if~刹那君は新入生~   作:猫舌

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酒吞童子出ない・・・イベント礼装すら出ないとか・・・。
こんなんじゃ・・・全然満足できねえぜ・・・。
あ、始まります。


番外編1 《ウサ耳少女と白髪少年》 第3話

ツキミサイド

 

 

私はセツナ君に言われて先に宿へと歩く。宿へ着くと、目の前には昼間にギルドで酔っていたおじさん達がいた。おじさん達は私を見つけると、ニヤニヤしながら近寄ってくる。

 

 

「よお、嬢ちゃん。丁度探してたとこだ」

 

「・・・私、疲れてるのでまた今度で~」

 

「おっと、そうは行かないぜ?俺達の雇い主が嬢ちゃんに用があんだよ」

 

「大人しくしないとあの白髪の嬢ちゃんが知らない連中に袋叩きにされちゃうかもなー。数十人から襲われたら危ないもんなー」

 

「・・・分かりました」

 

 

セツナ君。森で動けなくなっていた私を助けてくれて優しくしてくれた男の子。彼の強さは間近で見たから分かる。でも、そんな彼でも集団で襲いかかられたら勝てる訳が無い。これ以上私の所為で彼に迷惑が掛かるのは嫌だ。

そう思った私はおじさん達に連れられて昼に出掛けた森の奥へと入って行った。

 

 

 

 

 

~森[最奥部]~

 

 

「旦那~。連れて来たぜ~」

 

「おお!待ってたぜお前等!さ、こっちへ来いよ!」

 

 

おじさん達の声に現れたのは宝石をいっぱい付けたお兄さん。所謂お金持ちな人だと思われる彼はセツナ君のとは違った欲望に汚れた笑顔で私を手招きする。私は寒気と嫌悪感に包まれながら彼に近づく。

そして彼は唐突に私を抱き寄せる。吐きたい気持ちを我慢して目を瞑る。すると私の耳に信じられない言葉が入った。

 

 

「今日からお前は俺の女だ。しっかり奉仕しろよ」

 

「・・・え」

 

「俺はこの島の領主だからな。この島では俺が正義だ。正義の味方にお姫様が嫁ぐのは当然だろ?ああ・・・この瑞々しい肌・・・最高だな」

 

「や・・・いやぁっ!」

 

「ぐっ・・・このアマ!」

 

「あうっ!?」

 

 

服の中に手を入れて来た事に拒否反応を示した私は思わず彼の頬を引っ掻いてしまう。頬に切り傷を作った彼は怒りの形相で私の顔に拳を入れた。激痛と恐怖に地面に倒れたまま動けなくなってしまった私に厭らしい笑みで彼が近づいて来る。

あと数歩で私の体に手が届く。その光景はとても遅く感じた。彼の指が数センチで私に触れる。この後の結末が予測できた私は涙を流しながら思わず呟いた。

 

 

「助けて・・・セツナ君」

 

「ハッ!彼氏の名前か?そんな奴より俺の方gげぼはっ!?」

 

「あ・・・」

 

 

突然彼が森の奥へ吹き飛ばされた。そして私の視界にナニカが舞い降りた。それは綺麗な白髪を靡かせ、ルビーの様な紅い目で森の奥を睨みつける少女の様な外見の少年だった。

私は震えが消えるのを感じながらその少年を呼んだ。

 

 

「セツナ君・・・」

 

「助けに来たよ。ツキミ」

 

 

そう言って少年《セツナ・キサラギ》は柔らかい笑みを私に向けた・・・。

 

 

ツキミサイド終了

 

 

セツナサイド

 

 

全力で森を駆け抜け、ツキミの気配のする方向へ向かった。森の最奥部でツキミはいかにもチャラ男な感じの男に乱暴されている光景が視界に入った瞬間、僕の何かが切れた。僕は止まる事無くチャラ男の腹部にトゥキックを叩き込んで蹴り飛ばす。

ツキミを見ると怯えていて、頬が赤く腫れていた。

僕を見て、名前を呼んだツキミになるべく優しい表情で助けに来たと言う。

ツキミは少しボーっとしてから涙を流して何度も頷いた。僕はツキミを後ろへ庇いながら目の前の酔っ払い共を睨む。

 

 

「おい。人の連れに随分と舐めた事してくれたね」

 

「う、うるせえ!俺達は雇われただけだ!悪くねえよ!」

 

「そうだぜ!冒険者は受けた依頼をこなすのが仕事だ!」

 

「そんな基本も分かんねえのかよ!」

 

「・・・だまれぇっ!」

 

「「「ひっ!?」」」

 

 

不愉快な声で不協和音を奏でる酔っ払い度共に怒号を浴びせる。

 

 

「何が冒険者の仕事だ・・・悪人でも無い奴を傷付ける事が許される訳ないだろうが!冒険者の端くれなら善悪の判断くらい理解しろ!」

 

「ぐぅ・・・やるぞ!」

 

「「おう!」」

 

「・・・屑が」

 

 

僕の言葉に逆ギレした酔っ払い共は武器を抜いて攻撃して来た。僕は自分の中の怒りを感じながら右手に力を込める。次の瞬間、一振りの緋色の刀が握られていた。

不気味なまでに紅い刀を構えた僕は剣を持った酔っ払い共の腕に軽く切り傷を付ける。

 

 

「へっ!こんなんじゃ俺達は痛くも痒くもねえぞ!」

 

「・・・開け、《緋爪(ひづめ)》」

 

 

そう呟いて刀の鍔を指で弾いた瞬間、酔っ払い共の腕の傷が大きく開いて大出血を起こした。酔っ払い共は武器を落として悶える。

 

 

「があああああっ!お、俺の腕がぁ!?」

 

「いでえ・・・いでえよぉ・・・」

 

「し、死んじまう・・・」

 

 

この刀。実は宝具では無い。僕の特典であるスキルを創るスキルである《スキルメイカー》で創った能力だ。

逐一投影するのが面倒になった僕は考えた。投影とは関係無い武器を造ろう、と。そしてそれらを呼びだす方法を魔力以外で補い、空腹を抑えられないかと。そうして創ったスキルが武器を創るスキルの《武器創作(ファクトリー)》である。

この能力があれば好きな能力を付与した武器を制作出来るのだ。そして、頭で念じれば魔力無しで呼びだせる様にしてあるのだ。・・・投影よりはマシだけど燃費はそこそこ悪い。

それは兎も角、今使った刀の《緋爪》はあらゆるものを"開く能力"を持っている。

この緋爪で作った傷を刀本体を指で弾く事を合図に開く事が出来る。空間に傷を付ける事も可能で、開いた衝撃による鎌鼬で相手を傷つける事も可能になる。今のは単に傷口を拡大しただけだ。

もしこれが心臓部に近かったり、首筋だった場合は確実に致命傷となる。

 

 

「死にたくなかったら消えろ。二度と僕達の前に出てくるな」

 

 

僕の言葉に酔っ払い三人組は傷を押さえながら森の中へと消えて行った。すると、茂みの中から腹を押さえながら最初に蹴飛ばしたチャラ男が出て来た。

その眼は怒りに染まっている。

 

 

「クソがぁ・・・!俺が誰だか分かってんのか!?」

 

「お前の素姓なんて知るか。ただ、ツキミを傷付けた奴って事だけは分かる」

 

「俺はこの島の領主なんだよ!俺がルールだ!俺が正義だ!」

 

 

そう言って何処に隠し持っていたのか、ナイフを握って僕に振りかざす。僕は普通に避ける。今のは確実に首を狙っていた。

これだから錯乱してる馬鹿は手が付けられない。何をするかたまったもんじゃない。そんな事を考えている間にもチャラ男は僕へナイフを振り回す。ツキミも疲れているだろうし、僕もうんざりだ。緋爪で軽く指先を斬ってから傷口を開いた。チャラ男は一人悶えながらブツブツと独り言を話し出した。

 

 

「なんでだ・・・!俺が正義なんだ・・・!」

 

「・・・お前みたいなのが正義?」

 

「な、なんだよ!?」

 

 

チャラ男は今にも泣き出しそうな顔で僕を見る。僕は緋爪をチャラ男の眼前へと向ける。

ビビるチャラ男に言った。

 

 

「お前の成す事が正義と言うのなら、僕は何度でも悪を成そう。その正義は断じて許容できない!」

 

「あ・・・ひ・・・・」

 

「・・・行こう」

 

 

ツキミを背負って歩く。チャラ男はもう気絶して盛大に漏らしていた。これ以上見るに堪えない。

無言で夜になった道を歩く。互いに気まずくて何も言えない。結局何も話す事なく宿へ着き、それぞれの部屋に戻る・・・筈だった。

 

 

「・・・」

 

「あの・・・」

 

「・・・」

 

「・・・どうすれば良いのさ」

 

 

ツキミが離れません。背中から離れないでずっと僕にひっ付いてます。結局ツキミを部屋まで送る。僕の背中からようやく降りたと思った矢先、今度は正面から抱きつかれて動けなくなる。どうすれば良いのか分からない。

 

 

「あのさ、ツキミ。僕汗臭いから離れた方が良いよ?」

 

「じゃあ・・・一緒にお風呂はいろ?」

 

「・・・はい?」

 

 

 

 

 

~風呂~

 

 

「ごしごし~♪」

 

「えっと・・・どうしてこうなった?」

 

 

はい、絶賛風呂で背中流してもらってます。何でかって?僕が知りたいわ。ねえなんでこの子さっきまで沈黙してたのに元気になってるの?

僕を辱める事にそんなに楽しみがあるのかい?

 

 

「はい!おしま~い!」

 

「や、やっと終わっt「それじゃあ、今度はセツナ君ね」なんですと!?」

 

「お願いしま~す♪」

 

 

そう言ってツキミは僕に背中を向ける。そこにはシミ一つ無い綺麗な背中と、髪を上げている事に露出されたうなじが見える。思わず見惚れてしまった。

 

 

「セツナ君?」

 

「は、はい!ただいま!」

 

 

僕は泡だらけの布でツキミの背中を擦る。なるべく強くならない様に、優しく優しく・・・。

 

 

「・・・んっ♡・・・ぁんっ♡」

 

「煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散・・・」

 

「あっ♡ふぁぁんっ♡」

 

「煩悩め!死ねえええええええええええええええっ!」

 

 

ツキミが艶めかしい声を上げた瞬間、自分の両目に指を突き刺す。何なのこの子警戒心無さ過ぎでしょ!?回復して来た視力で湯船に浸かる。

するとツキミも僕の膝の間に座って来た。

 

 

「つ、ツキミ?ちょっと近くないかな・・・?」

 

「そんな事ないよ~♪一緒にぬくぬく~♪」

 

「・・・もう好きにしてくれ」

 

 

僕は絶望に包まれながら天国の様で地獄である時間を過ごした。

 

 

 

 

 

~夜~

 

 

ツキミといい加減別れ、部屋のベッドに寝転がる。

酔っ払い共も暫くは寄って来ないだろう。正直、ツキミには此処を早く出る事を勧めた方が良いのかもしれない。

 

 

「・・・寝よ」

 

 

これ以上考えても止まらないだけなので、僕は寝る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ん」

 

 

布団の中に何かが入って来た感触に目を覚ました。目を開けると、布団の中にふくらみがあるのと、そこからウサ耳がぴょこん、と出ていた。僕は無言で布団を捲る。そこにはこっちをジッと見つめるツキミが居た。

 

 

「・・・何用で?」

 

「あ、あのね・・・い、一緒に寝てほしいな~って・・・」

 

「ん。良いよ」

 

「い、良いの?」

 

「どうぞどうぞ。ツキミあったかいし、良い匂いするし」

 

「ひゃわぁっ!?」

 

 

良い抱き枕が手に入った。丁度肌寒かったし、有効活用させてもらおう。ああ、そう言えば・・・。

 

 

「誰かと寝るの・・・何年ぶりだろ」

 

 

久しぶりの人の温もりを感じながら僕は意識を落とした・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~朝~

 

 

「・・・ああ、ツキミと寝たんだっけ」

 

 

翌日、目を開けると僕はツキミを抱きしめていた。ツキミも僕を抱きしめている。目も覚めたので、ツキミに声を掛ける。

 

 

「ツキミ、起きて」

 

「ん~・・・あとちょっと~」

 

「あの、せめて離れてもらえませんかね?」

 

「だめ~・・・セツナ君良い匂いだから~」

 

「いや、あの・・・当たってるんですよね」

 

 

昨日は寝惚けてたから気付かなかったけど、この子中々のお団子をお持ちで・・・。僕、こんなでも思春期な訳で・・・。頼む・・・早く起きてくれ・・・!

この後、二時間程理性と戦い続けてなんとか勝利を収めた。

荷物を纏めて宿から出る。女将さんから聞いたがあの領主、色々悪い事やってたのがバレてあの後捕まったらしい。ざまぁ。

それを聞いた僕とツキミは安心して宿屋を出る。それでも互いに良い思い出は無かった為に今日、島を立つ事にした。

港で船を待つ。僕はツキミとは逆の目的地へ向かう。ツキミの向かう場所は此処へ来る前に寄った所だったからだ。僕の船が先に来たので、そちらへ向かう。

 

 

「セツナ君は何処に行くの~?」

 

「島の名前は覚えてないけど、無敗のチェスプレイヤーの女の子がいるらしいからちょっと挑戦してみようかと」

 

「む~・・・」

 

「どうしたの?」

 

「女の子に会いに行くんだ・・・えっち~」

 

「なんでさ!?チェスがメインだから!」

 

 

頬を膨らませるツキミに疑問の声をぶつける。僕そんなにコミュ力ある訳じゃないし・・・正直勝負して終わりだよ?ここ数年間まともに人と会話してないんだから。

死体漁りしてた僕を舐めるな。

そんな事を考えている間に、船が出る時間になる。僕は船に乗った。

 

 

「それじゃ、ツキミ!またね!」

 

「うん!また会おうね~!」

 

 

こうして僕とウサ耳少女との出会いは終わりを告げた。この数週間後、とある祭り会場でお祭り大好き少年と共に再開するとは、知る由も無かった・・・。

 

 

 

 

 

~回想終了~

 

 

 

 

 

「・・・ビームコワイビームコワイビームコワイ」

 

「セツナ君!?しっかりして~!」

 

「・・・ハッ!?だ、ダイジョウブデアリマスツキミサマー!」

 

「全然大丈夫じゃないよ~!?大丈夫?お団子触る?」

 

「あ、結構です」

 

 

過去を思い出したらあのビームの恐怖が・・・。掠った時凄く痛かったからな・・・。ツキミと話していると、眠くなって来た。隣を見ると、ツキミも欠伸をしている。

 

 

「そろそろ寝よっか?」

 

「うん~。おやすみ~」

 

「ん。おやすみ」

 

 

僕はツキミと別れ、部屋へと戻る。なんだかんだで冒険者時代で一番仲のいい友人はツキミな気がするな僕。

ああ言う良い子こそ大事にして行きたいな・・・。そんな事を考えながら僕は月明かりに照らされた廊下を歩く。

 

 

「・・・明日も頑張るかな」

 

 

こうして僕は部屋に帰った・・・。

 

 

セツナサイド終了

 

 

ツキミサイド

 

 

部屋に戻った私はベッドに横になって昔の事を思い出す。

セツナ君はあの頃から優しく、強い子だった。そして常に皆の中心に居る。私だってそう思っている一人だ。でも、本当はセツナ君を独り占めしたい。私だけに笑顔を向けてほしい。

そう思っているのは私だけじゃない。エシリアちゃんにハルカちゃん。シズクさんやシャルちゃんにマリちゃんもだ。

ライバルは多い。でも私は負けたくない。あの時の様にセツナ君に守られるだけじゃなくて、彼を隣で支えてあげられる様になりたい。次はセツナ君にどうアプローチを掛けようかと考えながら眠りの世界へ落ちて行く・・・。

 

 

「セツナ君・・・大好きだよ~♡」

 

 

ツキミサイド終了

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