「なぜ俺達が幼馴染だと知っているのだ?」
そっと顔を上げると、しまった、というような顔をした面々。
それに、さらに疑問が湧く。
この者たちは、銀時が自分や高杉の幼馴染と知っていて、見逃していたと言うのか?
だとしたら、それは自分たちにとっても、銀時にとっても喜ばしい事だが・・・
「なぜだ・・・。」
桂の鋭くなった疑いの目が真選組を射抜く。
どう言えばいいのか分からずどぎまぎする近藤に聞いても無駄そうだ。
沖田はさあ?というような顔で視線をそらした。
残る土方を見ると、面倒くさそうな顔をして、煙草に火をつけた。
「あ~、なんつーか。まあ直入に言うと、見たんだよ。お前らの過去を。」
ぽかん、と口を開けた桂に、チッと舌打ちしてから、土方は前あった出来事を話し始めた。
「いきなりお前らの過去にタイムスリップして、お前らの幼少の時代でお前らの師がなくなる日を過ごしたんだよ。しかも、その直後頭ん中に攘夷戦争時代やら万事屋の心情やらが見えてきて、んで気付いたら戻ってきてた。」
「・・・」
「おーいヅラ?この話、信じられないと思うアルけど、本当ネ。」
「・・・いや、スマン。少し驚きすぎた。そうか、だからか・・・。」
「「「「「?」」」」」
「貴様等の目だ。」
「目?それが何ですか?」
「以前に会った時とは明らかにお前たちの目が違った。・・・その目は、あの方の目だ。」
『あの方』が誰かわかった5人は、少し、胸が苦しくなった。
「銀時は、一人だった。その容姿のせいで親に見捨てられ、迫害を受けてきたのだ。感情をなくし、言葉も知らなかった。最初に見た銀時の姿は、幼かったながらにも鮮明に覚えている。知らない感情に混乱し、自分の無知を恥じ、自分の異質を気味悪がり、心がズタズタだった。哀れだった。しかし、あの方はそんな銀時を憐れんだりはしなかった。優しく、愛おしむ様な眼差しで銀時を包み込んでいた。お前たちの目は、それと同じだ。銀時が心を許すわけだ。」
桂はこの上ないほど優しく微笑んだ。
新八も神楽も土方も近藤も沖田も、嬉しくて、気恥かしくて。悲しくて、悔しくて。泣きそうになった。
「俺にとって、いや、俺だけでなく高杉にとっても。銀時は大切なのだ。あの方の忘れ形見であり、俺達の大切な兄弟。閉ざされていった俺達の世界は叫んでも届かないほど離れてしまったが、この事実は変わるまい。貴様らも同じであろう?」
銀時は、自分たちにとっても大切な人だ。
そりゃ、桂達に比べれば、まだまだ浅くて狭い関係だが、この想いだけは、きっと深くて広いと思うから。
ある時、ある場所で、混ざらないこの世界は交わった。
銀色に輝くその世界は、誰よりも悲しく、苦しく、嬉しく、愛おしく、そして美しかった。
俺達が戦う理由は、それだけで十分だ。