if~刹那君は新入生~   作:猫舌

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番外編2 《アルティメットガールズと白髪少年》 第3話

セツナサイド

 

 

----夢を見ていた。

 

 

退魔士の里、鬼退治の一族の里を追い出されてから一度だけ僕は死にかけた事がある。その時、僕は数日間生と死の間を彷徨った。

そして僕は・・・

 

 

----境界に触れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「---ッ!?」

 

 

頭痛と吐き気で目を覚ます。辺りを見回すと、それほど時間は経っていない様で未だレナ達の戦闘音が聞こえて来る。

 

 

「セツナ・・・大丈夫?」

 

「あ、うん・・・大丈夫だよ、キャトラ」

 

「嘘ね」

 

 

何時の間にか僕の膝に居たキャトラを心配させない様に、誤魔化したがバレる。まあ、信じる人は居ないよね、状況的に・・・。

 

 

「本当の事言いなさい」

 

「・・・頭痛い、気持ち悪い」

 

「了解。ちょっとクロー!」

 

「・・・?」

 

 

キャトラの声にアリエッタ達と話していたクロがこっちへ来た。呼ばれた理由が分からなそうな顔をしていたが、僕を見た瞬間納得した顔をしていた。

そして僕の背中と膝裏に腕を回して抱えてくれた。これってツキミの言ってたお姫様抱っことか言う奴か。初めてされたな・・・。

 

 

「悪いんだけど、何処か静かな所にセツナを運んであげてくれないかしら?」

 

「・・・!」

 

 

クロは小さな声で任せてと呟くと、僕を抱えて歩き出した。クロの隣には、アリエッタ達も着いて来ていた。

 

 

「白猫のひと・・・大丈夫?」

 

「さっきの能力使うと何時もこうなるんだ・・・」

 

「後で説明はしてもらいたいわね・・・」

 

「あ、うん・・・うっ」

 

「セツナ!?」

 

 

頭痛が急に強くなり、意識が朦朧として来る。キャトラの叫び声を最後に、僕は再び意識を失った・・・。

 

 

セツナサイド終了

 

 

三人称サイド

 

 

セツナが再び眠りに落ちた後、キャトラ達は街の中でも端の方の宿の一室にセツナを寝かせていた。

時折苦悶の表情を浮かべるセツナを全員が心配する。

そんな中、ウィズが疑問の声を上げた。

 

 

「・・・この子のさっきのアレは何にゃ?」

 

「私だって知らないわよ。セツナは色んな能力持ってたけどあんなのは初めて見たわ」

 

「普通ありえないわ。魔法を使わずに魔法を消すなんて」

 

「アリエッタはどう思ったにゃ?」

 

 

そう聞くウィズにアリエッタは少し震えながら答えた。

 

 

「なんか、初めての感覚だった・・・」

 

「わ、分かりにくいわね」

 

「自分でも分からないもん。多分、あれが"死ぬ"って言う感覚なのかも」

 

 

先程までのハイテンションはなりを潜め、恐怖が前面に出た表情だった。そんなアリエッタを見て、キャトラが聞く。

 

 

「ねえ。アリエッタはあの時、セツナの"目"を見た?」

 

「うん・・・見た」

 

「目?それがどうしたの?」

 

「・・・?」

 

「にゃにゃ?」

 

 

セツナの目を見ていなかったウィズ、クロ、エリスは疑問の声を上げる。それに対し、キャトラは言った。

 

 

「三人はセツナの目の色って覚えてる?」

 

「ええ、綺麗な赤色だったわ」

 

「宝石みたいだったにゃ~」

 

「・・・!」b

 

「そう、赤よ。でも、あの時のセツナの目は"蒼"だったわ」

 

 

そう。セツナの目は何時もの深紅ではなく、蒼い目をしていたのだ。そしてそれを見たキャトラとアリエッタはその眼にはっきりと己の死を感じ取った。

 

 

「まあ、それもこれも洗いざらいセツナに吐いてもらいましょうか」

 

 

そう言ってキャトラは再びセツナを見る。痛みが和らいだのか、少しだけ穏やかな表情でセツナは寝息を立てる。

 

 

「あれ?よく考えたらこれって白猫のひとが最強なんじゃ・・・」

 

「でもこんなデメリットじゃ長期戦は無理よ」

 

「あ、セツナは自身にリミッター付けてるらしいから外せば最強よ」

 

「「あ、負けたわコレ・・・」」

 

「・・・(汗」

 

「キミ、今の内にでも辞世の句でも考えておくと良いにゃ」

 

 

各々がセツナの実力に震える中、街の一角では・・・。

 

 

~街~

 

 

「まさか魔物が邪魔に入るなんてね・・・」

 

「決着付かなかった~!」

 

「そうだね・・・疲れちゃった」

 

「あれ?そう言えばセツナ君は?」

 

「「・・・あれ!?」」

 

『今更気が付いたか小娘共・・・』

 

 

目的の少年が居ない事に気付く少女達に、魔杖は出もしない溜息を吐いた。

 

 

三人称サイド終了

 

 

セツナサイド

 

 

「・・・う」

 

 

頭痛こそ無くなったが、若干の倦怠感を感じながら起き上る。何処かの宿の様で、外はもうすぐ夜になりそうだった。

窓から視線を外すと、僕の上にキャトラが乗っかって熟睡している事に気が付く。僕は起こさない様、静かにキャトラの頭を撫でる。

それが数分位続いた頃、キャトラが起きた。大きく欠伸をして伸びをする。そして僕を見た。

 

 

「もう起きて平気なの?」

 

「うん。若干気だるいけど、頭痛とかはもう無いよ」

 

「そっか。良かったわ・・・あ、此処にはクロが運んで来てくれたのよ。今、隣の部屋で休んでるわ」

 

「そっか。お礼言わなきゃね・・・よっと」

 

「ちょ、なに立ち上がってるの!?」

 

「ん?お礼言いに行かなきゃ」

 

「そんなの後で幾らでも出来るでしょ!今はまだ休む!分かった!?」

 

「わ、分かりました・・・」

 

 

キャトラに促され、再びベッドに戻る。それから暫くして、クロとウィズが部屋に入って来た。

 

 

「もう大丈夫かにゃ?」

 

「あ、うん。クロも運んでくれてありがとう」

 

「・・・!」b

 

 

クロは[良い香りだった]と言いながらサムズアップする。僕は苦笑した。

その後、クロ達の隣に部屋を取っていたアリエッタ達も僕の部屋へ来た。倦怠感も無くなり、健康体へ近付いた辺りでキャトラが口を開いた。

 

 

「それじゃあ聞かせてもらいましょうか」

 

「あー・・・やっぱり?」

 

「ええ。その目とやらの事、根掘り葉掘り聞かせてもらうわ」

 

「わたしも知りたい。どうやってわたしの魔法を消したのか」

 

「この子の師匠としては、私も気になるにゃー」

 

「・・・」

 

「わ、分かったよ・・・説明する」

 

 

僕は皆に向き直り、説明を始めた。

 

 

「この目は所謂《魔眼》の一種なんだよ」

 

「魔眼・・・」

 

「昔、僕は一度だけ死にかけたんだ」

 

「あ、あのセツナが!?」

 

「いや、自殺しようとして失敗しただけなんだけどね」

 

「既に自殺って不穏なワードが飛び出しているのだけれど?」

 

「そこは気にしない方向で。話が長くなるから」

 

 

エリスの言葉に待ったを掛けて話を続ける。

 

 

「それで死にかけた僕は生と死の境界を数日間彷徨ったんだ」

 

「どんな感覚なの?」

 

「そうだね・・・意識は殆ど無くて、ふわふわ浮いてる感覚がずっと続いてる感じかな」

 

「なんか怖いね・・・」

 

「うん。僕も目が覚めてからゾッとしたよ」

 

 

あれは嫌な感覚だった。あのまま留まっていたら確実に僕は逝っていたと思う。うん、確実に。

嫌なイメージを振り払い、話を続ける事にした。

 

 

「それで、目を覚ましたら不思議な事になっていたんだ」

 

「・・・?」

 

「視界が全て"点と線"で彩られていたんだ」

 

「点と線・・・かにゃ?」

 

「そう。そして僕は生えていた木の線を軽く指でなぞったんだ。そしたら・・・木が斬れて倒れた」

 

「・・・にゃ?」

 

「僕も最初はそんな反応だった。でも、斬れるんだよ。面白い位にね」

 

 

凄いもんな。ちょっとなぞるだけで綺麗な断面が出来上がるんだから。

 

 

「それで今度は襲って来た魔物に試したら見事細切れになりました」

 

「うわぁ」

 

「私ちょっとお手洗い・・・」

 

 

僕の言葉に想像してしまったのか、アリエッタが顔を青くしてエリスは口元を押さえて部屋を出て行った。

僕は退魔士の里等で狩りをしたり、獲物を解体したりしていたので特段グロくは感じなかった。やがてエリスがげっそりとした顔で戻って来たので続きを開始する。

 

 

「結果分かった事は、この目は"死を見る"目なんだよ」

 

「死を見る目・・・《直死の魔眼》かにゃ?」

 

「良いねそれ。名前なんて付けてなかったから」

 

「付ける余裕もなさそうにゃ・・・」

 

「そうだね。性能もピーキーだし」

 

「そうなのかにゃ?あの頭痛とかを抜かせば便利だと思うけど・・・」

 

「アレは本来、生きている物メインで見る魔眼だから」

 

 

万物は死で満ちている。

でもアリエッタの使った魔法は生きている訳ではない。そう言った物の死を見るには、かなりの集中力が必要となる。

 

 

「それに、最初は酷かったんだよ。なにせオンオフが効かないから」

 

「あ、それは・・・お気の毒ね」

 

「考えてみなよ。常に万物の死が見える上に吐き気と頭痛のオンパレードだよ?僕は努力して2ヶ月でオンオフが効く様にして今日まで封印して来たんだ」

 

「えっと・・・ごめんなさい」

 

「アリエッタが悪い訳じゃないさ。どの道何時か使う事になると思うし」

 

 

僕は俯くアリエッタの頭を撫でる。気持ち良さそうに目を細める辺り、本当にエシリアと似てるなこの子。

暫くして僕はアリエッタの頭から手を退ける。

 

 

「あ・・・」

 

「・・・?」

 

 

アリエッタが声を上げて僕を見る。どうしたんだろう?

 

 

「・・・まさかあの子」

 

「これは面白くなって来たにゃ~」

 

「・・・(汗」

 

「この子異世界でも平常運転ね・・・」

 

 

皆が何か言っているが、僕には聞こえなかった。そういえば何か忘れてた様な・・・。

 

 

「・・・ま、良いか!」

 

 

僕はそのまま皆と他愛も無い会話をした。

 

 

セツナサイド終了

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