一気に敵の塊へ飛び込むと銀時は次々と敵をなぎ伏せていった。
それと同時に駆けだした新八達はただただ前を向いて走って行った。
しかし、すぐにその脚は止まってしまった。
「おいおい。俺達がいない間にな~にやってくれちゃってんだぁ~?」
それは、先程幕府重鎮の一人兼松の屋敷へ赴いていた者たちだった。
思わぬ敵の登場に一同はパニックに陥った。
「白夜叉よ!そこを一歩でも動いてみろ!どうなるか、分かるな・・・?」
新八はスッと首筋に冷たいものを感じ冷や汗を流した。
そんな新八の様子を見た銀時は悔しげに顔をゆがめるとおとなしく刀を下げた。
「白夜叉を確保しろ!丁重に扱えよ。大事な品物なんだからなあ。」
にやりと笑った男の下品な面に一同は鳥肌が立つのがわかった。
神楽はどうにかこの状況を打破しようと思ったが、新八の首にはまだ刀が突きつけられている。
しかも、この敵の数にこちらは戦えるものはほぼいない。
頼りの銀時も捕えられているためなにもできない。
悔しさに唇をかんだ。
「頭ぁ、人質はどうします?」
「そうだなあ~。身売りにでも出すか?ハハハハハハッ!」
「ふざけんなッ!てめえらの目的は俺だろうが!こいつらに手ェ出すな!」
「貴様この状況分かっているのか?そんな口のきき方でいいのかって言ってんだよオ!!」
男はそう言うと、手足を縛られ動けない銀時の腹を思い切り蹴った。
銀時はそのまま倒れ、嘔吐感に襲われ胃液を吐いた。
「あ~あ、傷つけずに連れて来いって言われたのになあ?しかし、彼の有名な白夜叉様のこんな姿。そうそうお目にかかれないぜ!へへヘッ。所詮は夜叉。お前はただの人殺し。誰も護れやしねえのさ!はっはっはっはっは!!!!」
男は倒れこんで荒い息を繰り返す銀時に殴るけるの暴行を続けた。
銀時は口から血を流し、眼は虚ろになってきていた。
周りの町民たちは見ていられずに顔を伏せて耐えていた。
「もうやめるネ!!!!!」
「ああ?誰だ?おめェ。」
銀時はゆっくりと目を開けてかすれる視界の中の彼女を見た。
目に涙をためて男達を睨みつけている神楽は一歩前に出るとさらに叫んだ。
「銀ちゃんは人殺しなんかじゃないネ!銀ちゃんはいつも私たちの大切なもの守ってくれてたネ!お前ラ、なにも知らない癖に勝手なこと言ってんじゃねーヨ!!!」
「か、神楽ちゃん!」
夢中で叫ぶ神楽に向けて男はあざ笑ったあとゆっくりと、刀に手をかけながら神楽に近づいて行った。
神楽のそばにいた妙は必死に神楽をかばうように抱きしめた。
「少し、お痛が必要かな?お譲ちゃん?」
刀に手をかけてゆっくりと引きぬく。
その腕を高く振り上げ神楽と妙の目の前で足を止めた。
「やめろッ、やめろッ!やめろーーーーーーーーォォォオオオ!!!」
「御用改めである!真選組だァァァアアア!!!!」
「土方さん!」
二人に刀が振り下ろされる直前になんとか居場所を突き止めた真選組がかけつけた。
「ッチ。真選組か。お前ら足止めしとけ。白夜叉を連れていくぞ。」
そう言うと男たちは意識を失った銀時を担ぎあげ車の荷台に乗せた。
「土方さん!旦那が!」
「急いで奴を連れ戻すぞ!ったく、何やってんだ万事屋は!」
「全く出さァ!」
近藤が指揮を取る中、土方と沖田の二人は銀時が載せられたタンカーに向かって走り出す。
しかし、
「ここは行かせらんねぇな。真選組の副長さんと隊長さん。」
「てめえ、退けねえとたたっ切るぞ。」
二人は敵に前を固められそれ以上は進むことができなかった。
敵の数は大体30人。それに比べ真選組は急な出動だったため10人程度。
そのうち数名は人質の保護に向かっているため状況は不利。
そうこうしているうちに、銀時を乗せた車は道なき道を去っていった。
「クソッ!てめえら何の目的で万事屋を!!」
「ある御方の計らいだ。白夜叉はもう、お前たちの元には帰らない。白夜叉は我等のものだ!」
狂ったように笑う男は沖田の刀によって気を失った。
沖田から溢れる殺気に怖気づいた他の者たちは、そのまま真選組によって捕えられた。
「そ、んな・・・銀さん。」
少し肌寒い風が吹く中、新八の声は深い森に消えた。