千日紅   作:夏(。・ω・。)

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おもちゃ箱に残るのはやっぱりガラクタばかり

 

 

視界に広がる真っ白い光りに目を閉じ、次に目を覚ますと、そこには見慣れた天井があった。

何だ夢か、と思ったが、頬に流れる雫が、僅かに残る焼けたにおいが夢ではないと知らせていた。

そんな中、間延びした声が一つ。

 

 

「んあ~、よく寝たぁ~。・・・あれ?なんで俺地べたで寝ちゃってんの?あれ・・・ッあ!!!帽子!取れろ~!!!あれ?」

 

 

最初はあんなに引っ張っても取れなかった帽子は、今度はあっさりと取れた。そのことに銀時は驚き、気の抜けた声を発した。

ずっと呆然としていた5人はその声と共に気を取り直した。

 

 

「・・・銀さん。」

 

「んあ?どうしたんだよ新八?おめえ等も。」

 

「いえ、その・・・えと・・・。」

 

 

しどろもどろになる新八に銀時は何かに気づいたように困った顔をしたが、すぐに元通りの顔に戻した。もちろん、そんなことに気付いた者はいない。

しばらくの沈黙に耐えられなくなった土方が口を開いた。

 

 

「おい万事屋。お前、頭は大丈夫なのか。」

 

「おいおい、頭大丈夫かって何だよ。お前の方が頭ヤバいだろーが。お前の頭の中はマヨネーズだけだろーが。」

 

「そっちじゃねえわ!さっき頭押さえて苦しんでたじゃねえかよ。」

 

 

ああ~そっちね。などと言いながら一度顔を窓の方へ背けるとさっきまで昼ごろだったのにもう空が紅く染まっていた。銀時は視線を土方に戻し、もう何ともねぇ。と言い、にへらと笑った。

 

 

「そういえばお前らこの帽子を調べてほしくて来たんだったよな?」

 

「・・・ああ。」

 

 

真選組3人は、そういえばそうだった。と思い苦い顔をした。

 

 

「悪ィけど、よく解んなかったわ。ワリィな。」

 

「ああ、いや。こっちもなんつーか。」

 

「苦しい思いもさせちまったみてェで、悪かった。」

 

 

近藤がそう言い頭を下げると他の二人もいつもならあり得ないがあっさりと頭を下げた。

いつもならそんな3人を見て、気持ち悪い。などと暴言を吐く銀時だったが、今日はふざけた感じも見せず、席を立った。

 

めったに使わない社長机の上で何かを書くようなことをした後戻ってきた銀時は、真選組3人の前にその紙を置いた。

 

 

「これ口座。依頼料弾めよ?税金ドロボーさん?」

 

 

いつまでも暗い顔をしている真選組に対して、銀時は少し困ったように笑った。

そのあと真選組はすっかり冷えてしまっていたお茶を呑んで万事屋を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人だけになった万事屋は、普段めったにないほどしらけていた。

というのも、神楽が先ほどからなにも言わずに顔を伏せたままなのだ。そんな神楽の気持が痛いほどわかる新八もなにも言えず黙っている。そんな子供たち二人になんと話かけようか、もしくは話しかけていいのか迷っている銀時であった。

 

 

「銀ちゃん。」

 

 

未だに顔を伏せながら呼ぶ。

 

 

「なんだ?神楽。」

 

 

最初少しだけ驚いて声がかすれたが、優しく返す。

 

顔をあげて銀時を見る神楽。

 

 

「お腹減ったネ。今日は銀ちゃんの当番アルよ。早く用意するヨロシ。」

 

 

すこし涙をためながら笑ってそう言う神楽に新八は救われた気がした。

銀時も僅かに驚きながらもすぐにいつものやる気のない表情に戻してキッチンへ向かった。

 

 

「はいはい。これだから食い盛りは。わがまま娘め。」

 

「早く作るネ!今日は仕方がないから手伝ってやるヨ!」

 

「仕方ないからってなんだよ!俺は手伝ってくれなんて言ってませぇ~ん!」

 

「うっさいアル。お前はマダオ何だから黙って私の言うこと聞いてればいいネ!」

 

「何だと!この小娘ッ!もう酢昆布買ってやんねえぞ!」

 

「ふん!そんなもの要らないネ!時代はブラックサンダーアル。あのサクサクした感じがたまらないアルヨ。これだから田舎ッ子はイヤネ。」

 

 

そういって顔をふり、いかにも、嫌だ嫌だ。とでも言うような動きをした神楽。

あっという間にいつもの万事屋の騒がしさが戻ってきた。

一人取り残された新八も急いでキッチンへ向かった。

そこで、妙に笑顔を浮かべている新八に二人が、気持ちが悪い。と『キモイ』最上級を言い放ったとか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

銀ちゃんにあんな過去があったなんて知らなかったネ。

きっとあの時の銀ちゃんは、楽しくて、暖かくて、やわらかくて、そして、幸せだったんだと思うネ。

松陽先生が死んでからの銀ちゃんの目には、何も映ってなかったアル。

笑ってても、ふざけてても、瞳の奥は真っ暗で、光りを見失ったみたいだったネ。

それだけ、銀ちゃんにとって、松陽先生の存在が大きかったことは、私でもわかるアル。

松陽先生の事が大好きで、松陽先生と暮らした日々が、幸せだったこともわかるネ。

けど、銀ちゃんはわたし達と居ることに少しでも幸せを感じてくれてるってこと、分かってるアル。

死んだような目をしているけど、その目はちゃんと私たちを見てくれてるネ。

だから、泣いちゃダメ。

銀ちゃんの過去を知ったからって、それがなんネ。

わたし達はどんなことがあっても変わらない。ずーっと万事屋アル。

 

だから、いつか銀ちゃんが話してくれるまで、

ううん。それからもずっと、

 

いつもみたいにバカ騒ぎして笑い合おう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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