千日紅   作:夏(。・ω・。)

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君を探し彷徨う私の心

 

真選組と別れた銀時は最近人々が大量に攫われているという、歌舞伎町の東端に来ていた。

 

 

 

「おお!おめえは銀時じゃねえか?」

 

 

突然声をかけられ振り返る。

そこには前に銀時が依頼を受けた修理屋のおやじだった。

あの時は土方に刀を向けられて大変だったな、などと思いだしながら銀時はオヤジのもとへ寄って行った。

 

 

「よお、あんたはまだ攫われてなかったのか。」

 

 

「ふん。こんな老いぼれ、攫ってもなんの特にもならないと思ったんだろーよ。そんなことより、こっち手伝ってくれや。」

 

 

「あー、悪ィが今俺忙しいんだわ。」

 

 

「なんだ、銀時。あの事件でも探ってんのか?万事屋はそんなこともすんのかい?」

 

 

「いや~、これは俺の単独でやってんだけどォ~。」

 

 

「だったら辞めとけやめとけ!攫われちまうぞ!ほれっこれかぶってさっさとこんかい!」

 

 

そういってオヤジは銀時の頭にヘルメットを乗っけた。

どうやら、仕事が終わるまでは離してくれないようだ。このままづらかっちまおうか、とも考えたが、ふと怪しい気配に気づき、オヤジをかばうように立つと、突然浪士共に囲まれた。

 

 

「おいおい。何だッテンだあんたら。俺とこの老いぼれじじィに何の用だぁ?」

 

 

「おい銀時!老いぼれとは何事じゃ!わしゃあまだまだ現役じゃい!」

 

 

「さっきテメェで言ってたんだろーが!」

 

 

「うるさいぞ。黙ってついてこい。」

 

 

「わしゃ依頼がはいっとるんじゃ。お前さんらもこんなことやめたらどうだ!」

 

 

「ふん。こりゃちょっと痛めつけなきゃダメそうだなぁ?」

 

 

「なッ「はい、タイム~!」銀時!」

「おいジジィ。・・・」

 

 

銀時はオヤジと浪士の間に割り込みオヤジに軽く耳打ちする。

オヤジはそれを聞くと意を決したように一つうなずくと、一歩下がった。

 

 

「ごめんねえ。このジジィちょっと最近張りきっちゃっててぇ。反抗する気なんて毛ほどもないんでぇ。許してもらえませんかねェ?」

 

 

「ッチ。さっさとこっちへ来い。」

 

 

刀を背に突きつけられたまま、二人は浪士について行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無理やり、というかほぼ自分から捕えられた二人は今は車の荷台に乗せられている。

腕は縄で後ろ手に縛られており、目隠しをさせられている。

しかし、幸運なことに足と口は自由なためオヤジは先程の銀時の言葉への疑問を口にする。

 

 

「銀時よ。お前どうしてさっきはあんなこと言ったんじゃ?お前ならあんな奴ら倒すくらい屁でもないだろう?」

 

 

あんなこと、とは、捕らわれる前に銀時がオヤジにした耳打ちの事である。

 

『このままおとなしく捕らわれる。あんたを逃がしてえのは山々だがちょいと協力してくれねえか?頼む。』

 

オヤジからしてみれば迷惑な頼みだが、あのチャランポランで有名な銀時の真剣な目に負けたのだった。

 

 

「ん~実はよぉ、俺の周りの奴らもみんな捕まってんだわ。助けるにも手がかりなんて一つもねえし。だからあいつらに囲まれた時、いっそ俺も捕まっちゃえ!みたいな?」

 

 

「質問で返すな!ったく。ちゃんと帰してくれるんじゃろうな?」

 

 

「あったり前よ。万事屋銀ちゃんに任せとけって!」

 

 

 

そうこうしているうちについたらしい。エンジン音が止み、僅かながら光りを感じる。

 

 

 

「降りろ。」

 

 

言われたとおり荷台から降りる。

すると今度は口をふさがれる。

 

 

「ここで騒がれちゃ困るからな。」

 

 

少し息苦しいが、まあ危害は与えられそうにないので、少し安心する。

 

―――あいつらも、たぶん暴力はされてなさそうだ・・・。

 

しばらく歩くと光りが消えた。

すると目隠しを外された。しかし、やはり周りは真っ暗なためなかなか目がなれない。

そのまましばらく周りを探りながら歩いていると、いきなり足場が消えた。

 

 

「うう゛!!!!」

 

 

口をふさがれたままなため、くぐもった声が響いた。

 

 

「おい!立て!ここからは階段だ。気をつけろ!」

 

 

――――はあ、階段かよ・・・。びっっくりしたァ。

 

 

もうしばらくすると、ようやく目も慣れてきた。

どうやらここは洞窟のようなところらしい。

壁のあちらこちらにほった跡が見える。

いつの間にこんな長い洞窟をほったのか、甚だ不思議だが前を歩いていた浪士が急に足を止めたので慌てて銀時も止まる。

 

 

「ここで待機していろ。」

 

 

そう言うと浪士は二人の口を自由にし、何やら一際大きなそこらの公園よりも大きいほどの広場に突き飛ばした。

 

 

 

「グへっ!」

 

 

「アイタタタタ!全く、少しは年寄り労れ!このバカたれ共が!」

 

 

「まあまあじいさん。ちょっとは落ち着けってぇ~。」

 

 

「お前はもっと緊張せんかい!銀時!」

 

 

先程の男たちが戻っていく足音が遠ざかる。

 

瞬間、衣のこすれる音が響いた。

 

銀時は目を鋭くし、周りの気配を探る。

 

すると、数え切れないほどの人の気配が立ち込めていた。

 

しかも、いっさい気配を隠そうとしていないことから、ただの一般人だとわかる。

 

もしかして、と思い目を凝らしていると、聞きなれた声が耳に響いた。

 

 

「銀ちゃん・・・?」

 

 

「ッ!神楽か!」

 

 

「えっ!?本当に銀さん!?」

 

 

「おお~新八もいるのか。ってか、攫われた奴全員?」

 

 

声のした方を見ると、そこにはうっすらと灯りが見えた。

人影もある。

二人はそっとそこへ急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだい、銀時。あんたも攫われちまったのかい。」

 

 

「んあ~、まあそんなとこ。」

 

 

「ええ!俺達銀さんが助けてくれるって信じてこの一週間耐えてきたのに!」

 

 

「まあまあ長谷川さん。つーか、みんな無事だよな。」

 

 

「ちょっとー!話逸らさないで~!ねえ!」

 

 

「それにしても銀さん。あんた良くここまですんなりと入ってこれましたね。」

 

 

「ん?どゆこと?新八君。」

 

 

「どういうこともなにも、気づいてるんでしょう?これは銀さんが目的の事件だって。」

 

 

「あ~、まあ。悪ィ。」

 

 

銀時はきまり悪そうにそう言うと、視線を落とした。

 

 

「そんなことはもういいですよ。というか、犯人は銀さんのこと相当調べてましたよ。銀さんの特徴も、万事屋の事も、交友関係も何もかも。」

 

 

「ええ!なにそれこわーい。」

 

 

「・・・神楽ちゃん。こいつ一回痛めつけて。」

 

 

「あいあいサ―!」

 

 

ボカッ

 

 

「グへっ」

 

 

「はあ。僕らこの一週間で尋問受けてたんです。銀さんはどこに居るのかとか、どうやって江戸に住みついたのかとか、銀さんの、その、過去とか・・・とにかく!いろいろ。」

 

 

「ふーん。他には?」

 

 

「言われたネ。」

 

 

「言われた?なんて?」

 

 

「それは・・・」

 

 

「お前の事だよ。銀時。」

 

 

お登瀬が呆れたような顔で銀時を見つめながら言った。周りに影が落ちたのが分かった。

 

 

「俺の、こと?」

 

 

「あんたが伝説の攘夷志士白夜叉だって事。」

 

 

「ああ~。・・・俺が敵味方に恐れられ、ただ殺人を好む化け物だ、っとか?」

 

 

自嘲気味に、それでいて感情のこもらない顔で言うと、周りの人々は怯えたそぶりをした。

ここに居るものは皆、銀時の事を知っている。

しかし、過去の事など全く知らないものが大半だ。

そのため、銀時がそんな大物だったことを知って、どぎまぎしているのだ。

 

 

「・・・まあそこまでは予想済みだ。んで、奴さん達は俺を捕まえてなにをする気だって?」

 

 

「そこは、言われてないアル。」

 

 

「そっか。」

 

 

周りの空気が重くなる。

どうにかしようと新八は他の話題をさがす。そこで、なんだかんだで聞きそびれていたさっきの質問を思い出す。

 

 

「っていうか銀さん!さっきも聞きましたけど、なんであんたすんなりここまで来れたんですか?ふつう、目的の人が見つかったらもっと他にどうにかしますよね?」

 

 

「んあ~、それはたぶんあれのお陰だ。」

 

 

そう言うと、銀時は先程自分が突き飛ばされた方を顎で示した。

そこには黄色い安全用ヘルメット。

捕えられる前にオヤジが銀時にかぶせたものだ。

 

 

「じゃあ、まだ敵は銀さんを見つけてない状態なんですね?」

 

 

「そーゆうこと!そういやばあさん。その尋問とやらはいつくんの?」

 

 

「そうだね、もうすぐだと思うよ。」

 

 

「ふーん。何人くらい?」

 

 

「10人くらいで来るよ。何だってんだい?」

 

 

「そっか。じゃ、脱出しますか!」

 

 

みんなの目が点になる。

 

 

「あの、銀さん。今なんて?」

 

 

「そっか。じゃ、脱出しますか!」

 

 

「はいいいいいいいい!!!」

 

 

「銀ちゃんなんか策があるアルか!?さすがネ!駄眼鏡やマダオとは大違いアル!」

 

 

「ちょっとォオオ神楽チャああん!いまメガネ関係ないィィ!!!!」

 

 

「ああそうさ。どうせ俺はだれも救えないただのまるで駄目なおっさん、マダオだよ。」

 

 

勝手に一人でよどんだ空気を醸し出す長谷川を、みんなは総無視することに決め込んだ。

 

 

「まあ策って言うか、なんていうか。簡単に言うと、俺が奴らが来た瞬間に刀奪って全員倒すから、そしてらみんなで逃げようかっていう、」

 

 

「なんだよ。そんなことわたし達でも考えてたアルヨ。」

 

 

「でも銀さん?こっちには子供もいるのよ?」

 

 

お妙が周りに居る子供たちを心配そうに見ながら言う。

 

 

「ああ大丈夫だよ。銀さん強いから。」

 

 

「そういう問題じゃッ」

 

 

「大丈夫。ぜってぇ俺が守る。」

 

 

自然と自分の口角が上がるのがわかった。

これが、坂田銀時という男。そう思い直し、立ち上がる。

 

 

「分かりました!やりましょう銀さん!」

 

 

「そうネ!いっちょ暴れてやるアル!」

 

 

「ヨッシャ!んじゃまず縄解かなきゃな。」

 

 

そう。ここに居る全員は腕を縄で縛られているのである。

しかも、神楽が夜兎だとばれたのか、神楽だけ手錠だ。

 

 

「お、わし小刀もっとるぞ。」

 

 

そう言ったのは先程銀時と共に捕らわれた修理屋のおやじだった。

持ち物検査もしないなんて馬鹿だな、などと思ったが、幸運だった。

早速銀時の縄を切ると全員の縄を切っていく。

神楽のはどうしようかと思案しているとかすかな足音が近づいていることに気付いた。

 

 

「神楽、おまえこれでも早く走れるよな。」

 

 

「あったり前アル!」

 

 

ばれないようにひそひそ声でしゃべる二人。

 

 

「よっしゃ。行くぞ。」

 

 

 

 

 

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