if~刹那君は新入生~   作:猫舌

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番外編1 《ウサ耳少女と白髪少年》 第2話

セツナサイド

 

 

あれから村に戻ると、住人の方々が駆けよって来た。その中には先程の少女も居る。

 

 

「大丈夫か!?」

 

「まだ小さいのに無茶して・・・」

 

「この子頬を切ってるぞ!誰か傷の手当てを!」

 

「今水も持って来るからな」

 

 

なんかめっさ心配されてるんですけど・・・。

いや、僕12回位なら死んでも生き返る様になってるんで大丈夫です。そんな僕に有無も言わさず、村人達が騒ぐ。結局僕が落ち付けるまで小一時間程掛かった・・・。

 

 

 

 

 

~一時間後~

 

 

「ふぅ・・・」

 

 

村人達からお礼にと無償で提供された宿のベッドで横になる。明日にはギルドで仕事貰わないとな・・・。そう思っていると、部屋のドアをノックする音がした。入室の許可を出すと、ドアを開けてウサ耳の少女が入って来た。少女は気まずそうに僕の前へと歩いて来る。

 

 

「えっと・・・こんな夜更けにどうしのかな?」

 

「その・・・ごめんなさい!」

 

「・・・はい?」

 

 

目の前でペコリと謝る少女に僕は戸惑う。意味が分からん。

 

 

「なんで謝ってるの?」

 

「だ、だって武器忘れて魔物に襲われて・・・ごめんなさい」

 

「気にしなくて良いよ。竜だったなんて誰も思わないだろうしさ」

 

「で、でm「でもも何も無い」う、うん・・・」

 

「取り敢えず、君が無事で良かったよ」

 

「・・・ありがとう」

 

「ん。どういたしまして」

 

 

少女は先程よりもマシな顔つきになる。取り敢えず椅子に座ってもらって、自己紹介をする。

 

 

「僕は《セツナ・キサラギ》。冒険者をしながら旅をしてるんだ」

 

「私は《ツキミ・ヨゾラ」。よろしくね~」

 

「うん、よろしく」

 

 

何時もの調子を取り戻したらしき少女はなんともゆっくりとした口調で話す。するとツキミは感心した様な表情をする。

 

 

「セツナちゃんって凄いんだね~」

 

「・・・僕は男だ」

 

「えっ!?私より可愛いのに!?」

 

「可愛いゆーな!」

 

 

なんで皆僕を女と言うんだ。解せぬ。

この後色々会話して分かったのだが、ツキミは団子を売りながら旅をしているらしい。なんでも家の団子屋の宣伝も兼ねているらしい。手伝える親が居る事に羨ましさを覚えながらもツキミとの会話を続ける。

やがて空が白み始めた頃、ツキミは帰って行った。その後すぐに眠気が来た僕は、結局昼過ぎまで寝てしまった。遅めの起床と昼食を終えた僕は昨日の人達にお礼を言ってから此処の隣の村へ向かう。そこへ行けばギルドがあるそうで、クエストが貰える。

村を出て、歩き出したその時、

 

 

「セツナくーーーんっ!」

 

「ツキミ?」

 

「わ、わたし、も、い、おえっ」

 

「お、落ち着いて・・・」

 

 

全力で走って来たらしく、重そうな三日月型の杖を持ったツキミは今にもリバースしそうな状態だった。取り敢えず水を渡してから落ち着かせる。落ちついたツキミは僕を見て話し出した。

 

 

「私も一緒に着いて行っても良い~?」

 

「別に良いよ。距離もそう遠くないから今日中に行くよ」

 

「うん♪それで、どれ位かかるのかな?」

 

「それ程じゃないよ。だってたったの"山を五つ"越えるだけだから」

 

「・・・ん~?」

 

 

僕の言葉にツキミが顔を青くしながら首を傾げる。あれ?僕変な事言った?こんな距離走れば30分も掛からない。

歩けば・・・休憩無しで2時間かな?

 

 

「それじゃあ行こうか」

 

「アッ、ハイ」

 

 

結局二山越えた辺りでツキミがダウンしたので、背負って残りの距離を走った。日が沈む前に村には着く事が出来た。

着いた村で宿を二部屋取り、その内の一部屋にツキミを寝かせる。僕も自室へ戻ってベッドにダイブする。明日こそはギルドに行かないと・・・。

そう考えながら僕は意識を落とした・・・。

 

 

 

 

 

~翌日~

 

 

「よっし!クエスト貰いに行くぞー!」

 

「お~♪」

 

 

次の日、朝からツキミとギルドへ向かう。ギルドへ入ると、柄の悪そうな連中が昼間から酒を煽っている。中には受付嬢にナンパをしている青年も居た。居心地が悪そうなツキミの手を取って、受付へと向かう。

受付の人が来た所で話し掛けた。

 

 

「なにかクエストはありますか?できれば報酬が多い物が良いのですが」

 

「そうですね・・・此方等はどうでしょうか?」

 

「コボルトの討伐・・・ん?あのジャガー討伐ってダメですか?」

 

「ま、まだ早いのでは・・・?」

 

「あ、大丈夫です。僕そこまで弱くは無いので」

 

 

実際暇つぶしにガルーダ種討伐24時間耐久レースして遊んでたし・・・。遊びにもならなかったけど・・・。

今度は武者種でも狩りまくってみるか。

そんな事を考えていると、受付の人はあまり納得していない表情でクエストの紙を渡してくれた。僕とツキミは軽く礼をしてギルドの出口へ向かう。出口まであと数歩の所で、急に酔っ払い達が僕達の前を塞いだ。怯えるツキミを後ろに下げる。

 

 

「・・・何か用ですか?」

 

「おうおう。嬢ちゃん二人でジャガーたぁ、ちょっと無理があるんじゃねえか?」

 

「良ければ俺達が手伝ってやるぜ?」

 

「初回サービスで分け前は8:2で良いぜ?ギャハハハハ!」

 

「お前ぼったくりじゃねえか!ハハハハハ!」

 

 

不愉快な声を上げて酔っ払い達が笑う。後ろからはツキミの震えが伝わって来る。遂には軽く泣き出してしまった。それを感じた瞬間、僕の中には自分と目の前の酔っ払いに対しての怒りが湧いて来た。

僕は自分でも分かる位底冷えした声で酔っ払いに言った。

 

 

「おい・・・どけ」

 

「「「ひっ!?」」」

 

「・・・行こう、ツキミ」

 

「う、うん・・・」

 

 

ツキミの手を強く握ってギルドを出る。暫く歩いて、大きな石に二人で腰掛ける。僕の所為で怯えてしまったツキミを落ち着かせる。

 

 

「ごめんね・・・外で待たせてればこんな事には」

 

「ううん・・・大丈夫だよ~」

 

「ツキミ・・・」

 

「ふえっ!?せ、セツナ君・・・?」

 

 

気丈に振る舞うツキミを僕は抱きしめた。僕も昔から無理する癖があり、よく故郷の家族達にこうしてもらっていた。今は追い出されたけど・・・。

やがてツキミは堰を切った様に泣き出した。僕の中に後悔と罪悪感が湧いて来る。

 

 

「ごめん・・・本当にごめん」

 

「良いよ~。だってセツナ君最後まで守ってくれたよ~?」

 

「それでも君を怖がらせちゃった・・・僕は最低だ」

 

「そんな事無いよ~?」

 

「ううん。僕が冒険者になる為に色々してくれた人は女の人を泣かせるのは最低だって言ってた」

 

 

そうだ。僕が戦場から抜け出して別の馬車に乗って行き着いた先に住んでいたお嬢様には余所者である僕に優しくしてくれた。あのお嬢様は今も日傘を振り回して、綺麗な花を探して、執事やメイドに心配を掛けているのだろうか・・・?

 

 

『就職先に困ったら私の家に就職すれば良いですわ。好待遇ですわよ?』

 

 

なんて言ってくれたけど、それは申し訳ない気がしたのでお断りした。流石におんぶに抱っこは悪いな、と僕の良心が働いた。

思い出していると、ツキミは泣き止んで僕から離れる。僕も立ち上がって、ツキミと歩き出した。

 

 

「それじゃあ・・・行こうか?」

 

「うん♪れっつご~♪」

 

「はは・・・うん、れっつごー」

 

 

僕とツキミはジャガーの居る森に向かって歩き出した・・・。

 

 

「ツキミ、杖は?」

 

「あっ・・・忘れちゃった♪」

 

「・・・戻ろっか」

 

 

なんとも締まらない終わり方だ・・・。僕達は宿へ引き返してから今度こそ森へと向かった。

 

 

 

 

 

~森~

 

 

「せいっ!」

 

「はいっ♪」

 

 

僕が夫婦剣で斬り、後ろからツキミが魔法で援護する。この戦法で僕達は森の最奥へ来ていた。そこにはジャガーが三体僕達を睨んでいた。

 

 

「さあ、本日の主役の御出ましだ!ツキミ、本気で行くよ!」

 

「かしこまり~♪」

 

「斬り込むっ!」

 

 

僕はジャガーへと駆け出す。そしてその一体の懐へ潜り込んで下から一気に斬り上げた。ジャガーはその場で苦しそうに血を撒き散らしながら悶え、絶命した。そしてその血ごと突如ポンと消えて、金貨とソウルとルーンに変わる。

相変わらず不思議な世界だ・・・。そんな事を考えながら残り二体の攻撃を受け流しながらカウンターを入れて行く。そんな時、

 

 

「セツナ君、避けて~」

 

「へ?」

 

「《トリニティ・クレセント》~♪」

 

「危なっ!?」

 

 

いきなりツキミが杖を構え、その周囲に三日月型のファンネル的な何かが二つ、姿を現し、計三つの魔力砲が放たれた。それは一瞬でジャガー達を焼き尽くし、アイテムに姿を変える。

その光景を見ながら僕は久しぶりに恐怖に震えていた・・・。なにこの子怖い。

 

 

「セツナ君、大丈夫~?」

 

「ハイ!ダイジョウブ!ボクゲンキーーーッ!」

 

「せ、セツナ君・・・?」

 

「ナンデショウカ、ツキミサマ」

 

 

落ちつけ僕・・・逆らったら殺られる。この子に杖を持たせるのは間違いだったかもしれない・・・。何この子・・・本当に魔道士?アーチャーじゃなくて?

あの脇でプカプカ浮いてる三日月超怖いんですけど!?

だ、誰か助けて・・・。

そんな僕の声が届く事無く、村まで恐怖に耐えながら歩いて帰った・・・。

 

 

 

 

 

~村[ギルド前]~

 

 

「ツキミ、僕はギルドに報告と報酬を貰って来るから先に宿に帰ってて」

 

「は~い♪」

 

 

ツキミと別れて僕はギルドへ入る。今は酔っ払い達も居ない様だ。受付にクエストが完了した事を報告する。受付は驚いていたが、僕の事を信用してくれたのか報酬金をくれた。

今回は結構貰えたな。今日はツキミが頑張ってくれたし、7割程渡そう。路銀と言えど、大金を持ち歩きたくない主義の僕はツキミに多く分け前を渡す事に決めた。そんな事を考えながら歩いていると、なにやら人混みが出来ており、騒がしかった。

僕は気になって、近くの人に聞いた。

 

 

「あの、何が起きてるんですか?」

 

「ん?ああ、なんかウサ耳の嬢ちゃんが酔っ払いの三人組に連れてかれちまったみたいでな。そんでソレ見た奴が話しtお、おい・・・!」

 

「すみません!ちょっと通してください!」

 

 

僕は人混みを掻き分けて、中心に着く。そこではチャラそうな青年が自慢げにその時の光景を語っていた。その人に近付いて僕は聞く。

 

 

「あの、その酔っ払い達何処に行きました!?」

 

「なんだなんだ?これ以上は追加料k「とっとと教えろ!」あ、あっちだ・・・」

 

「ツキミ!」

 

 

僕は急いで、先程の森へと向かう。ツキミの魔力を頼りに走り続ける。

待ってて・・・ツキミ!

 

 

セツナサイド終了

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