千日紅   作:夏(。・ω・。)

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芽が出ればあとはただただ大きくなるだけ

 

ここはとある幕府重鎮の一人、兼松の城。

そこの何やら小汚い倉に、攘夷浪士が十数名いた。

幕府の重鎮と攘夷浪士。交わらない立場に居る二組が出くわせば剣幕な雰囲気になることは言うまでもない。しかし、この倉では違った意味で剣幕な雰囲気になっていた。

 

 

「おい貴様!私が直々に手を貸してやっているというのになんということだ!」

 

「申し訳ありません!」

 

「なぜ見つからない!あの男はあんなに目立つ風貌をしているのだぞ!」

 

「奴を知っているというものはたくさんいるのですが・・・」

 

「そのような言い訳はどうでもよい!早く奴を・・・白夜叉を我の手に!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洞窟を登りきった銀時たちは銀時の指示でその場に待機していた。

目を閉じ気配を探る。

右に20弱それ以外の気配は無。

 

思っていたよりもこの脱出は簡単に行きそうだと思い、銀時はにやりと笑った。

 

 

「お前ら全員いるよな?」

 

「はい!」「いるネ!」

 

二人の元気な声に周りもうなずく。

 

「いいか。ここには20人くらいの敵さんがいる。俺が相手するからお前らはわき目もふらずにとにかく走れ。先頭は新八!お前が行け。」

 

「はい!」

 

「神楽は一番最後だ。年寄りやガキどもに手を貸してやれ。」

 

「任せるネ!」

 

「ほかの奴らも手ェ貸しあえよ。じゃあ俺が先に出るからその瞬間に新八も走り出せ。そのあとは任せた。」

 

全員の顔に緊張が走るのを見渡してから、タイミングを取ろうと敵の様子をうかがっていると不意に声をかけられ振り返る。するとそこには新八に神楽。そして、全員がこちらを見ていた。

 

「銀ちゃん(さん)」

 

「え、なに?みんなして?」

 

「銀さん!無茶しないでくださいね!」

 

「銀ちゃんもすぐに追いかけてくるアルヨ!こんな奴ら、税金ドロボー共に任せとけばいいネ。」

 

 

この男はいつもいつも自分の体を張っていろんなものを守ってきた。

死の危険すらも顧みずに戦うことも多々あった。

そんな姿を見てきた自分達はそんな銀時を頼もしいと思いながらも、もっと自分を大切にしてほしいと思っていたのだ。

今も自分の事など無視して自分達を守るばかり。

だからといって何か言ってもこの男には無駄なこと。

だからせめて、この男に理解させておこう。

あんたを待っている人たちがいることを。あんたが笑って帰ってくることを僕らが願っているということを。

 

 

 

そんな二人の言葉を聞きながら、銀時はふと昔の事を思い出した。

あれは攘夷戦争の時。

自分が大怪我を負ってしまった時だ。

あの日は予想外に敵が押し寄せてきて桂が退避命令を出していた。

しかし、銀時が一人残り、仲間の退路を守っていたのだ。

なんとか敵をすべて倒した銀時はそのまま意識を失い、数時間後高杉に見つけられたのだ。

目を覚ました銀時に桂はそれはそれは鬼の形相でこう叱った。

「なぜ貴様は自分の身を大事にせんのだ!もうすぐで死ぬところだったのだぞ!いい加減自分の命を案じる術を知れ!」

 

「ああ~・・・ごめん。」

 

「はあ。なあ銀時。頼むから一人ですべてを何とかしようとしないでくれ。俺達を頼ってくれ。どんな時でもお前が生きて俺達のもとに帰ってくることを優先に考えてくれ。死にそうになることなどしないでくれ。」

 

「なーに言ってんの。ここは戦場。常に死にそうなのはお前らも同じだろ?」

 

「・・・やはり、貴様には俺達の想いなど分かるはずないか。」

 

「おい、どういうことだよソレ!なに?銀さんバカにしてんの?」

 

「はあ。高杉、こいつをどうにかしてくれ・・・。」

 

「・・・無理だ。」

 

「おい!二人してなんだッテンだよ!」

 

「あはははは。金時はほんにあほじゃなぁ~。」

 

「銀な!銀!」

 

 

 

 

 

 

 

あのころは本当に分かっていなかった。

仲間を守る事に必死で、自分の命などミジンコ以下の価値もないと本気で思っていた。

しかし、今なら少し分かる気がする。

この子供達の不安そうな、しかし強がった目を少しでも穏やかにするために自分がすべきこと。

『生きてこいつらの元に帰ってくること。』

 

 

 

 

 

「ああ。帰ったら久しぶりに外食でもするか!」

 

 

「やったネ!」「はい!」

 

 

「よし。行くぞ!」

 

 

銀時の掛け声で全員が駆けだした。

 

 

 

 

 

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