今回は前々から書きたかった話を書こうと思っています。
元ネタは同じコロプラのゲームからです。
分かる人は既にタイトルで分かると思います。
では、どうぞ!
セツナサイド
修学旅行から数日。とある休日に僕は学園内の倉庫に来ていた。此処は、学長が持っていた色んな物を保管しているらしいのだが、整理をしておらずに酷い事になっているそうだ。
そこで、僕達に面倒事を押しつけようと頼みに来たのだが、皆予定が既にあって僕だけが暇人だった。久々にゴロゴロしようとしたのが仇になったか・・・。そんな訳で、僕一人で倉庫の整理に来たのだが・・・。
「此処がカムイの倉庫ね・・・きたなっ!?」
前言撤回。一人じゃなかった。正確には一人と一匹。僕の足元には倉庫の中を見てドン引きしているキャトラの姿があった。なんでもシロ先輩とアイリス先輩が街へ出掛けるので、空気を読んであげたそうな。
あー・・・やっぱり二人ってそういう関係?良いね、これがリア充って奴か。羨ましいったらないよ。
そんな事を考えながら僕は目に入った物を片っ端から片づけて行く。作業をしていると、キャトラが僕の事をジッと見つめて来た。
「どうしたの?」
「いや・・・個性的な着こなしだなって」
そう言うキャトラの視線は僕と言うよりも僕の私服に向いていた。あまりファッションに興味が無い僕は、適当に選んで適当に着るのが多い。元々私服のバリエーションが少ない為、大体今日の様な恰好になる。
今の私服は、《アオイの島》と言う所であるお姫様から貰った和服に、他の知り合いから貰った皮ジャンを着ている。足はブーツを履いており、和洋折衷完全無視な服装だ。
「まあ、私服なんてこれ位であとはフローリアの服を無理やり着せられててたし・・・」
「ああ、一緒に住んでたんだっけ?」
「あれは住んでいたって言うより・・・」
倉庫の窓から空を見上げて、フローリアとの生活を思い出す。
『なんですかその私服の数は!?仕方ありません・・・コレ着てください』
『はい、今月のお小遣いです。え?セツナは稼がなくても良いんですよ?』
『もう、だから働かなくても良いんですよ。ずっと私が養いますから』
『ヒモが嫌なら主夫になれば良いんですよ。ほら、家事してるからヒモではしょう?』
本当にあれは住んでいたって言うよりも・・・。
「飼われてたのかな・・・」
「アンタの生活に何があったのよ!?」
「はっ!?危ない危ない・・・今の僕はニートじゃないニートじゃない」
自己暗示で何とか精神を安定させた僕は、早く片づけを終わらせる。一度全て宝物庫に仕舞ってから倉庫を清掃し、一個ずつ物を戻す。作業は一時間も掛からずに終わった。
綺麗になった倉庫の階段に腰掛けて休憩する。
すると、キャトラが口に何かを加えて持って来た。
「セツナ~。なんか一個落ちてたわよ」
「あ、本当だ。ありがとうキャトラ」
「これ位なんて事ないわよ」
キャトラから落とした物を預かる。それは小さな手鏡だった。なんの変哲もないただの小道具だ。
「手鏡か」
「カムイに似合わないサイズね」
「うん。これじゃあ顔が写りきらないね」
僕達は笑いながら手鏡を見ていた。すると、手鏡に変化が起こった。僕とキャトラは目を疑う。
何故なら、"手鏡の向こうに街が見えた"からだ。
「え、何でこんな・・・うわっ!」
「き、急に光って・・・ギニャー!」
次の瞬間、突然の閃光に僕とキャトラは目を瞑った・・・。
「・・・あれ?」
暫くして目を開けるとそこは倉庫ではなく、何処かの街の路地裏だった。僕は横で未だに目を瞑っているキャトラに声を掛ける。
「キャトラ、目を開けて」
「ん?・・・此処どこよ?」
「・・・一つだけ推測がある」
「うん、なんとなく分かったけど一応お願い」
「この街・・・さっき手鏡で見えた街と同じ風景なんだ」
キャトラに僕はそう答えた。路地裏だから街の全貌は見えないが、石造りの道や家の材質は手鏡の中そっくりだった。
二人で困惑していると、路地裏の外から大きな音がたくさん聞こえて来た。僕はキャトラを懐へ入れてから歩き出す。ヒョコッと街道へ顔を出すと、その先にはたくさんの人達が盛り上がっていた。まるで何かのイベントがあるかの様だ。
「これからどうするの?」
「まずは情報収集かな。もしかしたらアラマキ島の近辺かもしれないし」
「そうね。なら行きましょ」
「うん。あ、キャトラはなるべく喋らないで」
「なんでよ?」
「普通猫は喋りません」
「あ、うん」
納得した顔でキャトラは懐へ潜る。僕は路地裏から街へ出て、歩き始めた。
それから数分、どうも僕の恰好は目立つらしく、仕方がないので服屋で変哲の無い服を買った。
通貨が一緒で良かった。前に寄った島じゃえっと・・・ぺリカ?とか言う単位で、なんか使い辛かった。
そんなこんなで色んな店を周って情報を集める。そして人気の無いベンチに座ってキャトラと情報の確認をする。
「ふむふむ・・・近くにアラマキ島は無いのね」
「それだけじゃない。帝国やしず姉達の故郷の《クジョウの島》も無い」
「それって変じゃない?その辺りって割と有名よね?」
「うん。正直な話、此処は僕達の居た世界じゃない可能性が高い」
僕の言葉にキャトラは頷く。この街にはルーンが一つも無いし、ソウルの気配も無い。
僕達の世界では絶対にありえない光景だ。ソウルの無い所は人が住めない環境の筈だし、ルーンは生活の必需品だからどんな所でも売っている。それらが無くても生活している人達が存在すると言う事は、間違いなく此処は異世界だろう。
あの手鏡は別世界との道を開く鍵だったって事かな。
「でもこれからどうするのよ?」
「手鏡はあるし、これがまた光るのを待つしか無いと思うよ」
「やっぱりそうなるのね・・・」
「うん。取り敢えずもう少し情報w『きゃー!魔物よー!』・・・今日はとことん厄日か!?」
僕はキャトラを肩に乗せると、全力で声の元へと駆け出した。
目的地へ辿り着くと、そこは異様な光景が広がっていた。
----行けー!
----倒せー!
----そこだー!
街の住民が道の端から応援の声を上げる。その中心では、二人の少女が魔物と戦っていた。
「・・・なにアレ?」
「さ、さあ?そういうイベント?」
「魔物退治がイベントとか肝座ってるね此処の人達」
頬を引き攣らせながら見ていると、住民のおじさんに肩を叩かれた。
「おい姉ちゃん。アンタも《魔道士》か?」
「魔道士も出来ますけど本職じゃないって言いますか・・・てか僕は姉ちゃんじゃないんですけど」
「嘘つくなよ。てか此処居ると危ないぞ。端に寄れ」
「あ、はい」
おじさんに言われて道の端で戦闘の行方を見つめる。あの子達なんていうか・・・兎に角魔力でブッ飛ばすって感じだな・・・。
そんな事を考えて見ていると、少女の内の一人である銀髪の少女が己の武器である杖に魔力を集中させる。そして魔物目掛けて・・・。
「そりゃー!」
「「ファッ!?」」
"杖を投げた"。
魔力の籠った杖は魔物へと直撃して爆発する。いやいやいや!?なにがどういうことだってばよ!?
なんだあのバカみたいな戦い方。危なっかしい戦いながらも二人は魔物に勝利した。そして銀髪の少女が杖を拾い上げようと屈んだ瞬間、爆発によって発生した煙から魔物が飛び出して来た。
「----《投影開始》」
僕は左手に黒の弓を投影し、右手に投影した矢を番える。銀髪の少女は魔物の気配に気付くが、突然の事に身動きが取れない。辺りが静寂に包まれる中、僕の声が響く。
「丁度良い。そこを動かないで」
僕の放った矢は魔物の脳天に突き刺さり、魔物は消滅した。僕は投影を解除すると、その場から立ち去った。流石に異世界で目立つ真似はしたくなかったんだけどな・・・。
そう思いながら僕は路地裏に入り込んで、人目を避けながらその場を離れて行った。
この時僕は気付かなかった。服のポケットに一枚の手紙が入り込んでいた事を。そしてそこに、
[ようこそ大魔道士様。あなたは大会の参加資格を得ました]
と記されていた事に・・・。
セツナサイド終了
三人称サイド
銀髪の少女《リルム・ロロット》は茶髪の友達の《ソフィ・ハーネット》と共にとある"祭り"が開かれるこの街へと訪れていた。
----祭り!?俺の出番か!?
違う。お前は帰れお祭り男子。
・・・話が逸れた。
この街へ訪れた少女達は街に現れた魔物を退治していた。リルムは自分の相棒である魔杖《エターナル・ロア》を華麗に使いこなし・・・
『ま、待て小娘。我は殴る物ではない!』
「えーい!」
『話を聞けー!?』
喋る杖であるエターナル・ロアから悲鳴が上がる。だがこの少女はそんな事はお構いなしとばかりに杖を振り回す。そして残った魔物の残党へ向けて杖に魔力を込めて、お得意の必殺技を放った。
「《グレートザッパー》!そりゃー!」
『だから我を投げるなーっ!!』
魔杖から放たれた爆発によって、魔物達が消し飛ぶ。リルムはやり切った表情をする。そんなリルムにソフィが声を掛ける。
「ソフィちゃん。ロアさん拾ってあげないと可愛そうだよ」
「そだねー。拾ってくるー」
なんとも気だるそうな返事でエターナル・ロアを拾おうと近付き、腰を下ろす。だが次の瞬間、
『小娘!』
「リルムちゃん!」
「え?」
周りの声に気が付いた時には、目の前から魔物が迫っていた。距離はすぐそこ。魔法は間に合わない。幼いながらもその頭には死のビジョンが浮かんでいた。恐怖と突然の出来事に体が動かない。
諦め、と言う言葉が頭を過ぎったその時、
「丁度良い。そこを動かないで」
静寂に包まれた世界に一つの声が響いた。そして魔物の狂爪が突き刺さろうとした瞬間、その頭蓋を一本の矢が射抜いた。魔物は断末魔を上げる事無く消滅し、何時の間にか矢も消えていた。
数秒し、ようやく自分の身に何が起きたかを理解したリルムは声をした方向を向く。人混みに紛れていたが、その手から弓を消失させて路地裏へと逃げる白髪の少女を見つける。
声を掛けようとしたが・・・
「リルムちゃん!良かった~!」
『小娘!怪我は無いか!?だから我を手放すなと・・・』
親友と相棒による説教によってそれは叶わなかった。それでも少女の中ではまたあの白髪の人物に会える予感がしていた・・・。
三人称サイド終了