乗って、とある島へと向かって行った・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~とある島~

 

 

目的地へと着いた僕は、そこに立っていた大きなテントの中へ入る。中は大きな舞台になっており、劇が終わったのかせっせと片づけに勤しむ劇団員達が居た。それを見ていると、一人の男性が話し掛けて来た。

 

 

「悪いな嬢ちゃん。もう劇はお終いだ。また今度来てくれや」

 

「いえ、僕はあなた方に仕事のご依頼に参りました」

 

「依頼?」

 

「はい。僕はこういう者です」

 

 

僕は生徒手帳を見せる。すると、男性は僕を奥まで通してくれた。どうやら彼が団長の様だ。椅子に座り、団長さんの言葉を待つ。

 

 

「それで?茶熊学園の生徒さんがなんのご依頼だい?」

 

「実は・・・」

 

 

僕はバイパーに話した様に、依頼内容を話す。話し終えると、団長さんは少し考えてから僕に聞いた。

 

 

「ウチの団員全員使ってくれてその報酬額はありがたいんだが・・・本当に"アイツ"を主要人物に使うのか?才能はあると思うがまだ粗削りだぞ」

 

「はい。だからこその一年契約なんです」

 

「ふむ・・・費用はそっちが負担してくれるんだろ?分かった、良いぜ」

 

「ありがとうございます!」

 

「それにしても嬢ちゃんがアイツの知り合いだったとはな」

 

「あはは・・・あと、僕は男です」

 

「な、なに!?・・・良かったらウチで団員やらねえか?」

 

「遠慮しておきます・・・」

 

 

確実に男役をやらせてもらえないので断った。交渉も終わり、外へ出ると僕の前に青年が立っていた。その傍らには黒いドラゴンがいる。青年は僕を視界に入れると口を開いた。

 

 

「久しぶりだな、セツナ」

 

「久しぶり、《レザール》」

 

 

彼はレザール。少し前に出会ったドラゴンライダーで、今はこの劇団で団員をやっている。何気に数の少ない男友達である。

 

 

「それで、今回はどうしたんだ?」

 

「あ、それなんだけど・・・」

 

「おいレザール!団長から話があるってよ!」

 

「はい!今行きます!すまん、話は後だ」」

 

「あ、団長さんの話聞けば分かるから大丈夫だよ。僕は戻るね」

 

「分かった。それじゃあな」

 

「うん!」

 

 

僕はクリアの元へ行き、再び空を飛ぶ。そして次に別の場所へと向かった。再びとある島へ赴き、クリアを小さくしてからとあるバーに入る。確かあと少しで・・・。

時間を確認しながらカウンター席に座る。するとバーテンダーのおじさんが僕を見下ろして言った。

 

 

「此処はガキが来る所じゃねえ。帰りな」

 

「僕も用事があるんで帰る訳には行かないんですよ」

 

「チッ・・・何か注文しろ」

 

「じゃあ、ミルクでも貰いましょうか」

 

「舐めてんのかガキィ!」

 

 

おじさんが僕の胸倉を掴む。暫く睨みあいが続くと、向こうの方で拍手が起こった。その方向へ視線を向けると、一人の女性がピアノの演奏をしていた。演奏が始まるとおじさんはコップに入ったミルクを出して、「これが終わったら帰んな」と言った。

僕はミルクをチビチビ飲みながら演奏に耳を傾ける。バーの雰囲気にあった緩やかなメロディー。

静かな時間がゆっくりと過ぎて行った。演奏が終わり、演奏者の女性が裏手に入って行くのを確認すると、店を出て裏口に入る。入ると、ちょうどその女性と鉢合わせした。

キョトンする女性に僕は軽く右手を上げる。

 

 

「やあ、久しぶりだね。《テレーゼ》」

 

「セツナ・・・セツナ!」

 

「ぎゅむっ!苦しい・・・」

 

「もう!全然コンサートに来てくれなかったから寂しかったじゃない!あー、この癖になる感触・・・久しぶりだわ」

 

「テレーゼ離して。サンドイッチされたクリアが白目向いてる」

 

 

僕の服の中にいたクリアがテレーゼと僕に挟まれて窒息していた。テレーゼが慌てて離れると、なんとか復活する。

 

 

「し、死ぬかと思ったぜ・・・」

 

「ごめんなさい。気付かなくて・・・」

 

「もう平気だから気にすんな!俺はクリアだ」

 

「私はテレーゼ。よろしくね」

 

 

そう言ってテレーゼはクリアの小さな手と握手する。そして控室に連れられ、椅子に座らせてもらう。テレーゼに暖かいココアを渡されて、聞かれた。

 

 

「それで、急にどうしたの?」

 

「実はね、この曲を弾いてほしいんだけど・・・」

 

 

僕は一枚の楽譜を渡す。そこにはとある曲名が書かれていた。

 

 

「曲名・・・《騎竜戦隊D5》?」

 

「うん。実は・・・」

 

 

僕は再び説明する。今回の作戦《ドラゴンライダーによるヒーロー物》を・・・。

 

 

セツナサイド終了




次回、遂にD5の正体が明らかに!
メンバーは誰か是非予想してみてください。


では、また次回!
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