セツナサイド
あれから数週間が経過し、ようやく映像が完成した。それをゲオルグさんに渡すと、カグツチに乗って色んな地域へ配布に行った。
完成まで本当に大変だった・・・。撮影地を転移の能力で転々とし、シャルを智の民が眠る海域に沈めたり、ツキミがノーパンに目覚めたり、メアに宝具叩き込んだり、もう色々ありすぎて泣きたい。
そんな気持ちで僕はゲオルグさんを見送って、リオン達と部屋に戻る。これで暫くは眠りに付ける・・・。重い体を引きずって僕はベッドへダイブする。
「おかえりなさい、セツナさん。制服のまま寝たら皺になっちゃいますからダメですよ。アイロン掛けておきますから着替えてください」
「あー・・・ごめんごめん」
ミレイユに言われ、僕はベッドから起き上がって制服から部屋着に着替える。ネクタイを取ると、ミレイユがポーっとした目で僕を見ていた。
「どうしたの?」
「今のネクタイ外す仕草がなんかこう・・・キュンと来ました」
「きゅん?変なミレイユ・・・」
僕はミレイユの行動に首を傾げながら着替えを終える。
「セツナさんが寝てる間にお風呂とご飯の準備しちゃいますから、ゆっくり休んでくださいね。あ、手洗いとうがいを忘れずに!」
「わかった・・・行こう、リオン、クリア」
「う、うむ・・・」
「あ、ああ・・・」
僕達は洗面所へ向かい、水道から水を出す。後ろの方ではミレイユの鼻歌と、包丁の音が聞こえて来た。そんな中、僕達は手洗いとうがいを済ませてから思った。
「「「何であの子部屋に居るの?」」」
怖くて本人の前で聞けなかった事を三人でハモる。
「え、何で?僕部屋の鍵開けてなかったよ?」
「ナチュラルにいたから一瞬疑いもしなかったぞ」
「最近多いよな。気が付けばミレイユが傍にいるの」
「ちょっ、怖い事言わないでよ!?」
「・・・ストーカーEX」
「なにそれ怖い」
----逃がしません・・・。
「ひっ!?今何かスネークなバーサーカー的な何かの声が・・・」
「わ、我にも聞こえたのだが・・・」
「俺もう限界・・・」
「クリア!?」
泡を吹いて倒れたクリアを抱えてリオンとベッドへダッシュして布団に潜り込む。そして皆で抱きあいながら無理やり目を閉じる。こんな状況でも疲れは溜まっていたのか、眠りの底へ落ちるのはあっと言う間の事だった・・・。
「・・・あのバ会長は」
「あはは・・・」
起きた僕達はミレイユの作ったシチューを食べながら、話を聞いていた。シャルが生徒会長権限で作った僕の部屋の合鍵をミレイユに渡していたらしい。なんとも迷惑な事を。海に沈めるだけじゃ足りなかったか・・・。
まあ、ミレイユは今回の事情をセリアから聞いてたみたいだし気を効かせてくれたんだ。感謝しかない。ただしシャル、君はダメだ。
「そういえばヨシュアはどうしたのさ?」
「お兄ちゃんはオウガさん達とラーメンを食べに街の方へ行きました」
「なるほど。あ、おかわり」
「はい。リオンちゃん達もいっぱい食べてね」
「うむ。おかわりだ!」
「俺も!」
シチューはあっと言う間に空になり、片づけをミレイユとしながら話す。
「それじゃあ出来たんですね、映像」
「うん。ゲオルグさんが世界中駆け回ってる。僕にしっかり休んでほしいってさ」
「セツナは此処最近働き詰めだったからな・・・」
「もう一週間位は寝てないぞ」
「い、いっしゅ!?」
クリアの言葉にミレイユは思わず言葉を詰まらせる。映像の編集やらなんやらで休む暇も無かった。まあ、言いだしっぺの僕が文句を言う訳にも行くまい。
そんな事を考えながら僕は洗った皿を拭ききった。ミレイユも部屋へと戻り、僕達も風呂に入ってから再びベッドに入る。
「あー、疲れた」
「世界中を駆け回ったからな・・・」
「火山に雪山、孤島に闇の奴らの本拠地、それから・・・」
「そこの二匹。もう仕事の事は次まで忘れさせてくれ・・・」
リオンとクリアの会話を遮る。これ以上は頭が可笑しくなりそうだ・・・。
そう思いながら睡魔に身を任せた・・・。
セツナサイド終了
三人称サイド
翌日、セツナは疲れの所為か目を覚ます事はなく、ゲオルグ達ドラゴンライダー組とバイパーは会議室に集まっていた。セリアの手には完成した映像が記録されたルーンがあった。
「それでは、私達も改めて見たいと思います」
「姫様、落ち着いてください・・・」
「そ、そんな事言われてもぉ」
ゲオルグの指摘した通り、この姫様は現在緊張でガチガチである。突然の俳優紛いの事をさせられ、その映像が世界中にばら撒かれたのだ。セツナの案に乗った自分にも非があるとはいえ、やはり緊張する。
そんなセリアを尻目にセルジュとモニカは平然としていた。
「僕は結構楽しかったから、映像を見るのはワクワクするね」
「アタシも同じだ。思いっきり暴れられたしな!」
「君はアクションのシーン多かったからね」
「皆みたいな動きはしてないけどな・・・」
モニカは待ち遠しそうにする子供の様な表情をする。一年間の放送を予定している今回の撮影は、特撮物である為に、脳筋のモニカには持って来いだった。
セツナの用意した敵をバッタバッタと薙ぎ倒して行くのは彼女にとって、最高のステージだった。
ただ、やりすぎたあまりにセツナが敵を強化しすぎて大惨事になったが・・・。
「凄いよねセツナ君。まさか魔力で自分だけの"魔物を創っちゃう"なんてさ」
「確か・・・ナンバーズだっけ?」
「そうそう。まさかそれを出すのに、マクリルとカグツチが素材にされるとは思わなかったけどね」
「でも強かったよな。あの、タキオンとか言うドラゴン」
「そうだね。出来れば彼には竜の国に来て欲しいな」
セリアとゲオルグが慌てる様を見ながら二人は話す。そしてその隣ではバイパーがカメラを向けていた。
「慌てる二人・・・スクープ!」
「それはスクープって言うのかい?」
「言う。少なくとも俺の直感がそう告げている」
「そっか・・・」
言い張るバイパーを見て。セルジュは考えるのを止めた。そして我慢の利かなくなったゲオルグが遂にルーンを起動させた。ルーンからスクリーンが発生し、撮影したであろう景色が写し出される。
物語はその景色とナレーションから始まった。
----竜。それは気高き魂を持った種族。
----彼らは、永きにおいて人と深い絆を結んで来た。
----だが、それを引き裂かんとする存在が現れた。
----それこそが、"闇"。
劇団の人が竜と戯れるシーンに、黒と紫が混ざった様な霧が登場する。闇の存在を示す物だ。
----闇は竜と人を蝕み、仲間同士で争わせた。
----この出来事は、多くの人に恐怖を齎した。
----だが、そんな悪に立ち向かう五人と五匹のチームがいた!
----彼らの名は・・・!
『『『『『《騎竜戦隊D5》!』』』』』
ゲオルグ達の掛け声と共に、テーマ曲であろう音楽が流れ始める。見てるゲオルグ達ですらワクワクし始める音楽だった。その音楽と共に、それぞれ私服を着込んだゲオルグ達とカグツチ達が写し出されて行く。
そしてOPが終了し、本編が始まった。
----とある地域の島。此処に一人の少年と一匹の竜が暮らしていた。
----その者達の名は、《ゲオルグ》と《カグツチ》。
『さて、今日の槇割は終わりっと。カグツチ、これを運んでくれ』
『貴様、些か割り過ぎな気がするが?』
『なんだか今日は調子が良くってさ!』
そう言って背伸びをするゲオルグの周りには大量の槇が散乱しており、それをカグツチが嫌々ながらに運んで行く。二人が槇を運んでいると、村の住人達が騒いでいた。ゲオルグは興味本位で近付いた。
『何かあったのか?』
『お、ゲオルグ。丁度良かった。お前にお客様だぞ』
『私に?』
住人に導かれるがままにゲオルグはカグツチと共に村長の家へと向かった。
『村長、私に客人とは一体・・・?』
『おお、ゲオルグか。ささ、彼がゲオルグですじゃ』
『この方が・・・あの』
村長が向ける視線の先には、ゲオルグと同じく傍らに竜を率いる少女が居た。少女はゲオルグを見ると立ち上がり、自己紹介を始める。
『初めまして。私は《エクセリア》と言います。今日は、貴方をスカウトしに参りました』
『スカウト・・・?』
エクセリアと名乗った少女にゲオルグは首を傾げた。
そしてエクセリアは言葉を続ける。
『はい。貴方には、私達と共に竜と人の絆を守る戦士になってもらいたいんです』
『私が戦士・・・ですか?』
更に首を傾げるゲオルグ。こうして話は進んで行く・・・。
三人称サイド終了
すまない・・・今回の話でメンバー全員出せずにすまない・・・。
あ、フェイトエクステラ面白いです。