―――――――コツ
―――コツ
コツ
次第に足音が近づいて来る。
それに従って、全員の鼓動も早くなる。
そんななか、銀時はそっと目を閉じた。
たしか、ここに連れてこられる時、気配を探ったところ周りには50人程の気配しかなかった。ちょいと少ない気もするが、敵さんは俺の事をずいぶんと調べていた。俺が人質を見殺しにできないことも把握済みってことだ。でもまあ、それは俺が捕まった時の話。俺の手元にそれがある限り、誰にも触れさせやしない。
キーと鉄のドアが開く音がする。
複数の足音が洞窟へ入ってくる。
一人の代表格のような男が先頭に立つと他はその後ろに並んだ。
「今日は二人、新しく入ったらしいな。出てこい。」
銀時はオヤジに視線を送り、その言葉に従うように施し、二人は手を縛られているように見せながらみんなより少し前に立つ。
「お前たちももうこいつらから聞いていると思うが、俺達ァある一人の男をさがしてんだァ。その男は、銀髪に紅目。『万事屋銀ちゃん』なんつーふざけた仕事やってる奴でよォ。しかしそれァ表向きでな。奴は恐ろしい化けモンの顔を持ってやがんだ。そのひと振りで何十の敵を殺し、敵も味方も知ったこっちゃない。ただの殺しを楽しむ殺人鬼『白夜叉』っつー顔をな。」
男の好き勝手な発言に神楽は男を睨みつけた。
その視線に気づいた男は見下すように一つ嘲笑うとさらに続けた。
いや、続けようとした。しかしそれは思わぬ人物に遮られた。
「その男の名は「『坂田銀時』だろ?」!?」
驚き全員が銀時を見た。銀時は口角を上げ、睨みつけるような視線で男を射抜いていた。
「貴様、なに者だ!」
男が刀に手をかけると後ろの者たちも腰を落とし臨戦態勢に入る。
「俺か?俺ァ、ただの万事屋銀ちゃんのオーナーだ。」
言い終わると同時に男から血飛沫があがった。
倒れたその男の胸には小刀。
いち早く反応した手下が銀時を見る。しかし、そこにはもう銀時はいなかった。
それと同時に次々と聞こえる仲間のうめき声。
薄暗いため周りが見えない。手下は胸から血を流す男の着物からスイッチ探し出し、それを押すと、灯りが着いた。急に目前が明るくなったため一瞬ふらつく。
「おい!奴は、白夜叉はどこだ!!!」
「ここだよ~。」
声のした方を振り返る間もなく手下は銀時の刀によって意識を失った。
最後に目に映ったのは、美しく輝く銀色だった。
全員を倒した銀時はペチペチと頬を叩いて気絶していることを確かめる。
銀時の強さに圧倒され気味な町民に代わって、新八が声をかけた。
「銀さん。大丈夫ですか?」
「ん?ああ。大丈夫。全員気絶してる。」
「あ、あの。その人、・・・死んだん、ですか?」
目の前で人が死ぬことに慣れていない者たちはそっと血を流して倒れている男を見た。
「ああ、急所は外したから死んでねえよ。まあこのまま放っておけば、分かんねえけどな。それよりさっさと行くぞ。」
そっと振り返るとそこには意を決したような逞しい顔つき。
銀時の強さに恐怖するのではなく心底安心したのだ。
そんな住民の反応を見た銀時や、神楽、新八は目を合わせると笑顔で洞窟の階段を上って行った。