if~刹那君は新入生~   作:猫舌

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第3話

セツナサイド

 

 

やっと午前の授業が終わり、昼休みになる。そこへツキミが近づいて来た。

 

 

「セツナ君♪お昼行こ~?」

 

「ん。此処の学食気になってたんだ」

 

「それじゃあ、れっつご~」

 

「ツキミ、歩きにくいよ」

 

 

立ち上がると、ツキミが腕を組んで来る。ツキミといい、フローリアといい、何故僕の腕に抱きつくのだろうか。ツキミはその・・・当たるんだよ。恋愛経験の全くない僕は内心ドキドキが止まらないんですけど。

結局そのまま学食へ着いた。お洒落なテラス席になっており、様々な生徒達が食事を摂っている。僕達も受付でメニューを見る。

 

 

「すみませ~ん。おうどん一つくださ~い」

 

「はいよ!隣のお嬢ちゃんは?」

 

「僕は男です。えっと、大盛りラーメンと、大盛りカレー。あとキングサイズパフェを三つください」

 

「アンタ男子だったのかい!?・・・てか食いきれるの?」

 

「余裕です」

 

「・・・分かったよ。ちょっと待ってな」

 

 

そう言っておばさんが奥へと消えて行った。暫く待っていると、大盛りの料理とデザートが大量に運ばれて来る。

 

 

「あいよ!お残しは許さないからね」

 

「はい。美味しく頂かせてもらいます」

 

 

僕は受け取って、先に席を取る。暫く待つと、ツキミが来た。そのお盆には一杯のうどんがほかほかと湯気を立てている。

僕達は食事を始めた。

 

 

「おいし~い♪」

 

「うん。それでこの安さだもんね・・・美味」

 

「セツナ君、相変わらず食べるね~。・・・もうラーメン食べたの?」

 

「中々良い出汁だったよ。次はうどんの大盛りにしようかな」

 

「感想言いながらカレーも半分片づけてる・・・」

 

「さて、お楽しみと行きますか♪」

 

 

僕は一番楽しみにしていたパフェを一口食べる。クリームとフルーツが丁度良い甘さを引き出し、お互いの良い所を殺し合う事なく寧ろ味の可能性を更に引き出している。

 

 

「・・・ごちそうさまでした」

 

「いっぱい食べたね~」

 

「さて、購買で何か買って食べよう」

 

「ま、まだ食べるの?」

 

「これでも腹八分なんだ。僕の体は燃費が悪いんだよ」

 

 

そう、僕の体は常人以上の体力、回復力等が自慢なのだが如何せん燃費が悪い。簡単に言えば、頑張った量に比例して食事量が増える。フローリアと居た時はあまり動かなかったから食費はなんとか抑えた。フローリアが作ったシチュー食べたいなぁ・・・。

未だに鳴るお腹を押さえて購買へと向かう。だが、無慈悲にも購買には一つの札が下げられていた。

 

 

[本日パン売り切れ]

 

 

「・・・投影開始」

 

「セツナ君!?」

 

「離せツキミ!もう良い!この学校に捻れ狂った骨子をぶち込んでやる!」

 

「お、落ち着いて~」

 

「うぅ・・・お腹減って投影が維持できない・・・」

 

 

手から弓と螺旋剣が霧散した。その場に座り込み、絶望に浸る。ああ、フローリアとシチューが見えて来た・・・。手を伸ばせば届く・・・。

 

 

「貴方大丈夫?」

 

「・・・へ?」

 

「すごくお腹空いてるみたいだから。良かったらコレあげるわ」

 

「こ、これは・・・メロンパン!良いんですかこんな《宝具》級の物!?」

 

「ほうぐ?っていうのは分からないけど、そんな捨てられた猫みたいな顔されても困るわよ」

 

「あ、ありがたい・・・ありがたい・・・!」

 

 

僕は涙を流しながらメロンパンを恵んでくださった女神様の手を握る。

 

 

「女神様やー!」

 

「お、大げさね。貴方、昨日校庭でウッホを倒した子でしょ?」

 

「あ、うん。えっと君は・・・」

 

「私は《カスミ・アサミヤ》よ。隣のクラスで図書委員をしているわ」

 

「ありがとうカスミ!僕はセツナ・キサラギだよ。よろしく」

 

「ええ。こちらこそ」

 

 

改めて握手をする。ん?カスミ・・・何処かで聞いた様な?・・・気の所為かな。そんな事を考えながら、早速メロンパンを口に含む。美味しい・・・。

 

 

「はむ・・・はむ・・・」

 

「セツナ君リスみた~い♪」

 

「この子が・・・あの・・・」

 

「んむ?かふみ・・・ほひたの?」

 

「ちゃんと飲みこんでから喋りなさい。ほら、口に付いてる」

 

 

そう言ってカスミはハンカチで僕の口元を拭う。・・・なんか申し訳ない。ところでツキミさん?何故君もハンカチを構えてるのかな?子供扱いしないでほしい。

メロンパンを食べ終わると、幾分かマシになった。

 

 

「ふう。ありがとカスミ。助かった」

 

「別に良いわ。こっちも色々と分かったから」

 

「分かったって何が?」

 

「こっちの話よ。私は図書室に行くからこれで」

 

「あ、うん。今度何かお返しするよ」

 

「ふふ。楽しみにしてるわ」

 

 

そう言ってカスミは歩いて行った。僕も回復した体力で立ち上がり、教室に戻る。だからツキミ、腕に抱きつかないでマジで・・・。

校舎へ入ろうとしたその時・・・。

 

 

「キュキュキューッ!」

 

「あ、星たぬきさんだ~」

 

「本当だ。やっぱ可愛いn「キュー!」危なっ!?」

 

 

いきなり攻撃して来たぞコイツ等!?やっぱり戦闘するしかないのか・・・でも今此処で戦ったら僕の空腹が加速する。カスミにメロンパンを貰っていてそれは申し訳ない。

僕はツキミを見て言う。

 

 

「ツキミ!君だけが頼りだ。僕の代わりに戦って・・・くr」

 

「えへへ・・・」

 

 

ツキミを見ると、バツの悪そうな顔で僕を見ていた。なんとなく予想が付いた僕は聞く。

 

 

「ツキミ・・・武器は?」

 

「忘れちゃった♪」

 

「ファッ!?」

 

「「「「「キュキュキュー!」」」」」

 

「増えてるし!仕方ない・・・ツキミ、掴まって!」

 

「ふえ?」

 

 

僕はツキミの膝と肩辺りを掴んで抱えながら教室へとジャンプする。やろうと思えばこれ位出来る。星たぬき達は校舎の中までは追って来なかった様で、なんとか事なきを得た。

 

 

「セーフ・・・」

 

「あ、あう・・・きらきらおほしさま~」

 

「うわああああ!?ツキミ!?」

 

 

何故かツキミが顔を真っ赤にして気絶していた。僕は急いで保健室へとダッシュする。途中で何人かの通行人に見られたが、知るか。こっちは一大事なんだ。もしかして風邪だったのかな・・・?僕が購買まで連れ回しちゃったからこんな・・・。

保健室へ行き、先生に事情を話すとツキミをベッドへ寝かせてくれた。僕はツキミの額に絞った濡れタオルを置きながらツキミを看病する。こうなったのは僕の責任だ。

 

 

「・・・あれ?セツナ君。私・・・」

 

「気絶しちゃったんだよ。ごめんね、僕が無理させたから」

 

「ち、違うよ~。セツナ君が、その・・・お姫様だっこするから」

 

「お、おひめ?なにそれ?」

 

「やっぱり無意識なんだね~・・・」

 

「?」

 

 

ツキミの言葉に僕は首を傾げる事しかできなかった。結局、ツキミは問題なくベッドから出る事になったのだが、あの時何故保健室の先生は僕の話を聞いて苦笑いしていたのだろう・・・。

教室へ戻ると、丁度チャイムが鳴り、ソウマ先輩が入って来る。僕達も席に着いて授業を再開した。

 

 

セツナサイド終了

 

 

三人称サイド

 

 

放課後、自室にて少女《カスミ・アサミヤ》は今日出会った一人の少年の事を思い出していた。親友から届く手紙に載っていた同居人で間違いない彼の容姿は誰が何処から見ても女にしか見えない。

そんな彼の事をよく親友である《フローリア》が手紙で報告して来る上に彼へのアプローチの指南を求めて来る。恋愛経験が一度も無いカスミはその相談に困り果てていた。結局趣味である読書が巧を制し、恋愛小説の内容等を提案した所、頑張っている様であった。

最近送られて来た手紙を見る。その内容は明らかに惚気そのものだった。

実は目は見える様になっていて、こっそりセツナの寝顔を見る事に嵌った所為で隠している事。一緒に風呂に入ってセツナの体の感触を楽しんでいる事。

ブラックコーヒーを飲まないと読めない内容だった。親友にも限度があるのではないだろうか・・・?

 

 

「あんな子供じみた子の何処に惚れたのかしら・・・」

 

 

カスミは疑問に思いながらセツナの事を思い出してみる。あれは異性として意識と言うより、世話の掛かる弟と言った所だった。

 

 

「フローリアが恋・・・取り残された感が凄まじいわね」

 

 

今まで、そういった経験の無いカスミにとってフローリアのセツナに対する恋心は少し理解しがたいものであり、反応に困る。

結局、その日は夜更けまで手紙の返事に困る事になるのだった・・・。

 

 

三人称サイド終了

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