エイジ「ん?この匂い・・・セツナのか?」
キャトラ「あら?セツナに会った事あるの?」
エイジ「ああ。前に一度だけクエストでな。アイツの作る肉料理旨かったな~♪」
パルメ「あの手作りケーキも美味しかったわ・・・」
キャトラ「え、餌付けされとる・・・」
セツナサイド
「・・・ふあ」
「あ、起きた?」
「おはよ・・・」
ふと目が覚めた僕はレナに声を掛けてから目を擦りつつ立ち上がる。外は日が暮れ始めていて、若干気だるい体で伸びをする。そして次の瞬間、
----チュドーンッ!
「にゃっ!?」
「な、なに今の音!?ていうかセツナ君悲鳴可愛い!」
「やかましい!・・・あ~、分かった」
「・・・察したわ」
考えてもみれば今の爆発音からは魔力も感じたし、この三つの魔力の反応・・・間違いなくアリエッタ、リルム、ソフィの三人だ。僕は溜息を吐きながらレナと歩き出す・・・。
暫く歩き、音の中心地に行くと三人が何やら叫びながらバトっていた。
「白猫のひとはわたしが貰うの!」
「違うよ!私が先だもん!」
「え、えっと・・・勝手に決めるのは駄目だよー!?」
・・・あれ?僕勝手に物扱いされてない?
「あ、セツナが来たにゃ」
「あら、レナじゃない」
「やっほ~。・・・今猫が二匹喋った?」
「あ、言い忘れてたわ」
そう言えばレナってキャトラが喋れるって知らなかったっけ?レナ達が話してる中、僕はクロの隣へと行く。彼の服はボロボロで、その目は悲しみを背負っていた。
「クロ、どうしたの?」
「・・・(涙」
「あ・・・それは、ご愁傷様」
アリエッタ達の戦いに真っ先に巻き込まれ、魔法を大量に喰らい尚且つ、何度も壁や地面に叩きつけられたそうだ。僕は何も言わずにエリクサーを飲ませた。強く生きるんだクロ・・・。
傷を治したクロと少女達の激闘を見ているとエリスが隣に来た。
「あのレナ・イラプションと何してたの?」
「ん?戦ってた」
「・・・結果は?」
「僕の勝ち」
「うん、分かってたわ・・・」
この後も他愛のない事を話していると、戦いを辞めたのかアリエッタ達がこっちへと走って来た。
「白猫のひと!」
「セツナ君!」
「二人共どうしtげふっ!?」
「「ん~♪」」
コイツ等・・・二人で人の鳩尾にタックル仕掛けてきた・・・。なんかスリスリされて楽じゃないし・・・。苦しい僕をエリスが見下ろして言った。
「・・・ロリコン」
「違わい!僕は年上好きだかr痛たたたたた!?」
「「むー・・・!」」
アリエッタとリルムに脇腹を抓られる。君達本当は仲良いだろう!?そう思っていると、僕の袖を誰かがきゅっと掴んで来たので視線を向けると、何故かソフィが居た。そして僕に距離を詰めて来る。
「あ、あの・・・ソフィ?」
「は、はい!」
「えっと・・・近い」
「ひゃわぁ!?で、でもリルムちゃん達もあんなに積極的だし・・・ソフィも頑張ります!」
「何を!?」
「あ、警備員さんですか?」
「お願いだから冷静な顔で通報しないで!?それなら君も捕導対象だよ!?」
「私が捕導対象ですって・・・?」
僕の言葉にエリスが反応する。・・・なんで僕の周りってこういう子が多いんだろうか?
「どうして私が捕導対象なのか、説明してもらおうじゃない」
「服装」
「これの何処が可笑しいのよ?」
「主に全部。露出多すぎだよ馬鹿なの露出狂の変態なの?」
「だ、誰が露出狂よ!これは家に代々伝わる立派な装束で・・・」
「じゃあ家系が変態じゃないか」
「違うわよ!?」
「じゃあ周りの声を聞いてみろ」
僕の言葉にエリスが止まって、ギャラリーの声を聞く。アリエッタ達の戦闘があってか人の集まりが凄い。そして戦闘について話す人達の中には、エリス達をそういう目線で見るアホな輩もいらっしゃった。
その言葉を聞いたエリスが真っ赤になる。そしてダッシュで近くの服屋に入って、安そうな上着を勝って来て羽織った。
「分かったかい?」
「ええ・・・その、貴方もそう言う目で見てたの?」
「んな訳ないでしょ」
「・・・そこまでストレートに言わなくても良いじゃない」
「なんか言った?」
「何でもないわよ・・・馬鹿」
エリスは不機嫌そうな顔でレナ達の所へ行った。僕もアリエッタ達に離れてもらって、全員でレナ達の所へと向かう。
「あ、レナだー!」
「久しぶりねアリエッタ」
「知り合い?」
「まあ、ちょっとね」
久しぶりの再会だったらしく、二人は幾つか言葉を交わし合ってから他の面々との会話も始めた。僕の周りの子達コミュ力高いな~。
話を聞いていると、面白い情報が耳に入る。なんでもこの近くに嘗て凶悪な魔導師が封印されたそうな。そしてエリスは封印の魔法を使う一族なんだとか。
その話になるとリルムが地面に投げ出されていたエターナル・ロアを拾って言った。
「ふぅん・・・私には関係ないかな!」
『馬鹿を言うな、小娘。我が関係あるではないか。何時狙われる事になるか、面倒極まりない』
「杖が喋ってるにゃ・・・意味が分からないにゃ」
『ふん、黒猫の。貴様も猫の身分で喋っているだろう』
ウィズに対し、棘のある返しをするエターナル・ロア・・・長いからロアさんで良いか。そんなロアさんの説明をソフィが始めた。
「ロアちゃん。ええっと、エターナル・ロアっていうリルムちゃんの杖なの」
「そうなのかにゃ?」
『そうだな。・・・不本意ながら』
悔しそうな声を出すロアさん。そして僕は疑問に思った事を言う。
「エリスの家系ってそんなに有名なの?」
「うん!でもエリス、貧乏だもんね」
「余計な事は言わなくて良いの!」
「大変なんだね、あなたも」
「た、大変じゃないわよ!」
エリスが声を荒げ、ブンブンと杖を振り回す。危ないな・・・あ、クロに当たった。そしてアリエッタがエリスの家系の説明を続ける。
「おじいちゃんの代の時に、魔杖の封印に失敗したんだって!」
『えっ』
「人の体を乗っ取るひどーい杖で、エリスのおじいちゃん乗り移られて・・・それで家は全壊。当時住んでいた国を追い出されて、今は細々と暮らしていましたとさ。わはは!」
「なに人の不幸を笑ってるのよ!」
「大変だったね」
「待ちなさいよ。慰めないでよ。心が痛くなるでしょ」
「エリス・・・大変だったね!分かるよその気持ち!」
僕は涙しながらエリスの手を取った。エリスは困惑しながら僕を見る。
「な、なんで貴方に至っては泣いてるのよ!?」
「僕もかれこれ故郷を追い出されてさ・・・バケモノと言われて十数年生きて来た訳ですよ・・・僕は一人じゃなかったんだなって」
「あ、貴方にも家族が居たでしょう?」
「いないよ?」
「・・・なんですって?」
「だから、僕は生れた時に両親と死別してるから顔も知らないんだよ」
僕の言葉にその場の空気が凍りつく。さっきまで元気だったアリエッタすら静かになった。解せぬ。
「まあ、顔も知らないから思い入れも何もないし。それにすぐに故郷を追い出されたから」
「ええ!?な、何もしてないのに!?」
「えっと・・・僕の能力に恐怖しちゃったみたいで敵扱いされてさ。それから船とかに紛れこんで他の島に行って・・・お世話になった所からまた追い出されて・・・それから知らない島で戦場に巻き込まれて死肉漁りの毎日だったね」
『あれ?もしかして一番不幸なのコイツじゃね?』
「うん。なんかエリスさんのお話霞んでるよね」
「私の苦労が石ころの様に思えて来るわ・・・」
僕の話にエリスさん達が更にテンションダウンする。そんなに落ち込む話かなコレ。不幸なのは僕だけじゃないし・・・どっちかと言うと失恋した時の方がショックだよ。生まれて初めて恋をしたのに・・・エル姉。
「ま、まあ僕の話は置いといて。エリスも大変だったね」
「そんな目で見ないで。辛いから」
「安心して、エリス。その杖見つけたら、わたしが叩き割ってあげるから!・・・縦に」
『縦に!?』
「さっきからどうしたの?」
『う、うむ。我、ちょっと用事を思い出した。次の街に行きたい』
アリエッタの言葉にロアさんが震え声になる。同じ魔杖だから何か感じる物でもあったのだろうか。そしてロアさんの持ち主であるリルムはわなわなと怒っていた。
「そんな杖があるなんて・・・許せない!ソフィちゃん、私達もそれを見つけたら、エリスさんに教えてあげよう!」
「うん!そうだね」
「魔杖かー・・・魔杖ねー・・・」
『いや、我、知らない。我、喋るだけの男だから』
レナの視線を受け流し、ロアさんは言う。でもぶっちゃけ・・・
「怪しいわよね~」
「あ、キャトラもそう思う?」
『いやいや、我知らないから。そんな魔杖しらないから』
怪しさ満載なんですがそれは・・・。そう思っていると、エリスが声を掛ける。
「私の事は良いわ。貴方達、まだ戦うんでしょう?」
エリスが僕達に問う。考えてみれば、僕とエリスを含め、魔導師が7人。・・・バトルロイヤル形式のこの大会で、戦わない理由はない。
「よし、やっちゃおうかな!」
先陣を切り、声を上げたのはレナだった。あの子もう魔力回復したのか。早いよ・・・。僕が言えた事じゃないけどさ。
「優勝とかどうでも良いけど、年に一度、自分の力を試せる大事な場所だし。・・・それに、良いとこ見せたいしね」
「凄い魔力にゃ」
レナの放つ魔力に当てられ、ウィズとクロは一歩後ずさり、キャトラは僕の服に爪を立ててしがみ付いた。
「リルムちゃんは?どうする?」
「もっちろん、やる!《魔導百人組手》終わらせないと、また仕送り止められるし・・・」
リルム・・・強く生きろ。百人組手か・・・辛そうだな。そう思っていると、エリスが口を開く。
「決まりね」
「決まっちゃったにゃ。キミ、どうするにゃ?」
「やらないのなら、棄権するのがいいわ。無理して怪我でもしたら大変でしょう?」
クロは少しだけ考えてから首を振った。どうやら彼も魔法の撃ち合いに興味が湧いて来たらしい。
「セツナはどうするのよ?」
「僕も戦うよ。もうこの際創った魔法全部お披露目しちゃおうかな」
「それじゃあ私はセツナに着いてくわ」
「うん」
そう言ってキャトラは僕の肩で体制を整える。そしてアリエッタは僕達に言った。
「うん!そういう事ならほら、白猫の人達は、わたしと一緒に来て!」
僕達はアリエッタに手を引かれ、数多くの魔導師達が戦い合う街中へ突撃する事になった・・・。
----メキャッ!
「今何か吹き飛ばした気がするにゃ!」
「気がしたんじゃなくて吹き飛ばしたのよ!」
アリエッタにまるで連れ去られる様な形になった僕とクロは、確かに魔導師の様な人に激突した気がした。て言うかめり込んだ音だよねアレ。
アリエッタは"へーきへーき!"と言っていたけれど・・・あの威力は平気と言うよりも兵器だよ・・・。
「くっ、すばしっこいなぁ、もう・・・!また撃ち落とされた!?」
先程、僕達の手を掴んだアリエッタは、立てかけられていた棒に跨り、空を飛んだ。ソフィ程の上手さはなく、それどころか勢いに任せた動きの所為か、乗り心地は悪い。そんな中、僕は銃でレナの魔力弾を撃ち落として行く。くそっ、照準がズれる!
「よーし、飛ばすよっ!」
「キミ達!レナが構えてるにゃ!」
屋根伝いに追って来るレナが、詠唱を紡いでいる。
「わたし、飛ぶのに慣れてないから攻撃できない!」
「めちゃくちゃにゃ!じゃあ、どうしてこんなのに乗ったのかにゃ!」
「白猫のひと達、お願い!」
突然の無茶振りだったが、なんとなく予想は出来ていた。
「クロ、準備は?」
「・・・!」
「オッケー。じゃあ、僕が最初に撃つからラストよろしく」
左手の指輪に魔力を込めて、ウォーターの魔導服を纏う。そして左手の指輪に銃の側面を持って行く。その最中、何かが頬を掠めた。
「ぎゃー!めっちゃなんか!めっちゃなんか飛んで来た!」
それは刃物の様に鋭い"風"だった。
「アリエッタ!あなたには、此処で脱落してもらうからね!フルスロットルよ!」
レナは一切の手加減をする事なく、魔法をぶつけてくる。僕は飛んで来る風の刃を全て銃で撃つが、水では相性が悪い。僕は左手の指輪に更に魔力を込めた。
「----《ハリケーン》!」
次の瞬間、僕の服は青から緑の魔導服に変わる。そして銃口からは風を圧縮した銃弾が発射され、レナの風の刃を撃ち落とす。
「また変わったの!?ていうかなんで風を撃ち落とせるのよ!?」
「そんなの音を聞いて、撃ったに決まってるじゃないか!」
「普通出来ないわよ!」
「ああ、そうかい!」
僕はレナと話しながらも再び銃の側面に左手の指輪を翳して魔力を流す。
「今だ!《シューティングストライク》!」
「・・・!」
「うわあっ!」
僕の銃弾はレナの足元に着弾。よろけたレナにクロの持つカードから発射された魔力弾が直撃する。
「流石白猫のひとと黒猫のひと!」
流石も何も、もうちょっと器用に動いて欲しいのですが・・・。そうすればこんなにも苦労はしなかったのに・・・。
「・・・どうしてアリエッタから狙うにゃ!リルムとソフィも隙だらけだったにゃ!」
「戦う上で一番面倒なのから倒すのは、定石でしょ!それにセツナ君が居る限り勝ち目なんて無いじゃない!」
「否定できないにゃ!」
「そこには同意するわ!」
「猫コンビは黙ってどうぞ!?」
バランスを整えたレナが再び僕達に焦点を合わせる。そしてさっきよりも凄まじい魔力を迸らせる。
「本気出すから!----フルバーストッ!」
「白猫のひと達!迎撃!」
「簡単に言ってくれるね!シューティングストライク!」
「・・・!」
僕は文句を垂れながら、クロは、はい!と口にして迎撃態勢に入った。
「キミ、意外とその場の空気に流されやすいタイプにゃ・・・」
「セツナもなんだかんだ言ってやるのよね~」
ウィズ達猫組にボロクソに言われながらも僕達はレナの魔法に対峙する。
「来た!黒猫のひと達とアリエッタ!」
「げっ!?リルム!」
最悪な事に、リルムが僕達の前で構えていた。
「うおおおおお!《リルム式ロロット砲》!」
「挟み撃ちにゃ・・・!」
「どどど、どうするのよ!」
僕達がレナに意識を向けた瞬間、狙い澄ましたかの様に現れたリルムに動揺が隠せない。そんな中、遂にアリエッタがその力の片鱗を見せた。
「くぅぅ・・・!出てこい、本!」
苦渋の選択・・・とでも言いたげな声で、アリエッタが何処からか本を取り出した。それは特大で分厚い、壁と見紛う程の一冊の本だった・・・。
セツナサイド終了